IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第148話:武器封じ!六天連鎖(ラッシュ)!!【打鉄天魔VS白式・雪羅】

 

 ~三人称 Side~

 

 完成した簪の【打鉄天魔】の実戦テストの為。一夏を相手に模擬戦をする事になった一同は研究室を出て島の海岸に来ていた

 

「2人とも準備はOK?」

 

一夏

「オウ!!!」

 

「ハイ!!!」

 

 2人はISを展開すると一夏は【雪片】を構え、簪は背中にある巨大な曲刀を抜いた

 そして…

 

「それじゃあ…始め!!!」

 

 ガキィィィィィンッ!!!

 

 束の合図と共に二人は飛び出し互いの剣がぶつかり合った

 だが…

 

一夏

「グッ…クゥッ…」

 

「………」

 

 鍔迫り合いをする二人だが開始早々一夏は冷や汗を流していた

 

一夏

(クソッ!!分かっちゃいたがとんでもないパワーだ!?進化した【白式】の力を軽く超えてやがる!?)

 

 剣を合わせた瞬間、一夏は自分との力量差を痛感していた

 現に一夏は今も全力で押しているが簪の方は全身装甲の為、表情は分からないがまだまだ余裕のある雰囲気だった

 

「ハァッ!!」

 

 ガキィンッ!!

 

一夏

「クッ!?」

 

 簪が力を入れて剣を弾くと一夏は後方に弾き飛ばされた

 

一夏

「なら!!」

 

 ドン!ドン!ドン!

 

 距離が開いた事で一夏は左腕の【雪羅】で荷電粒子砲を撃って来た

 だが…

 

「………」

 

 簪は曲刀を手放すと2本の曲刀はビットのように独立して動き出し簪の目の前で円の形になるように並んだ

 

 バシィンッ!!

 

一夏

「何っ!?」

 

 一夏の撃った砲撃は2本の曲刀の前で弾き飛ばされた

 この曲刀は円の形に並ぶ事によって前面にシールドを張っていたのだ

 一夏の攻撃はこのシールドで防がれてしまった

 更に…

 

「ハァッ!!」

 

 曲刀の円の中心に向かって簪は拳を突き出した

 すると…

 

 ドギュゥゥゥゥゥンッ!!!

 

 中心から巨大なビームが放たれた

 

一夏

「!?…【雪羅】!!シールドモード!!」

 

 一夏も【雪羅】のシールドで防ごうとしたが…

 

 バリィンッ!!

 

一夏

「何っ!?」

 

 バゴォォォォォォォォンッ!!!

 

一夏

「グアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 簪の砲撃は【雪羅】では防ぐ事が出来ずシールドを貫通して一夏は直撃を喰らって再び吹っ飛ばされた

 

一夏

「グッ…何て威力だ…だったら!!」

 

 体勢を立て直した一夏は【大倶梨伽羅(おおくりから)】を取り出し、【雪片】と二刀流で構えると…

 

一夏

「一気に勝負を決める!!!」

 

 【零落白夜】を発動させ瞬時加速(イグニッション・ブースト)で急接近した

 だが…

 

 ガキィィィィィンッ!!!

 

 簪は曲刀を手に取ると一夏の剣を受け止めた

 

「…使ったね?」

 

一夏

「…え?」

 

 簪の呟きに一夏は反応した

 しかし…

 

「ハッ!!」

 

 キィンッ!!

 

 簪は何事もなかったかのように一夏を再び弾き飛ばした

 

一夏

「チィッ!?…ん?」

 

 弾き飛ばされた一夏が簪を見ると…

 

一夏

「何だ?剣を…仕舞った?」

 

 簪は2本の曲刀を何故か背中に戻していた

 その行動の理由が分からず訝しげに見ていた一夏だったが…

 

「…単一仕様(ワンオフ・アビリティー)…起動!!!」

 

一夏

単一仕様(ワンオフ・アビリティー)だと!?そうか…第5世代は始めから使えるんだった!?」

 

 簪の言葉に目を見開いた

 まさか簪まで単一仕様(ワンオフ・アビリティー)を使えるとは思ってもみなかったのだが、束の開発した第5世代は元から初期段階で単一仕様(ワンオフ・アビリティー)を使えるという事を一夏は思い出した

 現に本音の【ワイバーン・ガイア】とセシリアの【ハルファス・ベーゼ】も使えるのだから簪の【打鉄天魔】が使えない道理は無かった

 

「【六天連鎖(ラッシュ)】…発動!!!」

 

 ジャララララララララッ!!!

