IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第039話:第2試合【戦国龍VS白式】

 ~三人称 Side~

 

 ≪管制室≫

 

千冬

「始まったか…」

 

真耶

「織斑先生…織斑君が勝てる見込みはどの位あるんですか?」

 

千冬

「織斑にもさっき聞かれたがアイツが勝てる見込みは0だ。」

 

真耶

「0…ですか?」

 

千冬

「ええ、この一週間のアイツを知れば勝てる訳が無い。火ノ兄に一太刀当てられれば上出来と言うレベルだ。」

 

真耶

「そうなんですか?」

 

千冬

「ああ、恐らく火ノ兄とオルコットも私と同じ考えだろう。何しろアイツは一週間もの間、殆ど何もしてないんだからな。まあ教えていた方にも問題はあるみたいだが。」

 

 千冬はそう言いながら自分の後ろにいる、ピットから勝手について来た箒に聞こえる様に答えた

 

「………」

 

千冬

「…まあ、そういう訳でアイツはこの試合は絶対に勝てない。火ノ兄に説教されながら叩きのめされて終わりだ。」

 

真耶

「そうですか…」

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

一夏

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」

 

 一夏は永遠に正面から斬りかかったが…

 

 ガキイィィン!

 

一夏

「何ぃぃ!」

 

 永遠は左手に持った槍で片手で受け止めていた

 

永遠

「…軽い剣じゃな…」

 

一夏

「何だと!」

 

永遠

「軽いと言ったんじゃ…」

 

 そのまま一夏の剣を弾き槍の柄で一夏の横腹を殴った

 

一夏

「ガッ!…ク、クソッ!うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!」

 

永遠

「また突っ込んできおったか…」

 

 永遠は今度は受ける事はせず一夏の攻撃を全て軽々と避けてみせた

 

一夏

「クソッ!何で当たらないんだ!」

 

永遠

「…攻撃が単純だからじゃ…この程度なら目を閉じてても避けられるわい…」

 

一夏

「クッ!馬鹿にするなああぁぁーーッ!」

 

永遠

「…お主は正面から突っ込む事しか知らんのか?」

 

 永遠は再び避けるが、今度はただ避けるだけではなかった

 

永遠

「ワシの手足にばかり気をとられん方が良いぞ。」

 

一夏

「え?…ガッ!」

 

 突然、一夏は殴られたような衝撃が来たのでそちらの方を見ると…

 

一夏

「し、尻尾だと!」

 

 そう、永遠は避けると同時に【戦国龍】の尻尾を一夏に叩きつけたのだ

 

永遠

「この尻尾がただの飾りかと思ったんか?ちゃんとワシの意思で動かせるぞい。」

 

一夏

「なっ!」

 

永遠

「まあ尻尾の事は別にいい…所でお主、さっきから何をやっとるんだ?」

 

一夏

「何だと!」

 

永遠

「先程から猪の様に突っ込んでくる事しかしとらんではないか。」

 

一夏

「猪だと!?」

 

永遠

「違うんか?」

 

一夏

「違うに…決まってんだろおぉぉぉーーーっ!」

 

 一夏は否定しながらまたも突っ込んだ

 

永遠

「…どこが違うんじゃ?」

 

 永遠は懲りずに突っ込んできた一夏を槍で地面に叩き落とした

 

一夏

「がああぁぁーーっ!」

 

 永遠も一夏を追って地面に降りて行った

 

一夏

「ぐっ…くそおぉ…」

 

永遠

「どうした?この程度で終わりかの?」

 

一夏

「…これならどうだ!【零落白夜】発動!!」

 

 一夏は【白式】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)【零落白夜】を発動させた

 

永遠

「【零落白夜】?」

 

一夏

「そうだ!【零落白夜】は千冬姉が世界を制した時と同じ単一仕様(ワンオフ・アビリティー)だ!俺はこの剣で、大切な人を守れる男になるんだ!!」

 

永遠

「…で?」

 

一夏

「な、何…」

 

永遠

「じゃから、それがどうしたんじゃ?姉と同じ?それが何じゃ?大切な人を守る?お主に守れるだけの力があるんか?」

 

一夏

「クッ!…なら、その力を思い知らせてやる!いくぞおおぉぉぉーーーっ!」

 

