~セシリア Side~
わたくしは今、永遠さんと先ほどの試合の事を話し合っています
試合前の約束ですから…ですが
永遠
「セシリア、お主から見てワシの戦い方はどう見えたかの?」
セシリア
「…はい…正直に申せば…言う事がありません…」
永遠
「へ?」
セシリア
「永遠さんの実力はわたくしよりも遥かに上です…むしろわたくしの方が勉強になりました。」
永遠
「何が?」
セシリア
「武器を切り替える際の判断の速さ、そして、更識会長の使った爆発にも瞬時に対応されていました。…今のわたくしでは永遠さんと戦っても勝てる見込みはありません…」
永遠
「勝てんか…なら、お主はどうする?」
セシリア
「え?」
永遠
「勝てぬ相手だからといって初めから諦めるか?それとも、たとえ勝てずとも意地を見せて食らいつくか?」
そんな事…決まってます!
セシリア
「永遠さん………わたくしは…戦いもせずに負けを認めたくありませんわ!父と母はわたくしを守る為にずっと戦ってきました!そんな二人に守られてきたわたくしが、自分より強いからと言って逃げる訳には参りません!もし逃げたら父と母に顔向けができません!」
永遠
「そうか…ならココに入ったら勝負してみんか?正々堂々と互いに全力を出し合ってな…」
セシリア
「はいっ!その時はわたくしの全身全霊をかけてお相手させていただきます!」
永遠
「それは、楽しみじゃのぉ♪…ココに入る楽しみが一つ増えたわい。」
セシリア
「フフッ♪それはわたくしもですわ♪」
わたくしも今からすごく楽しみですわ♪
永遠
「ではセシリア、次に会うのは入学の時じゃ。それまでワシも腕を磨いておくぞい!」
セシリア
「あら…それは困りますわね…さらに差がついてしまいますわ!」
永遠
「カカカッ♪そんなに困った顔しとらんぞ?」
セシリア
「フフッ♪そうですわね…わたくしは帰国したらすぐに訓練に入りますわ!少しでも永遠さんに追いつくために、今まで以上に自分を鍛え上げますわ!」
永遠
「そうか、頑張るんじゃぞ!じゃが、無理をしすぎて体を壊さんようにな。適度に休む事も大事じゃぞ。」
セシリア
「はい♪ご忠告ありがとうございます♪」
永遠
「約束じゃぞ!」
セシリア
「約束ですわ♪」
次にお会いした時、永遠さんとの約束を破らない為にも頑張りますわ!
~セシリア Side out~
~千冬 Side~
千冬
「ハァ~~~~~…」
束
「どしたのちーちゃん?そんな深い溜め息ついて?」
千冬
「ん?…いや、なんでも無い…」
束
「なんでも無い訳ないでしょ。悩み事でもあるの?」
こいつ…分かって言ってるのか?
千冬
「………お前が羨ましくてな…」
束
「何が?」
千冬
「私たちは、火ノ兄に説教をされる事でかつての自分達の過ちを再認識した…」
束
「…うん…」
千冬
「そして、お前はその贖罪の方法を見つけた。…それは同時にお前の夢を目指す行為だ。…しかも、今度は間違わずに正しい道をお前は歩いている。」
束
「…そうだね…」
千冬
「…私には…それが羨ましくてな…火ノ兄に言われて改めて気づかされた。…いくらお前の口車に乗せられたからと言っても、あの事件はお前と私の二人で起こしたものだ。…今の女尊男卑なんて世界を作った原因は私達だ。…全ての始まりは私なんだ!!」
…今も男と言う理由だけで傷ついている人達が大勢いる…
…その人たちが傷つくそもそもの元凶は…私なんだ!
束
「ちーちゃん…」
千冬
「…何が…何がブリュンヒルデだ!?…何が世界最強だ!?…私はそんなに褒められる様な人間じゃない!世界中の人達を不幸にした犯罪者だ!テロリストだ!そんな私が何故のうのうと生きているんだ!」
束
「…じゃあどうするの?ちーちゃんはどうしたいの?」
千冬
「それが分からないんだ!?…自分でも何をすれば良いのか分からないんだ………火ノ兄の言ったように…お前に責任を押し付ける事も考えた…無関係を決め込む事も考えた………だが…出来ないんだ…それを選ぶ事が…出来ないんだ…」
いつの間にか私は涙を流していた
千冬
「…だから…すべき事を見つけたお前が…私は羨ましいんだ!」
束
「………ちーちゃん…それは私も通った道だよ…とーくんに言われて…一年近く一人で考えた…悩んで、苦しんで、考えた末の答えが今の私なんだよ…だから私は何も言えない…何も言わない…これはちーちゃんが自分自身で考えないといけない事だから…」
千冬
「束…」
束
「…でもね…一つだけ約束するよ!」
千冬
「え!?」
束
「…私はちーちゃんがどんな答えを出そうと…それを受け入れるよ!」
千冬
「…本当か?」
束
「本当だよ♪この約束だけは絶対に破らないよ♪ただし!」
千冬
「な、何だ!」
束
「死ぬって言うのだけは絶対に許さないからね!」
千冬
「な!ば、馬鹿か貴様は!いくらなんでも死ぬなんて方法、選ぶわけ無いだろうが!」
束
「本当に~?」
千冬
「本当だ!?いくら私でも死んで楽になりたいとは思わん!」
束
「どうかな~?」
千冬
「束…貴様…いい加減にしろよ!」
こいつは…そんなに私を怒らせたいのか!?
束
「…プッ…アハハハハハハハッ…」
千冬
「な、何を笑う!?」
束
「あ~ごめんごめん…いや~やっと怒ったと思ってね~。」
千冬
「は?」
束
「とーくんに説教された時のマネだよ。」
千冬
「マネ?」
束
「そ♪まあ束さんの時は笑わせたんだけどね~…一年前、とーくんに叱られた時、私も今のちーちゃんみたいに泣いて凹んじゃったんだ…でも、とーくんがその後すぐに笑わせる方に話を持っていったんだよ♪」
千冬
「火ノ兄は何でそんな事を…?」
束
「とーくんはね、徹底的に凹ませる事で自分のやった事を見つめ直させるんだよ!それを分からせると、怒らせるなり、笑わせるなりして元の状態に戻すんだよ。」
千冬
「無茶苦茶だな…」
束
「ま~ね~…でも、そのお陰で前向きに考えられる様になったんだよ!」
千冬
「そんな馬鹿な…」
束
「じゃあ今のちーちゃんはどうなのさ?さっきまであれだけ凹んでたけど今はどうなの?」
千冬
「何?…あれ?そういえば…」
束
「つまりそういう事だよ。…無理矢理戻す事で悪い考えを出来なくしてるんだよ。」
千冬
「…確かに…今は意地でも死んでたまるかって気持ちだな。」
束
「なら、もう大丈夫だね♪でも、ちゃんと自分で考えてね!」
千冬
「分かってる!」
束も答えを出したんだ!私も見つけ出してみせる!
~千冬 Side out~
次回『第025話:入学準備』