ワンサマー・イン・スリープ・シグマ   作:シグマファン

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仲間達との絆(前編)

「……駆使完了」

 

 アリアマゾンがペドロと化した後、シグマは微かに呟いた。それはシグマと、少し離れた場所にいるモグラアマゾンの勝利を宣言し、アリアマゾンの敗北をも宣言している。

 直ぐ決着ついたとは言え、ニ対一と言う圧倒的有利かつ圧倒的不利な闘いを制したのは、シグマこと一夏とモグラアマゾンことマモルの二人である。

 刹那、シグマの身体が黒い煙に包まれ、近くにいたモグラアマゾンの身体が白い煙に包まれる。煙が消えると、シグマは一夏へと戻る意味で変わり、モグラアマゾンはマモルに戻るがマモルは上半身裸であり、左腕には腕輪を着けている。

 

「…………」

 

 一夏は姿を変えた後、黒い液体と化したアリアマゾンの形見である腕輪を拾う。一見、何の変鉄もない腕輪ーー目の色は赤かった。

 アリアマゾンは人を喰う化け物と化した。それ以前に化け物であったかもしれないが人前に姿を現さなかっただけでもましかも知れない。

 一夏はそう思いながらも腕輪を見つめていた。

 

「一夏、一夏?」

 

 一夏が腕輪を見て物思いに更けている間に、マモルが一夏に近付き声を掛ける。一夏はマモルの言葉で我に返ると、マモルを見る。

 

「どうしたのマモル兄ちゃん?」

「どうしたの何か考えていたの?」

 

 マモルが訊ねると、一夏は微笑みながら首を左右に振る。

 

「何でもないよ、それよりも……」

 

 一夏がマモルに何かを訊ねようとした。刹那、倉庫の外から車の音が聴こえ、一夏とマモルは音に気付き振り返ると、マモルは「皆だ!」と喜び、自分がモグラアマゾンになった時に破壊したであろう壁の方へと走り、一夏は腕輪を手にしながら立ち上がり、マモルの後を追い掛ける。

 

 一方、マモルは倉庫の外を出ると、音がした方を見る。音は離れた場所から聴こえるが二つの光が見受けられる。

 それだけではない、二つの光は徐々に大きくなっている意味で近付き、音も大きくなっていく。

 そして、周りが少しの暗闇と不気味に包まれている中、白銀色のバンがマモルや後から来た一夏の方へと近付く。音の正体は走る音であり、光の正体はヘッドライトであった。

 バンの前方の窓の向こうにある運転席や助手席には二人の人影が見えた。マモルは手を振ると、バンは二人の少し離れた場所に停車し、エンジン音が止まり、バンの運転席や助手席の方に扉が開くと、運転席や助手席に座っていた二人の人物が降りてきた。

 どちらも中年男性だがどちらも一夏とマモル(上半身裸だが)が着ている服と全く同じであるが重装備であった。助手席から降りてきた男はゴーグルや小型ライトの付いてるヘルメットを被り、もう一人は帽子を被っているが眼鏡を掛けている。

 どちらも風格や危険な雰囲気を醸し出している。それだけではないーーバンの後ろの扉が開き、数人が降りてきた。

 数人と言っても四人だが歳は全く違うのと一人は女性。しかし、共通点はあった。四人もまた、一夏や、運転席や助手席から降りてきた二人の男性が身に纏っているのと全く同じであり、重装備だが武器も持っている。

 

「志藤さん! 福田君に前原君! 大滝君に三崎君!」

 

 マモルは一人を除いて、仲間であろう者達の名字を呼ぶ。が、一人を除いた、その一人が二十代前半であり長い黒髪と頬に傷跡がある女性がマモルの呼ぶ声に少し怒る。

 

「おいマモルてめえ! 何で私の名を呼ばねぇんだよ!?」

 