 一夏は【零落白夜】を発動させて斬りかかったが…

 

永遠

「さっきと何も変わっとらんな…」

 

 攻撃パターンが変わっていない為、簡単に避けられた

 

一夏

「くそぉぉーーっ!何で、何で当たらないんだ!?」

 

永遠

「…ハァ~…お主、この一週間何をしとった?」

 

一夏

「何!?」

 

永遠

「ワシとセシリアは今日の為に普段以上の鍛錬に励んでおった。…クラスの代表を決めるだけとはいえ、真剣勝負をするんじゃからな、当然の事じゃ。」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 永遠の突然の問いに一夏は答える事が出来なかった

 それもその筈、彼はこの一週間、箒に剣道の稽古を付けて貰った事以外は何一つしていないのだから

 

永遠

「何もしとらんのじゃろ?」

 

一夏

「!?…そ、そんな事ない!」

 

永遠

「…織斑…ワシもそろそろ堪忍袋の緒が切れそうなんじゃが…」

 

一夏

「それが何だ!俺は、俺は皆を守るんだああぁぁーーッ!」

 

 ブチッ!!

 

永遠

「…この…馬鹿もんがああああぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

一夏

「ぐああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!」

 

 遂に永遠の堪忍袋が切れてしまい、一夏は槍の突きを喰らい後方に吹き飛ばされてしまった

 永遠はそのままゆっくりと一夏の方に歩きだした

 

永遠

「…貴様、いい加減にせえよ…『大切な人を守れる男になる』じゃと…どの口が言っとるんじゃ…」

 

一夏

「な、何…」

 

永遠

「…もう一度聞くぞ…この一週間何しとった…」

 

一夏

「………」

 

永遠

「放課後何しとった…篠ノ之に剣道を教わった…シバかれてサンドバッグになっとっただけじゃろ…」

 

一夏

「うっ…」

 

永遠

「授業中何しとった…ノートすら取らんかったじゃろ…」

 

一夏

「ううっ…」

 

永遠

「休憩中何しとった…教師二人に質問すらせんかったじゃろ…」

 

一夏

「あ…ああ…」

 

永遠

「入学するまで何しとった…参考書を間違えて捨てた…何故すぐに新しいのを発行して貰わんかった…」

 

一夏

「そ、それは…」

 

永遠

「姉に叱られるのが嫌だったか…覚える必要が無いと思ったか…」

 

一夏

「ち、ちが…」

 

永遠

「違うならそん時何しとった…強制入学じゃからずっと遊んどったか…」

 

一夏

「べ、勉強だ!」

 

永遠

「一般教養だけか…IS学園に入ると決まっとったのにそっちには手を付けんかったか…」

 

一夏

「………」

 

永遠

「今迄何しとった…ISの勉強をしたんか…対戦相手のワシ等の事を調べたんか…自分が今使っとる機体の事を調べたんか………答えんかい!!」

 

一夏

「ううっ…」

 

永遠

「貴様!それでよく『大切な人を守る』等と言えたな!それとも何か!姉と同じようにISに乗れて、姉と同じ武器を使えれば、姉と同じ事が出来ると思ったか!」

 

一夏

「!?」

 

永遠

「図星か?…愚かもんが!世界を制したのは織斑千冬であって貴様では無い!貴様は織斑一夏であって織斑千冬では無い!姉が出来れば弟も出来る訳でも無い!」

 

一夏

「ぐううっ…」

 

永遠

「織斑…貴様は…実力も無い…経験も無い…知識も無い…覚悟すら無い…今の貴様にあるのは無駄にデカいだけのつまらんプライドだけじゃ!そんな貴様が何を守ると言うんじゃ!」

 

一夏

「………いけないのかよ…」

 

永遠

「ん?」

 

一夏

「…いけないってのかよ!…大切な人を…家族や友達を守りたいって思うのが…いけない事なのかよ!?」

 

永遠

「…口だけは達者じゃな…」

 

一夏

「何だと!」

 

永遠

「口は達者と言ったんじゃ!なら何故今まで何もせんかった!何もせんかったから今こうしてワシに追い詰められとるんじゃろ!今の貴様がそんな事を言っても説得力なんぞ微塵も無いわ!」