 

 【天魔】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)が発動すると同時に背中の曲刀から光の鎖が何本も飛び出し、一夏に向かって行った

 

一夏

「何だよこりゃ!?」

 

 一夏は向かって来る鎖を避けるがどれだけ避けても鎖は一夏を追いかけて行った

 そして…

 

 ジャリン!!

 

一夏

「しまった!?」

 

 3本の鎖が【雪片】【大倶梨伽羅(おおくりから)】【雪羅】にそれぞれ絡みついた

 だが…

 

一夏

「………あれ?」

 

 鎖は巻き付くとそのまま消えてしまった

 

一夏

「消えた?何なんだアレ?」

 

 何も起こらず消えてしまった鎖に一夏は首を傾げた

 

一夏

「まあいいや!もう一度行くぞ!!【零落白夜】発動!!!」

 

 気を取り直すと一夏は再び【零落白夜】を発動させた

 しかし…

 

 ・・・・・・・

 

一夏

「………あれ?」

 

 何故か【零落白夜】が発動しなかった

 

一夏

「………コホン!…【零落白夜】発動!!!」

 

 咳払いして改めて【零落白夜】を発動させる一夏…

 だが…

 

 ・・・・・・・

 

 【零落白夜】は発動せず【雪片】も何も反応しなかった

 

一夏

「どうなってんだ!?仕方ない!!使えないならこのまま…」

 

 何故か使えなくなってしまった【零落白夜】を使うのを諦め【雪片】と【大倶梨伽羅(おおくりから)】で斬りかかろうとした

 その時…

 

 ビィィィッ!ビィィィッ!ビィィィッ!

 

一夏

「え!?な、何だ!?」

 

 突然ISから警告音が鳴り響いた

 それと同時に一夏の目の前にウインドウが表示された

 それを見て…

 

一夏

「…『使用…不能』…だと!?」

 

 【雪片】と【大倶梨伽羅(おおくりから)】が使えないと言うものだった

 一夏が手にする2本の刀はその表示が出ると同時に量子変換され消えてしまった

 

一夏

「何でいきなり…まさか…【雪羅】も!?」

 

 消えてしまった2本の刀を見て一夏は嫌な予感がすると自分の左腕を見た

 すると再びウインドウが現れそこには…

 

一夏

「…『使用不能』…」

 

 【雪羅】までも使用が出来なくなっていた

 

一夏

「簪!!お前何しやがった!!!」

 

 自分の武装が全て使用出来なくなった一夏はこの一連の出来事が簪の放った光の鎖が原因だと察し問い詰めた

 

「…コレが【天魔】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)…【六天連鎖(ラッシュ)】の力!!!」

 

一夏

「【六天…連鎖(ラッシュ)】?」

 

「【六天連鎖(ラッシュ)】は【天魔】のSEと引き換えに相手が一度でも使用した装備や能力を一時的に『封印』する事が出来る。」

 

一夏

「封印だと!?」

 

 【打鉄天魔】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)…【六天連鎖(ラッシュ)

 その恐るべき力に一夏は戦慄した

 つまり簪を相手にする場合、どんな武器も能力も1回しか使えない事を意味していた

 1度使えば【六天連鎖(ラッシュ)】によって封印され最後には今の一夏の様に丸腰にされてしまうからだ

 

一夏

「…ハ…ハハ…コレが4体目の第5世代かよ…シャレになんねえや…」

 

 丸腰になった一夏はもはや笑うしかなかった

 

「私もそう思うよ…じゃあ、これで終わりにする。」

 

 ジャキン!!!

 

一夏

「!?」

 

 一夏の言葉に賛同すると【天魔】の背後に6枚の浮遊ユニットが羽根を広げたように展開された

 

「…行け…」

 

 簪の合図と同時に6枚の羽根は一夏に向かって飛んで行った

 それを見て…

 

一夏

「コイツは…オルコットのビットと同じ【BT兵器】か!?でもアレを使うのには特別な適性が必要な筈じゃ…」

 

 セシリアの姿が浮かんだ

 一夏の言う通り【BT兵器】はセシリアのような『BT適正』と呼ばれる特別な適性が高くなければ扱う事が出来ない特殊な装備であった

 そんな極端に使い手を選ぶものを簪が使った事に驚いているが元々【打鉄天魔】は『BT適性の無い人間でもビットが扱える』事をコンセプトにして開発された機体であった

 その為、セシリアほどの操作性はまだ出来ないが簪でも【BT兵器】を扱う事が出来る様になっていた

 

一夏

「!?」

 

 驚いている間に【天魔】の羽根は一夏を取り囲んでいた

 武装が封じられ何も出来ない一夏は…

 

「攻撃!!」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!

 

一夏

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!

 

 展開された羽根からの一斉砲火を受けて吹っ飛ばされた…

 

 ~三人称 Side out~

 


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