Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

4 / 14
久々の更新です。今回はエステルが目覚めてからの話になります。



Episode 2 戦う騎士と襲いかかる魔物

 

それから俺は目覚めたエステルにこれまでの経緯を全て説明した。ここが別の世界だということも、全部。

知らないところに飛ばされたから、不安になるだろうと思ったら、

 

「わあっ、別の世界に来たんですね私達!何があるんでしょう!?」

 

と、予想斜め上をいくキラキラした目で言われた。俺だけじゃなくてテヌートも驚いた。

まあ、よくよく考えたらエステルはお化け探しにいくくらい非現実とか非日常にすごく憧れていたからなぁ。しかもよく小説読みながら『みんなでこういう世界冒険したいですね〜』とか言ってるくらいだからな。ガイやフレンと一緒に苦笑いした覚えがあるわ。

 

 

 

閑話休題(話を戻して)

 

 

そんなこともありながら、テヌートの誘導で俺達は外へ出た。

雨が降っていて、正直ジメジメしていて気持ち悪い感じだ。でも傘がないのでびしょ濡れになりながら俺達は遺跡から森へ歩いた。

 

 

「うぅっ、すっごい気持ち悪いです・・・」

 

エステルは鬱陶しそうにつぶやくのを見て、俺はきていた制服のジャケットをエステルにかぶせた。

 

「ひゃあっ!?」

「これで少しは濡れないだろ」

「い、いいんですか!?」

「別にいいっての。ほら、はぐれないようにしろよ」

 

茶化すように言うと、エステルがむぅっと頬を膨らませてにらんで来た。そこまで怖くはないし、俺は前を向いて歩こうとしたら、先に歩いていたテヌートがこっちを見ていた。

 

「どうしたんだ?」

「いや、仲がいいんだなと思ってな」

 

テヌートの言葉に、俺はああ、と納得する。

 

「幼馴染だからな。昔からよく引っ付いてくるんだよ」

「よくではありません!というか焰は事がある度に何か問題を起こすので監視のためです!!」

「オイ」

 

エステルは俺の言葉に反論するように言って来た。

事がある度にって何だ、事がある度にって。俺そこまで問題に首つっこんでないだろ・・・多分。

 

テヌートはそんな俺達の様子を見ながら何かぼそっとつぶやき、それから俺達に声をかけて来た。

 

「おい、早くいくぞ。魔物がいつ出て来てもおかしくはないのだからな」

「お、おう!」

「あ、待ってください!」

 

先を歩き始めたテヌートを追いかけるように、俺とエステルは歩き出した。

 

 

 

遺跡から大分離れた頃、雨が大分あがり、既に辺りは暗くなり、数々の星が散らばっていた。

 

「うわっ、すげえっ」

「わあっ・・・!」

 

俺とエステルは夜空を見上げながら、感嘆の声を漏らした。

テヌートも空を見上げながらつぶやく。

 

「そんなに珍しいか?」

「俺達の住んでいた世界じゃ、こういった綺麗な星空は滅多に見られないんだ」

「はい、山奥とか、町の光がないところじゃないとなかなか見られないんです。・・・あっ!」

 

するとエステルがハッとしたようにつぶやき、あるところを指した。俺はそれを辿るように見ると、エステルが指した空に、一際輝く青い星が見えた。

 

「見てください、焰!テヌート!とっても綺麗です!」

「ああ、あんなに輝く星があるんだな」

「そうだな」

 

エステルの言葉に、俺とテヌートは頷く。

ふと、下の方を見たら何か光っているのが見えた。

 

俺はそれに近寄る。それは、赤色の光を放つ星形の宝石が埋め込まれたペンダントと、白い光を放つハート形の宝石が埋め込まれた指輪があった。

 

「何だこれ?」

 

おそるおそる俺はその2つを拾った。

 

「わあっ、とても綺麗ですね」

 

エステルとテヌートもそれに気づいたのか、俺の持つアクセサリーを見た。

 

「それは・・・ルビーと、ダイヤモンドか?」

「いやこれムーンストーンだろ?地味に銀色っぽいし」

「そうだな・・・ダイヤモンドはもっと光を放つし」

「な、なんで分かるんですか?」

 

テヌートと俺の言葉に、エステルは疑問を浮かべる。

って言っても、何故か結婚指輪についての質問をフリングス先生から相談受けた時(ちなみに相談を促したのはカーティス先生らしい)に宝石の言葉とか覚えなきゃいけなかったんだよな・・・めんどくさかった。

ちなみにその後、見事プロポーズしたらしく、報酬(お金)がもらえた。その月の家賃や食費が浮いたぜ!

