IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

71 / 155
第067話:第3の鬼

 ~千冬 Side~

 

 束の物らしき人参ロケットから出て来た少女はいきなり火ノ兄に抱き着いた

 それにしてもこの娘…ラウラにそっくりじゃないか!

 

永遠

「クロエ!?」

 

千冬

「お前の知り合いか?」

 

永遠

「うむ…この娘はクロエ・クロニクル。…ワシの義理の妹じゃよ。」

 

クロエ

「はい♪クロエ・クロニクルです。いつも兄様がお世話になっています♪」

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

千冬

「義妹だと!?」

 

永遠

「そうじゃ…(この娘は束さんの助手じゃ。)」

 

千冬

「(何!?…だから束のロケットを使えたのか!…しかしこの娘…ボーデヴィッヒにそっくりだな………さっきお前が言っていた知り合いと言うのはコイツの事か?)」

 

永遠

「(そういう事じゃ。)…で、何故にお主がココに?」

 

クロエ

「はい!兄様にプレゼントとお届け物を持ってきました♪」

 

永遠

「プレゼント?届け物?」

 

クロエ

「はい♪まずはコレをお渡ししますね。」

 

 そう言って火ノ兄に一振りの刀を渡した

 

永遠

「ぬ!【ラインバレル】!もういいんか?」

 

クロエ

「はい♪もう十分なデータが取れましたのでお返ししますね♪」

 

千冬

「…それが【ラインバレル】の待機状態か…しかしお前のISは何故揃いも揃って待機状態が刀なんだ?」

 

永遠

「知らん!!」

 

一夏

「あ、あの千冬姉…その【ライン】何とかって一体?」

 

千冬

「織斑先生だ!…【ラインバレル】は火ノ兄の3体目のISの事だ。」

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

一夏

「さ、3体目!?まだ持ってたのか!?」

 

シャルル

「ちょ、ちょっと持ってよ!それってどういう事ですか!一人の人間がISを3機も持ってるって言うの!?」

 

セシリア

「そうですわ。永遠さんは全部で3機のISを所有してますの。」

 

ラウラ

「一人で…3機だと!?」

 

「その最後の機体が【ラインバレル】よ。」

 

一夏

「お前達知ってたのか!?」

 

セシリア

「ええ。他には本音さんと4組の更識簪さんも知ってますわ。」

 

「つまり学園にいる人間で3体目の事を知ってたのは私達6人だけよ。と言っても、私と本音と簪が【ラインバレル】の事を知ったのは1カ月ほど前だけどね。それ以前に生徒で知ってたのはセシリアだけよ。」

 

一夏

「そ、そうなんだ…」

 

 まあ普通は驚くだろうな…ISを2機持っているだけでも驚く事なのにそれが3機となればな…

 その上、ISは467個のコアの数までしか無い…コイツ等はその内の3つを所持していると思っているだろうからな…

 だが、実際は火ノ兄の機体のコアは神が造った物だからその中には入らないんだが…

 私や束、オルコット達、一部の火ノ兄の正体を知る者達しか知らない事だからな…

 何も知らんコイツ等からすれば信じられない事なんだろう…言うつもりは無いが…

 

 ~千冬 Side out~

 

 

 

 ~セシリア Side~

 

 遂に【ラインバレル】が永遠さんの手に戻ってきましたか…

 しかし、クロエさんのプレゼントと言うのは何でしょうか?

 

永遠

「それでプレゼントとは何じゃ?」

 

クロエ

「はい♪こちらが私の本命!永遠兄様の為に作り上げた【戦国龍】専用の射撃武器!その名も【種子島】で~す!!!」

 

 クロエさんがそう言うとロケットのハッチが開いて中から1丁の銃、いえ、ライフルが出てきました

 

永遠

「…【種子島】…確かに火縄銃みたいな銃じゃな…」

 

セシリア

「…これは…両手銃ですわね?」

 

クロエ

「はい♪」

 

「ふざけるな!!」

 

永遠

「ん?」

 

 突然篠ノ之さんが怒鳴り声を上げましたが…ふざけるなって、クロエさんはふざける様な事は何もしていませんが…

 

「射撃武器だと!【戦国龍】にそんなもの必要無い!!今すぐ持って帰れ!!」

 

「アンタ何言ってんの?」

 