 

一夏

「…だ、黙れ…黙れええええぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

 永遠の言葉に我慢出来なくなった一夏は永遠に突っ込んでいった

 

永遠

「…ハァ…」

 

 溜め息を一つつくと永遠は持っていた槍を地面に突き刺し、腰の刀を抜いた

 

 

 

 ≪ピット≫

 

セシリア

「…ハァ…ホントに情けない方ですわね…」

 

 永遠に言い返す事も出来ない一夏を見てセシリアも溜め息をついていた

 

セシリア

「永遠さんのお説教は厳しいと束さんから聞いていましたが…ここまでとは思いませんでしたわね。」

 

 実はセシリアは以前、束から怒った時の永遠の説教がキツイと愚痴を聞かされた事があったのだ

 

セシリア

「…永遠さんを怒らせない様にしませんと…流石にあれはわたくしでもキツイですわ…」

 

 セシリアは永遠を本気で怒らせる様な事をしないと誓った

 

 

 

 ≪管制室≫

 

 管制室では永遠に説教をされている一夏の姿に千冬は呆れ果てていた

 

真耶

「火ノ兄君のお説教…容赦ないですね…」

 

千冬

「ああ。」

 

真耶

「…織斑先生は火ノ兄君が言った事をどう思いますか?…否定…しますか?」

 

千冬

「する必要は無い。全て事実だからな。」

 

「!?」

 

千冬

「火ノ兄が言ってる事は何一つ間違ってはいない。今の織斑は口先だけの男だからな。訓練も勉強もせず、私と同じ武器を使うというだけで強くなったと思い込んでいるだけだ。そんな奴が今日の為に努力してきたあの二人に勝てる訳がないだろ?」

 

真耶

「………」

 

千冬

「アイツは一度、徹底的に潰された方がいいと私は思っている。その方がアイツも成長するだろうからな。」

 

真耶

「織斑先生がそう言うなら…そうかもしれませんね…」

 

「………」

 

 箒は否定しない千冬を睨みつけるが千冬から来る無言の圧力で何も言えなかった

 

 

 

 ≪観客席≫

 

 同じ様に観客席の簪も…

 

「………」

 

本音

「どしたのかんちゃん?」

 

「…情けなくてね…」

 

本音

「何が~?」

 

「…私よりもあんな男の機体の方が優先されたんだと思うとね…」

 

本音

「かんちゃん…」

 

 …説教されている一夏の姿を見て落ち込んでいた

 

 

 

 ≪火紋島≫

 

 一方、永遠と一夏の試合をモニターしていた束達も…

 

クロエ

「兄様のお説教は相変わらず厳しいですね…」

 

「ホントにね~…ガクガクブルブル………」

 

 以前説教された時の事を思い出したのか束は震えていた

 

「それにしても、今のいっくんは束さんでも呆れるくらい情けないね~。」

 

クロエ

「そうなんですか?」

 

「うん。ホントはね、とーくんが帰ってきたら文句の一つも言おうと思ってたけど…これを見たらそんな事言えないよ。」

 

 身内にはとことん甘い束でさえ呆れていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

一夏

「うおおおおぉぉぉぉーーーーっ!!」

 

 向かってくる一夏を永遠は躱すが今回はさっきまでと違っていた

 

永遠

「【飛天御剣流 龍巻閃】!」

 

 一夏の突撃を回転しながら躱すとそのまま一夏の背中に回り込み回転の勢いのまま彼を斬ったのだ

 

一夏

「ぐわああああぁぁぁぁぁーーーー………っ」

 

 そのまま地面に倒れたが、すぐに起き上がった…だが…

 

一夏

「ぐうっ!…何だ…今の技は?…はっ!」

 

 すでに目の前に永遠が来ていた

 

永遠

「【飛天御剣流 龍翔閃】!」

 

 一夏の懐に潜り込み、下から飛び上がり、刀の腹で斬り上げ、一夏を上空へと押し上げた

 

一夏

「がはあああぁぁぁーーーー………っ」

 

 永遠もそのまま上空へと飛び上がり一夏を追い抜いた

 

永遠

「【飛天御剣流 龍槌閃】!」

 

 一夏よりも高い位置に来ると、そのまま刀を振り下ろし、今度は地面に叩きつけた

 

一夏

「ぐあああああぁぁぁぁぁーーーー………っ」

 

 ドゴオオオオォォォォォーーーーン!!

