これは、選択を間違った末の終焉の……そのあとの、お話。

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作者は普段はコメディ書いてる者です。
ヤンデレについてはそこそこ書いたことありますが。
ただバッドエンドは苦手なので、多少拙くてもご容赦を。


終わりのあと、全てが消えた跡

「私の目はあなたの姿を見ることは出来ません……ですから」

 

彼女……カーリーは、一切の光を映さない、しかし抑えきれない狂気を秘めた瞳で俺を見つめ、言った。

「私はあなたから永遠に離れないことに決めました」

 

「あなたが私を受け入れてくれなくても構いません」

 

「私はあなたが愛してくれるまでずっとここであなたを愛し続けましょう」

 

「そうすればいつかは、私を愛してくれますよね?」

 

彼女の口から漏れる言葉の一つ一つは、見た様子ではまだ幼いとも言える少女の口から零れたとは考えられないほどに妖しげで、蠱惑的な魅力に満ちており、それは気を強く持っていないとすぐに心を奪われてしまいそうなほどのものだった。

「ふふ……もしも何か、望むものがあるのならばすぐに言ってくださいね?」

 

ただでさえ光を映さない彼女の瞳が、この時はより一層闇を深めたように見えた。

何もない、ただ二人だけの世界。こんな世界を願うとは……いったい、何が彼女をここまで狂わせたのだろうか?

いや、理由は分かりきっているだろう。なにせ原因は俺なんだ。言い訳は良くない。

改めて言い直そう……いったい、俺のなにが彼女をここまで壊してしまったのだろうか?

その答えなら、この疑問を考え始めた瞬間にすでに出ている。そう、それは……これまでの俺の全て、だ。

 

俺がここまでしてきた事全ては彼女を壊す原因になっている。

もしも、ジャンヌ・ダルクの想区で出会ったとき、もう少しだけでも彼女の話に耳を傾けていれば。

もしも、アリスの想区で現れた彼女に少しでも優しく出来ていたなら。

もしも、西遊記の想区で、一緒に居てくれと願う彼女を突き放さなければ。

もしも、オズの魔法使いの想区で、彼女の命懸けの告白を受け入れてさえいれば。

きっと、そのどれか1つでも違ってさえいれば今より少しでも良い結果が得られていたはずだ。

少なくとも、命を絶った時の最後の願いに込められた力が強すぎるあまりにカオステラー化し、あらゆる想区ごと俺とカーリー以外のすべてが消滅するなんて結果よりかは。

 

今思えばあまりに愚かだったんだ。

いくらカオステラーに初恋の相手を壊されたからと言っても、あそこまで憎む必要は無かったんだ。

きっとあそこで必要以上に憎んでいなければ、彼女との出会いももっとマシだったはずだ。

それに、少し考えればわかっただろう?あの告白を俺が受け取らなければカーリーは自ら命を絶つことぐらい。

そして……あまりに強すぎる願いはカオステラーという形になって世界を歪めることくらい。

なんて愚かだったんだ。俺は。

もう何もかも消えて壊れてしまった。

仲間も……タオもシェインもレイナも……みんなみんな消滅した。

きっとそれは俺のせい。俺が選択を間違え続けてしまったからだ。

だからみんなみんな消えていった。俺がたくさん間違い続けたばかりに。

 

この罪はどう償えばいい?

 

この絶望はどうすればいい?

 

この空虚さは……どうしたら良いんだ?

 

……後悔するたびに、仲間と旅した思い出が蘇ってくる。

それは楽しかったかつての夢。今はもうどこにもない……ただの夢。

ついこの間までその夢は現実だった。しかし俺のせいで……何もかもがただの夢になってしまった。

もう、取り返しはつかない。

この罪は……償えない?

 

「何を悲しんでおられるのですか?」

 

……悲しんでる、か。

原因である俺がそんな事をするのはきつと許されないだろうね……だから、ただの後悔だ。

「あなたがそう言うのであれば、そうしましょう。しかし何を?もう思い悩むことなんて存在しないのですよ?」

 

いや、存在するさ……今や俺は俺自身の存在が悩ましい。過去に遡って殺したいくらいに。

きっとそうすればみんなは守れるはずだ。楽しかった記憶は、夢にならずに済むはずだ。

「……それは……私にも出来ないことです」

 

……知ってるさ。いくらカオステラーでも時間の流れを巻き戻すことは出来やしない。

アラジンの想区で良く学んだよ。

「えぇ、そうですね……」

 

あぁそうだ。今、ちょうど欲しいものを思い付いたよ。

死だ。俺は死にたい。

もう自分の事が許せない。疎ましい。殺したい。

しかし俺には自分を殺す手立てがない。それに臆病者で卑怯な俺はきっと死のうとしても死ねない。

だから殺してくれ。

「……お断りします」

 

「そんなことをしたら……私が一人になるだけです」

 

「あなたが何もかもを失ってしまったのが辛いと仰るなら、私に全部ぶつけてください」

 

「私を代わりにしてください」

 

「あなたに求めてもらえないのならば……こんなことをしてまで生きている意味はないんです」

 

……そうか。そりゃ、そうだよな。

勝手に選択を間違えて何もかもを台無しにして消しちまったやつに、死ぬ自由なんてあるはずねーや。

あるのはただ、空虚な生と絶望のみだ。

償えない罪と、永遠の後悔もセットでな。

「……ならば、私があなたの罪を背負います。あなたの後悔も私が思い出させません。ですから……!」

 

「空虚だなんて、言わないでください……」

 

そうだな。

確かにそうだ。お前は俺のためだけに何もかもを滅ぼしたんだから、元凶の俺がそのあとを空虚とか言ってたら何やってたんだか分かんないよな。

 

……1つだけ、良いか?

「死にたい以外ならば」

 

もちろんだ。同じことは言わないさ。

……これから、俺はお前で罪を滅ぼしたつもりになっていいか?

「もちろんです」

 

「言ったでしょう?私を代わりにしてくださいと」

 

「だから私を、贖罪の代わりにしてください」

 

「私は……それで、幸せですから」

 

彼女は、俺の問いへの答えの中、屈託なく笑った。

それはとてもとても幸せそうな、素敵な笑顔だった……

 




BADEND【代替品の贖罪】

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