IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第036話:第1試合【ドットブラスライザーVS蒼い雫】

 ~簪 Side~

 

 …私は更識簪

 …一応日本の代表候補生をしている

 …でもある理由でまだ専用機は持っていない

 …今私は1組のクラス代表を決める試合を見に来ている

 …試合には二人しかいない男性操縦者も出ると言うからどの程度の物か少し気になった

 …そして、私は驚きと感動に体が震えていた!

 …何故なら、私の目の前に以前見かけたあの白いISが現れたからだ!

 

「…やっぱりカッコいい…【ドットブラスライザー】って言うんだ……」

 

 …今、試合をしている【ドットブラスライザー】は私の好みのど真ん中だった!まさか、男性操縦者のISとは思わなかったけど…

 

本音

「かんちゃんの趣味にピッタリのISだね~♪」

 

「そうだね!…って、ほ、本音!」

 

 この子は布仏本音、一応私の専属メイドをやっている

 

「…ねえ、本音はあの機体の事は知ってた?」

 

本音

「ん~?私は何も知らないよ~♪ひののん、ISを一度も使わなかったもん♪」

 

「…そうなんだ…」

 

 …それにしても火ノ兄さんだっけ、変なこと言ってたな、形態ってどういう事かな?

 

 ~簪 Side out~

 

 

 

 ~三人称 Side~

 

 ≪アリーナ≫

 

 試合開始と同時に最初に仕掛けたのはセシリアだった

 

セシリア

「先手必勝!」

 

 セシリアは大型ライフル【スターライトmkⅢ】で攻撃したが、永遠も向かって来るレーザーを躱し、或いは剣で弾きながら接近しようとしていた

 だが、セシリアの射撃によって中々近づけずにいた

 

永遠

「チッ!…(…この形態では不利か!…ならば!)」

 

 <セットアップ ブラストマグナム>

 

 永遠は片手剣では不利と判断し【マルチギミックサック】を片手銃に変形させた

 

永遠

「射撃には射撃じゃ!」

 

セシリア

「わたくしに射撃で勝てるとでも!」

 

 二人はそのまま射撃戦を開始した

 永遠は連射性で、セシリアは精密性で勝負していたが、射撃ではやはりセシリアの方が一枚上手であった

 

セシリア

「やはり、永遠さんは、射撃が得意では無いようですわね!」

 

永遠

「バレとったか!やはり接近戦で行くしかないのぉ!」

 

 <セットアップ デュアルブレード ブラストガーター>

 

 永遠は【マルチギミックサック】を双剣と盾に変形させると、向かって来るレーザーを回転させた双剣で防ぎながらセシリアへと突っ込んでいった

 

セシリア

「クッ!…(やはり、あの形態が一番厄介ですわね!)」

 

 今度はセシリアが苦い表情をしながらレーザーを撃っていたが、全て防がれてしまい、ついに接近を許してしまった

 永遠はそのまま双剣でセシリアに斬りかかったが…

 

永遠

「はああぁぁーーっ!」

 

セシリア

「まだですわ!」 

 

 ガキィィン!

 

 セシリアは左手に接近武装【インターセプター】を展開して防いだ

 

永遠

「…接近戦も出来たんか!」

 

セシリア

「…得意ではありませんが…出来ないわけではありませんわ!」

 

 そのまま力勝負の鍔迫り合いになったがパワーは【ドットブラスライザー】が上の為セシリアは押され始めた

 

セシリア

「くぅぅっ!(力は向こうが上…でしたら!)」

 

 セシリアは右手に持っていた【スターライトmkⅢ】を放り投げ砲身の方を掴み直すと、なんとライフルでそのまま永遠を殴りつけた

 

 ボカァァッ!

