IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第113話:姉の心、妹知らず

 

 ~千冬 Side~

 

千冬

「アイツは反省してるんだろうか…」

 

「…ゴメン…束さんでも分かんない…」

 

千冬

「………」

 

 私は束と話しながら空き部屋に放り込んだ箒のいる部屋に向かっていた

 何故束もいるのかと言うと【紅椿】のリミッターをかけ直して貰う為だ

 それで会話の内容はその箒の事なんだが、見張りの教師から連絡が今の所無いから大人しくしているみたいだが逆にそれが不安だ…普通なら大人しくしているから反省していると取れるんだがアイツの場合は当て嵌まらんからな…

 そもそもあの箒が大人しくしていると言うのが私には信じられないからだ…アイツの事だから部屋の中で暴れる位は平気ですると思っていたんだがそれも無い様だ…ハッキリ言って気味が悪い程に不気味だ…

 そんな事を考えていると目的の部屋に着いた

 

千冬

「ご苦労、篠ノ之は?」

 

 私は見張りをしている教師に確認を取ったが…

 

教師

「今の所は静かにしてますね。」

 

千冬

「そうか…」

 

 静かにしてるのか…本当に不気味だ…

 

千冬

「それなら後は私に任せておけ。何かあればまた連絡するがそれまではゆっくりしておいてくれ。」

 

教師

「分かりました。それでは後は頼みます。」

 

千冬

「入るぞ篠ノ之。」

 

 一言声をかけてから私と束は部屋の中に入って行った

 

「………」

 

 中に入ると正座した箒がこちらを見ていたが…この顔、明らかに不満しかないって言う顔だな…

 ハァ…大人しくしているからほんの僅かでも反省しているかもと思ったりもしない訳では無かったがやはり無理だったか…この顔は絶対反省してない顔だ…

 まあいい、さっさと用件をすませよう…私も束も暇では無いからな

 

千冬

「さて篠ノ之…今回のお前の無断行動の件によるお前の処罰内容が決まった。」

 

「………」

 

千冬

「ハァ…全く…お前は一体何回処罰を受ければ気が済むんだ…毎回毎回こんな事で頭を悩ませるこっちの身にもなれ…」

 

「くっ…」

 

 こんな事本当なら生徒相手に言うべきでは無いがコイツの場合は別だ!

 本当にいい加減にして欲しい!

 

千冬

「お前は学園に戻り次第懲罰房で反省文200枚の提出と夏休みの前半は学園での奉仕活動だ!」

 

「奉仕…活動…」

 

千冬

「それで少しは他人を思いやる心を学べ!!」

 

「!?…わ、私が他人を思いやらない人間だって言うんですか!!」

 

 何を今更…

 

千冬

「これまでの自分を振り返ってみろ!今までお前が学園でやって来た事は全て自分本位の身勝手なものばかりだろうが!!それの何処に他人を思いやる行動があったと言うんだ!!」

 

 そう…コイツは今まで自分以外の誰かの為に行動した事は一度も無い

 全て自分の欲望のままに行動し、他人の事など一切考えてはいない

 

「うっ…ぐっ…」

 

 まあ、奉仕活動をさせたからと言ってコイツのこの捻じれに捻じ曲がった性格が治るとも思えんがな…何もしないよりかはいいだろう

 それに、もしかしたらという事もあるからな…期待しないで経過を見る事にするか

 さて、コイツの処罰も下したし、束の方の作業をして貰うとするか

 

千冬

「それと篠ノ之、【紅椿】を出せ。リミッターをかけ直す。」

 

「!?」

 

 私がそう言うと箒は待機状態の【紅椿】に触れた

 

「………再起動も…してくれるんですか?」

 

千冬

「そっちはしない。そもそもお前はこの後謹慎だろうが。再起動する必要が何処にある?」

 

 話を聞いてなかったのか?

 

「………そうですか…なら…」

 

千冬

「ん?」

 

 箒はおもむろに立ち上がると【紅椿】を外した

 私はこちらに渡すものかと思ったが…

 

 バシッ!

 

「こんなポンコツいりません!!!」

 

千冬

「!?」

 

 【紅椿】を束に投げつけた!?

 ぶつけられたのが待機状態だったから束は怪我なんてしなかったが、箒の突然の行動に私も束も動揺していた

 コイツ行き成り何のつもりだ!?

 

「こんなポンコツISを渡されたせいで作戦は失敗したんだ!!一夏が怪我を負ったのもコイツのせいだ!!!」

 

 鼻息を荒くしながらコイツは訳の分からない事を言いだした

 コイツ…言うに事欠いてISのせいにしてきた!?

