IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第127話:不死鳥の力

 

 ~セシリア Side~

 

教官

「久しぶりねオルコット!」

 

セシリア

「ハイ♪教官もお元気そうで安心しましたわ♪」

 

 わたくしが連れて来られたのは政府棟の方ではなく何故かわたくしが代表候補生になる為に訓練に明け暮れた演習場でした

 てっきり政府棟の方に行くと思っていたのですが…そこにはわたくしがお世話になった教官や、他の教員達、そしてスーツ姿の役人らしき方が何人かいました

 それはさておき、わたくしが教官と挨拶を済ませると…

 

役人

「よろしいですかな?」

 

セシリア

「あ、ハイ!」

 

 役人の一人が話しかけてきました

 

役人

「早速で申し訳ないのですが篠ノ之博士から預かった物を見せて貰ってもよろしいですかな?」

 

セシリア

「ハイ…コレです。」

 

 わたくしは束さんから預かったコアを取り出し皆さんに見せました

 

役人

「コレは確かにISコア…半信半疑でしたが本当に用意してくれたのか…」

 

 …疑ってたんですね…

 

役人

「オルコット嬢…このコアは本当に我がイギリスが所有してもいいんですね?」

 

セシリア

「ハイ、それが条件ですから…その代わり、そちらも束さんの出した条件を守って下さるんですよね?」

 

役人

「無論です!!既にその為の書類は君に送ってあります!!あの書類の通り君のISはコアを含めて未来永劫セシリア・オルコット個人の物となっています!!もし、これを破れば政府の方で厳重に処罰する事が決定しています!!!それに私達は篠ノ之博士を敵に回す事を望んではいません!!!」

 

 フム…どうやら大丈夫みたいですわね…

 束さんを敵に回せばラウラさんのISに【VTシステム】を積んでいた事を暴露されたドイツの様にどんな秘密をばらされるか分かったものではありませんからね

 そのせいでドイツは各国から非難を浴びて研究所を自分達で潰して関係者を一人残らず捕まえる事でなんとか治めたそうです…アレもあって余計な事を考える輩はそう簡単には現れないでしょう…

 それにこう言っては何ですが束さんの出した3つの条件…実はイギリスにはこれと言ったデメリットが無いんですよね…

 【ハルファス】その物とコアはわたくし個人の物になってはいますがわたくし自身はイギリスの人間ですから普通に大会などに【ハルファス】を使って出ても問題は無いんです…

 しいて言うなら…今度行われる【イグニッションプラン】に【ハルファス】をイギリスのISとして出せないくらいでしょうが…それは些細な事ですわね…

 それに聞いた話では【ブルー・ティアーズ】の後継機が完成しているそうですからそちらを出せば済む話ですもの…

 という訳で問題も無い様ですし…

 

セシリア

「それではこれをどうぞ。」

 

 わたくしはコアを差し出すと役人の方がシッカリと受け取りました

 

役人

「確かに!!感謝します!!!」

 

 受け取ると役人の方が他の方達と一緒に一誠に頭を下げてきました

 少し驚きましたわ

 

役人

「それで…」

 

セシリア

「ハイ?」

 

 顔を上げると皆さん何か言いたそうな表情をしていました

 一体どうしたんでしょうか?

 わたくしが首を傾げていると…

 

教官

「オルコット…皆さんお前の『新型』が見たいんだ。」

 

セシリア

「【ハルファス】を?」

 

 教官が答えてくれました

 

教官

「【ハルファス】と言うのか…確か『悪魔』の名前にあったな…後は『鳥』の名前だったか?」

 

セシリア

「どちらも当て嵌まりますわ。正式名称は【ハルファス・ベーゼ】と言います。わたくしは縮めて【ハルファス】と呼んでいます。後、束さんから【蒼炎の不死鳥】の二つ名を頂いております。」

 

教官

「【蒼炎の不死鳥…ハルファス・ベーゼ】か…それを見せてくれないか?」

 

 …何故【ハルファス】を見るだけでこんなに畏まっているのでしょうか?…ってそう言えば束さんの条件の一つに【ハルファス】に手を出さないようにとありましたわね

 ですからこんなに言いづらそうな顔をされてましたのね…束さんとの約束を破るかもしれないから…ですが…

 