 

永遠

「何いぃぃ!?」

 

観客

「ええええぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

 永遠を殴りつけた隙に再びセシリアは距離を取った

 

セシリア

「ハァハァ…ど、どうです永遠さん!」

 

永遠

「ググッ!…頭に響くのぉ…ライフルで殴るとは…じゃがそげな使い方をしとるといずれ使い物にならなくなるぞ!」

 

セシリア

「…ご安心ください!このライフルは今の様な事を想定して強度を上げております!」

 

観客

「ええええぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

 観客も驚いていた…それもその筈、何処の世の中にライフルで殴る事を考えている人間がいると思うのだろうか

 

セシリア

「…永遠さん相手に接近戦が短剣1本では不安しかありませんもの。ですから、ライフルの強度を上げて鈍器として使用出来る様にしましたわ。」

 

永遠

「…ワシと戦う為にライフルをハンマー代わりに出来るようにしたんか!…面白い!!」

 

観客

「………」

 

 二人の会話を聞いて観客たちも気づいた

 セシリアは永遠との戦いの為だけにライフルを改造したのだと

 

永遠

「じゃが、そんな奇襲は二度は通じんぞ!…行くぞぉぉーーっ!!」

 

セシリア

「今度はそう簡単に近づけさせません!踊りなさい!【ブルーティアーズ】の奏でる円舞曲(ワルツ)を!」

 

 セシリアはそう言うと機体から2つのパーツを切り離した

 

永遠

「何じゃこれは!?」

 

セシリア

「これがわたくしのIS【ブルー・ティアーズ】の奥の手、自立機動兵器【ブルー・ティアーズ】ですわ!」

 

永遠

「…機体と同じ名前の装備じゃと?」

 

 これがイギリスが開発した第3世代兵器、通称【BT兵器】である

 セシリアのISはこの武装のサンプリングを兼ねている為、機体と武装の名前が同じなのである

 

セシリア

「それでは、今度は3方向からの攻撃をお見舞いいたしますわ。」

 

永遠

「ククッ…そうこなくてはなぁぁ!」

 

 

 

 ≪管制室≫

 

千冬

「…オルコットの奴、模擬試験の時より遥かに強くなってるな。」

 

真耶

「そうですね。多分、火ノ兄君と戦う為にあの日から今日まで血の滲む様な努力をしてきたんでしょうね。」

 

千冬

「そうだな。だから、火ノ兄もそれに全力で答えているんだろ。」

 

 教師二人はセシリアの成長を素直に褒めていた

 

 

 

 ≪ピット≫

 

一夏

「す、すげえ…」

 

 一夏は自分の予想以上の二人の戦いに驚いていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

 永遠とセシリアの戦いはさらに苛烈さを増していった

 だが、セシリアはまだ永遠が本当の力を使ってこない事に僅かながらイラついていた

 

セシリア

「永遠さん…いい加減本気になったらどうです?」

 

 ザワ…

 

 セシリアの言葉に会場の生徒達は動揺した

 それもそうだろう、あれだけの戦いをしてまだ本気を出していないと言ったのだ、それも本人ではなく対戦相手が言っているのだから

 

永遠

「そうじゃな…ワシもそろそろ使おうと思うてたんじゃ。」

 

 <ラグナロクフェイズ>

 

永遠

「行くぞ!!」

 

 電子音声が出ると【ドットブラスライザー】の各所が展開・変形し始めた

 変形が終わると最初とは全く違う姿の【ドットブラスライザー】がそこにはいた

 

観客

「ええええぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

 

 

 ≪管制室≫

 

千冬

「遂に本領発揮か!」

 

真耶

「オルコットさん、大丈夫でしょうか?」

 

千冬

「さあな、だがアイツはあの形態を知っている。何かしらの対策はあるだろ。」

 

真耶

「そうだといいですね。」

 

 教師二人はセシリアの対応策に期待していた

 

 

 

 ≪ピット≫

 

一夏

「へ、変形した!」

 

「何なんだあのふざけたISは!?」

 

一夏

「…カッケえぇぇ…」

 

 

 

 ≪観客席≫

 

 簪は目を見開いて驚いていた

 

