IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

129 / 155
第125話:紅椿の利用方法

 

 ~束 Side~

 

「う~ん…」

 

 私はある事に悩んでいた

 それは目の前にあるIS…【紅椿】についてだ…

 箒ちゃんにいらないって言われて突き返されたコレをどうしようか悩んでいた

 解体ならすぐに出来る…コアは既に取り外してあるし第5世代の開発をしている束さんにはこれを残しておく理由が無い…

 それでもこの子は束さんが造ったISには違いは無い

 だから簡単には廃棄する事が出来なくて困ってるんだよね~…

 

「せめてこの子が派手にぶっ壊れてたり、ボロボロになるまで使われてたら気兼ねせずに済むんだけど…」

 

 生憎とこの子はまだ一度しか出撃してない…それも大した戦闘をしてないから新品そのものなんだよね…

 

「何かいい使い道ないかな~…」

 

 このままじゃ研究室を圧迫するだけの粗大ゴミになっちゃうよ…

 【紅椿】の利用方法を考えていると…

 

「失礼します。束さん、少し見て貰いたい物があるんですが…」

 

 かんちゃんがやって来た

 

「あ、お取込み中でしたか?」

 

「ううん、気にしないで♪」

 

 これ以上考えてもいい案は思い付かないだろうし、丁度いいから気分転換しよ~っと!

 それでかんちゃんが独自に組んだOSを見ながらアドバイスをしていった

 そんな時にふと思った…

 

「かんちゃん…」

 

「はい?」

 

「第5世代…欲しい?」

 

「え…」

 

 束さんの行き成りの質問に目を見開いた

 すると…

 

「…手に入るなら…欲しいです…でも…私には第5世代を手にする理由がありません…」

 

「あ…」

 

 かんちゃんは正直に答えてくれた

 でも、そっか…かんちゃんはセーちゃんの様にISが着いて行かなくなった訳じゃない…かと言ってのんちゃんみたいに1号機のデータ取りの為って理由も無いんだ…

 何の理由も無く、ただかんちゃんを気に入ったから上げるなんて、箒ちゃんに言った事を自分で否定する事になっちゃう…

 それにかんちゃんは仮に今の理由で渡そうとしても絶対に受け取らない…

 ISを皆と協力して作り上げたかんちゃんだからこそ受け取らないんだ…

 

「…そうだね…ゴメン…変な事聞いて…」

 

「いえ、気にしてません。」

 

 でも束さんから見てかんちゃんと…後はリーちゃんもだね…2人なら第5世代を渡しても問題無いと思うんだよね…

 何か渡してもいいような理由があればな~…

 う~ん…理由が無いなら作ればいいんだけど…かんちゃんが納得しないといけないしな~…はぁ~…そんな都合よく理由になりそうなネタは…

 

「ん?」

 

 諦めようとした時、私はかんちゃんの持ってきたデータの一つに目が止まった

 それは拡張領域(バススロット)を使った新しい戦術だった

 【ブルー・ティアーズ】や【ハルファス・ベーゼ】の様な遠隔操作武器から拡張領域(バススロット)に格納した武器を取り出して使用する…

 普通ならそんな事をしてもあまり役に立たない…ビットから剣を出してもビットは剣を持てない…銃を出してもビットは基本射撃武器だからこっちも意味が無い…

 それでも例外はある…例えばかんちゃんの【打鉄弐式】に装備されている【山嵐】だ…

 本体から離れたビットからあの大型ポッドを出せば攻撃範囲が一気に広がるし、意表を突ける…

 多分かんちゃんはそこからコレを考えたんだろう…

 

「どうかしました?」

 

「うん、この拡張領域(バススロット)のデータ、面白いと思ってね。」

 

「これですか?思い付きで考えたんですけど私には無理な方法なんですよね…」

 

「何で?」

 

「私はセシリアと違って『BT適正』がありませんから…」

 

「あ!?」

 

 そうだった…アレってISの適正とは違う適性が必要だった…

 でもな~…このビットと拡張領域(バススロット)の組み合わせって凄く面白そうなんだよな~…

 何て言うか…新しいアイディアが生まれそうで…

 

 生まれ…

 

 生まれ…

 

 ハッ!?

