「・・・本当にエステル、じゃ、ないんだよね?」
「はいっ、私はエステリーゼ・ヒュレデリズですっ♪」
「何か、うちらの知るエステルとは全然違うのじゃ」
「そりゃ別世界のエステルだしな」
あの後、この世界のジュディスだという人物に連れられて俺達は『凛々の明星』のアジトだという建物へやってきた。
中には大勢人が集まっていたが、その中のでっかいハンマーを持った男と海賊っぽい服装をした女にジュディスが声をかける。
ジュディスが説明をすると、そのまま俺達は奥の部屋へ案内された。
その2人はなんと成長したカロルとパティだった。俺の知る2人はまだ子供だったんだが、成長するとこうなるのか、と関心した。
カロルは凛々の明星のマスターで、パティは別のギルドの人間らしい。そんで、ジュディスも凛々の明星のメンバーだ。何でも俺達が凛々の明星について話していたのを聞いて、俺達に声をかけて来たらしい。
事情を詳しく説明すると、エステルが別の世界に来たことにみんなすごく驚いていた。でも、何となく違うのは分かったらしく、俺達の事情も理解してくれた。
「・・・闇の結晶のせいで、それを持った『シェイド』が増え続けている、か」
「確かに最近見慣れない魔物も増えて来たようじゃの。ふむ、なかなか大変なことになっていそうじゃのう」
カロルとパティが深刻そうな顔をして呟く。すると、ジュディスがテヌートにあることを聞く。
「・・・・・ところでテヌート、と言ったかしら?」
「何だ」
「あなた、この話をフレンにはしたのかしら?」
「「「・・・あ」」」
そういやテヌート、こっちのフレンと話をしたあとに闇の結晶の話をしてきたよな。あれ、ってことはこの話はシーフォには全くしてない・・・?
テヌートの方を見ると、こっちの方を見ずに顔をそらしていた。
「・・・忘れてたな?」
「・・・というより、シーフォに話すこと自体忘れてた」
「テヌートは真面目に見えてお茶目ですね」
「それいいの!!?一番伝えなきゃいけないことを伝え忘れてるじゃないか!!」
俺が確認すると、テヌートとエステルの言葉にカロルがツッコミを入れた。うん、俺も思った。
だがテヌートが眉をひそめて言った。
「・・・だが、俺・・・・は正直騎士団長とかそういう堅苦しい奴はあまり信用出来んのだ」
「騎士団長とか信用出来ない?なんでだよ?」
「昔、お偉いさんとかに痛い目に遭わされたからかな・・・貴族とか王族とかはあまり好きにはなれんのだ」
「フレンは貴族じゃないよ?」
「それでも、貴族と通じている所もあるだろう」
どうやらテヌートは貴族嫌いのようだ。確かにこの世界にも貴族や皇族がいるらしいし、シーフォは騎士団長だ。貴族と嫌でも繋がりを持たなきゃいけないんだろう。
まあ俺もふんぞり返ってるお偉いさんとかは好きじゃねえけど、そこまでじゃないと思うぞ?貴族が全員悪い奴、って訳じゃないだろうし。失礼だけどシーフォも貴族っぽくは見えなかったしな。
「あなたも貴族嫌いなのね」
「・・・?”も”?」
「ジュディス!」
「あら、ごめんなさい」
貴族嫌いの話を出されて、カロルがジュディスを咎めるように言う。・・・?何かあるんだろうか?
「うーむ、その結晶とかを探すのと、異世界を帰るために焰達は旅をしている、という訳じゃな?」
「ああ」
「出来れば闇の結晶を持つ魔物が集まるところが、きっと闇の結晶があるところだと思うんです!心当たりはありませんか?」
「うーん、と言ってもなぁ・・・」
エステルが聞くと、カロルとパティがうーん、と唸るような声を出す。ジュディスもしかめっ面で考え込んでいる。
「最近シェイドみたいな黒い魔物が現れるのは知ってるけど、それが異常に集まっている場所かぁ・・・」
「うーむ・・・」
「怪しげな鉱石が発掘された、というのも聞いたことが無いわね」
「そうか・・・」
どうやら3人も聞いたことが無いらしい。まあ、そう簡単に上手くはいかないよなぁ。
俺は頬杖をついて言った。
「じゃあさ、いつ頃から魔物が出現したか分かるか?」
「魔物が?えーっと、それは・・・」
「・・・確か、半年前じゃったかの?」
「半年前、ですか・・・」
結構前からあの魔物は出現していたようだ。てっきり1ヶ月前とかそこら辺かと思っていた。
「半年前って何かあったですか?その、異変とか!」
「異変・・・ね。世界規模で揺るがすような異変は起きたことが無いわ。身近でならちょっとしたことならあるけれど」
「身近?」
「ええ。・・・・・私達の知り合いが少し、行方不明になってね」
「「ゆ、行方不明!!?」」
それのどこがちょっとしたことだ!!?