 

「…第5世代だ…姉さん!!私の我儘を聞くのが最後だと言うなら第5世代を用意しろ!!!第4世代なんてガラクタでは私には相応しくない!!!私に相応しい第5世代をください!!!」

 

「………」

 

 相応しいISを寄越せだと!?

 コイツ、あの作戦の失敗をISのせいにしたのか!?

 

千冬

「…篠ノ之…いや、箒…お前…そこまで『落ちぶれた』のか…」

 

 私は目の前にいる知り合いの余りにも酷く情けない姿に心底落胆した

 

「私は落ちぶれてなどいません!!ただ本当の事を言っているだけです!!!」

 

 何を馬鹿な事を…

 自分に相応しいのは第5世代?

 作戦に失敗したのはISのせい?

 コイツには『自分が悪い』と言う考えが完全に抜け落ちている…全て他の人間やISのせいにしている…

 こんな奴に奉仕活動なんてさせても効果は見込めんな…

 まあ、それはもうどうでもいいとして…今のコイツの行動は流石に見過ごせん!!1発ぶん殴ってやるか!!

 私はそう思って拳を振り上げた

 だが…

 

「…いいよちーちゃん…」

 

千冬

「!?…だが束!!コイツのした事は!?」

 

 束本人に止められた

 

「いいよ別に…箒ちゃん…【紅椿】がいらないって言うなら持って帰るよ。じゃあね。」

 

 束は落ちている【紅椿】を拾うとさっさと部屋から出て行った

 

千冬

「オ、オイ束!?」

 

「姉さん!!今度こそ第5世代を持って来て下さいよ!!!」

 

 そんな束にコイツは未だに自分の欲求を口走っていた

 コイツ気付いてないのか?

 束は一度も頷いていないんだぞ?

 だが、コイツは…

 

「フフフ…コレで今度こそ第5世代が私の物に…」

 

 第5世代が用意される物だともう思い込んでいる…まさかココまで馬鹿…いや、『愚者』だったのか…

 私はもう今のコイツとはもう関わり合いになりたくなかった…

 だから束には止められたが力一杯1発ぶん殴った後、コイツの処分内容を改めて通達した後部屋を出て行った

 その後、待機していた教師に再び見張りを頼んだ後、束を急いで追いかけた

 

 ………

 ……

 …

 

千冬

「束!!!」

 

「………」

 

 良かった!まだいた!

 怒ってさっさと帰るかと思ったからな…

 

千冬

「束…箒の事だが…」

 

「………箒ちゃんの気持ちは分かったよ…」

 

千冬

「…え?」

 

 た、束?

 

「もう怒った!!!だれが第5世代なんか造ってやるかあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 あ、やっぱり怒ってた…

 箒に対して激甘のコイツも流石にキレたか…

 おかしい…姉妹仲が悪くなった事は確実なのに…私は今の束を見て安心している…何故だ?

 

「電話もメールも着拒にしてやる!!!」

 

千冬

「いや待て待て!流石にそれはやり過ぎだろ!?」

 

「いいんだよ!!あの子は一度突き放さないと分からないよ!!!」

 

千冬

「ぬっ…」

 

 そう言われると…確かにそうだが…まさかあの束がそんな事を言うとは…

 私が驚いていると…

 

「…ハァ…ゴメンね【紅椿】…」

 

 束は箒が投げつけてきた【紅椿】に謝っていた

 

「…あの子の成長を期待して用意したんだけど…アレじゃ無理だね…」

 

千冬

「…そうだな…」

 

 アイツにISは危険すぎる…赤ん坊に銃を持たせる様な物だ…

 しかし、束の奴…そんな箒が少しでもまともになる様に思って【紅椿】を造ったのか…

 だが、あの馬鹿にはそんな姉の想いは届かなかったか…

 さっきまでの怒りが鳴りを潜めてすっかりしおらしくなってしまったな…

 …よし!丁度日も沈んだ頃だしいい時間だ!

 

千冬

「束!!今夜は飲もう!!!私の奢りだ!!!今日は一晩お前の愚痴に付き合ってやる!!!」

 

「…ちーちゃん………うん♪」

 

 私が飲みに誘うと束は笑顔で頷いた

 私と束はそのまま夜の居酒屋に直行した!

 旅館での後始末は真耶に任せる事になってしまったが、仕事が終わればこっちに来るように伝えてあるし、真耶の方も私が奢ってやることで帳消しにして貰おう!!!

 

 ~千冬 Side out~

 

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