IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第124話:一夏の今後

 ~千冬 Side~

 

 私は丸一日かけてホモとなっていた一夏にタップリ説教した後、コイツがココでどんな訓練をしているのかを見せて貰っていた

 

一夏

「そ~っと…そ~っと………あっ!?」

 

 私の前にはISを纏った一夏が斧を片手に薪を立てようと悪戦苦闘していた

 ISを使った薪割りか…火ノ兄も面白い事を考えるな

 確かにこの訓練は色々と理に適っているように見える

 後で私もやってみるか…束なら予備のISの1つや2つ持ってるだろうからそれを貸して貰えばいいな

 

一夏

「…良し!!立ったぞ…今度こそ………ああっ!?」

 

 むっ!また1回目で割ったか

 まだまだ力の入れ過ぎだな…う~む…ココはアドバイスする方がいいのかもしれんが自分で一度やった後の方がいいか………アドバイスをして失敗したらいくら私でも恥ずかしいからな…

 まあ、それはそれとしてコイツが修行して来ると書置きを残して姿をくらませた時は焦ったが真面目にやっているようで何よりだ

 本物のホモになっていたのはシャレにならんがな…こっちは本気で恥ずかしい…

 姉として何とかしなければ…

 

 ………

 ……

 …

 

千冬

「束、少しいいか?」

 

「およ?どったのちーちゃん?」

 

 私は一通り一夏の訓練を見た後、束が勝手に造ったと言う地下の研究室に来ていた

 そこには開発中らしきISが幾つか並んでいた

 

千冬

「ああ、お前に聞きたい事があってな。」

 

「聞きたい事?ちーちゃんの質問ならなんでも答えてあげるよ♪って言いたいけど内容にもよるね。」

 

 コイツ本当に変わったな…

 以前のコイツなら私の言う事ならどんな内容でも聞いてくれていたんだが…それがココまで変わるとはな…

 フッ…幼馴染として嬉しい限りだよ

 

千冬

「それでいい、聞きたい事と言うのは一夏についてだ。」

 

「いっくん?」

 

千冬

「ああ、お前から見て今のアイツはどう見える?」

 

「そうだね~…『性癖』に関してはかなりヤバいとしか言えないけどそれ以外は頑張ってるね。」

 

千冬

「そ、そうか…そうだよな~…」

 

 やはり束もあれは危険と見ていたか…

 

「申し訳ないけどアレでホモじゃないって言われても信じられないよ…百人に聞いたら百人とも彼はホモだって答える位だよ。」

 

千冬

「だよな…百人どころか千人に聞いても同じだろうな…」

 

 下手したら一万人に聞いても同じかも…

 

「それでそんなホモないっくんがどうかしたの?もしかしてホモを治す方法を聞きに来たの?」

 

千冬

「あるのか?」

 

「あるって言えばあるけど…おすすめは出来ないよ?」

 

千冬

「お前がそう言うって事は相当危ないな…ちなみにどんな方法だ?」

 

「薬で人格を書き換え「出来るかあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」…だからおすすめしないって言ったじゃん…」

 

 薬物投与なんて方法出来るか!?

 いくら何でも人道に反するだろうが!!

 

「まあ、あれ以上酷くなるようなら本気で薬物投与も考えてたんだけどね…いっくんがアレなせいで最近はクーちゃんの方もヤバくなってたんだよ…あのまま放置するといっくんが『消されかねないから』…」

 

千冬

「………」

 

 け、消す!?クロニクルの奴そこまで危険な状態になっていたのか!?

 束に言われて急いで来て良かった………ん?

 

千冬

「って違う違う!!ホモを治す事じゃない!!!」

 

 イカンイカン!!脱線していた!!

 いや、そっちも問題だが今回は違う!!

 

「それじゃあ何を聞きたいの?」

 

千冬

「うむ、単刀直入に聞くぞ。一夏の第五世代を造る事を考えているか?」

 

 コレが本題だ

 束の事だから第五世代を用意しかねないからな…

 今のコイツなら無条件で用意するなんて事はしないだろうがアイツの成長次第では可能性があるから一度確認しておこうと思った

 

「…考えてはいるよ。…って言うか設計自体はもう出来てるよ。」

 

千冬

「何だと!?」

 

 既にそこまで進めていたのか!?

 

「こんな感じの機体を考えてるんだ。」

 

 そう言って束はモニターに新型のISの設計データを表示した

 それを見て…

 

千冬

「…凄まじいな…二次移行(セカンドシフト)した今の【白式・雪羅】の何倍も高い性能だ…」

 

 その性能の高さに目を見開いた

 

「でも今の時点ではいっくんにコレを扱う事は出来ないね。渡すにしても今後の成長次第になるよ。」

 

千冬

「そうだな。」

 

 これほどのISだ…オルコットの様にISの方が使い手に着いて行かなくなるなんて事にでもならない限り簡単には渡せんな…

 まあオルコットほどとは言わんがせめて鈴や更識妹くらいの実力をつけて貰わないと無理だろうな…

 

「セーちゃんほどとは言わないけど、かんちゃんやリーちゃんくらいの実力は必要だね。」

 

 束も同じ考えか…

 

「それととーくんもいっくんの今後の成長次第なら第五世代にした方がいいかもしれないって言ってたから束さんもいっくんには期待してるんだよ。」

 

 火ノ兄がそんな事を…

 あの馬鹿にいつ襲われるか分からない中、気にかけてくれていたのか…アイツには本当に苦労と迷惑をかけるな…

 今度何か埋め合わせをしよう!!

 

千冬

「ならその辺りの判断はお前に任せる。」

 

「OK♪任せといて♪」

 

 取り合えずISに関しては束の判断に任せればいいな

 だが、性癖に関しては私が何とかせねばならんな…

 そう思った時…

 

 Prrrrrrr…

 

 携帯の着信音が鳴った

 私のではない…と言う事は束のか…って…

 

「………」

 

 いつの間にか束の表情が消えていた

 そのまま携帯の着信画面を一瞥すると部屋の隅に放り投げてしまった

 

千冬

「オ、オイ!?」

 

 束が何故そんな事をしたのか分からずにいると携帯が留守電に切り替わった

 そこから聞こえたのは…

 

『姉さん!!!早く私のISを造って下さい!!!分かりましたね!!!』

 

 Pi!

 

 学園で奉仕活動をしている箒だった

 箒は言いたい事だけ言うとすぐに電話を切った

 だが、この時間はまだ活動時間の筈…電話をかける様な時間は無い筈だ…アイツまさかサボってるのか!?

 後で問い質す必要があるな…

 だが、今はそれよりも…

 

「………」

 

 束の表情が消えたのはコレのせいだったか

 そう言えば着拒するとか言ってたがまさか本当に拒否していたとは…

 だが、束のこの行動に私も納得した

 今のアイツは自分の願望しか口にしない…こっちの言葉を聞かない…聞いても自分の望んだ言葉しか聞かない…そんな奴は相手にするだけ時間の無駄にしかならない

 それにして箒の奴…まだ分かって無いのか…自分にISを持つ資格が無い事に…

 

「さ~て…新しいISの研究を続けよ~っと♪」

 

千冬

「………」

 

 暫くして束は何事もなかったように動き出した

 箒からの連絡など始めからなかったかのように…

 そんな束に私は何も言う気にならなかった…

 だが、戻ったらあの馬鹿は説教確定だ!!!

 

 ~千冬 Side out~

 


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