「な、何あの姿!武器だけじゃなくて…ISまで変形するの!?」

 

本音

「凄いね~♪」

 

「…カッコいいぃぃーー……」

 

 【ドットブラスライザー】の変形に簪は感動すら覚える程興奮していた

 同じ頃、観客席の別の場所にいた楯無は自分が負けた時の事を思い出していた

 

楯無

「…遂に出したわね!…セシリアちゃん、あの姿の火ノ兄君に勝てるのかしら?」

 

 扇子に『本領発揮』と書かれた通りの姿になった相手に、セシリアがどれだけ喰いついていけるのか見守っていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

永遠

「行くぞセシリア!」

 

 両腕に展開した爪【ヴァリアブルクロー】で斬りかかった

 生徒達はその速さに目を見開いて驚いていた

 何故なら先程までとは比べ物にならない速さだったからだ

 

セシリア

「くっ!」

 

 セシリアは躱したが、永遠は続けて攻撃を仕掛けた…しかし…

 

永遠

「…この速度に追いつくか…」

 

 永遠の連続攻撃をセシリアは紙一重とはいえ全て避けて見せたのだ

 

セシリア

「…はい…あの日の試合の事は一度も忘れた事はありません…わたくしは今日までずっと頭の中でシミュレーションしてきました…お陰でわたくしの思考は【ラグナロクフェイズ】の速度にギリギリですが追いつけるようになりました…」

 

永遠

「………」

 

セシリア

「…思考が追いつけるようになれば後は体を追いつけるように鍛えるだけですわ!」

 

生徒達

「………」

 

 セシリアは簡単に言っているが、彼女の話を聞いて生徒達は言葉を失ってしまっていた

 セシリアの強さは試合を見ていれば十分に伝わっていた

 そして、その強さを手にする為にどれだけ努力したのか、想像が出来ないほどだった

 しかも、それは全て、セシリアの目の前にいる男と戦う為だけに手にしたのだ

 

永遠

「…お主は…ほんに強い女子じゃのぉ…」

 

セシリア

「永遠さん…」

 

永遠

「お主の様な強い者と戦える事を、ワシは嬉しく思うぞ!」

 

セシリア

「ありがとうございます!永遠さんにそう言って頂けて光栄ですわ!」

 

 観客席にいる生徒達は、この時分かったのだ…この二人は互いに認め合っているのだと…

 認め合っているからこそ、互いに高め合い全力を出して戦えるのだと…

 生徒の何人かはそんな二人を羨望の眼差しで見ていた

 

永遠

「ならば、改めて第2ラウンドといこうかの?」

 

セシリア

「望むところですわ!」

 

永遠

「行くぞおおぉぉーーーッ!」

 

 永遠はセシリアへと向かっていった

 

セシリア

「こちらも出し惜しみは無しですわ!」

 

 セシリアはビットを4基(●●)射出し全方位から攻撃を仕掛けた

 

永遠

「クッ!4基じゃと!?2基ではなかったんか!」

 

セシリア

「当然です!永遠さん相手に初めから切り札を全て使うほど馬鹿ではありませんわ!」

 

永遠

「カカッ…なるほどなあああぁぁぁーーーっ!!」

 

 

 

 ≪管制室≫

 

真耶

「凄いですね!オルコットさん!」

 

千冬

「ええ、まさか【ラグナロクフェイズ】の速度に追いつけるまでになっているとは…今のオルコットなら国家代表にも匹敵するかもしれません。」

 

真耶

「それも全ては火ノ兄君との出会いのお陰ですね。」

 

千冬

「そうですね。…今頃、アイツはどうしているかな?」

 

真耶

「織斑君ですか?」

 

千冬

「ええ、…まあ自分との実力差を見てビビッてるでしょうね。」

 

真耶

「はぁ…」

 

 

 

 ≪ピット≫

 

一夏

「アイツ等…こんなに強いのか…」

 

