Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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プロローグ2 お化けの噂と黒い靄

 

 「焰おはよーっ!!」

「おはよーさん」

 「焰宿題見せてくれ!!リフィル先生の授業やってないんだよっ!!」

「いい加減自力でやることを覚えろよロイド」

 「焰!!今度の文化祭手伝ってくれよ!」

「まだ文化祭は先だろうが!!」

 

 

エステルと分かれて、教室に入った途端、いろんな奴らに声をかけられる。挨拶も含めば、ロイドみたいに宿題やってないから見せてくれー!!とか(自分でやれよとか思う)さりげなく帰宅部の俺に部活に誘う奴らとかもいる訳で。

 

適当にあしらいつつ、俺は自分の席に座る。

 

「焰、おはよう!」

「おー、おはようスレイ」

「ねえねえ聞いた聞いた?ギリシャの方で新しい遺跡が発掘されたんだって!!」

「そりゃまあおめでとさん」

 「おめでとうって・・・相変わらず素っ気ないんだね」

「悪いけど俺には興味ねえよ、ミクリオ」

 

スレイとミクリオは昔からの幼馴染らしく、2人揃って遺跡好きだ。

まあ、仲がいいのはいいんだが、たまにどこかの機械好きみたいにいちいち話をふっかけないでくれませんかねぇ。

 

 「焰!この間貸してた本すっごく面白かったよ!また機会があったら貸して!」

「おー、いいぜコレット」

「焰ってばいろんな本読むよなぁ。読んでて飽きねえの?」

「まあ、知識になるもんはな。あとエステルが勝手に押し付けてくるものもあるから」

「そっか、焰はエステルと仲がいいもんね」

「お前らも仲がいいだろ?端からリア充って見られるくらいには」

「「なっ・・・!!/////」」

 「へー!やっぱりロイドとコレットってそういう関係だったんだな」

「そ、そういうシングも人のこと言えねえだろ!!?」

 

 

相変わらずの変わらない風景。

退屈な毎日だが、そう悪くはない。平凡が一番、トラブルなんてあったらそれこそ大変だ。

 

 

 

まあ、そう思っていたら何かがやってくるのはよくあることで。

 

 

 

 

「はあ?お化け探し?」

「そうそう。ロイドやクレスが誘ってくれたんだけどさ」

 

昼休み、ルークに誘われて一緒に弁当を食っていたときに聞いたことだ。

 

何でもエステルの話していた『赤い光』ってのは今学校中で噂になっているようだ。その赤い光が本当にあるのか?ということでそのお化け探しをやろう、って訳だ。

発案者は話を聞いている限りロイドとクレスらしく、ルークも誘われた訳だ。

 

「焰はいると思うか?幽霊」

「いる訳ねえだろ?迷信だろどーせ」

「だよなぁ!!なんでそんなもんをわざわざ探すんだろーな?」

「確かにな」

 

俺もそういう迷信に関してはよく分からん。

幽霊なんて迷信だって思ってるし、異常現象とかは興味ねえしな。

 

・・・それ言ったら、時々聞こえて来るあの声とか、7年前の『神隠し』ってのはどう言ったらいいものか。

 

それ考えて思わずため息をついたら、ルークに怪訝そうな顔をされた。

 

「何だよ」

「別に。で?ルークはいくのか?」

「ま、暇つぶしにな。どーせいないだろうけどさ・・・ティアもいくって話だし」

「・・・・・」

 

 

前々から思っていたけどさこの学校って無駄にカップルとか多いよなぁ。あと片思いの連中とか、両片思いとか。見ていてイライラするのは俺だけかな?

かといって俺が余計に関わると、何故か恋愛相談室みたいなことになっちまうから面倒になんだよなぁ。俺、ただ相談してやっただけなのにどうしてこうなった。

 

「でさ、焰はいくのか?」

「いかねーよ」

「何でだ?」

 

ルークが首を傾げて聞いて来て、俺はあることを思い出して再度ため息をついた。

 

 

「・・・・・・カーティス先生に呼び出された」

「ああ、うん・・・・・がんばれ」

 

哀れみの目で見るんじゃねえ。頼むから。

 

 

 

 

 

ジェイド・カーティス先生はエステルのクラスの担任で、いつも何を考えているか分からない人だ。本心を読み取らせないとも言うが、うさんくさい笑みをいつも浮かべているから生徒からは結構怖がられている。科学の授業を担当しているせいなのか、カーティス先生を怒らせれば解剖されるぞ!とまで言われているくらいだ。

