IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第139話:騒動後の大混乱

 

 ~ラウラ Side~

 

クラリッサ

「隊長!?」

 

ラウラ

「ん?」

 

 姉上が帰って暫くするとクラリッサ達【黒兎隊】が帰投した

 

ラウラ

「戻ったか…鳥は撃退したそうだな?」

 

クラリッサ

「あ、はい…それは倒せたんですが…その、妙な相手でして…」

 

 それからクラリッサは戦いの顛末を説明してくれた

 【裂空丸】の分身には手こずったそうだが全員で連携して倒す事には成功したそうだが、何故か墜落せずに霧散してしまったらしい

 そう言えば分身体はエネルギーを固定して作り出したものだそうだから倒されればそうなるか…

 

クラリッサ

「それで隊長?何故隊長はこんな所にいるんですか?」

 

ラウラ

「え?」

 

クラリッサ

「隊長はISの整備の為に残ったんですよね?それが何故アリーナにいるんですか?」

 

 あ…そうだった…

 何も知らないクラリッサ達からすれば私がココにいるのは不自然だった

 

クラリッサ

「それに【レーゲン】を出しっぱなしにしてますけど…見た所整備が済んでいるようには見えませんが?」

 

 う~む…クラリッサ達からの疑いの目が更に強くなってきたな…

 まあ、初めから隠しておける事でも無いし先に話してしまうか…

 

ラウラ

「クラリッサ…以前私の姉が見つかった事を話したのを覚えているか?」

 

クラリッサ

「…え?…はい…覚えてます…私達が生まれるより前に軍が廃棄処分したと言う方の事ですよね?腹の立つ話です!!!」

 

 クラリッサのその言葉に他の隊員達も頷いていた

 そうだよな…もしかしたら自分達もそうなっていたかもしれないんだからな…そう思うと他人事には感じられないよな…

 

ラウラ

「実はな…その姉上が今さっきまでココにいたんだ。」

 

黒兎隊

「………はい?」

 

ラウラ

「それとお前達が迎撃したあの鳥も私1人がこの基地に残る為に姉上が仕向けた物だ。」

 

黒兎隊

「………は?」

 

 私から聞かされた話に全員の目が点になっていた

 恐らく私が何を言ってるのか理解が追いつかないんだろうな

 

クラリッサ

「ちょ、ちょっと待って下さい!?隊長の話が本当なのだとしたら何故その人はそんな事をしたんですか!?隊長に会いに来るだけなら何故私達を遠ざけたんですか!?」

 

ラウラ

「理由は二つある…一つは姉上はこの国を心底嫌っている…だから私以外の人間には会いたくなかったそうだ…例え相手が同じ生まれをしたお前達でもだ…」

 

黒兎隊

「………」

 

 姉上の身の上を知ればクラリッサ達も何も言えない…篠ノ之博士が拾わなければ姉上も他の姉妹同様死んでいたんだから…

 

ラウラ

「もう一つの理由だが………コイツを私に渡す為だ!!!」

 

黒兎隊

「え?」

 

 カッ!!

 

黒兎隊

「!?」

 

 私は姉上から託された第5世代…【ファントム・グルゼオン】を展開した 

 

クラリッサ

「コ、コレは…まさか!?」

 

ラウラ

「コイツの名は【ファントム・グルゼオン】…姉上が私用に開発した『第5世代』だ!!」

 

黒兎隊

「第5世代!?」

 

ラウラ

「【イグニッションプラン】での顛末を知って私を心配した姉上が届けてくれたんだ。コイツを渡す為の時間を稼ぐ意味もあって囮を仕向けたんだ。」

 

黒兎隊

「………」

 

 姉上が来た事以上に驚いてるな…

 まあ、仕方ないか…現状では第5世代は2体しか確認されていないんだ…

 それも国家が所有しているのはイギリスの【ハルファス・ベーゼ】の1体だけ…

 その第5世代が自分達の目の前に現れたんだからな…

 さて、この機体の事を司令達にどう説明するかな…やはり正直に話すしかないか…

 

 ………

 ……

 …

 

司令官

「ではこれよりボーデヴィッヒと【黒兎隊】の模擬戦を始める!!」

 

ラウラ

「………」

 

 どうしてこうなった…

 いや、こうなるかもとは思ってはいたんだが…

 えっと確か…あの後指令室に戻って…鳥の正体が姉上のISだった事と姉上から託された第5世代の事を話したんだよな…

 私の話が終わると司令はすぐに政府や軍上層部にこの事を報告すると上の連中が飛んできたんだよな…

 それで詰め寄られたから姉上に言われた事を全部話したんだが…姉上の言った通り【ファントム・グルゼオン】の解析は出来なかったんだよな…オマケにばらそうとしたらすぐに修復されるんだからな…まさか姉上の言った通りの行動を取るとは思わなかったが技術者連中は相当悔しがってたな…

 念の為、姉上から忠告された【ファントム・グルゼオン】を使っての国際外交は止めておくように話しておいたが、それを聞いた途端役人連中が苦い顔をしてたな…多分やる気だったんだろうな…

 それで解析も分解も外交も出来ないと知ってせめて性能を知りたいと言って来たんだが、コアが馴染むまで動かせないと説明したら………次の日にこうなった訳だ…

 うん…こうなるのは当然だな…

 ハァ…

 

クラリッサ

「隊長!!手加減は無用です!!!」

 

ラウラ

「私を誰だと思っている!!お前達【黒兎隊】の隊長だ!!!」

 

 バサッ!!

 

 そう言って私は【ファントム・グルゼオン】の翼を広げた

 その姿を見て…

 

クラリッサ

「………死神…」

 

 クラリッサはそう呟いた

 確かにこの機体…外見が死神みたいに見えるからな…おまけに獲物も【ヘルサイス】と言う大鎌だしな

 

ラウラ

「さあ…行くぞ!!!」

 

 私は【ヘルサイス】を構え、クラリッサ達に向かって行った…

 

 ~ Side out~

 


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