IS世界を舞う剣刃   作:イナビカリ

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第083話:三つ巴のタッグバトル【戦国龍VS黒い雨VS白式&疾風の再誕改弐】

 

 ~三人称 Side~

 

 ≪観客席≫

 

 ココには機体が無い為、試合に出れないセシリアと鈴、自分達の試合が後日になっているペアを組んだ簪と本音の4人が一緒に観戦していた

 

セシリア

「始まりましたわね。」

 

「結果は見えてるけどね。」

 

本音

「そ~だね~♪」

 

「でも、油断は出来ないと思う…ラウラ・ボーデヴィッヒが何をするか分からない…」

 

セシリア&本音&鈴

「………」

 

「…そうね…アイツ…もしかしたら…」

 

セシリア

「流石にそれはしないのでは?この大会は各国の来賓も見ているんですよ?そんな事をすれば自分だけでなく祖国も辱めますのよ?」

 

「…でも…今のアイツにそんな事を考える事が出来るのかな?」

 

セシリア&簪&本音

「………」

 

「…何事も無ければいいんだけど…」

 

 4人は試合が無事に終わる事を願っていた…

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

一夏

「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!」

 

 一夏はラウラに斬りかかったが…

 

 ガキンッ!

 

一夏&ラウラ

「何っ!?」

 

 横から永遠が槍の石突の部分を持った状態で槍の穂先で一夏の剣を受け止めていた

 

ラウラ

「貴様何のつもりだ!!」

 

永遠

「試合をしとるんじゃが?言ったじゃろ?こっちも勝手にやらせてもらうと?」

 

ラウラ

「くっ!」

 

シャルル

(やっぱり、あの二人で連携は無理だ。)

 

 シャルルは後ろから対戦相手の二人には連携と言う物が無いと改めて認識した

 

永遠

「ぬん!」

 

 永遠はそのまま槍で一夏をシャルルのいる方まで押し返すと、刀を抜いて二人に向かって行った

 

シャルル

「一夏!!(…一夏の剣を片手で、しかもあんな槍の持ち方で受け止めた上に、そのまま押し返すなんて…)」

 

一夏

「来るぞ!!」

 

永遠

「はっ!!」

 

 ガキィンッ!

 

 永遠の剣を一夏は受け止めるが…

 

一夏

「ぐううぅぅっ!!」

 

永遠

「懐がガラ空きじゃ。」

 

 永遠は左手に持っていた槍で一夏の腹部に突きを放った

 

一夏

「ぐああああぁぁぁぁーーーーっ!!」

 

シャルル

「一夏!!(くっ!計算が狂った!火ノ兄君が先に仕掛けて来るなんて!)」

 

 シャルルは今迄の会話や行動からラウラが一夏に仕掛けて、永遠は暫くは傍観すると考えていた

 先にラウラを倒そうと考えていた二人にとって永遠のこの行動は予想外の事だった

 

シャルル

「一夏大丈夫?」

 

一夏

「…何とかな………シャルル、どうする?火ノ兄が前に出てるんじゃラウラを倒せないぞ?」

 

シャルル

「うん…こうなったら何とか火ノ兄君を抜かないと…」

 

永遠

「お喋りをしとる場合か!!」

 

一夏&シャルル

「!?」

 

 永遠は持っていた槍を二人の間に投げつけてきた

 槍を躱した事で二人は左右に分断されてしまい、永遠はシャルルに向かって斬りかかった

 

シャルル

「ええっ!!」

 

 ガキンッ!

 

 シャルルは近接ブレード【ブレッド・スライサー】を展開し、永遠の攻撃を受け止めた

 

シャルル

「ぐぐっ…(何てパワー…これが【戦国龍】!?)」

 

一夏

「シャルル!!」

 

 一夏はシャルルの救援に向かう為、永遠の右側から斬りかかったが…

 

永遠

「そっちは外れじゃ…」

 

シャルル

「え?」

 

 永遠は左手で腰に装備されているクロエから貰ったライフル【種子島】を固定されたまま引き金を引いた

 

 ドギュンッ!

 

一夏

「ぐあああぁぁぁーーーっ!!」

 

 永遠に向かって突っ込んできていた一夏は躱すことが出来ず直撃した

 

シャルル

「一夏!?…はっ!」

 

 永遠は一夏を撃つと【種子島】を外して銃口をシャルルに向けて至近距離で再び引き金を引いた

 

 ドギュンッ!