 

「生まれたああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「ひゃっ!?」

 

 天啓が下りて来た!!!

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「良い事思い付いた!!!」

 

「え?」

 

 私は思い付いたアイディアを早速かんちゃんに説明した

 すると…

 

「確かに…それは凄くいいアイディアです!!実現できれば同時に複数の救援を行う事も出来ます!!!」

 

「そうそう!!」

 

 束さんの説明を聞いてかんちゃんはすぐに理解してくれた

 それにこの方法は他にも応用が利くかもしれない

 こりゃ早速作ってみるべきだね!!

 

「ですが…そうなると()()()()()()()が必要ですね…」

 

「あ!?」

 

 そうだった!?

 このシステムは『BT適正』は必要不可欠だった!?

 でも特定の人間しか使えないってのもな~…よしっ!!

 

「それなら()()()()()()()使()()()()にしよう!!!」

 

「え?」

 

 適性が無くても訓練次第で使えるプログラムを組めばいい!!

 それにセーちゃんだって初めからBTシステムを使いこなせた訳じゃないもんね!!

 

「そんな事できるんですか?アレってかなり特殊なシステムですよ?」

 

「だから挑戦するんでしょ!!それにこれが完成すれば束さんの夢にまた一歩近づくんだよ!!」

 

「束さん…そうですね!!私も協力します!!!」

 

「モチのロンだよ!!て言うかこのアイディアはかんちゃんが考えたんだからしっかり手伝って貰うよ!!!」

 

「ア、アハハハ…そうでした…」

 

「てな訳で理論が出来たらかんちゃんにテストして貰うからね?」

 

「…え?…それってつまり…」

 

「【打鉄弐式】…第5世代に改造させて貰うよ!!!」

 

「な、何言ってるんですか!?さっき第5世代を手にする理由は無いって…」

 

 確かにそうだけどね~…

 

「それはさっきまでの話でしょ?でも今は違うよね?新型システムのテスターになって欲しいんだよ。」

 

「そ、それならBT適正の高いセシリアに…」

 

 かなりテンパってるね…

 そもそもの理由を忘れちゃってる…

 

「適性の無い人が使える様にするんだから元々適性のあるセーちゃんじゃ意味無いでしょ?それにこれの発案はかんちゃんなんだからかんちゃんがやるべきなんだよ!!!」

 

「うっ…」

 

 フフフ…ぐうの音も出なくなったね!!

 コレでかんちゃんの第5世代を用意する大義名分が出来上がったよ!!!

 

 ハァ~ッハッハッハッ!!!

 

 ハッ!?

 

「そうだ!!!」

 

 更にいい事思い付いた!!

 

「こ、今度は何ですか!?」

 

「かんちゃんの新型を造る前にプロトタイプを造ろう!!」

 

「プロトタイプ?…試作機ですか?それなら別に私のISでも…」

 

「違う違う!そう言う意味の試作機じゃ無くて別のISを実験用の使い捨てに使おうって話。」

 

 フフフ…丁度いい物があったんだ~♪

 

「使い捨てするようなIS何てありましたっけ?」

 

「あるよ~♪ア・レ・♪」

 

 私がそう言って指差したのは…

 

「アレって…【紅椿】!?」

 

「その通り!!アレなら丁度いいでしょ?」

 

「いいんですか?アレって妹さんの…」

 

「いいのいいの♪突き返されて処分に困ってたから丁度いいんだよ♪」

 

「ハ、ハァ…(本当にいいのかな?)」

 

「じゃあ早速始めるよ!!!」

 

「あっ!ハイ!!!」

 

 コレで【紅椿】の処理出来たし一石二鳥だよ!!

 でも…

 

 ………

 ……

 …

 

 その翌日、皆で朝食を取りながらテレビを見ていると…

 

TV

『本日、ヨーロッパ各国の合同で行われていた【イグニッションプラン】が何者かに襲撃されると言う事件が発生しました。怪我人、死傷者の数は現在は不明ですがイギリスで開発された最新鋭機【サイレント・ゼフィルス】が奪われたとの事です。』

 

全員

「何ぃっ!?」

 

 イギリスのISが盗まれた!?

 

 セーちゃん!?

 

 ~束 Side out~

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。