Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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Episode 11 深星の兄

 

 

町の外は既に傭兵と思われる人とシェイドの混戦になっていた。

人は剣や斧などを持ってシェイドに立ち向かっているが、見た感じ苦戦しているみたいだった。

 

 「シェイドです!」

 「しかも俺達が戦ったより小型とはいえ、なかなか多いな」

 

エステルとテヌートの言葉に頷く。

 

 

すると、誰かが草原に横たわっているのを見つけた。鎧を着た男性のようだ。

俺達は慌てて駆け寄った。

 

 「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

 「う、うぅっ・・・」

 

唸る男性を見て、エステルは慌てて治癒の光を当てた。それを見て、俺は考える。

 

エステルは多分戦うよりもここでみんなの治療をしてもらった方がいいかもしれない。前衛はまだ慣れていないし、出来てもまだ支援だけだからな。

俺はエステルに指示を飛ばして、走る。

 

「エステル、お前は怪我人の治療を頼む!多分人手が足りない可能性がある!」

 「わ、分かりました!!」

 「焰、俺達は手分けして撃破するぞ!!」

「ああ、分かった!!」

 

 

俺はテヌートやエステルと別れ、シェイドを倒しにいった。

倒している途中で、傭兵がシェイドに襲われているのを見て、俺は慌てて助けにいく。

 

「喰らえ!崩蹴脚!!」

 

飛び蹴りを喰らわせて、シェイドを傭兵から退ける。

 

「大丈夫か!?」

 「あ、ああ!ありがとな!」

 

傭兵からお礼を言われるのを聞きつつ、俺は次の魔物へ向かっていった。

 

さっきからいろんな形のシェイドを倒しているが如何せん数が多過ぎる。道中で出会った魔物よりも固いし・・・一体何がどうなってやがる!!

 

「三散華!紅蓮蹴撃!」

 

俺は狼のような姿をしたシェイドに拳の三連撃を喰らわせ、炎を纏った足でシェイドを倒していく。だが、気がつけば俺はシェイドに囲まれていた。

 

「いくらなんでも多すぎだろこいつら!!」

 「全くだ!断空牙!!」

 

上空からテヌートが攻撃を仕掛けて来た。着地したときの衝撃破に当たらないように俺は避ける。

奇襲であらかた敵は片付いたものの、ほとんどの魔物が俺達を囲んでいた。互いに後ろから攻撃を受けないように背中を預け合う。

 

 「術で一掃したいところだが、ギルドの奴らにバレれば帝国の連中に知られる可能性があるな!」

「そんな躊躇言ってる場合か!!」

 

テヌートの言葉にツッコミを入れつつ、目の前に飛び出して来たシェイドを蹴飛ばしていく。テヌートも手に持っている剣でシェイドを斬っていくが、一向に数が減る様子が無い。

このままじゃこちらの体力が尽きるのが先だ。

 

どうにか一掃出来る手段ねえかなぁ・・・とか思っていたら、

 

 

 

 

ドゴォォォォンッ

 

「「!!?」」

 

どっかの一帯が爆発する音がし、シェイド達が吹っ飛ばされる様子が見えた。しかも割と近いところで。

 

「・・・なあ、テヌート」

 「・・・何だ」

「この世界って爆薬とかないよな?」

 「多分ないと思いたい・・・だがあの規模だとダイナマイト規模のものだぞ」

「だよなー・・・あれ、じゃあ一体何だ?」

 

俺達は揃って遠い目で呟き合った。

 

 

するとシェイドの頭を踏んで、誰かが空からこっちへ飛び出して、俺達の近くに着地した。

 

黒く、すらっとした長い髪に黒いフード付きのローブを纏っていた。その片手には何か袋のようなものを持ち、もう片方の手には敵を斬って来たのだろう刀があった。

顔は風でなびく髪で遮られて、よくは見えない。・・・が、俺にはそいつが誰だか、何となく予想がついた。

 

だけど、あり得ないんだ。だって、こいつはあの時・・・・。

 

 

そう思ったとき、そいつは俺達の方へ振り向いた。

 

 「よぉ焰、見ない間に随分特攻かますようになったな?さすがは俺の弟、って言った方がいいか?」

「・・・お前は・・・・・!!」

 

振り向かれたそいつの目は、俺の知っている紫色の瞳。女性と見間違えるような、端正な顔には・・・・。

 

 

「・・・ユーリ、兄・・・・・なのか?」

 「元気そうだな、焰」

 

 

口角をあげて、笑っていた。

 

 

________________________________________________

 

 

 

 

「な、んでユーリ兄・・・が、ここに?」

 

俺は呆然とした表情を浮かべて、俺でも予想だにしない程の震える声で問いかける。

ユーリ兄は俺に近づいて来て、俺の頭を撫でて来た。

 

 「7年経っても成長しねえな、そういうところは」

「ユーリ兄・・・」

 

俺が複雑そうな顔で見ると、ユーリ兄は苦笑いを浮かべて俺から離れ刀を構えた。

それに気づき、俺はハッとして周りを見る。そうだ、シェイドがまだ残っていること忘れてた!!