 千冬の予想通りビビッていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

 現在、永遠はセシリアの他方向から攻撃に苦戦を強いられていた

 永遠と出会う前のセシリアはビットを動かす際にそちらに意識を集中しなければならない為、本人は攻撃できず動く事さえ出来なかった

 しかし、今のセシリアは永遠との戦いを目標として努力を重ねた結果、ビットを操作する時も移動と攻撃が可能となっており、更に、ビットも以前よりも速く細かい動きが出来る様になっていた

 

永遠

「チィッ…(セシリアを直接狙うのは無理そうじゃな…狙うならまずはビットか!)」

 

セシリア

(永遠さんが狙うとしたらまずはビットの筈…ならば!)

 

 永遠は自分に一番近いビットに向かって行きそれを破壊した

 しかし、それがセシリアの狙いでもあった

 

永遠

「…よし!次…ガッ!」

 

 永遠がビットを破壊する時に隙が出来ると考えたセシリアは、ビットの1基を囮にして残りの3基で一斉攻撃を仕掛けたのだ

 

永遠

「グウッ!…まだじゃい!」

 

 攻撃を受けながらも永遠は3基の内の1基をさらに破壊した

 さすがにビットの数が半分となったのでセシリアも一端ビットを下げた

 

永遠

「流石じゃなセシリア!」

 

セシリア

「それ程でもありませんわ!」

 

永遠

「ククッ、謙遜するでない!【ラグナロクフェイズ】の動きについていけとる時点で、お主は強い!さっきからそう言うとるじゃろ。…セシリア…ワシは今とても楽しいぞ…お主との勝負は、ほんに楽しいなぁ!」

 

セシリア

「永遠さん…フフッ♪…はい!わたくしも楽しいですわ♪」

 

 笑顔で笑い合う二人を見て生徒達も二人が心から楽しんで戦っている事が伝わっていた

 

永遠

「…故にワシは、お主に敬意を表し【ドットブラスライザー】の真の力を見せよう!」

 

セシリア

「真の力?【ラグナロクフェイズ】ではありませんの?」

 

永遠

単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)起動!」

 

セシリア

「え?」

 

永遠

「来い!【ドットフェニックス】!!」

 

 永遠がそう叫ぶと青い戦闘機が現れた

 

セシリア

「あれは…戦闘機!?」

 

 この戦闘機こそ【ドットブラスライザー】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)【ドットフェニックス】だった

 

セシリア

「永遠さん!単一仕様(ワンオフ・アビリティー)を使えましたの!?」

 

永遠

「使えるぞ。一応紹介しておくかの。コイツが【ドットブラスライザー】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)【ドットフェニックス】じゃ。」

 

セシリア

「【ドットフェニックス】…」

 

永遠

「コイツはワシの支援機でな。ワシとの連携も出来るんじゃが今回はそれは使わん。本命のもう一つの機能を使う。」

 

セシリア

「もう一つ?」

 

永遠

「【ドットフェニックス】!」

 

 <ドットブラスライザー ドッキング・シークエンス>

 

 永遠の呼びかけに答える様に【ドットフェニックス】から電子音声が聞こえると次の瞬間【ドットフェニックス】は5つに分離した

 それと同時に【ドットブラスライザー】も機体の装甲が白から赤へと変わっていった

 

セシリア

「【ドットブラスライザー】が、赤く!?」

 

 <ドッキング・スタート>

 

 機体が赤く染まった【ドットブラスライザー】に5つに分離した【ドットフェニックス】のパーツが合体していった

 最初は両足にパーツが接続され、次に背中のバックパックが外れ、【ドットフェニックス】本体部分が接続された

 最後に右腕に巨大な槍、左腕に大型のシールドが装備された

 

 <ドットブラスライザー・ジーエクスト>

 

 そこには【ドットフェニックス】と合体した【ドットブラスライザー】の新たな姿があった

 

セシリア

「がっ合体しましたの!?」

 