 

シャルル

「うわあああぁぁぁーーーっ!!」

 

 【種子島】の直撃を受けた二人は後ろに吹き飛ばされていた

 倒れている二人に対して永遠は何もせず二人が立ち上がるのを待っていた

 そして、そんな永遠を後ろからラウラが見つめていた

 

ラウラ

(…くっ!…このままでは試合が終わってしまう!…織斑一夏は私が始末しなければならないんだ!!)

 

 このまま試合が進めば一夏は永遠に倒されてしまう

 そうなってしまっては自分の手で一夏を倒し、千冬の汚名を消し去ろうと考えているラウラの目的は達成できなくなってしまう

 その焦りから、ラウラは本来はあってはならない考えに至っていた

 

ラウラ

(………そうだ…今のアイツは私に背を向けている………この場で奴もまとめて始末すればいいんだ!!)

 

 その考えに至ると同時にラウラは肩のレールカノンの照準を永遠に合わせた

 

ラウラ

「喰らえ!!!」

 

 ドンッ!

 

永遠

「!?」

 

 永遠は咄嗟に【戦国龍】の鎧の羽で砲弾を防いだ

 

 ザワザワ…

 

 ラウラの突然の行動に観客席にも動揺が走っていた

 

永遠

「…何のつもりじゃチビッ子…今のは織斑達を狙ったんか?…それとも…ワシを狙ったんか?」

 

ラウラ

「…決まっている…狙ったのは貴様だ!!!」

 

 そう叫ぶと【プラズマ手刀】を展開し永遠に襲い掛かった

 

 

 

 ≪観客席≫

 

「アイツやっぱり!?」

 

セシリア

「…もはや冷静な判断が出来なくなってますわね…」

 

「仮にも味方に攻撃するなんて…あんな事してたら自分がどうなるか分かってるのかな?」

 

本音

「分かって無いと思うよ~?」

 

 セシリア達は自分達の予想通りの行動に出てしまったラウラに呆れ果てていた

 

 

 

 ≪管制室≫

 

千冬

「何をしてるんだアイツは!味方を後ろから撃つとは!」

 

真耶

「どうします?」

 

千冬

「…普通なら試合を止める所だが…今のアイツが言う事を聞くとも思えんし………仕方ない…」

 

 千冬はやむを得ず永遠に通信を送った…

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

ラウラ

「くたばれえええぇぇぇーーーっ!!」

 

 永遠はラウラの【プラズマ手刀】を受け止め、どうするか悩んでいると…

 千冬から通信が入った

 

千冬

『火ノ兄…聞こえるか?…単刀直入に言うぞ。試合を中止したいからボーデヴィッヒを倒せ。今のアイツは私の言う事も聞かん。』

 

永遠

「…いや、このまま続ける。」

 

千冬

『何?』

 

永遠

「対戦相手二人を倒せば試合は終わりじゃ。それまではこのチビッ子は軽く流しとくわい。」

 

千冬

『………はぁ…普通なら馬鹿な事をと言う所だが、お前ならそれが出来るだろうな…分かった、好きにしろ。ボーデヴィッヒは倒しても咎めはせん。』

 

永遠

「スマンな…」

 

 千冬との通信が終わるのとほぼ同時に倒れていた一夏とシャルルが起き上がった

 

一夏

「どうなってるんだこの状況は!?」

 

シャルル

「何でボーデヴィッヒさんと火ノ兄君が戦ってるの!?」

 

 永遠はラウラの攻撃を捌きながら起き上がった二人に視線を向けた

 

永遠

「ん?やっと起きたか…さて、続きを始めるかの。」

 

一夏

「何言ってんだよ!こんな状況で試合を続ける気かよ!?」

 

永遠

「そのつもりじゃ。織斑先生からも好きにせいと許可を貰っとるぞ。」

 

一夏

「千冬姉が!?」

 

永遠

「じゃからほれ、構わんからかかってこんかい。」

 

 永遠はそう言うと同時に目の前のラウラを蹴り飛ばした

 

ラウラ

「ぐっ!」

 

 永遠はそのまま後方に下がると、一夏とシャルルを分断する際に投げた槍を拾った

 

永遠

「…さて…改めて試合を始めようかのぉ…」

 

 永遠は刀と槍を構えて3人に挑発をした

 

ラウラ

「舐めるなあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

 冷静な判断が出来なくなり始めているラウラが真っ先に突っ込んでいった

 そして、対戦相手の二人は…

 

シャルル

「どうするの一夏?」

 

一夏

「…分からない…けど、今ならラウラを倒す事も出来るはずだ。」

 

シャルル

「じゃあ…」

 

一夏

「最初の予定通りラウラを倒す!!そして…派手に負けてやるぜ!!」

 

 ラウラを倒す為二人も永遠のいる場所に向かっていった

 

