~一夏 Side~
俺は今、悔しさと後悔の気持ちで一杯だった…
火ノ兄は俺を情けないと、失望したと、そして、腰抜けと言った…
初めは、そんな風に言われて悔しかった!けど…俺はそう言われても否定できなかった…少し冷静になって考えるとその通りだったからだ…
俺はオルコットを女だからと見下してしまった…強いと分かると手の平を返してしまった…
そんな俺に火ノ兄は意地を見せる気持ちすら無いのかと言った…
何一つ言い返す言葉が出てこなかった…
俺は今になって後悔していた…何でオルコットにあんな事を言っちまったんだ…
そして今、火ノ兄とオルコットは…互いに睨み合っていた
永遠
「あの日の約束を果たそうと思うてな!」
セシリア
「フフッ♪それはわたくしも言おうと思いましたわ!」
約束?この二人、何を約束してたんだ!
永遠
「それは良かった!ならばワシも全身全霊をかけてお主と一戦交える事にしよう!」
セシリア
「わたくしもこの勝負を楽しみにしておりました。正々堂々とお互いの全力を出し尽くしましょう!」
この二人、試合をする約束をしていたのか!
千冬
「お前達、盛り上がるのも結構だが試合は一週間後だぞ!」
永遠
「一週間後か…クカカッ!今から待ち遠しいのぉ!」
セシリア
「本当ですわ!ですが、待つのもまた楽しいですわよ!」
永遠
「カカカッ!違いない!」
セシリア
「フフフッ♪そうでしょう♪」
バチバチ…
二人の間で火花が散ってる…
でも…なんだ!この胸を締め付ける感覚は!
一週間後の試合は俺も出るのに…
火ノ兄もオルコットもお互いの事しか見ていない…
二人の眼には…もう俺が映っていない…
俺自身の自業自得とはいえ…
この二人にとって俺は、すでに戦う価値すら無いってのかよ…
箒
「おい!その試合には一夏も出るんだぞ!貴様ら一夏の事を忘れるな!」
一夏
「ほ、箒!」
永遠
「そう言えばそうじゃったな。すっかり忘れておったな…」
セシリア
「永遠さんとの試合の事しか考えていませんでしたわ…」
一夏
「!?」
やっぱり…そうなのかよ…
箒
「貴様らあぁーっ!!」
千冬
「黙れ篠ノ之!試合に関係ない奴は黙っていろ!!」
箒
「グッ…」
セシリア
「そうですわ織斑さん。先程の土下座の件はもういいですわ。」
一夏
「え?」
セシリア
「あなたの土下座なんて見る価値ありませんもの。試合も勝ち負けにも興味が無くなりましたわ。」
興味が無くなっただと!
何だよそれ…
一夏
「………」
何なんだよ…
この悔しさは………
~一夏 Side out~
~千冬 Side~
千冬
「………」
一夏の奴、悔しさが顔に滲み出ているな
それも仕方がない、オルコットを女だからと見下し、自分より強いと分かると手の平を返す…そんな奴は情けない!腰抜け!と火ノ兄に言われたんだからな
まあ、私もその意見には同意できるからな…全く我が弟ながら情けない
しかも…火ノ兄には腰抜け呼ばわりされ、オルコットには興味が無いと言われた
そして今、火ノ兄とオルコットは一夏を全く見ていない
一夏もそれが分かっているからこそ、ああやって表情に出ているんだろう
その上、たった一週間で一夏がこの二人に特に火ノ兄に追いつける訳もない…となると…
後は一夏がどれだけ喰いついていけるかだな…
もしくは、喰いつく事すら出来ないのかもな…
まあその時はその時だ…キツイ説教をしてやるか…
千冬
「お前達、そのくらいにしておけ!」
永遠
「あいよ!」
セシリア
「はい♪」
一夏
「………」
千冬
「試合は一週間後だ!それまでに全員ベストコンディションにしておくように!」
永遠
「分かっとるぞい!」
セシリア
「当然ですわ!」
一夏
「………はい…」
千冬
「織斑…さっきまでの威勢はどうした?」
一夏
「………」
千冬
「…私は何も言わんぞ。お前の自業自得だからな。」
一夏
「!?………はい…」
火ノ兄とオルコットはともかく問題は一夏だが…このまま放っとくか
千冬
「山田先生、授業を始めましょう。」
真耶
「はい。」
とりあえず、授業をするか…
~千冬 Side out~
次回『第033話:布仏本音』