 

俺は放課後、そのカーティス先生に呼び出されて科学の授業の際に使ったフラスコなどの用具などの手伝いをしていた。

 

「・・・ふう、こんなもんでいいですか?先生」

「ええ、いつもありがとうございます、深星」

「どういたしまして」

 

ようやく用具の片付けが終わり、俺は軽く背伸びをした。

 

「しっかし、今日はたくさん使いましたね」

「偶然他の理科の授業でも使ったんですよー。いやあ、全部片付けてくれてありがとうございますー」

「・・・だろうと思った」

 

他の理科の先生の奴もあるから1人では面倒だからと、ほとんど俺に押し付けて来た。いやまぁ、頼まれたらそりゃやりますけども。

 

「ベルセリオス先生もたまには1人でやってくれよ。カーティス先生も生徒に押し付けないでください」

「いやあ、何分この年齢になると腰が痛くなりましてね・・・あいたた」

「さりげなく嘘つかないでください」

「おや、バレてしましたか」

 

こういうさりげなく嘘をつくから、変な冗談を言っても真に受けられるときがあるんだよなぁ、この先生。俺は騙されないけど。

 

俺の髪や顔立ちはルークやその双子の弟のアッシュと似ているところがあり、よくルークやアッシュと見間違えられることもある。たまに『おーい!短髪ルーク!』なんて言われたときがあったが、そのときは自分の名前を言うと同時に蹴飛ばしてやった。

カーティス先生、たまに俺とルークとアッシュをわざと見間違えるようなことを言うから本当に呆れて来る。

この学校はよくも悪くも個性的な人間ばかりなのだ。

 

「しっかし遅い時間になっちまったなぁ」

 

こりゃ帰るときには夜になっていそうだな、とか腕時計を見ていたらジェイドがあることを聞いて来た。

 

「ところで、何やら赤い光が裏山に出没するという噂が学校中で広まっている様ですね?」

「あー、その話?先生は非科学的なものは信じないんじゃないんですか?」

「ええ。ですが7年前を思い出しましてね」

ピクっ

 

『7年前』という言葉を聞いて、俺は一瞬静止する。

それを見てジェイドは苦笑いをしながら話し始めた。

 

「確か、『彼』が消えた際にも『黒い光』に飲み込まれたという噂が・・・」

「黒い、光・・・?」

「ええ。当時たかが噂だと思われていた様ですが、その翌日だったそうですね?彼が消えたのは」

 

 

 

『7年前』それは俺の人生が全て変わった日。俺が強くあろうと決めた日。

 

もしも、あのときと同じことが起これば?もしも同じことが、他の奴らにも起こったら・・・?

 

 

 

 

脳裏によぎったのは、あいつの言葉だった。

 

 『お前のことなんて、大嫌いだ!!!』

 

 

 

「・・・・・・・!」

ピロロロロロロ

 

そのとき、ポケットに入っていたスマホが鳴り始めた。スマホを見たところ、どうやらメールがきたみたいだ。

妙な胸騒ぎがして、俺はそれを見る。

 

 

 

『From:ルーク

 

焰、裏山に変な化け物がいるんだ!

俺達はなんとか逃げてるけど、お前はぜってーくんなよ!!?』

 

 

その文章に、俺は冷や汗をかく。カーティス先生は笑みを消し、真剣な表情で言った。

 

「・・・ただ事ではなくなった様ですね。焰、あなたはここで」

バンッ

 

俺はすぐさま鞄を持って研究準備室を飛び出した。

 

カーティス先生はそのあとを見て、ため息をついた。

 

 

「・・・・・・・全く、あなたも無茶をする人ですね」

 

 

 

 

 

 

裏山への入り口は学校に近いところにある。

俺は息を荒くしながら入り口につく。入り口にはクレスやミント達が集まっていた。

 

「ルーク!!」

 

俺が呼びかけると、みんなが俺の方を向いた。みんな焦ったり、驚いたような表情を浮かべている。

 

「何があった!?」

「そ、それがっ・・・あっ・・・・お、俺・・・!!!」

「落ち着いて、ルーク!!」

 

ルークは何か怯えたような表情をしており、錯乱しているように見えた。ティアが何とかあだめているみたいだけど、話せるような状況じゃないみたいだ。

代わりに、シングが説明してくれた。

 

「俺達、みんなで赤い光探しをしていたんだよ。何人かのグループに分けて探したんだけどなかなか、見つからなくって。そうしたら、ルーク達のグループに化け物が現れたらしくって・・・」

「私達もそこへ駆けつけたら、ルークとティアの後ろからお、おぞましい化け物が・・・」

 

コハクも、震えながら何とか話す。どうやらここにいるみんなもその化け物の姿を見たらしい。

俺はハッとして、おそらくこいつらの中にいるはずのエステルの姿を探した。が、どこにも見当たらない。

まさかっ・・・!!