 

 

 ≪管制室≫

 

真耶

「…何ですかコレ?」

 

千冬

「見ての通りだが?」

 

真耶

「確か今、タッグ戦をしてるんですよね?」

 

 真耶の言う通りこの試合は本来は2対2のタッグ戦…だが…

 現在アリーナで行われている試合は1対1対2の三つ巴のバトルロイヤルと化していた

 

千冬

「こうなっては戦いが終わるまでどうしようもない。試合が終わった後、ボーデヴィッヒにはキツイ説教をしてやる。」

 

真耶

「そうですか…」

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

 アリーナはすでにタッグバトルではなく三つ巴の混戦となっていた

 

ラウラ

「うおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!」

 

 ラウラは永遠を中心に攻撃を仕掛け…

 

一夏&シャルル

「はあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」

 

 一夏とシャルルの二人はラウラに攻撃を集中し…

 

永遠

「………」

 

 永遠はラウラの攻撃を捌きながら一夏とシャルルを攻撃している

 

 ガキイィィンッ!!

 

 4人が同時に衝突し、その反動で一端距離を取った

 

一夏&シャルル

「はぁ~はぁ~…」

 

ラウラ

「ふぅ~…ふぅ~…」

 

永遠

「………」

 

 一夏とシャルル、ラウラは肩で息をしていたが、永遠は息一つ乱してはいなかった

 

ラウラ

(クソッ!あれだけ攻めてもまるで効いていない!………SEも半分を切ったか…)

 

シャルル

「(…一夏…SEの残りは?)」

 

一夏

「(…残り3分の1だ…【零落白夜】も使えて後1回だ!シャルルは?)」

 

シャルル

「(僕も半分を切ったよ………でも【戦国龍】は…)」

 

一夏

「(ああ、全くダメージを受けてない!)」

 

シャルル

「(うん!躱すかあの鎧の羽で全部防いでる!あの羽、盾の役割も持ってたんだ。)」

 

 一方永遠はラウラが邪魔で二人を倒せずにいる事に僅かではあるが苛立ちを覚えていたが…

 

永遠

(う~む…ああは言ったがあのチビッ子…いい加減邪魔になって来たのぉ…まあいいか…)

 

 すぐに気にするのを止めた

 

永遠

「…さて、少し本気を出すかの。この試合もいい加減終わらせんといかんしな…」

 

一夏&シャルル&ラウラ

「!?」

 

 永遠がそう言った瞬間、先程までとは比べ物にならないスピードで動き出し、一瞬の内に一夏の目の前に来ていた

 

一夏

「え!?」

 

永遠

「【龍巣閃】!」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!

 

一夏

「ぐわあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」

 

 永遠の【龍巣閃】で全身を滅多切りにされた一夏の【白式】は一瞬でSEが0になってしまった

 

シャルル

「一夏!!…クッ!!」

 

 シャルルは【ヴェント】と【ガルム】で永遠を狙おうとしたが…

 

永遠

「【土龍閃】!」

 

 それよりも先に永遠がシャルルに向かって【土龍閃】を放った

 

シャルル

「つぶてが多すぎる!」

 

 シャルルは【土龍閃】の土石の迎撃を諦め右に躱したが…

 

シャルル

「はっ!?」

 

 そこにはすでに永遠が先回りしていた

 永遠はシャルルが右に避ける様にする為、左側に向けて【土龍閃】を放っていた

 

永遠

「【龍巻閃】!」

 

シャルル

「うわあああぁぁぁーーーっ!!」

 

 【龍巻閃】で斬りつられたシャルルは吹き飛ばされた

 永遠はそのまま刀を鞘に納めると…

 

永遠

「【飛龍閃】!」

 

 腰を捻り、刀の鍔を指で弾いて鞘から撃ち出した

 

 ドゴンッ!

 

シャルル

「うあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」

 

 【飛龍閃】で撃ち出された刀はシャルルの腹部に命中し、そのまま壁に叩きつけられた

 そして、今の一撃でシャルルの【ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ】のSEも0になってしまった

 対戦相手二人のSEが0になったので試合終了のブザーが鳴り響いた

 

アナウンス

『【白式】【ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ】シールド・エネルギー0、勝者、火ノ兄永遠&ラウラ・ボーデヴィッヒ!』

 

永遠

「さて終わったのぉ…」

 

 永遠は試合が終わったのでピットに戻ろうとしたが…

 

永遠

「…聞こえんかったか?試合は終わりじゃ。」

 

 ラウラが永遠に対して敵意を剥き出しにしていた

 

