IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第024話:約束

 ~セシリア Side~

 

 わたくしは今、永遠さんと先ほどの試合の事を話し合っています

 試合前の約束ですから…ですが

 

永遠

「セシリア、お主から見てワシの戦い方はどう見えたかの?」

 

セシリア

「…はい…正直に申せば…言う事がありません…」

 

永遠

「へ?」

 

セシリア

「永遠さんの実力はわたくしよりも遥かに上です…むしろわたくしの方が勉強になりました。」

 

永遠

「何が?」

 

セシリア

「武器を切り替える際の判断の速さ、そして、更識会長の使った爆発にも瞬時に対応されていました。…今のわたくしでは永遠さんと戦っても勝てる見込みはありません…」

 

永遠

「勝てんか…なら、お主はどうする?」

 

セシリア

「え?」

 

永遠

「勝てぬ相手だからといって初めから諦めるか?それとも、たとえ勝てずとも意地を見せて食らいつくか?」

 

 そんな事…決まってます!

 

セシリア

「永遠さん………わたくしは…戦いもせずに負けを認めたくありませんわ!父と母はわたくしを守る為にずっと戦ってきました!そんな二人に守られてきたわたくしが、自分より強いからと言って逃げる訳には参りません!もし逃げたら父と母に顔向けができません!」

 

永遠

「そうか…ならココに入ったら勝負してみんか?正々堂々と互いに全力を出し合ってな…」

 

セシリア

「はいっ!その時はわたくしの全身全霊をかけてお相手させていただきます!」

 

永遠

「それは、楽しみじゃのぉ♪…ココに入る楽しみが一つ増えたわい。」

 

セシリア

「フフッ♪それはわたくしもですわ♪」

 

 わたくしも今からすごく楽しみですわ♪

 

永遠

「ではセシリア、次に会うのは入学の時じゃ。それまでワシも腕を磨いておくぞい!」

 

セシリア

「あら…それは困りますわね…さらに差がついてしまいますわ!」

 

永遠

「カカカッ♪そんなに困った顔しとらんぞ?」

 

セシリア

「フフッ♪そうですわね…わたくしは帰国したらすぐに訓練に入りますわ!少しでも永遠さんに追いつくために、今まで以上に自分を鍛え上げますわ!」

 

永遠

「そうか、頑張るんじゃぞ!じゃが、無理をしすぎて体を壊さんようにな。適度に休む事も大事じゃぞ。」

 

セシリア

「はい♪ご忠告ありがとうございます♪」

 

永遠

「約束じゃぞ!」

 

セシリア

「約束ですわ♪」

 

 次にお会いした時、永遠さんとの約束を破らない為にも頑張りますわ!

 

 ~セシリア Side out~

 

 

 

 ~千冬 Side~

 

千冬

「ハァ~~~~~…」

 

「どしたのちーちゃん?そんな深い溜め息ついて?」

 

千冬

「ん?…いや、なんでも無い…」

 

「なんでも無い訳ないでしょ。悩み事でもあるの?」

 

 こいつ…分かって言ってるのか?

 

千冬

「………お前が羨ましくてな…」

 

「何が?」

 

千冬

「私たちは、火ノ兄に説教をされる事でかつての自分達の過ちを再認識した…」

 

「…うん…」

 

千冬

「そして、お前はその贖罪の方法を見つけた。…それは同時にお前の夢を目指す行為だ。…しかも、今度は間違わずに正しい道をお前は歩いている。」

 

「…そうだね…」

 

千冬

「…私には…それが羨ましくてな…火ノ兄に言われて改めて気づかされた。…いくらお前の口車に乗せられたからと言っても、あの事件はお前と私の二人で起こしたものだ。…今の女尊男卑なんて世界を作った原因は私達だ。…全ての始まりは私なんだ!!」

 

 …今も男と言う理由だけで傷ついている人達が大勢いる…

 …その人たちが傷つくそもそもの元凶は…私なんだ!

 

「ちーちゃん…」

 

千冬

「…何が…何がブリュンヒルデだ!?…何が世界最強だ!?…私はそんなに褒められる様な人間じゃない!世界中の人達を不幸にした犯罪者だ!テロリストだ!そんな私が何故のうのうと生きているんだ!」

 

「…じゃあどうするの?ちーちゃんはどうしたいの?」

 

千冬

「それが分からないんだ!?…自分でも何をすれば良いのか分からないんだ………火ノ兄の言ったように…お前に責任を押し付ける事も考えた…無関係を決め込む事も考えた………だが…出来ないんだ…それを選ぶ事が…出来ないんだ…」

 

 いつの間にか私は涙を流していた

 

千冬

「…だから…すべき事を見つけたお前が…私は羨ましいんだ!」

 

「………ちーちゃん…それは私も通った道だよ…とーくんに言われて…一年近く一人で考えた…悩んで、苦しんで、考えた末の答えが今の私なんだよ…だから私は何も言えない…何も言わない…これはちーちゃんが自分自身で考えないといけない事だから…」

 

千冬

「束…」

 

「…でもね…一つだけ約束するよ!」

 

千冬

「え!?」

 

「…私はちーちゃんがどんな答えを出そうと…それを受け入れるよ!」

 

千冬

「…本当か?」

 

「本当だよ♪この約束だけは絶対に破らないよ♪ただし!」

 

千冬

「な、何だ!」

 

「死ぬって言うのだけは絶対に許さないからね!」

 

千冬

「な!ば、馬鹿か貴様は!いくらなんでも死ぬなんて方法、選ぶわけ無いだろうが!」

 

「本当に~?」

 

千冬

「本当だ!?いくら私でも死んで楽になりたいとは思わん!」

 

「どうかな~?」

 

千冬

「束…貴様…いい加減にしろよ!」

 

 こいつは…そんなに私を怒らせたいのか!?

 

「…プッ…アハハハハハハハッ…」

 

千冬

「な、何を笑う!?」

 

「あ~ごめんごめん…いや~やっと怒ったと思ってね~。」

 

千冬

「は?」

 

「とーくんに説教された時のマネだよ。」

 

千冬

「マネ?」

 

「そ♪まあ束さんの時は笑わせたんだけどね~…一年前、とーくんに叱られた時、私も今のちーちゃんみたいに泣いて凹んじゃったんだ…でも、とーくんがその後すぐに笑わせる方に話を持っていったんだよ♪」

 

千冬

「火ノ兄は何でそんな事を…?」

 

「とーくんはね、徹底的に凹ませる事で自分のやった事を見つめ直させるんだよ!それを分からせると、怒らせるなり、笑わせるなりして元の状態に戻すんだよ。」

 

千冬

「無茶苦茶だな…」

 

「ま~ね~…でも、そのお陰で前向きに考えられる様になったんだよ!」

 

千冬

「そんな馬鹿な…」

 

「じゃあ今のちーちゃんはどうなのさ?さっきまであれだけ凹んでたけど今はどうなの?」

 

千冬

「何?…あれ?そういえば…」

 

「つまりそういう事だよ。…無理矢理戻す事で悪い考えを出来なくしてるんだよ。」

 

千冬

「…確かに…今は意地でも死んでたまるかって気持ちだな。」

 

「なら、もう大丈夫だね♪でも、ちゃんと自分で考えてね!」

 

千冬

「分かってる!」

 

 束も答えを出したんだ!私も見つけ出してみせる!

 

 ~千冬 Side out~

 

 




 次回『第025話:入学準備』


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