永遠

「さよう!これが【ドットブラスライザー】の最終形態【ドットブラスライザー・ジーエクスト】じゃ!!」

 

セシリア

「【ドットブラスライザー・ジーエクスト】!?」

 

 

 

 ≪管制室≫

 

千冬

「【ドットブラスライザー・ジーエクスト】だと!?」

 

真耶

「何ですかあれーーー!!」

 

千冬

「落ち着け!…何なんだあのISは!変形機能の他にも合体機能まで搭載していたのか!どこまで規格外の機体なんだ!あれでは完全にどこぞの合体ロボットそのものだぞ!」

 

真耶

「ホントですよ~…」

 

 教師二人は案の定、合体に驚いていた

 

 

 

 ≪ピット≫

 

 一方こちらは…

 

一夏

「何だよアレ!」

 

「一夏?」

 

一夏

「無茶苦茶カッコいいじゃねえかーーー!!」

 

 一夏は【ドットブラスライザー】の合体に男のロマンを感じていた

 

 

 

 ≪観客席≫

 

 そしてこちらも…

 

「カカカ、カッコいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーー!!!」

 

本音

「か、かんちゃん…」

 

「見て見て本音!合体だよ合体!合体ロボットキターーー!!!」

 

本音

「かんちゃん…」

 

 目をキラキラさせる簪は興奮のあまりキャラが崩壊していた

 一方、楯無は…

 

楯無

「まさか変形だけじゃなくて合体まで出来るなんて…私の時は使わなかったのに!」

 

 自分と戦った時に使わなかった事に不満を漏らしていた

 ちなみに扇子には『不満』と書かれていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

永遠

「まずは周りのビットが邪魔じゃな!」

 

セシリア

「え?」

 

 永遠はそう言った瞬間残る二つのビットの内の一つの前に移動し槍で斬り裂いていた

 

セシリア

「は、速い!」

 

 セシリアはすぐに最後のビットを動かそうとしたが、既に永遠は最後のビットの前に来ていた

 

永遠

「これで全部じゃ!」

 

 そして最後の一基を破壊した

 

セシリア

「…そ、そんな…」

 

 セシリアが驚くのも無理は無かった

 【ラグナロクフェイズ】でも永遠は2基破壊するのにも手こずっていたのだ

 それが、合体した途端、残りの2基を一瞬で破壊してしまった

 

セシリア

「…これが…【ドットブラスライザー】の真の力…」

 

永遠

「はああああぁぁぁぁーーーっ!!」

 

セシリア

「はっ!?」

 

 ガキィン!

 

 永遠は槍で斬りかかったが、セシリアはそれをライフルで受け止めた

 

セシリア

「グウウ!…まだ…です…」

 

 セシリアも懸命に耐えているがパワーは向こうが完全に上の為、押し込まれていったが、セシリアはまだ諦めていなかった

 

セシリア

「(まだです…まだ………!)今です!!」

 

 そう言った瞬間、セシリアは【ブルー・ティアーズ】の腰に装備されていた2基のミサイルを発射した

 

永遠

「何!?」

 

 ドガアアァァン!

 

セシリア

「ハァハァ…油断しましたわね!生憎と【ブルー・ティアーズ】は全部で6基ありますのよ。」

 

 ワアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

 観客席にいる生徒達は今の攻撃で永遠を倒したと思ったのか歓声を上げていた

 しかし、セシリアは今の攻撃で永遠を倒せたとは思ってはおらず、目の前のミサイルが爆発した煙をジッと見つめていた

 だが、至近距離で命中したので少なからずダメージは受けているだろうと考えていた

 

永遠

「今のは効いたぞ!」

 

セシリア

「!?」

 

 セシリアの予想通り煙の中から声が聞こえてきた

 槍を横薙ぎに振り煙を吹き飛ばすとそこから【ドットブラスライザー・ジーエクスト】が出てきた

 