ラウラ

「まだだ…まだ終わってはいない!!」

 

永遠

「………さっきまでは試合という事で主の攻撃も軽く流しておったが…これ以上やるならワシも主を潰さねばならんぞ?」

 

ラウラ

「望む所だあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

永遠

(ほんに面倒な奴じゃなぁ………が、丁度いい…このチビッ子で試すか…)

 

 自分に向かって来るラウラに対し永遠は持っていた槍を地面に突き刺した

 そして両腕を前に突き出すと…

 

永遠

「来い…【星銃フォーマルハウト】!!【星王剣アルフェッカ】!!」

 

ラウラ

「何っ!!」

 

 永遠は拡張領域から2つの武器を取り出した

 左手には銃口が魚の様になっている青と白の銃

 右手には刀身と柄が金色で柄の先端に王冠の様な飾りがついた大剣が握られていた

 

ラウラ

「何だそれは!?」

 

永遠

「主も知っとるじゃろ?この大会の優勝賞品を?」

 

ラウラ

「まさかそれが!?」

 

永遠

「左様。…このタッグトーナメントの優勝ペアに送られる2つの【剣刃(つるぎ)】…【星銃フォーマルハウト】と【星王剣アルフェッカ】じゃ。」

 

 ザワザワ…

 

 会場中も永遠が持つ二つの【剣刃(つるぎ)】に騒めいていた

 本音以外は賞品の話は聞いていたが、それがどのようなものかは知らなかったからだ

 しかもその1つは【剣刃(つるぎ)】と言いながら剣では無いからだ

 

ラウラ

「その銃が【剣刃(つるぎ)】だと!?」

 

永遠

「そうじゃ。【剣刃(つるぎ)】は確かに刀剣が一番多いがそれ以外の武器もあるんじゃよ。」

 

ラウラ

「くっ…屁理屈を!!」

 

永遠

「チビッ子!お前にはこの2つの【剣刃(つるぎ)】のテストの相手になって貰う!試合中は流石に使えんかったんでな…お前で試させて貰うぞ!!」

 

ラウラ

「ならば貴様を倒しその2つを手に入れてやる!!」

 

永遠

「カカカッ!笑わせてくれる!出来る物ならやってみるんじゃな?」

 

ラウラ

「!?…くたばれえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

 永遠の挑発を受け、ラウラは再び永遠に向かって行った

 

 

 

 ≪観客席≫

 

 一方観客席では、ラウラの奇行にセシリア達はさらに呆れ果てていた

 

「アイツ…本気で永遠に勝てると思ってるのかしら?」

 

「思ってるからあんな行動してるんだと思う。」

 

本音

「そうかもね~…」

 

セシリア

「生身の永遠さんにも勝てなかったのにですか?しかも今の永遠さんはISを、それも【戦国龍】を纏っているのですよ?」

 

「それが分かってないんだと思う。」

 

「アイツ…まさかココまで馬鹿だったなんて…一夏といい勝負かも…」

 

セシリア

「そうですわね~…彼も相当ですからね~…」

 

簪&本音

「うんうん!」

 

 一夏の考え無しの行動と今のラウラの行動が被って見えた4人だった

 そして、4人は永遠が持つ2つの【剣刃(つるぎ)】に話題を変えた

 

セシリア

「それにしても…あれが優勝商品の【剣刃(つるぎ)】ですか…」

 

「【剣刃(つるぎ)】って刀剣以外の武器もあったんだ…」

 

本音

「そうだよ~♪」

 

「本音知ってたの!?」

 

本音

「うん♪織斑先生からひののんと一緒にハンデの事を言われた時に候補を見せて貰ったんだ~♪」

 

「候補って?」

 

本音

「ひののんは賞品用に造る【剣刃(つるぎ)】を4つまで絞ってたんだよ~♪」

 

セシリア

「その4つの中から選ばれたのがあの2つの【剣刃(つるぎ)】…【フォーマルハウト】と【アルフェッカ】…」

 

「じゃあ、外されたのはどんな【剣刃(つるぎ)】だったの?」

 

本音

「斧と弓だったよ♪」

 

「斧と弓ですって!そんな物まであるの!?」

 

本音

「他にも槍や杖、色々あるって言ってたよ~♪」

 

「………今度永遠に頼んで【剣刃(つるぎ)】のリスト見せて貰おうかな…」

 

「それ私も見たい!!他にどんな物があるのか興味がある!」

 

本音

「私も~♪」

 

セシリア

「わたくしもですわ。…ですが、今はあの2つの力を見ておきましょう!」

 

 セシリアの言葉に簪達は頷くと、アリーナに視線を戻した

 

 

 

 ≪アリーナ≫

 

 向かって来るラウラに対して永遠は【フォーマルハウト】を構え引き金を引いた

 

 ドギュゥン!

