IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

44 / 155
第040話:代表決定戦後

 ~千冬 Side~

 

 私は今日何度驚いたのか分からないがまた驚いている

 その理由はアリーナの惨状が原因だ

 火ノ兄が最後に放った技…その技でアリーナに円柱の形に大穴が開いてしまっているからだ

 一体どうやったらあんな形に穴が開くんだ…

 だが、とりあえず今は…

 

千冬

「…山田先生、火ノ兄に織斑を回収してピットに戻るように伝えて下さい。その後こちらに来るようにと。それと、オルコットも呼んで下さい。」

 

真耶

「分かりました!」

 

 さて、火ノ兄達が来る前にコイツを片付けておくか…

 

千冬

「篠ノ之…お前何時までココにいるつもりだ?」

 

「え?」

 

千冬

「試合も終わった。お前がココに居座る理由もない。私は今から火ノ兄のISについて話を聞かなければならない。部外者のお前が何時までいるつもりだと言ってるんだ。」

 

「ま、待って下さい!なら、オルコットは何故呼んだんですか?オルコットが居てもいいなら私がいてもいいじゃないですか!私もあの機体の事が知りたいんです!」

 

千冬

「馬鹿かお前は?オルコットは火ノ兄のISに関して知っているから呼んだんだ。お前は火ノ兄とは何の接点もないだろうが。分かったらいい加減出て行け!」

 

「ち、千冬さん…」

 

千冬

「篠ノ之!お前には後でココに入り込んだ事によるペナルティを与える!束の妹だからと言って軽くするつもりは無い!政府や委員会の横槍があってもだ!」

 

「そんな…」

 

千冬

「愚か者め!…最初の試合前に出て行っていれば、処罰する気は無かったと言うのに!私の忠告を無視して居座り続けた上に、火ノ兄のISの事を教えろだと!どこまで身勝手なんだ貴様は!!」

 

「そ、それは…」

 

千冬

「もう一度言うぞ!とっとと出て行け!!」

 

「…はい…」

 

千冬

「………全く!やっと出て行ったか!」

 

真耶

「あのまま居座られたら細かい話が出来ませんでしたからね~。」

 

千冬

「そうだな。君たちも今日はもういいぞ。後は、私と山田先生でやっておく。」

 

上級生達

「お疲れ様でした!」

 

 私は管制室にいた上級生達も帰し、ここには私と山田先生しかいない状態にした

 それから少ししてオルコットがやって来た

 

セシリア

「失礼します!お呼びですか?」

 

真耶

「あ、待ってましたよ。後は火ノ兄君だけですね。」

 

セシリア

「そうですか。…あの、先ほど篠ノ之さんとすれ違ったのですが凄い顔で睨まれたんですけど…」

 

千冬

「あの馬鹿め!…オルコット、篠ノ之が何か言ってきても無視しておけ!」

 

セシリア

「?…はぁ~そう言うのでしたら…」

 

 全く、何処まで他人に迷惑をかければ気が済むんだ!

 

 ~千冬 Side out~

 

 

 

 ~永遠 Side~

 

 ワシはとりあえず織斑を回収してピットに戻ると近くにいた人に後を頼み、織斑先生のおるところに向かったんじゃ

 

永遠

「何か用かの?って用件は【戦国龍】の事じゃろ?」

 

千冬

「そうだ!簡単に聞くぞ。アレも神が造った機体なのか?」

 

真耶

「ええ!そうなんですか?」

 

永遠&セシリア&千冬

「………」

 

 ワシの事を知っとれば、普通は気付くと思うがのぉ?

 

永遠

「…そうじゃ。アレもその一つじゃよ。」

 

千冬

「やはりそうか。…ん?『アレもその一つ』だと?まさか、あの2機以外にもISを持っているのか?」

 

永遠

「後1機あるぞい。」

 

真耶

「えええぇぇぇーーーーっ!!」

 

セシリア

「では永遠さんは全部で3機のISを持っているのですか?」

 

永遠

「そうなるの。じゃが残りの1機は手元には無いぞ。」

 

千冬

「…何故持ってないんだ?」

 

永遠

「今は束さんに預けとる。新型の開発の為に研究したい言うてな。」

 

真耶

「研究、ですか?」

 

千冬

「その3体目は何か特別な機能があるのか?神が造ったとはいえあの束がわざわざお前から借りてまで調べる程の機体なのか?」

 

永遠

「うむ、3体目の名前は【ラインバレル】と言うんじゃが、この機体の特徴が………」

 

 ワシは【ラインバレル】の再生能力と空間転移について説明した

 

千冬

「…な、何だその化け物みたいな機体は!?」

 

永遠

「化け物は無いじゃろ。ただダメージを負ってもその場ですぐに再生して、SEが勝手に回復して、ワープが出来るだけじゃぞ。」

 

千冬

「それを化け物と言うんだ!!」

 

真耶

「そうですよ!機体だけじゃなくてSEまで何のリスクも無しに自動で回復し続けるなんて!その上、空間転移ですよ!無茶苦茶過ぎますよ!!」

 

セシリア

「【ラインバレル】…高い再生能力と空間を操る事の出来る機体…正しく不死身の機体ですわね。」

 

千冬

「全くだ!しかし、束はその機体で何を研究してるんだ?」

 

永遠

「ああ、それはな………」

 

 詳しくは【第25話:入学準備】を読んでくれい!