 

襲いかかってきたシェイドを慌てて蹴飛ばし、3人で背中合わせになる。

 

 「おい、知り合いか?焰」

「そんなところだよ。で、どーすんの?これユーリ乱入しても意味ねえだろ?」

 「お前はもう少し頭使えよなー」

 

ユーリ兄の言葉に不穏なものを混じっていた気がして思わずユーリ兄の方へ振り向く。するとユーリ兄は持っていた袋の中からボトルと何かの箱を取り出した。

ボトルを見ると、中にはたっぷりの白い粉があるように見えた。

 

箱の中身には赤色が先についた棒のようなものだった。どうやらマッチらしいが、これで火をつけるつもりなのか?

 

・・・・・・・ん?火と、粉・・・?

 

「・・・おい、ちょっと待て。それ小麦粉じゃねえだろうな?」

 「そーいっ」

 

俺の質問を無視してユーリ兄は持っていたボトルをシェイドめがけて投げる。ボトルが割れ、中身がシェイドに振りそそぐ。それを見て、俺は青ざめた。

そう、ユーリ兄のやることが分かったからだ。

 

「ちょっと待て!!こんなところでやるつもりか!?」

 「まあこっちの方が楽ってことで」

「お前ふざけんなよっ!!?」

 「お、おい、どういうことだ?」

 

慌てる俺を無視してユーリは火をつける。それを見て、テヌートがおそるおそる聞いて来たが、俺は被害から避けようとテヌートの手を引っ張って魔物の群れの中を走り出した。

 

 「焰!?」

「お前知らねえのか!!?粉塵爆発って奴をよぉっ!!」

 「ふ、粉塵・・・!?」

 

 

 

ある一定の濃度の可燃性の粉塵が大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発する現象を粉塵爆発と言う。

つまりユーリ兄がやろうとしていることは、飛び散った小麦粉に火のついたマッチを投げつけよう、ということで。

 

そこまで説明すると分かって来たのか、テヌートの顔も俺と同じように青ざめる。

 

 

 

瞬間。

 

 

 

ドゴォォォォンッ

 

 

 

「うおおおおおあああああああっ!!!??」

 「うぐっ・・・!!」

 

 

 

 

まるでヒーローショー並みの爆発が後ろで起こり、俺達は爆風で吹き飛ばされそうになり、どうにか身をかがめて爆風に耐える。

シェイドも爆風で吹き飛んでいく姿がチラチラと見え、爆発が強大だというのが目に見えて分かる。

 

 

つーかあの野郎、7年も会ってなかったと思ったらこんなの開発してたのかよ!!マジでふざけんなっ!!後で一発殴る!!

 

 

 

 

しばらくして、俺とテヌートはようやく顔を上げた。シェイドは格段に数が減ったものの、その惨状に俺とテヌートは驚きを通り越して呆れた表情を浮かべた。

 

 「・・・おい、いくらなんでもやりすぎだろう」

「確かに数は減りましたけどー」

 

いくらなんでも焼け野原にするまで爆発を起こすってやりすぎだと思います。・・・っていうかやった本人は無事なのか!!?

 

慌てて辺りを見回すと、煤だらけになっているユーリ兄がこっちに駆け寄って来た。

 

 「おーい無事かー?」

 「お前もよく無事だったな・・・」

 

確かに。あんなに爆発源に近いところにいたのによく無事だったなと思う。だって見た感じ煤だらけになっている以外は怪我は見当たらなかった。

 

「・・・ユーリ兄、怪我は?」

 「あ?ねえに決まってんだろ。ま、ちょっと火薬の量が多すぎて煤だらけになっちまったけど」

 

あれで火薬の量多すぎたのかよ。もうちょっと考えて使ってくれ・・・と内心で俺はため息をついた。

 

シェイドも大分少なくなって来たし、全部掃討すれば終わりなんだろうけど、何か忘れているような気がする。

 

 

 「焰ー!!」

 

すると、遠くからエステルやカロル達がこっちに駆け寄って来てるのが見えた。

 

「あ、えすて・・・・あ”っ」

 「・・・え?」

 

『エステル』と返事を返そうと思ったが、ユーリ兄を思い出した。本人を見れば、さっきまでの余裕そうな表情がなくなり、目を見開いて駆け寄って来るエステルを見ていた。

エステルもユーリ兄を見て、「・・・嘘」とつぶやき、目に涙を浮かべて両手を口にあてて立ち止まっていた。カロル達はそんなエステルを不思議そうに見ている。

 