ジュディスのにっこりとした笑みに思わず俺とエステルは素っ頓狂な声を上げた。それはどう考えてもちょっとしたことで済む訳がない!!
「その知り合いが関わっているという可能性は?」
「うーん、ないと思うのじゃ。『ナイツ』はうちらに黙っていなくなるような奴じゃないのじゃ!」
どうやらいなくなった奴の名前は『ナイツ』というらしい。パティが自信ありげに言うところ、結構信頼出来る奴だったんだろう、と思う。
「ではそのナイツさんは何か手紙を残していったんですか?」
「ううん、何も残していかなかったよ。だから、余計に心配なんだ。ナイツは黙っていなくなるような人じゃないし、フレンみたいにちゃんと書き置きは残しておく方だから」
「何だ、フレンと知り合いなのか?」
「ええ、彼はフレンと兄弟のような関係だったもの」
「兄弟・・・」
ジュディスの『兄弟』という言葉に、俺の脳裏にふと『あいつ』の姿が浮かんだ。
俺にとっての兄弟ってのはアーサー兄さんにベル姉、ライフィセット・・・そしてもう1人。
どいつも俺と血は繋がってないけど、引き取ってくれたことにはとても感謝しているし、血は繋がってなくても長い間ずっと一緒にいたから家族も同然だろう。
・・・ただ、あいつのことだけは・・・・。
「・・・?」
エステルの方を見ると、エステルがオロオロと慌てながらこっちを見ていた。
「あ、あの、焰?別に、私は気にしていませんからね?」
「俺何も言ってねーぞ」
「顔を見れば分かります!・・・あのときのことは私も悪かったって思っていますし」
「だからあのときのことは俺が・・・もうこれ何回目だよ」
「あははは・・・」
俺がボソッと呟くと、エステルが苦笑を漏らす。その笑みにはいつもの明るさがない。
その様子を見ていたテヌート達が首を傾げた。
「どうした?お前達」
「い、いえ!何でもありませんよっ!ちょっと昔を思い出していただけですからね」
「でもそれにしては」
尚もジュディスが問いつめようとしたときだった。
バァンっ!!
勢い良く扉が開け放たれ、1人の男が転がり込んで来た。
「どうしたの!?」
「た、大変ですボス!!ダアトの近くに大量の黒い魔物の群れが!!」
男の報告を聞いて俺達はハッとする。
『黒い魔物』はもしかしたら、あいつらかもしれないと考えたからだ。
「テヌート」
「おそらく『シェイド』だ!俺達もいくぞ」
「ああ!!」
俺はカロル達よりも先に部屋を飛び出した。
「あ、待ってください焰!!」
「おい!待ちやがれ!!」
「ちょ、ちょっとみんなっ!!?」
後ろから呼び止める声が聞こえたが、俺は構わず外へ飛び出した。
町に魔物が近づいているとなると、相当まずいはず。いくらギルドの奴らが集まっていても、シェイドは騎士団相手ではどうにもならなかったんだ。急がなきゃ!!
走る俺達の様子を、野次馬にまぎれて何者かが見ていた。
そいつは、俺達を見て口を開く。
「・・・・・・・焰・・・?」
久々、そして今年最後の投稿になります、どうもオレンです!
パソコンがフリーズしてせっかく書いていた小説が全部パーになってしまうということに絶望しましたが、なんと自動保存機能があるとは思わなかった。いろんな意味で救われました、えぇ。
では、解説いってみよーっ!!
☆テルカ・リュミレースのカロル達☆
もちろん原作より8年後の設定なのでカロルとパティは大人に、ジュディスは多分変わってないだろうなぁ。カロルは立派にギルドのボスとして構えていればよしです!!
☆フレンに言うのを忘れていたbyテヌート☆
作者自身も忘れていました、すみません。
でもぶっちゃけ今のテヌートはどこかの誰かさんみたいに偉い人は信頼していません。というより国と繋がっている人は好きじゃありません。という訳でフレンには意図的に話さなかったというのも半分あります。もう半分は本編通り忘れてた。お茶目なテヌートさん。
☆『ナイツ』☆
予定より早めに登場させる予定。どうやらフレンとは兄弟のような関係にあるようですが、行方不明らしい。
☆焰の兄弟☆
焰にとっての『兄弟』とは大切な家族も同然であると同時に、トラウマの1つです。エステルもそれについて罪悪感が涌いているようだ。
☆突然の襲撃と謎の影☆
次回は久々の戦闘シーン!やっぱ戦闘がなければテイルズは始まらない!!って感じです。
とまぁ、こんな感じです。という訳で次回は久々の戦闘シーン!そして、新しいメンバーの加入?でしょうか。
ようやく展開が進んだので戦闘シーンに気合いが入ります!(・・・またパソコンがフリーズしなければいいのですが)
とはいえ今年最後の投稿になってしまいましたが、これからもがんばっていきますのでよろしくお願いします!
では次回もお楽しみにー!