 

 

と、話は戻して、俺は指輪をエステルに渡した。

 

「はい」

「え?」

「何かに役に立つかもしれないだろ?ほら、テヌートも」

「え、そ、そんな」

「いや、普通に考えて怪しい物を拾うか?」

 

テヌートの言葉に、俺は確かにと思う。でもこのままここに置いてあったら誰かが盗むんじゃないか?じゃあ町にいって、誰かに預けるべきか?

そう思った、そのときだった。

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォンッ

 「うわぁーっ!!?」

「な、何だ!?」

 

突然どこからか悲鳴が聞こえ、俺達は驚く。それとともに、ズシィン、ズシィンという重い音も聞こえて来た。他にも、何かの怒鳴り声も。

 

「な、何です!?」

「確かこっちだったな!!」

「おい、待て!!」

「焰!!?」

 

俺は慌ててその声が聞こえた方向へ走り出した。

テヌートやエステルの制止の言葉が聞こえたが、そんなものは気にせず走った。

 

 

 

 

 

「・・・なっ!?」

 

声が聞こえた方へ来てみれば、そこにはゴリラのような、黒い毛並みの大きな化け物と、魔物を取り囲むように剣を持って立つ鎧を纏った人達の姿が。もしかして、あれがテヌートの言っていた魔物か?

俺は様子を見るために、見つからないように茂みに隠れる。

 

どうやら化け物・・・いや、魔物と戦っているらしく、何人か突撃しながらその大きな腕で薙ぎ払われているのが見えた。

 

 「うわぁーっ!!!」

 「な、何なんだこいつ!!?」

 「油断するな!次が来るぞ!!」

 

兜をかぶっている人達の中で、何人か被っていない人達が見えた。

オレンジ頭の女性に、緑髪の少年・・・それに、金髪の、

 

「・・・フレン?」

 

見知ったような横顔と髪型を見て俺は驚く。

あれ、フレンもこっちの世界に来ていたのか?けど、着ている服装が鎧だし、それに剣も持っているし・・・。

 

そう考えていたらゴリラのような魔物が、フレンに腕を振り上げているのが見えた。

 

 「団長、危ないっ!!」

 「っ!?」

 

誰かが呼びかけたと同時に、俺は焦燥の表情を浮かべて茂みから飛び出した。

 

 

 

胸の内に駆け巡ったのは、喪失の恐怖。

思い出されるのは、あの鬱陶しい雨の日のこと。

 

 『焰!!』

 

 

 

ー初めて、人の死を目の前で見たときのこと。

 

 

 

「フレンっ!!!」

 「!!?」

 

俺はフレンを押し出す。

魔物の腕がこっちに振り下ろされるが・・・。

 

ダッ

「いい加減にしろってのぉっ!!」

 

俺は即座に腕を前転して避け、そのままスピードをあげて魔物のお腹にある黒い結晶に思いっきり蹴っていった。

 

 「ギャァァァァァッ!!!!」

 

すると魔物が悶え始め、怯む。どうやらあそこの方が黒い結晶の方が弱点らしい。

その間に、俺は魔物の身体を押すように蹴り、そのまま飛び上がってその場を離れた。

 

そのせいなのか、魔物の身体はバランスを崩し、倒れてしまった。

俺はバク転しながらスッと着地する。

 

「けっ、どんなもんだ」

「どんなもんだじゃないでしょう!!?」

「てめえアホかこの屑が!!!」

 

カッコつけてたら後ろから思いっきり怒鳴られた。

振り向けば、ゼェハァと息絶え絶えになっているエステルの姿と額に青筋を浮かべたテヌートの姿があった。どうやら相当怒っているらしい。

 

「もうっ!いきなり走り出したかと思ったら何か突撃していきますし!!」

「あの腕があたったらどうするつもりだ!!?下手したら死んでいたかもしれないんだぞ!!」

「いや、無事だっただろ?現にこうして無事だっただろ?」

「「よくない!!」」

 

2人揃って怒られた、解せぬ。

いいじゃねえか、こうして無事だったんだからよ。

 

そんな軽口を叩いていたら、突然叫び声が聞こえた。

 

 「お前達!上だ!!」

「えっ!!?」

「避けろ!!」

 

俺は慌てて後退して、テヌートはエステルを引っ張って上からの魔物の攻撃を避ける。どうやら起き上がってこちらに攻撃して来たらしい。

 

すると、フレンによく似た奴とオレンジ髪の女がこっちへ駆け寄ってくるのが見えた。

 

「大丈夫ですか!?」

「・・・あれ?フレン!?」

「え、エステリーゼ様!!?」

 

エステルはフレン?を見て驚き、フレン?もエステルを見て驚きの声をあげる。

これではっきりしたことはこのフレンは俺の知るフレンではないことだな。エステルのことを様付けで呼ぶなんてあり得ないしな。

 

「オイ!ぼさっとするな!!」

「! あなた達はさがっていてください!ここは私達がどうにかします!!」

 

テヌートの言葉でフレンが我に返り、俺達の前に出て剣と盾を構える。

つってもどう考えてもこの人数で苦戦してるよな?

