IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第070話:二振りの青の剣刃(つるぎ)

 ~千冬 Side~

 

一夏

「も、持ってきました…」

 

千冬

「ご苦労!」

 

 一夏は私の指示した通り、ブレードを数本持ってきた

 私は地面に突き刺してある【大倶梨伽羅(おおくりから)】とブレードを交互に見てどうするか考えていた

 

千冬

「………山田先生、ブレードでこの刀を斬り付けてください。」

 

真耶

「え!いいんですか!?」

 

千冬

「一番手っ取り早い方法です。火ノ兄構わんよな?」

 

永遠

「構わんぞ。」

 

真耶

「でも何で私がやるんですか?造った火ノ兄君がやれば…」

 

千冬

「火ノ兄では力が強すぎて破壊する可能性がある。それに専用機より量産型の【ラファール】の方が分かり易いからな。」

 

真耶

「な、なるほど…分かりました。………では、行きます!!」

 

 山田先生はブレードを構えると、横薙ぎに斬りかかった

 

 ガキイィィン!…ピシッ!

 

真耶

「え?」

 

 バキイィン!

 

千冬&真耶

「あ!?」

 

 ブレードが…折れた!?

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

一夏

「お、折れた!?どういう事だよ!?」

 

千冬

「…【ラファール】で斬り付けて逆に折るとは…まさかここまでの切れ味と頑丈さとはな…」

 

永遠

「…で?この刀どうするんじゃ?」

 

千冬

「どうするもこうするもこれはお前が造った物だ。お前の好きにすればいい。」

 

永遠

「さよか。…どうするかの~?…正直これ以上持っとってもな~…」

 

 まあ、コイツは刀だったら【六道剣(りくどうけん)】があるから今更必要も無いか…

 

真耶

「恐らく、これを持っていれば専用機を持つ事と同じ意味になりますよ。」

 

 専用機と同じ意味…あ!そうだ!

 

千冬

「火ノ兄、スマンがもう1本造ってくれないか?出来ればこれとは違う奴をな。」

 

永遠

「なぬ?何故じゃ?」

 

千冬

「お前も知っているだろうがもうすぐ学年別個人トーナメントが開かれる。その時の優勝賞品にしようかと思ってな。」

 

生徒達

「ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

 

真耶

「なるほど!これなら賞品として申し分ないですね!」

 

永遠

「じゃがいいんか?勝手にそげな事決めて?」

 

千冬

「だからもう1本造ってほしいんだ!学園長や他の教師達にも見せて決めようと思う。」

 

永遠

「………よかろ!ただし条件がある!」

 

千冬

「聞こう。」

 

永遠

「今からもう1本造るがそれは後で返してほしい。賞品用の刀は許可が下りた時に改めて造る。どうじゃ?」

 

千冬

「…いいだろう!お前の言う事ももっともだ。その条件を飲もう。」

 

真耶

「ところで今から造るのとあの刀、結局どうするんですか?」

 

永遠

「そうじゃな~…ワシには必要無いから誰かにやるかの。」

 

千冬

「やるって…まあお前が造った物だから好きにすればいいが…。誰にやるつもりだ?」

 

永遠

「う~ん…そうさの~………織斑!!」

 

一夏

「え?………俺?」

 

 一夏だと!?

 

永遠

「お主以外に織斑何ちゅう名字の生徒がおるんか?」

 

一夏

「いえ、いません…」

 

永遠

「この【大倶梨伽羅(おおくりから)】はお前にやる。」

 

一夏

「お、俺に!?いいのか!?」

 

永遠

「勘違いするでない!善意でやる訳ではない!貴様のその根性と性格を叩き直す為にコイツをやるんじゃ!」

 

一夏

「…え?」

 

永遠

「先に言うておくが、今のお主にはこの刀は使いこなせん!せいぜい5割程度じゃろう。」

 

一夏

「ご、5割!?」

 

永遠

「織斑先生もこれを賞品に考えておるなら覚えとくんじゃぞ。ワシが造る刀は【六道剣(りくどうけん)】の様な能力付きの剣じゃ。故に完全に使いこなすのは難しいぞい。」

 

千冬

「【六道剣(りくどうけん)】って…あんな物を造れる様になったのか…」

 