 

 永遠はゆっくりと地面に降り立つと一夏の倒れている場所を静かに見つめていた

 

生徒達

「………」

 

 会場にいる生徒達も声を出さなかった…いや…出せなかった

 余りにも一方的な技の応酬、そしてそれを全て受け地面に倒れている一夏の姿に、生徒達は言葉を失ってしまっていた

 

 

 

 ≪管制室≫

 

「い、一夏…」

 

 倒れた一夏を見て箒は茫然としていた

 

千冬

「…【飛天御剣流】…聞いた事の無い流派だな…」

 

真耶

「織斑先生も知らないんですか?」

 

千冬

「私もそんなに他流派に詳しい訳じゃないからな。ただ【飛天御剣流】と言うのは初めて聞いた。」

 

真耶

「そうですか…」

 

「何故一夏の心配をしないんですか!自分の弟が一方的に倒されたと言うのに何でそんなに無関心なんですか!」

 

 一夏をまるで心配していない千冬にとうとう箒がキレた

 

千冬

「…今は試合中だ。ましてや教師の私が弟だからと言って公私混同が出来るか。」

 

「な!?」

 

千冬

「そもそも、何故お前がココにいる?私はお前がココに来る事を許可していない。ピットからここまで勝手について来た上に騒ぐとは何様のつもりだ。」

 

「そ、それは…」

 

千冬

「フン!」

 

 それから千冬が箒の方を見ることは無かった

 これは箒に早く出て行けと言う意味だったが、箒はそれに気付かずそのまま居座り続けた

 千冬が視線をモニターに戻すと一夏が立ち上がろうとしていた

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

一夏

「う、ぐうう…」

 

永遠

「…ほう、立つか…」

 

一夏

「…あ、当たり前だ…この位で…やられてたまるか…」

 

永遠

「さよか…ならさっさとかかってこい。」

 

 永遠はそう言って刀を鞘に納めると、前屈みになり、刀を抜く態勢となった

 

一夏

(アレは確か…居合いの構え!?アイツ、居合いも出来るのか!)

 

 一夏は永遠の体制が居合い斬り、抜刀術の態勢である事に気付いた

 

一夏

「(でも確か…居合いは最初の一撃を防げばいい技だったはず…なら一撃目さえ防げば俺にもチャンスはある!)…行くぞ!」

 

 一夏は永遠へと向かって行った

 そして、一夏が間合いに入った瞬間、永遠は刀を抜き放った

 

 ガキィン!

 

 一夏は永遠の居合い斬りをギリギリの所で防ぐ事が出来たが…

 

一夏

「…ぐっ!どうだ、防いだ…」バキィッ!「がはあああぁぁぁーーーっ!」

 

 永遠の剣を止めた瞬間、体に強い衝撃が走りそのままアリーナの壁に叩きつけられた

 

一夏

「…今のは…一体…」

 

永遠

「【飛天御剣流 二段抜刀術 双龍閃】!」

 

 それは、永遠が左手に持った鞘で放った二撃目の抜刀術によるものだった

 

一夏

「に、二段…抜刀術!?」

 

永遠

「【飛天御剣流】…」

 

一夏

「ま、待っ…」

 

永遠

「【土龍閃】!」

 

 永遠は間髪入れず、刀を地面に叩き付け、その衝撃で土石を一夏にぶつけた

 

一夏

「がああああぁぁぁぁぁーーーーー………」

 

 全身にくまなく石をぶつけられた一夏はもはや限界だった

 【白式】の装甲は所々が凹み、白かった機体もボロボロになっていた

 

永遠

「…どうした織斑…もう終わりか?」

 

一夏

「ううっ…何で…お前はこんなに…強いんだよ…」

 

永遠

「…ワシが強い訳ではない…貴様が弱すぎるんじゃ…」

 

一夏

「…俺が…弱い…」

 