 

ラウラ

「くっ!?」

 

 【フォーマルハウト】から放たれた光弾をラウラは躱すが、その威力に驚いていた

 

ラウラ

「…対した威力だな…だが!当たらなければどうという事はない!!」

 

永遠

「確かにな…なら、これはどうじゃ?」

 

 ドギュゥン!

 

 永遠はそう言って【フォーマルハウト】を真上に向かって撃った

 

ラウラ

「フンッ!どこに向かって撃っている!!………ん?」

 

 真上に撃たれた【フォーマルハウト】の光弾は上空で弾けると無数の光弾となってラウラに向かって降り注いだ

 

ラウラ

「何っ!!…くっ!?…ぐああああぁぁぁぁーーーーっ!!」

 

 ラウラは上空から降り注ぐ光弾を躱そうとするが全て躱す事が出来ず、半分近く命中した

 

ラウラ

「な、何だあの銃は…これが【剣刃(つるぎ)】の力………!?」

 

 ドギュゥン!

 

 永遠は再びラウラに向かって【フォーマルハウト】を撃った

 真横に向かって撃たれた光弾は先程と同じように無数に分裂し、ラウラに向かって行った

 

ラウラ

「!?…うわあああぁぁぁーーーっ!!」

 

永遠

「…ふむ…【フォーマルハウト】の試し撃ちはこんなもんか…」

 

 【フォーマルハウト】の拡散弾を受けたラウラは肩のレールカノンが破壊されていた

 ラウラに無数の弾丸を撃ち込んだ後、永遠は【フォーマルハウト】の能力を確認すると拡張領域に格納した

 そして今度は右手に持っていた【アルフェッカ】を構えた

 

ラウラ

「ぐっ…ぐうう…」

 

永遠

「ほれ早よ立て。でなければ試し斬りが出来んではないか?」

 

ラウラ

「試し斬りだと…貴様…戦う気があるのか!!」

 

永遠

「ある訳無かろう?戦うかどうかを決めるのはワシの勝手じゃ。そもそもこれは試合でもない…お前が勝手に襲い掛かって来たんじゃからな…じゃからワシも勝手にしとるんじゃ。」

 

ラウラ

「き、き、貴様あああぁぁぁーーーっ!!!」

 

 永遠の言葉にラウラは完全にキレてしまった

 自分は戦う気でいるのに肝心の永遠はまるで戦う気が無いのだ

 しかも自分への攻撃は、全て今使っている【剣刃(つるぎ)】のテストだと言ったからだ

 

ラウラ

「死ねえええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!!!!!」

 

 ラウラは永遠に向かって【プラズマ手刀】で突撃した

 対する永遠もラウラに向かって行った

 

 キキィィーーンッ!

 

 二人が交錯すると…

 

ラウラ

「う…ぐああああぁぁぁぁーーーーっ!!」

 

 ラウラの【シュヴァルツェア・レーゲン】は全身が斬り刻まれていた

 【シュヴァルツェア・レーゲン】は機体の各所から放電し、傍目にも戦闘不能の状態にされていた

 

永遠

「…中々の切れ味じゃな…まあこんなもんでいいか…さて帰るか。」

 

 永遠はそう言って【アルフェッカ】も拡張領域にしまった

 そして、そのままラウラに振り替える事もせずピットに向かって歩き出した

 ラウラは歩いて行く永遠の背中を薄れゆく意識の中、見つめていると…

 

『力が欲しいか?』

 

 謎の声がラウラに囁きかけて来た

 

ラウラ

「ああ…寄越せ!!」

 

 ラウラはその声に応えた

 

『何者にも負けない力を求めるか?』

 

ラウラ

「比類無き最強の力を…奴を倒す力を…寄越せえええぇぇぇーーーっ!!!」

 

『ならば受け取れ…絶対なる力を!!』

 

ラウラ

「うっ…ぐっうっ…うああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!!!!」

 

永遠

「ん?…何じゃいきなり?」

 

 ラウラの突然の絶叫に永遠は振り返ると【シュヴァルツェア・レーゲン】が放電し泥状に溶け始めた所だった

 そして、そのままラウラを包み込み、形状を変えた

 その姿は嘗て【モンド・グロッソ】で優勝した織斑千冬の愛機…

 【暮桜】だった…

 

 ~三人称 Side out~

 

 




 次回『第084話:戦国龍、墜つ【戦国龍VS偽暮桜】』


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