 

永遠

「………という訳じゃ!」

 

千冬

「なるほどな…確かにその研究が上手くいけば操縦者の生存率は飛躍的に上がる。その鍵となっているのがお前の【ラインバレル】か。」

 

永遠

「そういう事じゃよ。そんな訳じゃからワシもすぐに返せとは言うとらんし、好きなだけ調べろと言ってある。じゃからいつワシの手元に戻るかは分からんのじゃ。」

 

千冬

「そうか、なら【ラインバレル】はお前の所に戻って来た時に聞くとしよう。私もそういう理由なら何も言うつもりは無い。山田先生は?」

 

真耶

「私もいいですよ。」

 

千冬

「なら話を戻して、【戦国龍】について聞くぞ?」

 

永遠

「構わんよ。ワシに答えられる範囲でいいなら。」

 

千冬

「それで構わん。まず私の予想だが【戦国龍】、あの機体は【ドットブラスライザー】を上回る機体ではないのか?」

 

永遠

「そうじゃよ…ちなみに性能は【戦国龍】が一番で【ラインバレル】、【ドットブラスライザー】の順になっとる。」

 

セシリア

「【ドットブラスライザー】が一番弱い機体なんですか!」

 

永遠

「通常形態で比べればな。【ラグナロクフェイズ】や【ジーエクスト】になれば【ラインバレル】や【戦国龍】にも負けとらんよ。」

 

セシリア

「そうなんですか。」

 

千冬

「確かに【ドットブラスライザー】の強みは機体の能力を変形と合体で上げていくことだからな。」

 

永遠

「ただ、束さんは【戦国龍】は化け物を通り越した機体と言うとったがな。」

 

千冬

「化け物を通り越しただと?どういう事だ?」

 

永遠

「束さんが言うには【戦国龍】は他のISと違って人間と殆ど変わらん動きが出来るらしい。」

 

千冬

「何だと!?」

 

永遠

「それと、単一仕様(ワンオフ・アビリティー)が強力過ぎると言うとった。」

 

セシリア

「【戦国龍】も使えますの?もしかして【ラインバレル】もですか?」

 

永遠

「モチロン使えるぞ。後は二次移行(セカンドシフト)出来る所かの。【ドットブラスライザー】と【ラインバレル】は出来んのじゃよ。」

 

真耶

「それって、あれ以上に強くなるって事ですか!?」

 

永遠

「そうなると思うぞ。これで全部じゃよ。」

 

千冬

「…確かに化け物を超えているかもな…単一仕様(ワンオフ・アビリティー)はどんなものか分からんが、二次移行(セカンドシフト)すればどうなるのか見当もつかん!」

 

セシリア

「あの、織斑先生、先ほど【戦国龍】が人と同じ動きが出来ると聞いた時、凄く驚いてましたが何故ですか?」

 

真耶

「そう言えばそうでしたね。」

 

千冬

「簡単だ。分かりきった事だがISは機械だ。特に手足は機械的な動きしか出来ない。だが【戦国龍】は人と同じ動きが出来る。つまりそれだけ無駄な動きが無いという事だ。」

 

永遠

「束さんもそう言っとったぞい。ちなみにワシがさっき使っとった【飛天御剣流】も【戦国龍】でなければ使えんのじゃよ。」

 

千冬

「そういえばそれも聞きたかった。あれはどこの流派だ?」

 

永遠

「アレも特典じゃよ。ただ、ワシは初めから使える様にはしてもらっとらん。」

 

セシリア

「どういう意味ですの?」

 

永遠

「ワシが望んだのは【飛天御剣流】を初めから使える体ではなく、【飛天御剣流】の習得できる方法なんじゃよ。」

 

千冬

「ちょっと待て!ならお前は自分の力だけであれらの技を使えるようになったのか!」

 

永遠

「そうじゃ。」

 

千冬

「…あれ程の技を自分一人でか…」

 

永遠

「…【飛天御剣流】の書物には最初に流派の理が書かれておった。『御剣の剣、即ち、時代時代の苦難から弱き人々を守ること』…とな。」

 

セシリア

「『苦難から弱き人々を守ること』…ですか…」

 

