~束 Side~
ハロハロ!私は天災科学者の篠ノ之束さんだよ~♪
束さんは今、助手のクーちゃんとマイロケットで絶賛飛行中なんだ!…けどね…
束
「あ、あれ?」
クロエ
「束様!ロケットのコントロールが突然効かなく…」
束
「分かってるよ!一体なんで?」
そう、いきなりロケットがコントロール不能の状態になっちゃったんだよ!
束さんお手製のロケットに異常が起きるなんて信じられない!
クロエ
「た、束様!ダメです、墜落します!」
束
「クーちゃん!衝撃に備えて!」
ズドオオオオオォォォォォーーーーーン………!!
束&クロエ
「キャアアアアアァァァァァーーーーー………!!!」
~束 Side out~
~永遠 Side~
ズドオオオオオォォォォォーーーーーン………!!
永遠
「な、何じゃあああぁぁぁーーーっ」
島に何か落ちてきおったぞ!…向こうは西の海岸じゃな、とりあえず行ってみるか!
………
……
…
永遠
「何じゃこれは?」
墜落地点についたワシが最初に見たのは巨大な人参じゃった。
永遠
「人参?いや、人参型の乗り物かのぉ?…ん?」
ワシが人参に近づくと中から二人の女性が出てきおった!
二人とも気を失っておるが大きなケガはしておらんようで安心したが、それでも少なからずケガをしておった
永遠
「…このまま放っとく訳にもいかんか…」
ワシは一先ず二人を自分の家に連れて行く事にした。
~永遠 Side out~
~束 Side~
束
「う、う~~~ん…あれ?」
目を覚ました私の目に映ったのは見た事もない天井だった。
確か私は墜落するロケットの中にいたはずなのに。
束
「ハッ!クーちゃん!」
そうだ!クーちゃんはどこ!どこにいるの!
束
「クー…あっ、クーちゃん…」
クーちゃんは私の隣で眠っていた。
私は安堵すると同時にクーちゃんが手当てされているのに気付いた。
よく見ると私もそうだった。
束
「ここは、どこ?」
ガラッ
束
「誰だ!」
突然、扉が空いたからそっちを見るとお盆を持った男の子が入って来た。
永遠
「お!目を覚ましたようじゃの!…もう一人はまだみたいじゃな?」
束
「誰、お前?」
永遠
「お前とは失礼じゃな…お主達のケガの手当てをした者じゃよ。」
束
「………」グ~~~ッ「あっ!」///
永遠
「カカカッ!…ほれ、粥と茶じゃ。あまりうまくないかもしれんが腹に何か入れておくとよいぞ。」
束
「あ、ありがとう…」
差し出されたお粥を食べながら私は目の前の子供の事を考えていた。
束
「…ごちそう様…」
永遠
「ウム!お粗末様じゃ。」
変わった子だな?しゃべり方も何かジジ臭いし、一体何者なんだろ?
永遠
「ワシの名前は火ノ兄永遠という、お主の名は?」
束
「?…ねぇ、私の事知らないの?自分で言うのもなんだけど世界でもかなりの有名人なんだけどさ?」
幾ら子供とはいえ私の事を知らない人間がいるなんて…
永遠
「そうなのか?すまんがワシはこの島で9年間一人で暮らしておってな。テレビもラジオも無いからそういった事には疎いんじゃよ。」
束
「え?」
今この子は何て言った?
ここで9年間一人で暮らしている?
束
「ねえ、今一人で暮らしてるって君、家族は?…それに、ここはどこなの?」
永遠
「ここか?ここは火紋島と言ってな、ワシの先祖が代々所有しておる島じゃよ。ワシの家族は5つの時に事故で亡くなってしまってな、他に親戚もおらんからそれ以来ここで暮らしとるんじゃよ。」
束
「5つって!5才で島で一人で生きてきたの!」
永遠
「そうじゃよ。それでスマンが名を教えてくれんかのぉ?」
束
「えっ!あ、そうだったね。私は篠ノ之束!天災科学者の篠ノ之束さんだよ~!ブイブイ!」
永遠
「篠ノ之束?…もしやISを作ったというあの篠ノ之束博士かのぉ?」
束
「およ!束さんの名前は知ってたんだね!」
なんだ、知らなかったのは顔だけなんだ…
永遠
「まぁ名前くらいしか知らんがな…それで、なんでその天災が人参に乗って島の海岸に突き刺さっとったんじゃ?」
束
「…それが良く分からないんだよ。いきなりロケットのコントロールが効かなくなって、そのままこの島に墜落したみたいなんだ。」
ほんと、訳が分からないよ!
あ、そうだ!
束
「ところでさ、君は私達をどうするの?」
永遠
「?…どうとは?」
束
「警察にでも突き出すのかって聞いてるんだよ?」
永遠
「………は?なんで?」
束
「なんでって束さんの名前を知ってるなら私達が世界中から追われてるのは知ってるでしょ!」
永遠
「…ああ、そういうことか!」
もしかして気づいてなかった?だとしたらミスったかも…
永遠
「心配せんでもそげな事はせんぞい。そのつもりならわざわざ家まで運んで手当なんぞせんわい!違うかのぉ?」
言われてみればそうだ…でも…
束
「じゃあ何が目的なの?」
他に理由がある筈だと思っていたのに…
永遠
「目的なんぞ無いわい!ただ目の前でケガをしていたから助けた。それだけじゃよ!」
束
「え!?それだけ?」
永遠
「それだけじゃよ。…いや、他にあるとしたら…」
やっぱり!何か目的があるんだ!
永遠
「少し話し相手になって欲しかったくらいかのぉ。」
束
「ハァ?話って…」
この子何言ってんの?
永遠
「さっきも言うたがワシはここで一人で暮らしとる。まぁ偶に近くの港町に行く時はそこの人達とよく話をするんじゃがな。この島で気軽に話をしたことは無いんじゃよ。」
束
「そうなんだ。」
永遠
「まぁすぐに出て行くというなら止めはせんが、お主らのロケットは動くのかのぉ?」
束
「………あ!」
そうだった!急いで修理しないと!
束
「忘れてた!ねぇ、束さんのロケットはどこにあるの?」
永遠
「墜落した海岸にそのままじゃ。…動けるなら案内するが?」
束
「このくらいどうって事ないよ!案内して!」
永遠
「分かった。ついてきんさい。」
私はそのまま彼について行った。
けど、残したクーちゃんがこの家で見つけたトンでもない物と、彼の正体を聞いた時は本当に驚いた!
そして、彼が私の夢を一気に近づけてくれるなんて思いもよらなかった。
~束 Side out~
次回『第003話:兎悩む』