千冬

「篠ノ之…何故お前がそんな事を言う?【戦国龍】は火ノ兄の専用機だ。どんな武装を積もうと火ノ兄の自由だ。」

 

「そ、それは…」

 

千冬

「何故お前の許可を貰う必要がある?お前が何を考えてるのかは知らんが【種子島】はクロニクルがわざわざ火ノ兄の為に造った物だ。それをお前の訳の分からない妄言で貶すな!お前は黙っていろ!また懲罰房に行きたいのか?」

 

「ぐぐっ…」

 

千冬

「スマンなクロニクル…そこの馬鹿は無視してくれ。」

 

クロエ

「いえ気にしてません。」

 

セシリア

「(永遠さん…織斑先生…)」

 

永遠

「(大方【戦国龍】に銃は相応しくないとでも思っとるんじゃろ。)」

 

千冬

「(ああ、自分の物と決めつけているなアイツ。)」

 

永遠

「(…傍迷惑な奴じゃ…)」

 

セシリア&千冬

「(本当ですわ(だな)…)」

 

クロエ

「兄様どうかなさいましたか?」

 

永遠

「いや、何でもない…クロエ、これはどういった武器何じゃ?」

 

クロエ

「はい♪この【種子島】はビームと実弾の2種類の射撃が出来ます。実弾の方は6連装のシリンダーになっています。弾丸は通常のISと同じ物を使えますが、私特製の徹甲弾も装填出来ますよ♪」

 

シャルル

「ビーム!!」

 

「徹甲弾ですって!!」

 

一夏

「ど、どうしたんだよ!?」

 

真耶

「いいですか?…今、世界のどの国でもレーザーやレールガンの開発が精一杯なんです。ビーム兵器はその上を行く武装ですが、未だに開発の目途すら立っていないんです。そして、徹甲弾は戦艦の装甲すら貫通する危険な弾丸です。それを搭載しているんですから驚いて当然です。」

 

一夏

「な!?そんなもん使っていいのか!?」

 

千冬

「…確かにそうだな…ビームはともかく徹甲弾はマズイな………クロニクル、スマンが弾丸の方は持って帰って貰えるか?流石に危険すぎる。」

 

クロエ

「…そうですか…分かりました…」

 

永遠

「………織斑先生、この徹甲弾、1発だけ持っといてもいいかの?折角作ってくれたもんじゃからな、1発でも持っときたいんじゃよ。」

 

クロエ

「に、兄様!」

 

千冬

「…そうだな…1発位ならいいだろう。…ついでに火ノ兄、【戦国龍】を展開しろ。【種子島】の試し撃ちと徹甲弾の威力を見ておきたい。」

 

永遠

「分かった。」

 

 返事をすると永遠さんは【戦国龍】を展開しました

 

<オオオォォォーーーンッ!!!>

 

 その姿を見てデュノアさんとボーデヴィッヒさんの二人はまた驚いていますわね

 

シャルル

「な、何この機体!?」

 

ラウラ

全身装甲(フルスキン)のドラッヘだと!?」

 

真耶

「これが火ノ兄君のISの一つ【戦国龍】です。」

 

シャルル

「【戦国龍】…」

 

真耶

「ちなみに火ノ兄君のISは全て全身装甲(フルスキン)ですよ。」

 

シャルル

「全てって…3機全部ですか!?」

 

千冬

「そうだ。…火ノ兄、まずはビームの方を撃ってみろ。」

 

永遠

「あいよ!」

 

 永遠さんは【種子島】を構えると上空に向けて撃ちました

 

 ドギュゥーーンッ!! 

 

セシリア

「…これがビーム兵器ですか。わたくしの【スターライト】のレーザーより遥かに高い威力ですわね。」

 

永遠

「…これでも威力を7割に抑えたんじゃぞ。」

 

シャルル

「これで7割!!」

 

ラウラ

「チッ!!」

 

千冬

「次は徹甲弾だ。」

 

永遠

「うむ!」

 

 ドンッ!!

 

 永遠さんは先程と同じように上空に向けて撃ったのですが…

 

 バリイィィンッ!!