永遠

「ワシはこの理の様に偉そうに振舞うつもりは無い。じゃが、それでもワシの手の届く所にある者、大切な者を守る為にこの剣を使おうと決めとる。」

 

千冬

「守る為の剣か…」

 

永遠

「左様。じゃからワシは剣の鍛練に励み、数年かけて【飛天御剣流】を習得したんじゃよ。」

 

千冬

「火ノ兄…もし他の生徒達から【飛天御剣流】について聞かれたらどうする?」

 

永遠

「…そうじゃな…なら【飛天御剣流】はワシの家にあった秘伝書から習得した古流剣術と説明しておくかの。何故家にあったかは昔の事だから知らんと答えとけばよかろう。」

 

千冬

「それでいいだろ。」

 

永遠

「ちなみにじゃが、最後に使った技はワシが自分で編み出した技じゃ。」

 

千冬

「あれか…いくらなんでもあれはやり過ぎだ!下手したら織斑が死ぬところだぞ!」

 

永遠

「ISを纏ってたんじゃ。あの程度の威力では死なんよ。」

 

千冬

「オイ、どういう意味だ!まさか、あれで手加減したのか!?」

 

真耶

「ええぇぇーーっ!!」

 

永遠

「あれで3割程度の威力じゃよ。生身で使った時と比べれば全力より少し強い程度じゃ。」

 

セシリア

「あ、あれで3割ですの…」

 

千冬

「そうか…お前自身も規格外の存在だったのか…」

 

永遠

「どういう意味じゃい!」

 

千冬

「その通りの意味だ!」

 

永遠

「納得いかんぞ!」

 

千冬

「納得しろ!………そういえば忘れていた…火ノ兄、後でアリーナの穴を埋めておけよ!」

 

永遠

「無理矢理話を変えおって!」

 

千冬

「やっておけよ!」

 

永遠

「ぬぅ…穴を埋めればいいんか?………なら丁度いいかもしれんな。」

 

セシリア

「何がですか?」

 

永遠

「【戦国龍】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)じゃよ。それを使って埋めようと思うてな。」

 

千冬

「あの穴を埋められる能力なのか?」

 

永遠

「そうじゃ。何なら今からやってもいいぞい。」

 

千冬

「…なら頼む。ここでの話も粗方終わったからな。」

 

永遠

「んじゃ、アリーナに戻るかの。」

 

千冬

「そうだな………それと火ノ兄、もう一つ言っておく事があった。」

 

永遠

「何かの?」

 

千冬

「篠ノ之に気を付けろ。」

 

 …どういう事じゃ?

 

千冬

「アイツはお前の【戦国龍】を狙っているようだ。私も気を付けておくが、何を仕出かすか分からんから注意しておけ。」

 

永遠

「…あの娘は何を考えとるんじゃ?」

 

千冬

「自分こそが【戦国龍】に相応しい使い手だと思ってるんだろ。もしかしたら盗む位はやるかもしれない。」

 

永遠

「…ハァ…承知した。じゃが大丈夫じゃろ。そげな邪な考えを持っとるなら【戦国龍】の防衛機能が働くじゃろ。」

 

真耶

「何ですそれ?」

 

永遠

「ワシのISには防衛機能がついとってな。悪どい事を考えたもんが使おうとすると発動するん

じゃ。【戦国龍】の場合は死なんレベルで燃やされるんじゃよ。」

 

千冬

「随分物騒な機能だな。だが、燃やされた奴がいれば盗んだという証拠にもなるな。それに篠ノ之なら確実に燃やされるな。」

 

永遠

「そういう事じゃから、あまり気にせんでもいい。」

 

セシリア

「ですが、それでも危ないですわ。」

 

永遠

「大丈夫じゃよ。ワシも奪われるつもりは無いが、何なら一度燃やして、自分は使えないと分からせるのもいいかもしれん。」

 

千冬

「確かにそれはいい手だな。なら多少気に掛ける程度にするか。山田先生もそんな感じで頼みます。」

 

真耶

「いいんでしょうか?」

 

千冬

「私達がワザと盗ませる訳でもないですし、仮に篠ノ之が火ノ兄を襲ったとしてもコイツなら返り討ちに出来ます。」

 

真耶

「………ハァ、そうですね。分かりました。」

 

セシリア

「………」

 

永遠

「セシリア、さっき織斑先生が言うとったじゃろ。ワシなら返り討ちに出来るんじゃ。じゃから安心せい。」

 

セシリア

「…永遠さん…」

 

永遠

「大丈夫じゃ!!」

 

セシリア

「…はい♪」

 

永遠

「よし!…じゃあ、穴を塞ぎに行くかの。」

 

千冬

「フッ、そうだな。」

 

 何を笑っとるんじゃろこの人?

 

 ~永遠 Side out~

 

 




 次回『第041話:地神刀オオテンタ』


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。