まさか4桁まで行くとは思っても見ませんでした!!
これも皆さんのお陰です♪
これからも頑張っていきます!!
~簪 Side~
私はあれからずっと考えていた…
セシリアは言わなければ分からないと言った…だから、何時でも相談して良いと言ってくれた…
永遠は私が言うまで待ってくれると言った…その時は、何時でも力になると言ってくれた…
二人は本当に優しかった…家にいるより二人の傍にいる方が安心できると思った…
でも…永遠はそんな私の考えに気付いて突き放した…
その通りだ…二人は私の悩みを解決する手伝いをするとは言ったけど…私の居場所に…逃げ場所になるとは言っていなかった…
簪
「…逃げ場所か………私は永遠とセシリアと出会って二人の所に逃げようとしていたのかな…」
本音
「…かんちゃん…」
簪
「…本音…私…どうしたらいいのかな?」
本音
「私には分かんない…かんちゃんはどうしたいの?」
簪
「………」
どうしたいか?
本音
「ホントは分かってるんだよね?」
簪
「!?………うん…二人に全部話せばいいんだ…」
本音
「なら、言お!言って楽になっちゃお!」
簪
「…でも、話して二人に呆れられたら…下らないって言われたら…」
本音
「かんちゃん!!」
簪
「!?」
本音
「かんちゃん!ひののんもセッシーもそんな事言う人じゃないよ!」
簪
「ほ、本音!?」
本音
「二人ならかんちゃんの話を真面目に聞いてくれるし、下らないなんて言わないよ!かんちゃんと一緒に悩んでくれる!二人はそんな人だよ!!なのに何でそんな事言うの!!」
本音がこんなに声を荒げて私を叱るなんて初めてだった…
私を叱る本音の眼にはうっすらと涙が浮かんでいた…
本音はそれだけ二人を信頼していたんだ…だから私の言った事に怒ったんだ…
簪
「…ごめん…本音…私が馬鹿だった…」
本音
「かんちゃん…」
簪
「………決めたよ!…本音、明日の放課後二人に会いたいって伝えてくれる?」
本音
「じゃあ!」
簪
「うん!全部話す!だから…」
本音
「分かったよ♪任せておいて♪」
簪
「…ありがとう…本音…」
~簪 Side out~
~永遠 Side~
朝、教室に来ると本音が話しかけてきた…
本音
「ひののん、セッシー、今日の放課後だけど少しいいかな?」
永遠
「ワシは構わんぞ。」
セシリア
「わたくしも大丈夫ですわ。」
本音
「ホント!よかった~♪」
永遠
「………簪か?」
本音
「!?…うん…かんちゃんが全部話すって…」
永遠
「分かった。どこに行けばいい?」
本音
「整備室…そこで話すって。」
セシリア
「分かりましたわ。」
鈴
「一夏ああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!」
永遠
「な、何じゃ!?」
本音と話しとるといきなり鈴が怒鳴り声を上げて入ってきた
一夏
「な、何だよ鈴!昨日の続きか!」
鈴
「アレとは別よ!それと、昨日の事はまだ許してないからね!」
昨日の事…ワシが帰った後に何かあったんか?
永遠
「セシリア、本音…アイツまた何かしたんか?」
セシリア
「さあ…そういえば昨日の夜、織斑さんの部屋の方が騒がしかった気が…いつもの事ですので気にもしませんでしたが…」
本音
「そういえばそうだったね~。」
永遠
「…そん時に何かあったな………じゃが、鈴の用件は違うようじゃの?」
一体何しに来たんじゃ?
一夏
「じゃあ何だよ…こんな朝っぱらから!」
鈴
「アンタがホモって聞いたからよ!!」
一夏
「違あああああぁぁぁぁぁーーーーーうっ!!!」
何じゃその事か…
セシリア
「そういえば、鈴さんは昨日学園に来られたんですよね。でしたら知らないのも無理ありませんわね。」
本音
「そう言えばそうだね~♪」
永遠
「ワシ等にとっては今更じゃからな~。」
セシリア&本音
「はい(うん)。」
永遠
「あっちは放っとけばいい…本音、今日の放課後に整備室に行くと簪に伝えておいてくれ。」
本音
「うん!分かった~♪」
で、あちらはと言うと…
鈴
「いつから男に走ったのよ!!」
一夏
「だから俺はホモじゃ無いんだって!!」
…まだやっとった
この後、織斑先生が来て二人を出席簿でシバくまで続けておった…
~永遠 Side out~
~簪 Side~
簪
「そろそろ来る頃かな…」
私は整備室で永遠とセシリアが来るのを待っていた
本音から二人が来てくれると連絡があったときは嬉しいと思ったけど同時に怖かった
私の過去と、今していることを話してもそれでも手を貸してくれるのか不安で仕方なかった
簪
「…【打鉄弐式】…」
それは、私の目の前にある造りかけのISが原因でもあった…
簪
「………」
永遠
「待たせたかの?」
簪
「!?…永遠!セシリア!」
永遠
「何を驚いとるんじゃ?ワシらを呼んだのはお主じゃろ?」
簪
「う、うん…ごめん…ちょっとボーっとしてたから…」
セシリア
「大丈夫ですの?」
永遠
「日を改めてもいいんじゃぞ?」
…本当に優しいな………でも、それに甘えちゃ…いけないんだよね!