 

永遠

「あ!?」

 

千冬

「アリーナのバリアを…」

 

真耶

「…貫通した!」

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

 まさか貫通するなんて…

 

永遠

「…クロエ………やり過ぎじゃ…」

 

千冬

「これは試合では使えん!相手を殺してしまうぞ!」

 

クロエ

「そんな~…」

 

永遠

「やはり弾丸は1発で十分じゃ。残りは持って帰ってくれ。」

 

クロエ

「…はい…」

 

永遠

「スマンな…じゃが、この銃は気に入ったぞ。大事に使わせて貰うぞい!」

 

 永遠さんはそう言うと【種子島】を腰に固定して【戦国龍】を解除しました

 

クロエ

「本当ですか♪」

 

永遠

「うむ!感謝しとるよ。」

 

 嬉しそうに笑うクロエさんの頭を永遠さんは優しく撫でていました

 

千冬

「ああして見ると本当の兄妹みたいだな。」

 

セシリア

「…織斑先生、クロエさんの方が年が一つ上ですわよ。」

 

千冬

「………は?年上だと?」

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

千冬

「年上なのに何で妹と名乗ってるんだ!?」

 

セシリア

「…何でもその方がいいらしいですわ。永遠さんもそれでいいそうですからわたくし達も気にしないようにしてますの。」

 

「はい。」

 

本音

「そうで~す♪」

 

千冬

「何を考えてるんだコイツ等は…」

 

 まあ永遠さん達ですからね…

 

永遠

「………ところでクロエ…さっきから気になっとる事があるんじゃが?」

 

クロエ

「何ですか?」

 

永遠

「お主…何日寝とらん?…眼の下のクマが凄い事になっとるぞ…」

 

 そう言えばわたくしも気になってましたわね…

 

千冬

「…てっきりこんな顔だと思ったが?」

 

セシリア

「そんな訳無いでしょう!?」

 

クロエ

「大体一週間くらいですね。でもこの程度平気ですよ♪」

 

「アンタどう見ても平気じゃないでしょ!?」

 

本音

「性格変わってるよ~…」

 

千冬

「そうなのか?」

 

セシリア

「はい…ココに来てからのクロエさん…テンションが異常に高いんです…」

 

永遠

「普段のこやつはもっと大人しいからの…」

 

千冬

「………なるほど…七徹もすると、こんな風になるのか…」

 

永遠

「全く、あれだけ睡眠は取れと言うといたのに…説教と言いたいが今は寝かせる方が先じゃな…クロエ、お主もう帰って寝とれ!!」

 

クロエ

「え~~~!い~や~で~す~!久しぶりに会えたのに~~~!?」

 

 やっぱり性格変わってますわね…

 

永遠

「いいから寝とれ!!」

 

 ゴンッ!

 

クロエ

「アタッ…きゅ~~~…」

 

一夏

「お、おい…いくら何でも殴って気絶させる事無いだろ!」

 

千冬

「いや、こうでもしないとコイツは帰らないし眠りもしないだろうからな。」

 

永遠

「そういう事じゃ。セシリア、鈴、本音、スマンがクロエを見といてくれ。目を覚ましたらもう1発殴っても構わん!」

 

セシリア&本音&鈴

「は~い!」

 

 永遠さんはわたくし達にクロエさんを預けるとロケットの中に入っていきました

 暫くすると出て来たのですが…

 気絶したクロエさんを連れて中に戻って行きました

 再び出てくると、ハッチを閉めました

 するとロケットは動き出してそのまま飛んで行ってしまいました

 

永遠

「これで良し!!」

 

セシリア

「何処に飛んで行ったんですか?」

 

永遠

「ワシの島に飛んで行くように設定しといたわい!」

 

千冬

「そうか…(束には連絡したのか?)」

 

永遠

「(うむ、ロケットの中でな…着いたらクロエを寝かせておく様に頼んである。)」

 

セシリア

「(よかったですわ。)」

 

「(あのままじゃマジでやばそうだったしね…)」

 

本音

「(うんうん!)」

 

一夏

「何ヒソヒソ話してるんだ?」

 

千冬

「何でも無い!」

 

 他の人達に聞かれると面倒ですからね…

 

 ~セシリア Side out~

 

 

 

 ~一夏 Side~

 

 火ノ兄の妹がやって来るっていうハプニングがあったけど…

 

千冬

「さて、授業の続きを始めるか。え~と…火ノ兄と山田先生達による模範演技だったな。」

 