セシリア

「そのくらいでしたらいいですよ?」

 

全員

「本当か!?」

 

 見せたくらいで減る様なものでもありませんもの…

 

セシリア

「ハイ、ですが束さんとの約束通り【ハルファス】は渡せませんし、解析も出来ません。よろしいでしょうか?」

 

役人

「もちろんです!!!では早速お願いします!!!」

 

セシリア

「ハイ…」

 

 あ!だからここに来たんですね…【ハルファス】を出してもいい様にする為だったんですね

 

セシリア

「それでは…」

 

教官

「ん?オルコット…ISスーツに着替えないのか?」

 

 教官は慌ててますが…そう言えばわたくしは私服ですし下にISスーツを着ていませんからね…この服なら上からでも着ているかどうか分かりますから

 ですが…

 

セシリア

「必要ありません。このISはスーツは手足のみで稼働させる事が出来ます。」

 

教官

「て、手足だけでいいだと!?」

 

 もうあのスーツに着替える必要は無いんです…

 さて…

 

セシリア

「お出でなさい!!【ハルファス・ベーゼ】!!!」

 

 カッ!!

 

 わたくしは【ハルファス】を展開しました

 

全員

「!?」

 

 【ハルファス】の姿に皆さん言葉を失っていました

 

教官

「…コレが…噂の第5世代…【蒼炎の不死鳥ハルファス・ベーゼ】!?」

 

 ザワザワ…

 

 …段々と騒がしくなってきましたわね…

 

役人

「オルコット嬢…その…よければ模擬戦をお願いできませんか?」

 

 すると次の要求が来ました

 まあ、模擬戦くらいなら…

 

セシリア

「構いませんが…相手はどなたですか?」

 

 わたくしが対戦相手を聞くと…

 

教官

「私が相手だ!!!」

 

 教官が名乗りを上げました…

 確か教官は国家代表でこそありませんがイギリスの代表と最後まで争った人…ですから今はこうして教官職についているのですが…その教官が相手ですか…

 

セシリア

「分かりました!それではよろしくお願いします!!」

 

教官

「ウム!!」

 

 わたくしは一端ISを解除すると訓練用のアリーナに移動しました…

 

 ………

 ……

 …

 

 それで教官の準備が終わったそうなのでアリーナに出たのですが…

 

セシリア

「え~っと…コレはどう言う事でしょうか?」

 

 私の目の前には【ラファール】を纏った教官がいます

 それはいいのです…

 ですが…

 

教官

「相手は第5世代が!!()()()では勝負にならんだろ?」

 

 そう、わたくしの前には教官以外にもISを纏った人達がいました…

 全員で10人はいます…

 コレはつまり…

 

セシリア

「だからと言って1対10はやり過ぎな気が…」

 

 この人数を1人で相手にしろという事ですわよね…

 

教官

「今のお前なら大丈夫だ!!!」

 

 何を言っても無駄ですわね…

 

セシリア

「ハァ~…分かりました…」

 

 仕方なくわたくしは【ハルファス】を展開しました

 そして…

 

セシリア

「セシリア・オルコット!!【ハルファス・ベーゼ】!!参ります!!!」

 

 【ハルファス】と共に飛び立ちました…

 

 ………

 ……

 …

 

アナウンス

『し、試合終了…勝者…セシリア・オルコット…』

 

 10人相手に勝ってしまいました

 それどころか…

 

教官

「クッ…まさか1発も掠らせる事も出来んとは…」

 

 教官の言う通りわたくしは1撃も貰わずに勝ってしまったのです

 まさかここまで圧勝するなんて…自分でも驚いてます…

 そして改めて第5世代としての【ハルファス・ベーゼ】の力を思い知りました…

 

 ………

 ……

 …

 

 その後、【ハルファス】の力を目の当たりにした他の方達も驚きのあまり固まっていましたが今は正気に戻っています

 ですが…ISの研究者の方達の目が少し怖かったのですがまあ大丈夫でしょう

 【ハルファス】に手を出せば束さんを敵に回す事になりますし政府の目もありますからね…

 わたくしはそう結論付けると用件も全て終わりましたから挨拶をして帰りました…

 

 ~セシリア Side out~

 


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