 女性はマモルに怒る。彼女の名は高井(たかい) (のぞみ)、二十二歳。チームの紅一点であり体術を駆使して闘う。

 

「まあまあノンちゃん、マモちゃんは単に忘れてしまっただけだと思うよ?」

 

 マモルに怒る望をからかいながらも宥める男がいた。その男は三十代半ばで口髭を蓄えており、手にはショットガンを持っている。

 彼の名は三崎(みさき) 一也(かずや)、三十五歳。チームのムードメーカーであり、チーム内で唯一の野次馬担当。

 

「そうだぜ高井? マモルは多分、なあ」

 

 一也同様、望に対し呆れながらも宥める青年がいた。彼は二十代の精悍な顔つきが特徴的な青年であった。

 彼の名は前原(まえはら) (じゅん)、二十歳。チーム内での一番とも言える頭脳明晰でありチェスが趣味かつ、一夏の一番の兄的存在であり、一夏に慕われている。

 

「そうだぞ望? マモルは単に……フフッ」

「何笑ってんだよ大滝!? ぶっ飛ばすぞてめえ!?」

 

 一也や淳同様、望を落ち着かせるが少し笑ってしまい、それが望の逆鱗に触れてしまったタブレットを持っている三十代前半の男。

 彼の名は大滝(おおたき) 竜介(りゅうすけ)、三十一歳。チーム内では珍しい熱血な性格で、チーム内では信頼を寄せられており、淳からは兄貴として慕われている。

 望はマモルに怒り詰め寄る中、一也が望の前に出て望を落ち着かせ、淳と竜介は呆れながら落ち着かせ、マモルに至っては彼等が喧嘩しているのではと思い、少し戸惑っている。

 

「ハハッ」

 

 そんな彼等を見た一夏は頬を緩ます。一夏から見れば彼等のやり取りは日常的に見えていた。

 彼等は一夏にとって、仲間であり家族の存在であった。本来なら自分はに元いた家族が居るが今は彼等の元に居たかった。

 それには理由があるが今はそれを言わなかった。何故なら、一夏はシグマと言うISを凌駕する力を手にしており、逆にそれが一夏を葛藤させている。

 一夏は気付いていた。シグマが如何に強力なのと、自分はその力を悪用するのではないのか。

 そうなれば、チームの皆と戦う事になり、チームの皆を哀しませてしまうのではないのかと、自信を恐れていた。

 人は力を手に入れたら、どのように使うのだろう。正義の為か、悪の為か、それは誰も判らないーー力を手にしている者の自由だ。

 

「一夏、虫は殺ったか?」

 

 一夏がマモル達のやり取りを見ていると、助手席から降りてきた男性が一夏に訊ねてきた。

 彼の名は志藤(しどう) (まこと)、四十一歳。元警視庁特殊部隊員であり、チームのリーダーであり、一夏の義父。

 隣にいる、眼鏡を掛けた男性は福田(ふくだ) 耕太(こうた)、三十五歳。運転や狙撃等、後方支援を担当し、無口だが仲間思いであり、志藤とは警視庁時代では部下であった。

 そして、真に訊ねられた青年は志藤一夏、十五歳の青年であり、チームの最年少であり、志藤の義理の息子であり、シグマの変身者。

 

 そして彼等のチーム名は、ノザマペストンサービス。とある大企業の傘下であり、アマゾンと言われている虫を狩るのを生業としている。

 彼等はチームでありながらも家族のような絆を持っている。

 

「何かな、父さん?」

 

 一夏は真の真剣な表情に少したじろぐ。と言うよりも、真の表情が一夏に対し何かに怒っている。

 義理とはいえ、父子の間柄。父は息子に対し、怒っているのだろう。

 一夏は真が、父が何かを言うのを気にしていた。そして、真は怒っているであろう理由を口にした。

 

「一夏、何故一人で闘わず、マモルと闘った?」

 

 真は一夏に問う。そしてそれが、真の怒っている理由だった。

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