永遠

「まあ、あの6本に比べると能力は劣ってしまうようじゃが。」

 

千冬

「当り前だ!あんな自然災害を起こすような刀、そう何本も造られて堪るか!!」

 

生徒達

「ウンウン!!」

 

 【六道剣(りくどうけん)】を知っている1組の連中は私の言葉に激しく同意してるな

 物凄い勢いで首を縦に振っている

 と言っても今日転校してきたデュノアとボーデヴィッヒの二人は分かって無い顔をしているが

 

セシリア

「ですが永遠さんはその【六道剣(りくどうけん)】を全て使いこなしておりますわよ?」

 

 そう言えばコイツはあの6本の刀の力を全て使えていたな

 

永遠

「ワシが使いこなせるんはここに来る前から【戦国龍】で鍛練に励んどったからじゃ。」

 

「そういう事か…」

 

永遠

「話が逸れたの。つまりじゃ織斑、コイツを使いこなせる様になればその鈍感で無神経な性格も多少はマシになるじゃろうと言うとるんじゃ!」

 

一夏

「うぐっ…な、何で…」

 

永遠

「ワシの刀を使いこなすには体だけでは無い。心と技も鍛えんといかん。それが出来ん限りコイツは只のナマクラにしかすぎん!」

 

千冬

「そういう事か。確かに今の織斑には使いこなせんな。そして使える様になれば心身共に鍛え上げられコイツの性根もマシになっているという事だな。」

 

永遠

「さよう。…で、どうする織斑?この【大倶梨伽羅(おおくりから)】…受け取るんか?いらんのなら別の者に渡すが?」

 

一夏

「………それを使いこなせれば…守れる男になれるのか?」

 

永遠

「知らん。それはお主次第じゃ。何でも人に聞くな!自分の事じゃろうが!」

 

一夏

「!?…そう、だな…」

 

 …鈴の事をまだ引き摺ってるのかコイツは?

 

一夏

「俺次第か…分かった!その刀…【大倶梨伽羅(おおくりから)】を俺に譲ってくれ!頼む!」

 

永遠

「よかろう。今からコイツはお主の刀じゃ。それと、最後に言うておくぞ。コイツを名刀にするかナマクラにするか…それは今後の貴様の成長次第じゃ。それを肝に銘じておけ!!」

 

一夏

「はい!!」

 

 名刀になるかナマクラになるかは自分次第か…その通りだな…

 

「…アレ?そう言えば【白式】って拡張領域(バススロット)に空きが無いんじゃなかった?」

 

一夏

「あ!」

 

永遠

「んなもん倉庫に置いとけばよかろう。」

 

一夏

「でももし盗まれたりしたら…」

 

永遠

「【白式】の武装として登録しとれば他のISでは使えん。登録するだけなら問題なかろう。」

 

千冬

「そうだな。織斑、その刀は後で登録しておけよ。その後はキチンと管理しておけ。」

 

一夏

「は、はい!」

 

永遠

「では早速もう1本造るかの。…時に授業はどうすればいいかの?」

 

 そう言えばそうだったな…

 

千冬

「お前はやらなくていい。今からするのはISの歩行練習だ。グループリーダーが一人減った所で問題ない。」

 

永遠

「分かった…後、材料として織斑の持ってきたブレードを1本使わせて貰うぞい。」

 

千冬

「ああ、好きに使え。」

 

永遠

「んむ!さて…行くぞ【戦国龍】!」

 

 火ノ兄は【戦国龍】を展開してさっきと同じ道具を出して作業を始めた

 

 ~千冬 Side out~

 

 

 

 ~一夏 Side~

 

 カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…

 

一夏

「………え~っと…それじゃあ次の子…」

 

生徒

「………」

 

 今俺達はISの乗り降りと歩行訓練をしてるんだけど…

 

 カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…

 

一夏

「あの~…」

 

生徒

「…あっ!ご、ごめん私の番だね!?」

 

一夏

「あ、うん…気になるのは分かるけど………」

 

 火ノ兄の作業が気になってみんな集中できてないんだよな~…

 他の班も同じ感じだし…

 かく言う俺も火ノ兄が次はどんな物を造るのかが気になってるんだよな~…

 

千冬

「お前達!!授業に集中しろ!!全員補習にするぞ!!!」

 