セシリア

「…少しはダメージを与えたと思ったのですが…あまり効いていないみたいですわね…」

 

 ザワザワ…

 

 生徒達も至近距離でミサイルの直撃を食らって破損が小さいとは思わなかったようで動揺していた

 

永遠

「…確かに機体の損傷は軽微じゃが、SEはそれなりに減ったぞ。」

 

セシリア

「フフッ…それは良かったです♪…ですが、わたくしはまだ負けていません!」

 

 セシリアは【スターライトmkⅢ】を永遠へと向けた

 しかし【ブルー・ティアーズ】は既に限界が近くなっており、これ以上の長期戦は不可能な状態だった

 そして、セシリア自身もその事に気づいていた

 

セシリア

(【ブルー・ティアーズ】…もう少しだけ…付き合ってください!)

 

永遠

「…それでこそセシリアじゃ!なればこそ、ワシも最後まで全力を尽くす!!」

 

 永遠はそう言うと背中のレール砲を展開し、セシリアに照準を合わせた

 

永遠

「行くぞ!!」

 

 そのままレール砲と翼に装備された8発のミサイルを一斉に発射した

 

セシリア

「くっ!」

 

 レール砲は躱す事が出来たが残りのミサイルがセシリアを追いかけてきた

 ミサイルの幾つかは撃ち落せたが残りが【スターライトmkⅢ】に命中し破壊されてしまった

 

セシリア

「しまっ!?………!?」

 

 そして、目の前に槍を向けた永遠がいた

 

永遠

「………」

 

セシリア

「永遠さん…ここでその槍を引いたら、わたくし一生恨みますわよ…」

 

永遠

「分かっておる!それはお主を冒涜する行為じゃからな!」

 

 セシリアに答えると槍を振り上げ…

 

永遠

「いくぞセシリアアアアァァァーーーッ!!!」

 

セシリア

「望む所ですわあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

永遠

「必殺ファンクション!!」

 

 <アタックファンクション 真刀・カムイ>

 

 【ドットブラスライザー・ジーエクスト】最強の技を発動させた

 槍に大量のエネルギーが集まり巨大なレーザーソードへと変わっていった

 

永遠

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!!」

 

 そのままセシリアに向かって右腕を振り下ろした

 

セシリア

「…フフッ♪」

 

 攻撃が直撃する瞬間セシリアは微笑んでいた

 

 ドガアアアアアアアァァァァァァーーーーーンッ!!!!

 

アナウンス

『【ブルー・ティアーズ】シールド・エネルギー0、勝者、火ノ兄永遠!』

 

 爆発と同時にアナウンスが試合の決着がついた事を宣言した

 

永遠

「セシリアァァーーッ!!」

 

 爆煙から落下していくセシリアを見つけると永遠は急いで彼女の元に向かい、地面に激突する寸前に抱きとめる事が出来た

 

永遠

「無事かセシリア!」

 

セシリア

「…うっ…永遠…さん?…やっぱり…永遠さんは強いですわね…」

 

永遠

「何を言う!お主も強かったではないか!」

 

セシリア

「…でも負けてしまいましたわ…やっぱり負けるのは悔しいですわね…」

 

永遠

「すまんな、少々やり過ぎた。」

 

セシリア

「フフッ♪構いませんわ♪」

 

 永遠はそのままセシリアが出てきたピットの方に戻っていった

 

 

 

 ≪ピット≫

 

 一方、一夏は二人の実力を見て驚愕していた

 

一夏

「何だよあの強さ!?…俺は今から…アイツと戦うのか!?」

 

 一夏は一週間前の姉の言葉を思い出していた

 

千冬

『火ノ兄に勝てる奴は教師も含めてこの学園には一人もいないだろう。この私も含めてな!』

 

一夏

「アレは冗談じゃなかったのかよ!」

 

 これから自分が戦う相手の実力に恐怖していた

 

 ~三人称 Side out~

 

 




 次回『第037話:出陣!戦国龍!!(前編)』


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