 

「おい、エステルは!!?」

「そ、それが、逃げるときに・・・エステルとロイドと、はぐれちゃって・・・・」

「何だって!!?」

 

 

 

 

 

 

そのときだった。

 

 

 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

「「「「!!!!!」」」」

 

甲高い、女性の悲鳴が裏山から聞こえた。

間違いない・・・エステルだ!!

 

「お前ら!絶対裏山には入るなよ!!!俺とエステルが30分経っても戻ってこなかったらすぐ警察に連絡するんだ!!」

ダッ

「焰!!!」

 

それだけ言い残し、俺は裏山の中へ入っていった。

 

 

 

 

「エステルー!!!ロイドぉーっ!!!どこにいるんだぁぁぁっ!!!」

 

俺は大声で叫びながら2人の姿を探す。

だが、夜ということもあってか薄暗く、見えづらい。しかも、森の中であるため木が障害物になりやすい。何度か木にぶつかりそうになりながらも、走る。

 

 「誰か、誰か助けてぇぇぇっ!!!」

「! こっちか!!?」

 

声が聞こえた方向へ、俺はさっきよりも早く走る。

 

 

木々を駆けた先に見えたのは、黒い靄に包まれてもがくエステルの姿と、その周辺に何かの動物の姿をした黒い靄みたいなのがあった。

 

「エステル!!!!」

 「! 焰っ、助けてっ!!!」

 

俺の声にエステルと黒い化け物が気づき、化け物は俺に襲いかかってきた。

 

「おっと!」

サッ

 

その攻撃をかわしつつ、エステルの元へ向かおうとし、ふと辺りを見回した。

近くの木にはロイドが頭から血を流して倒れているのが見えた。まさか、死んで無いよな・・・!!?

一瞬そんな考えがよぎったが、慌てて振り払い、今はエステルだと走り出した。

 

「エステル!!手を伸ばせ!!」

「焰!焰!!」

 

俺は化け物の攻撃をどうにかかわしながら、エステルの元へ進む。その間にも靄はエステルを更に包もうと動めき、エステルはそれに抗う。

 

 

 

失う訳にはいかないんだ・・・!!もう二度と、俺はあの日と同じようにはさせないっ!!!

 

 

既に身体には化け物によってつけられたかすり傷がいくつか出来ていたが、気にしている余裕はない。

俺はエステルに向かって手を伸ばし、エステルの手を掴もうとする。

 

 

 

そのとき、俺の脳裏に何かの怒鳴り声が響いた。

 

 

 『やめろぉぉぉっ!!!』

 

 

 

 

手が届き、エステルの手を掴んだ瞬間、俺とエステルを守るように光が現れ、

 

 

 

 

目の前が、真っ白になった_______。





ちょっと登場人物を簡潔に説明。詳しくは次の章の途中か終わってからにしようと思います。


深星焰
天野高校に通う高校2年生。10年前以前の記憶がなく、夢の中で『声』(エステル曰く不思議さんらしい)が聞こえる。最近では現実世界でも聞こえるようになっている。ルークやアッシュに似た赤い髪と翡翠色の瞳が特徴。過去にあることが原因で、強くなろうと思ったらしい。


エステリーゼ・ヒュレデリズ
焰の幼馴染の高校2年生。こちらは生まれつき動物と話す力を持っており、町やその周辺の動物とよく会話している。明るく天然な性格で、誰に対してでも敬語を使う。愛称は『エステル』




メインはこの2人。ただしエステルはヒロインではありません。もう1度言います、エステルはヒロインではありません。というかヒロインなんて存在しない予定です。

さて、テイルズ風に仕上げなければいけないんだからエステルの武器をどうするべきか・・・焰はもう決まっているんですが、これから登場する仲間キャラ(?)の武器も考えなきゃいけないし・・・ムムム。
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