生徒達

「は、はい!!!」

 

 とうとう千冬姉がキレたか…

 けど、そう言われてもな~…

 

 カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…

 

 この音がどうしても気になるんだよな~…

 

 カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…カンッ…

 

一夏

「…はぁ…次の人………って箒か。」

 

「………」

 

一夏

「箒…オイ箒!!」

 

「!?」

 

一夏

「次はお前だぞ。早くしろ。」

 

「あ、ああ…すまない………ん?」

 

一夏

「どうし…あっ!」

 

 【打鉄】が立ったままになってる…

 前の子が立ったまま解除したのか…

 

「どうするんだ?」

 

一夏

「…仕方ない………捕まってろ。」

 

「え?きゃっ!!」

 

 俺は箒を抱きかかえて【打鉄】まで運ぶ事にした

 

「………」///

 

一夏

「着いたぞ。乗り移って起動。次に歩行だ。」

 

「あ、ああ…分かった。………なあ一夏、今日の昼食…一緒に取らないか?」

 

一夏

「おお、いいぞ。」

 

「なら屋上で食べよう!いいな!後購買で何も買って来るんじゃないぞ!」

 

一夏

「あ、ああ分かった。」

 

 何をそんなに必死になってるんだ?

 

千冬

「お前達…授業中に昼食の話か?随分と余裕だな?」

 

一夏

「あ!?す、すみません!!」

 

「あ、あの…これは…」

 

千冬

「真面目にやれ!!!」

 

 カンッ…ガンッ…ガンッ…カンッ…カンッ…

 

一夏&箒

「ぐうぅぅ~~…」

 

真耶

「今、音が少しおかしかったような…」

 

 俺達を殴った音が混ざったんだよ…痛い…

 

 ジュオオオオオオォォォォォォーーーーーーーッ!!!!

 

一夏

「この音は!!」

 

千冬

「出来たか!!」

 

 ザワザワ…

 

 皆この音に反応していた…今度はどんな刀が出来たんだろ?

 

 ~一夏 Side out~

 

 

 

 ~セシリア Side~

 

永遠

「ふぅ~~~…出来たぞい!」

 

 そう言う永遠さん右手には先程と同じ様に一振りの刀が握られていました

 

セシリア

「あら?…あの形は…」

 

「刀と言うより剣ね?」

 

千冬

「そうだな。」

 

 他の方達も同じ意見の様ですわね

 

千冬

「火ノ兄、それが新しい刀?…か…」

 

 疑問形になってますわね…まああの形ですから仕方ないですわね…

 

永遠

「うむ!…それと、ワシの造った物はこれから【剣刃(つるぎ)】と呼んでくれ。」

 

セシリア

「【剣刃(つるぎ)】ですか?」

 

千冬

「呼び方を統一する訳か。分かった。これからはそう呼ぼう。…それで、それが新しく出来た【剣刃(つるぎ)】か?」

 

永遠

「そうじゃ!名を【蒼海の大剣メイルシュトロム】じゃ!!」

 

 永遠さんは名前を言うと剣を地面に刺して【戦国龍】を解除しました

 わたくし達は永遠さんが造った剣【蒼海の大剣メイルシュトロム】を見つめていました

 【大倶梨伽羅(おおくりから)】と同じ、青を基調としたその剣の刀身には渦巻きの様な螺旋の模様があり、柄の先には黒い鎖が繋がれており、その鎖の先には銀色の錨の様な物がついていました

 

セシリア

「【蒼海の大剣メイルシュトロム】…」

 

「【大倶梨伽羅(おおくりから)】より大きいわね。」

 

シャルル

「大剣って名前の通りだね。」

 

セシリア

「そうですわね。」

 

永遠

「コイツは【大倶梨伽羅(おおくりから)】と同じ青の【剣刃(つるぎ)】じゃ!」

 

千冬

「青?…もしかして、お前が造った【剣刃(つるぎ)】は【六道剣(りくどうけん)】と同じ属性を持っているのか?」

 

永遠

「そうじゃ。」

 

セシリア

「青と言う事は…【水覇刀ジュズマル】ですわね。」

 

一夏

「あの水害を起こす奴か…」

 