俺はそれを見て、ユーリ兄から距離を取る。ユーリ兄の身体がかすかに震えているのが見えたし、せっかくの感動の再会(?)を邪魔したくはない。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・最もそんな決意も第三者の出現によって防がれるのだが。

 

 

 

 「・・・・・ナイツ?」

 

聞き慣れた声がして、俺は後ろを振り返る。そこにいたのは大勢の騎士を連れた、この世界のフレン・シーフォだった。

俺も答えようとしたが、ふとシーフォから不穏な空気を感じて躊躇われた。思わずシーフォの視線の先を見ると、ユーリ兄の背筋がピーンと伸びていた。しかもさっきから冷や汗をかいているような気が。

 

 「・・・この惨状と、その袋の中身は一体どういうことか説明してもらえるかな」

 

シーフォの低い声に、俺は何となく予想がついた。どこの世界でも、フレンの怒りは変わらないなと思いつつ、不穏な気配を察知したと思うテヌートと一緒にユーリ兄から離れる。

 

ユーリ兄が引きつった笑みを浮かべてギギギ….とロボットのように振り返る。

 

 「え、えと、あの、フレンさん?これにはふかーい訳が・・・」

 「問答無用!」

 「ちょ、待て待て待て!!うわああああああっ!!!」

 

シーフォが腰の剣を抜いてユーリ兄を追い回し始めた。当然ユーリ兄は死にものぐるいで悲鳴をあげながら逃げていた。

騎士達はそれを見て戸惑いの様子を浮かべていたし、正直に言って俺も頭?マークが浮かんでいるような感じだ。

ちなみにエステルの方を見れば、何故かいじけておりそれをカロル達が一生懸命慰めていた。

 

 

とりあえずつっこみたいこととかたっくさんあるけど、まず言いたいことはアレだ。

 

 

「誰かこの状況説明してくんねーかな」

 「・・・深く同意する」

 

 

うん、同意してくれて何よりだよ、テヌート。

 

 

 

 

 

 





別名:主人公大混乱の回。

テヌートが割と空気になっていたり、粉塵爆発だったり、騎士団長乱入だったり。割とカオスになりそうな回になりました。うん、詰め込みすぎって危険だね。


☆シェイドの大群☆
今回のシェイドはいろんな形のシェイドがいます。ウルフのような狼型だったり、植物だったり、鳥型だったり。


☆エステルは後方支援☆
エステルは今回は治療として後ろに下がっています。本領発揮はいつになるのかな、と。


☆「術で一掃したいところだが(以下略」☆
テルカ・リュミレースだと魔導器ないから術が使える人は結構珍しいので、使ったら目をつけられる可能性が高いと思うんです。しかし、術の方がよかったと思うことをテヌートはまだ知らない。


☆ユーリ華麗に参上!☆
ユーリが魔物を踏んで空から登場するシーン。イメージは『テイルズオブジアビス』のガイ様華麗に参上のシーン。


☆粉塵爆発!!☆
後悔はしているが反省はしていません。シェイドをどうやって一掃させようかない頭で考えた結果がこれでした。爆発は芸術だぁ!!とも言いますので(え?違う?)
でも粉塵爆発は本当に危険です、その爆発事故では必ず死者がいるようですし・・・絶対に真似しないでください。


☆ユーリとエステル、そしてシーフォ☆
ユーリとエステル感動の再会!・・・かと思いきや、その前にシーフォが登場。追いかけっこを始めました。ユーリが『ナイツ』と呼ばれていた理由、そして何故追いかけられていたのかはまた次回。



・・・と言う訳で解説は以上。
ようやく焰の世界のユーリが参戦です。と言っても本名は深星夕璃と漢字にしているので、多分次回からは原作のユーリと区別を付けるかもしれません。ちなみに原作のユーリは出番がほとんどないと言っていいです。ええ、だって役が役ですし。


次回はほぼほぼ説明回。夕璃と焰達の関係、そして夕璃がナイツと呼ばれている理由などなど。

では、次回もお楽しみにー!!







☆雑談☆

現在念願の『テイルズオブジアビス』(3DS版)をプレイ中です。しかもアビスの悲劇の1つとも言われるアクゼリュスの最中・・・ルークに救いはないんですか!!と思いながらプレイしています。前半がこれほどまでに辛いと思ったゲームは初めてです。デオ峠の辺りとか見ないで飛ばしていましたからね。(スキップ出来ないのが悔しい)
これ、癒し担当のミュウとかイオン辺りがいなかったら多分投げ出していましたね・・・そのイオンも無責任なところがありますが、それでも他の人達よりまだマシです。
でも戦闘面が難しいけどなんやかんやありながらも楽しい。特にFOFが出来たときはすごく嬉しかったです。


余裕があったらアビス改変!とかやりたいのですが・・・『パラレルパニック!』の構成があれだし、構成だけでも考えますかね。

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