ワンサマー・イン・スリープ・シグマ 作:シグマファン
「ウガアァァァッ!!」
一夏もとい蜥蜴の化け物は咆哮を上げ続けていた。それは一夏の怒り、哀しみ、悩む意味での雄叫びでもあった。
一夏は男の死んだ理由や、アリアマゾンがいる理由が、人間が引き起こした事による物だと気付いたのである。
しかし、今はそれを怒りを覚える前に、哀しみに浸る前にやらなければいけない事があった。ーーアリアマゾンを狩るーー今はそれをやらなければならなかった。
周りには数年間もほったらかしにした事により溜まった、不潔の象徴とも言える埃が辺りを舞い続けており、鉄パイプや金属品等は一夏が別の何かへと変化した際に発生した爆風の影響で、元あった場所からかなり離れた場所へと吹っ飛ばそれていた。
そして、アリアマゾンもまた、爆風により吹っ飛ばされ、少し離れた場所で仰向けに倒れていた。
「ギイィ……」
アリアマゾンは力無い声で起き上がり、一方で蜥蜴の化け物はアリアマゾンに対し、身構えた。
「行くぞシグマァッ!!」
蜥蜴の化け物、嫌、蜥蜴の化け物へと姿を変えた一夏がシグマと叫ぶ。そう、それは一夏がバックルの影響により姿を変えた蜥蜴の化け物の名である。
彼の名はアマゾンシグマ……とある組織が対アマゾン用として極秘に試作段階として開発された、ISを遥かに凌駕する人間兵器。
そのシグマに姿を変える事が出来るバックルの正装着者は志藤一夏ーーとある大企業の傘下である駆除班を纏める人物、志藤真の義理の息子にして駆除班の一人。
彼が何故、駆除班にいるかは後程明かされるが今はそれを教える場合ではない。蜥蜴の化け物ーーシグマはアリアマゾンを狩るべく走り出す。
刹那、シグマの紫色の両目が光る。それは敵が何処にいるのかや、周りが暗闇で包まれた場合での闘いの際の敵が何処にいるのかを知る為の赤外線代わりにもなっている。
シグマは走りながら右手を拳に変えながら右腕を振り上げ、アリアマゾンの近くにまで来ると右腕を振り下ろす。
右拳はアリアマゾンの左頬を捉え、アリアマゾンの左頬を殴る。同時に微かな音が辺りに木霊するも、シグマは左拳でアリアマゾンの腹を殴り、更にすかさず右拳で下からアリアマゾンの顎を殴る。
アリアマゾンは下から顎を殴られたせいか倉庫の天井を仰ぐも、シグマはアリアマゾンの腹に回し蹴りした。
アリアマゾンは吹っ飛ばされるも、シグマとは少し離れた場所で転がる。
「ウガアァァァ!!」
シグマは咆哮を上げながら、転がっているアリアマゾン目掛けて走ろとした。刹那、シグマの近くの壁が突然破壊され、同時に壁の破壊される音が辺りに木霊する。
ーー!? ーー。シグマは音がした方を見ると、壁の破壊された所には煙が微かに立ち込み、煙か外か暗いかは判らないが一つの人影が見え、足元には破れた衣服が落ちている。
しかし、壁が破壊されたせいか倉庫内に充満していた悪臭が、壁近くだけの悪臭が外に出ていくかのように吸い込まれていく。
代わりに僅かだが新鮮な空気が倉庫内へと入ってくるも悪臭の方がまだ強かった。
「あ、あんたは!?」
シグマは破壊された壁の近くに立っている人影に何かを言おうとした。が、人影は獣のような叫び声を上げると、シグマ目掛けて走る。
シグマは身構えなかった。嫌、シグマはその人影の正体である人物を敵として認識していなかった。
証拠に、その人物はシグマの直ぐ近くに来た直後、跳んだ。その人物はシグマの頭上を軽く飛び越え、シグマは人物が跳んだのを見ている事しか出来なかった。
そして、その人物は人ではなく、土竜の化け物だった。顔は複雑だが緑色の眼にドリル状の鼻、身体は鉄よりも硬く、禍々しい表皮に両手は太く、五本の太い爪が特徴的かつ、右腕には顔を模したかのような白い腕輪を着けている土竜の化け物だった。
「マモル兄ちゃん!?」
マモルは倉庫の外で待っていたが一夏を心配しており、そして二つの大きな音と、そして一夏の叫び声により、我慢出来ず、服を破く形で脱ぎながら叫び声を上げ、姿を変えたのである。
「一夏に手を出すな!」
モグラアマゾンはアリアマゾン目掛けて走る。その間にアリアマゾンは何とか立ち上がっていたがモグラアマゾンはアリアマゾンの近くまで来ると、左手でアリアマゾンを叩く。
アリアマゾンは悲鳴を上げる前や怯む前に、モグラアマゾンは両手の太い爪でアリアマゾンの身体を叩き、斬りつける。
「ああ~~っ……」
モグラアマゾンがアリアマゾンに猛攻する中、シグマは何も言えず困る。志藤に、義父さんに何て言い訳すれば良いのかで困ってしまった。
嫌、それはいいとしてシグマはモグラアマゾンに助勢すべく、走る。
「ガァァァッ!!」
モグラアマゾンは右手でアリアマゾンの左頬を殴ると、アリアマゾンは後退りするがシグマがモグラアマゾンの横から現れ、アリアマゾンの腹を横蹴りした。
「ガァァッ!!」
アリアマゾンは吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられるが辺りには鉄パイプや鉄品等が無造作に転がっていた為、アリアマゾンが仰向けに地面に叩き付けられたと同時にアリアマゾンの周りに転がっていた鉄パイプは転がり、鉄粉等は軽く宙を舞い、埃も舞う。
しかし、アリアマゾンはその場を動けず小さな悲痛の声を上げる。
「一夏、後は君が止めをさして!!」
「あっ、ああ!」
モグラアマゾンはシグマを促すと、シグマは身構えながら走り出すと、アリアマゾンの近くで跳躍し、右腕を振り上げる。
アリアマゾンはシグマは見て何かを言い掛けるも、シグマは右手をアリアマゾンの胸を捉える。刹那、シグマは片膝を突く形で地面に着地し、シグマの右手はアリアマゾンの胸を刺し貫いていた。
アリアマゾンの胸から血が微かに吹き出るがシグマの身体に付着していた。
一方、アリアマゾンはシグマに対し、何かを訴えかけていた。
だが、シグマはアリアマゾンが何を訴えかけている事に気付いていない。そして、アリアマゾンの身体に変化が起きる。
アリアマゾンの身体が溶け初め、黒いヘドロの塊と化した……これはせめてものなのか、アリアマゾンが右腕に着けていた腕輪が残っていた……。
しかし、