 …千冬姉が授業を再開した

 

永遠

「…ワシはどれを使えばいいんじゃ?」

 

千冬

「そうだな………なら【ラインバレル】を使え!」

 

永遠

「コイツをか?」

 

千冬

「ああ、ついでにデータを取る。」

 

セシリア&鈴

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

一夏

「うおっ!?ど、どうしたんだよ二人とも?」

 

「織斑先生それだけはやめて下さい!【ラインバレル】が相手だと心が折れます!!」

 

セシリア

「そうです!絶対勝てません!!」

 

真耶

「あの~私も【ラインバレル】が相手と言うのは~…」

 

 山田先生までそんな事言うなんて…

 

一夏

「な、何なんだよ!オルコットや山田先生まで…【ラインバレル】って何なんだよ!?」

 

千冬

「お前達の気持ちも分かるが【ラインバレル】のデータを取る為だ。悪いが犠牲になってくれ。」

 

セシリア&鈴&真耶

「いやああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」

 

「生贄なら一夏だけにして下さい!」

 

一夏

「オイこらどういう意味だ!」

 

永遠

「生贄ってなんじゃ!いくらなんでも印象が悪すぎるぞい!!」

 

セシリア

「いえ…あながち間違って無い気が…」

 

「あの見た目ならね~…」

 

真耶

「そんなに怖い姿なんですか?」

 

セシリア

「そこまで怖いという訳ではないんですが…」

 

「見た目の印象に生贄って言葉がピッタリなんですよ…」

 

永遠

「やめんかお主等!大体織斑なんぞが生贄になる訳無かろう!」

 

一夏

「お前もどういう意味だ!!」

 

永遠

「生贄には若い女子と相場が決まっとろうが。マダオなんぞ要らんと言うとるんじゃ!のし付けて返すわい!」

 

一夏

「マダオって呼ぶなあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」

 

シャルル

「何なのマダオって?」

 

一夏

「知らなくていいから!聞かないでくれ!」

 

シャルル

「う、うん…分かったよ…」

 

千冬

「お前達、コントもそのくらいにしておけ。」

 

 千冬姉…いくら何でもコントは無いだろ…

 

千冬

「さて火ノ兄、【ラインバレル】を展開して貰おうか!」

 

永遠

「あいよ~…」

 

 火ノ兄は刀を地面に突き刺すとその場で1回転して他の2機の様に地面に円を描いた

 そして、今迄と同じように光が火ノ兄を包み込んだ

 光の中から現れたのは【ドットブラスライザー】と同じ白い全身装甲(フルスキン)のISだった

 けど、この見た目って…

 

 ザワザワ…

 

一夏

「お、鬼!?」

 

千冬

「…これが【ラインバレル】か………二本の角、牙の様な口に、左三つ巴…なるほど鬼の様な姿だな…」

 

セシリア

「はい…」

 

シャルル

「…白い…鬼…」

 

真耶

「確かに鬼と生贄って合いますね…」

 

「でしょ…」

 

永遠

「確かに【ラインバレル】は見た目は鬼じゃが…生贄は酷いぞい!」

 

千冬

「その話はもういい!いい加減模範演技を始めるぞ!」

 

セシリア&鈴&一夏&山田

「はい!」

 

永遠

「織斑先生、始める前に他の者達と観客席に移動してくれんか?」

 

千冬

「…分かった。ついでにバリアの強度も上げておく。」

 

 そう言えばバリアって強化したんだっけ…今迄は強化前の状態だったのか

 千冬姉は火ノ兄の頼みを聞いて皆と観客席に移動していった

 全員の移動が終わると…

 

千冬

「よし!………それでは…始め!!」

 

 ドンッ!!!!

 

 千冬姉が試合開始の合図を上げると同時に全員が飛び上がった

 

一夏

「…え?」

 

 俺以外…

 

千冬

「何をボケッとしている!初めろと言ったぞ!!」

 

一夏

「あ!…ま、待ってくれ!」

 

 俺は急いで上空に飛び上がった…

 鈴達は遅れた俺を呆れた顔をして待っていた…

 ………恥ずかしい…///

 

 ~一夏 Side out~

 

 




 次回『第068話:模範演技【ラインバレルVS蒼い雫&甲龍&白式&疾風の再誕】』


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。