漂流者の艦隊運営   作:アイノ

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第03話 初期艦との出会い

「んん……暑っ……」

 

 

掛布団も無いのに汗が滴る寝苦しさに目を開けると、そこは知らない天井だった。

寝起きの脳みそが一瞬混乱しそうになるものの、すぐに昨日あった出来事を思い出す。

 

 

「ああ、そういや無人島にいるんだっけ、俺……」

 

 

まだ頭が覚醒しきっていないまま周りを見渡しつつ、しばしボーっとする。

眠気覚ましのコーヒーでも飲みたい所だが、そんな贅沢を言っている場合ではない。

とりあえず、昨日朝食がわりにと採ってきておいたスモモを齧りつつ、今日の予定を決めていく。

 

 

「まずはまた水と木の実採取だな。その後は……1回この建物を見て回るか」

 

 

昨晩は部屋の掃除で精一杯で、今いるこの建物内の殆どを把握できていない。

もしかしたら有用な物があるかもしれないし、そもそも寝床に何があるかも分からないまま過ごすのは案外恐怖を感じるものである。

だいぶ覚醒してきた頭で今日の予定を組み立てつつベッドから降りると、そのまま水と食料の確保へ向かうのだった。

 

 

 

 

食材と水を一通り採取し戻ってきた大樹は、建物内を探索することにした。

まずは全体構造の把握ということで、全2Fの建物内を歩いてみる。

どうやら軍隊か何かの宿舎のようで、1Fには食堂や会議室など、2Fには複数人で寝泊まりできるような部屋が多数あるようだ。

 

 

ただ、1Fの部屋のうち、工なんとかや入なんとかドック等、一部読み方が分からない部屋があった。

一通り2Fまで見て回った後、部屋の中を確認すると、入なんとかドックはお風呂のような作りになっていた。

なら素直に「風呂」と名付ければいいのに……と思いつついろいろ確認してみるが、どうにもお湯の出し方がわからない。

炎天下の中食材探しの為にジャングルを歩き回ったためせめてシャワーでも浴びたかったのだが……

 

 

次に工なんとかという部屋に入ってみると、見たこともないような巨大な機械が鎮座していた。

流石に電気が通っている気配はないが、そもそも何のための機械なのか分からないのでどちらにしても無用の長物である事に変わりはない。

一通り見て回った後部屋を後にしようとしたが、機械の隣に人1人が入れるくらいの、SFで言う所のカプセル?のような物があった。

固く閉ざされたカプセルに惹かれ、周囲をいろいろと弄ってみる。すると……

 

 

「うおっ、何だ何だ!?」

 

 

プシューっという音と共に、カプセルから夥しい量の蒸気のような物が溢れだす。

思わず手で口を覆いながら遠巻きに観察していると、ガコンっと何かが外れるような音と共に、カプセルの蓋が開いていく。

 

 

「おいおい、エイリアンでも出てくるんじゃあるまいな……」

 

 

口ではそんな事を言いながらも、目はカプセルに釘付けになっている。

しばらく経った後、蒸気が薄れて来たと同時に、カプセル内で何かが蠢き始める。

冗談が現実になったか?と身構えるが、聞こえてきたのはエイリアンのうめき声などではなかった。

 

 

「んふぁ~……んん?どこだ、ここ?」

 

「な……人間が出てきた!?」

 

 

中から現れたのは、どう見ても人間の少女であった。

髪は腰辺りまで伸ばしており、ゆったりとしたウェーブがかかっている。

黒髪かと思ったが、一部は桃色に染まっている。どうなってるんだ、この髪?

身長はあまり高くなく、白のワイシャツに小豆色のベストのようなものを着ており、どこかの女子高の制服かと思わせる服装をしている。

あと、でかい。どこがとは言わないが、身長の割にえらい協調されている。

これがトランジスタグラマーというやつか……

ふとそんなくだらない事を考えていると、寝起きのように体を伸ばしていた少女と目が合う。

 

 

「お、あんたが提督かい?あたしは長波。よろしくな!」

 

「は、え、提督?」

 

「なんだ、違うのか?」

 

「違うも何も、話についていけんぞ……」

 

 

人が出てきたことに加え、いきなり提督と呼ばれ絶賛大混乱中な大樹。

ひとまず提督ではない旨を話すと、じゃあ何処にいると聞かれる始末。

とりあえずお互いの認識を合わせないと始まりそうにもないので、今自分が置かれている現状やら何やらを分かる限りで伝える。

 

 

「するってーと、誰があたしを?」

 

「わからん……。そもそも記憶はないのか?」

 

「んにゃ、さっぱりだね。自分が建造艦なのかドロップ艦なのかすらも分からないな」

 

「建造?ドロップ?」

 

「ああ、その辺の知識も無いのか……しゃーない、説明しますかね」

 

 

全く話に着いていけない私に見かねたのか、自身を長波と呼ぶ少女はいろいろと説明してくれた。

自分は艦娘という存在で、それがどういった存在なのか。

本来であれば海軍から派遣される提督という人がいて、その人の元で深海棲艦という敵と戦うのが使命であること。

そして今いるここが鎮守府とよばれる基地であり、本来であればその提督という人がいる筈だということ等々。

正直全体の2割も信じることができていないが、彼女が嘘を言っているようには見えないし、そもそも記憶が無いまま気付いたら無人島にいた自分も大概である。

 

 

長い時間をかけてお互いの認識を合わせていく2人。

ここが正常に機能していない事に対して、最初こそ気落ちしていた長波だったが、割とあっさりした性格なのかすぐに持ち直していた。

というか、ここには私しかいないという理由で提督と呼ばれることになってしまった。

本人曰く「そっちの方が呼びやすいから」という事らしい。

まぁここに私達しかいないのは事実のようだし、もし脱出できたのなら海軍本部にでも連れて行ければ、その後はちゃんとした鎮守府に連れて行ってもらえるだろう。

 

 

「とりあえずこの島を出るまではよろしく頼むよ、提督!」

 

「ああ、わかった。こちらこそよろしくな」

 

 

さっぱりとした笑顔を見せる長波と握手を交わす。

これが、私と最初の艦娘「長波」との出会いだった。

 

 




本来なら長波はドロップオンリーなんですがね……
リハビリと言う事で、とりあえず自分の好きな艦を出していきます。
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