シャルル

「あの…さっきから言ってる【六道剣(りくどうけん)】って何なの?それに自然災害とか水害とかどういう事なの?」

 

一夏

「ああ、それはな…あの【戦国龍】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)が【六道剣(りくどうけん)】って言う6本の刀を呼ぶ能力何だけど…それ全部が自然災害を起こせるんだよ。」

 

シャルル

「え?」

 

真耶

「その中の1本【水覇刀ジュズマル】は水を操れるんですけど…火ノ兄君が言うには津波や渦を作り出せるんですよ。」

 

シャルル

「…津波?…渦?…えええぇぇぇーーーっ!!!」

 

 やはり驚きますわよね…

 

シャルル

「じゃ、じゃあコレもそんな事が出来るの!?」

 

永遠

「出来んぞ。」

 

全員

「え?」

 

永遠

「さっきも言うたじゃろ?ワシが造った【剣刃(つるぎ)】は【六道剣(りくどうけん)】より劣ると。【メイルシュトロム】も【大倶梨伽羅(おおくりから)】もそこまでの力は無いわい。」

 

シャルル

「そ、そっか…よかった…」

 

永遠

「さて織斑先生、注文通り1本造ったぞい。後で返すんじゃぞ。」

 

千冬

「ああ、分かっている。…所でコレは誰に渡すつもりだ?」

 

全員

「………」

 

 皆さんそれが気なっていますわね…

 専用機が手に入る様なものですからね…

 

永遠

「セシリア。」

 

 一体誰に渡すんでしょう?

 

永遠

「セシリア!」

 

セシリア

「ひゃい!?…え?…わたくし?」

 

永遠

「そうじゃ!さっきから呼んどるじゃろ?」

 

セシリア

「すみません…」

 

永遠

「この【蒼海の大剣メイルシュトロム】はお主に託す!」

 

セシリア

「わ、わたくしに…」

 

永遠

「うむ!お主の近接武器は短剣1本だけじゃからな、ライフルで殴るよりこっちの方がやり易かろう。それに【メイルシュトロム】ならお主の【ブルー・ティアーズ】とも色が合うからピッタリじゃよ。」

 

セシリア

「永遠さん………ありがとうございます!大切に使わせていただきますわ!」

 

永遠

「ああ、お主なら織斑と違ってすぐに使いこなせるじゃろ。」

 

「いいな~…セシリア…」

 

永遠

「ん?何ならお主のも造ろうか?」

 

「ホント!?」

 

永遠

「うむ、簪の分と一緒に造ろうと考えておったからな。」

 

「サンキュー♪」

 

永遠

「ただ、造るのは今度にして貰うぞ。さすがに今日はもう疲れたんでな。」

 

「造ってくれるなら私はいつでもいいわよ♪」

 

千冬

「火ノ兄、そう簡単に安請け合いで造っていいのか?」

 

永遠

「心配せんでも造るんは鈴と簪の二人の分だけじゃよ。それが出来れば当分は賞品用の分以外は頼まれても造らんわい。」

 

「!?」

 

千冬

「ならいい。」

 

 キーン!コーン!カーン!コーン!

 

千冬

「ちょうど終わったか。全員使用したISを片付けてから休憩に入る様に!以上!!」

 

全員

「ありがとうございました!!」

 

千冬

「それからオルコット、【メイルシュトロム】を登録したらスマンが整備室に運んでおいてくれ。教師達の確認が終わったら返す。」

 

セシリア

「分かりました。」

 

 【蒼海の大剣メイルシュトロム】…永遠さんがわたくしの為に造って下さった【剣刃(つるぎ)】…

 永遠さんの期待に応える為にも必ず使いこなして見せますわ!

 

「………」

 

 ~セシリア Side out~

 

 

 

 ~箒 Side~

 

「………クソ!!」

 

 何故オルコットなんかに造ったんだ!

 剣なら私にこそ相応しいと言うのに、なぜ私の分を造らないんだ!

 しかも、鈴と4組の奴の分を造ったら当分造らないだと!

 

「…こうなれば、今度のトーナメント…是が非でも優勝しなければ!!」

 

 いざとなったら無理矢理造らせてやる!

 

 ~箒 Side out~

 

 




 次回『第071話:第二回織斑家家族会議』


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