永遠

「そうじゃ。試合前の答えを教えてやる…織斑…貴様は一週間前…ワシとセシリアがあれだけあからさまに煽ったと言うにそれに気付かんかった。」

 

一夏

「…煽った?」

 

永遠

「さっきも言うたが貴様はワシやセシリア、他の生徒と比べれば知識も実力も経験も無い。…じゃから、ワシ等はあの時、貴様を無視する事で危機感を与えた。それと同時にやる気を起こさせようとしたんじゃ!まあ、本音でもあったがな…」

 

一夏

「…そ、そんな…(あれは…俺の為に…)」

 

永遠

「じゃが貴様はそれに気付かず、今日まで、何もしとらんかった。」

 

一夏

「…それは…」

 

永遠

「あの時、貴様が気付いて今日まで自分を高めておれば、そこまでボロボロにならずに済んだじゃろうな。」

 

一夏

「…ぐ、うっ…」

 

永遠

「ワシとセシリアは己を高める為に常に努力してきた。それに引き換え、貴様は自分の危機感にすら気付かず何もせんかった。そんなワシ等と貴様との間にどれだけ実力に差があると思うとるんじゃ。」

 

一夏

「………だったら…何で直接言わなかったんだ!…言ってくれれば…」

 

永遠

「言えば真面目に訓練した、か?…甘ったれるな!!」

 

一夏

「!?」

 

永遠

「織斑…貴様、どれだけ他人に甘えれば気が済むんじゃ!本来はワシ等が言わずとも貴様が自分で気付いてすべき事じゃ!」

 

一夏

「あ…」

 

永遠

「それをワシ等はああいった方法でヒントを与えたんじゃ!じゃが、貴様はそれに気付かず無駄に時を過ごしただけじゃった!」

 

一夏

「………」

 

永遠

「仮に言ったとして貴様は真面目に強くなろうと努力したんか!今の貴様を見ればそうは思えんな!」

 

一夏

「………」

 

永遠

「貴様の様な奴は一度、心身共に徹底的に叩き潰してくれる!」

 

一夏

「え?…うわっ!」

 

 永遠は一夏を掴むとアリーナの中央に投げ飛ばした

 

永遠

「織斑…覚悟はいいか!…この一撃で完璧に沈めてくれるわい!!」

 

 そう言うと永遠は上段の構えを取った

 

一夏

「ま、待ってくれ!」

 

永遠

「…貴様は最後まで情けない男じゃな!」

 

一夏

「え?」

 

永遠

「…ワシにここまで言われて…せめて一太刀浴びせようと言う気概さえ無いとはな…」

 

一夏

「!?」

 

永遠

「やはり貴様は腰抜けじゃ!くたばれ!!」

 

一夏

「!?…俺は…俺は腰抜けじゃねええぇぇーーっ!!」

 

 『腰抜け』という言葉に一夏は反応し永遠に斬りかかった

 

永遠

「フッ…【龍槌閃・鉄槌】!!」

 

 ズドオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーン!!!!

 

一夏

「ぎゃああああぁぁぁぁぁーーーーーー………」

 

 永遠が刀を振り下ろすと、強い衝撃と共に周囲の地面が一夏諸共押し潰されていった

 永遠が技を放った場所には、地面に大きく円柱の形をした大穴が開いており、その中心に叩き潰された一夏が地面にめり込んで気絶していた

 

アナウンス

『【白式】シールド・エネルギー0、勝者、火ノ兄永遠!』

 

生徒達

「………」

 

 試合終了のアナウンスが鳴っても観客席の生徒達は声を上げる事は無かった

 永遠が放った技に全員が言葉を失っているのだ 

 永遠が刀を鞘に納めようとすると…

 

永遠

「最後の最後で意地を見せたか………ん?」

 

 ピシッ!…バキイィィーーンッ!

 

 刀が砕けてしまった

 

永遠

「折れたか…【鉄槌】の威力に耐えられんかったか…」

 

 永遠は折れた刀を見ながら自分の技の威力に驚いていた

 

永遠

「仕方ない…(…次に【鉄槌】を使う時は…アレでやるしかないのぉ…)」

 

 そんな事を考えながら折れた刀を鞘に納めた

 

 ~三人称 Side out~

 

 




 次回『第040話:代表決定戦後』


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