簪
「…大丈夫!来てくれてありがとう…」
永遠
「気にせんでいい…さて、早速聞かせてもらうかの…お主の悩みを?」
簪
「…う、うん…実はね………」
そして私は自分の事を話し始めた………
幼い頃から家の者達から優秀で明朗な姉と内気で臆病な自分を比較され続けて心が塞ぎ込んでしまった事…
姉に対して強いコンプレックスを抱いており、自分を卑下していた事…
それを払拭しようと勉学に励んでいたが、姉が家を継ぐと『無能のままでいろ』と言われた事…
代表候補生である、自分の専用機を倉持技研が開発を進めていたけど、織斑一夏の登場によって彼のデータ収集・解析を行う為に開発された【白式】に全ての技術者を取られてしまった事…
姉が自分の専用機を一人で作った事を知って、倉持から未完成で放置されていた【打鉄弐式】を譲り受け自分一人で現在制作していて行き詰っている事…
話せる事は全て話した…
簪
「…私の事情はこんな所………」
私が話している間、二人は真剣な表情を崩さずにずっと聞いていてくれた…
それだけで…とても嬉しかった…
永遠
「なるほどのぉ…簪、幾つか聞いてもいいかの?」
簪
「…うん…」
永遠
「まず、お主は織斑をどう思っとる?」
簪
「…織斑一夏を?」
永遠
「そうじゃ。政府の命令とはいえ、あやつの【白式】が原因でお主の【打鉄弐式】は放り出されたからの。織斑自身は関係無いとはいえ何か思う所はあるのかと思うてな。」
簪
「………少し前まではね、恨んでたんだ…でも、今は何とも思ってないよ。」
セシリア
「何故ですか?」
簪
「…この間の永遠の試合を見たから…あの時、永遠に手も足も出せずに追い詰められて…お説教をされても何一つ言い返せない…そんな彼の姿が凄く小さく見えたの…そう思ったら、彼に対して色々考えていた自分が酷く馬鹿馬鹿しく思えたの…そんな人の専用機が私のより優先されたと思うと、自分が情けなく感じたんだ…だから、彼に対して私はもう何も感じてないんだよ。」
永遠
「…そうか…あの時の試合がな~…何と言えば良いのか…」
簪
「…私は感謝してるよ。お陰でつまらない拘りが無くなったから。…だから…ありがとう。」
永遠
「素直に受けていいのか微妙じゃな…」
本音
「いいんじゃないかな~♪素直に受け取れば~♪」
永遠
「あのな~…」
簪
「…他に聞きたい事は?」
永遠
「そうじゃな………」
永遠はそう言って私の後ろにある【打鉄弐式】を見ていた
永遠
「簪…お主はこの機体を何故一人で造っておるんじゃ?」
簪
「え?」
永遠
「聞けば、本音や整備課の者が手伝おうとしても全て断っとるそうじゃな。何故そうまでして一人に拘るんじゃ?一人でいることが好きなんか?」
簪
「…ち、違う!?」
永遠
「では何故じゃ?…姉が一人で造ったからか?」
簪
「………うん…」
永遠
「じゃがな…お主が周りの協力を断り続けた結果、コイツは未だに完成しとらんのだぞ。」
簪
「うっ!?」
永遠
「簪…何故周りを頼らん?本音達を頼ろうとせんのじゃ?」
本音
「ひののん…」
永遠
「本音達はお主のやっとる事を邪魔しておるんか?嘲笑っておるんか?」
簪
「違う!本音も皆もそんな事する人達じゃない!!」
本音
「かんちゃん…」
永遠
「なら何故頼ろうとせん!頼る事がそんなに恥ずかしい事か!カッコ悪い事か!」
簪
「…それは…で、でも…お姉ちゃんが…」
永遠
「それがどうした!お主の姉は一人で造った!ただそれだけの事じゃろ!妹のお主まで同じ事をする必要がどこにある!!」
簪
「と、永遠…」
永遠
「…簪…お主はお主のやり方でやればいいんじゃ。姉が一人で造ったなら、お主は皆で造れば良いんじゃ。それは決して恥ずかしい事では無い。皆の力で最高の機体を造ればいいんじゃよ。」
簪
「…皆で…最高の…」
…永遠は私の頭を優しく撫でながら、さっきまでの力強い口調から優しい声音に変えながら、話し始めた…
永遠
「そうじゃ。いいか、簪…例え無能と言われようがそんなもん放っておけ。言いたい奴には言わせておけばいい。簪には簪の良い所が沢山ある。そうじゃろ、本音?」
本音
「うん♪かんちゃんには良い所がた~くさんあるよ♪」
セシリア
「そうですわ!むしろそれに気づかない方がおかしいのですわ!」
簪
「…永遠…本音…セシリア…う、ううっ…」
永遠
「簪?」
簪
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー………んっ!!!!」
永遠達の言葉が嬉しかった…
嬉しくて…とうとう私は我慢出来ずに泣き出してしまった
永遠の胸に飛び込んで今まで我慢していた物を全て吐き出すように…そのまま泣き続けた…
永遠
「簪………もう我慢せんでいい。好きなだけ泣くといい。」
簪
「うえええええぇぇぇぇぇーーーーん!!」
泣き続ける私を永遠は背中を摩りながらあやしてくれた…
セシリアも本音も何も言わずに見守ってくれていた…
~簪 Side out~
次回『第050話:家にご招待』