 

そう思った瞬間、

 

 「グオオオオオオオオオオオ!!!!」

「うっ!!?」

 

突然魔物が咆哮し、その五月蝿さに俺達は耳を塞ぐ。それと同時に、魔物のお腹にある黒い水晶が鈍く輝くのが見えた。

エステルがそれを見て、顔を歪める。

 

「・・・」

「どうした?」

 

俺は様子がおかしくなっているエステルを見て、咆哮に負けないくらいの大きな声をかける。エステルは首を振って、俺に返して来た。

 

「焰!この魔物、さっきより何か様子がおかしいです!!」

 

エステルに言われて、俺は魔物の方を見た。確かに、さっきよりもすごい苦しんでいると言うか、さっきよりもおかしな感じが・・・。

 

 

そう考えた途端、突然魔物の両手足が更に膨張し、徐々に大きくなり始めていた。それだけじゃない、黒い毛並みが更にどす黒くなり、目と思われる赤色の光が更に鋭くなっていった。

 

 「な、何だあれは!!?」

 「変化、したのか・・・!!?」

 

周りにいた騎士達も戦慄する声が聞こえ、俺もエステルもその光景に身震いした。

もしかして、水晶があいつを大きく変化させているのか・・・!!?

 

テヌートの方を見ればあいつは目を見開いて、その光景を見てつぶやく。

 

「闇の結晶・・・!!?なんでこの世界に・・・・っ!!?」

 

するとテヌートがハッとした表情で俺の方を見ていた。

 

「焰!!」

「え?」

 

呼びかけられた次の瞬間、俺の背中に強い痛みと衝撃が走り、一瞬目の前が真っ白になりかけた。

 

「がぁっ・・・!!?」

「焰!!!」

 

その反動で、俺は思いっきり木にぶつかり、そのまま倒れ込んだ。今の攻撃、どうやら魔物のものらしく、体中にすさまじい痛みが走り、意識もうっすらとしかなかった。

 

「焰!しっかりして!!焰!!!」

 

エステルの声が徐々に近づいて来た。顔を上げれば、ぼやけてはいるが泣きそうな顔をしたエステルの顔が見えた。地面が揺れる程の大きな音が響く。見ると、エステルの後ろから大きな魔物が歩いて来ていた。

 

「させるか!!」

「そこを止まれぇっ!!!」

 

何人かの騎士が魔物に立ち向かっていくのが見えたが、魔物に薙ぎ払われるのが見えた。

徐々に近づいていく魔物を見て俺はエステルに逃げるよう声を出そうとしたが、突然極度の頭痛と背中の痛みに襲われ、うめき声をあげた。

 

「焰!!焰ぁっ!!」

「う”っ・・・!!」

 

 

 

 

 

 『・・・おい!おい!!聞こえるか!!?俺の声が、聞こえるか!!』

 

脳裏に響いたのは、馴染みの深い・・・あの声だった。

 

ーその声は・・・お前、なのか?

 

俺が心の中でつぶやくと、『声』はホッとしたように息をついた声が聞こえた。

 

 『無事だったんだな・・・突然声が聞こえなくなったから、驚いたが・・・・おい、どうした?』

ー悪い・・・正直、今それどころじゃねえんだ・・・。

 『何だと!!?おい、何があった!!?』

ーちょっと、ドジっちまったと言うか・・・。

 

そこまで言って、大きな声がした。

 

「この2人に手を出すようであれば、私が許さない!!」

 

見ると、俺やエステルを守るように立つフレンの姿があった。見ると大分ボロボロになっていて、立つのもやったの状態らしい。さっきまで魔物に立ち向かってはうちひしがれたせいか?いや、そんなことは今はどうだっていい。

 

どうにかして立ち上がろうとするが、体中が痛くて起き上がろうにも起き上がれない。

 

「エステリーゼ様!!今のうちに彼を連れて逃げてください!!」

「ダメです!フレン!!このままじゃ、あなたが・・・」

「大丈夫です。私の方は御心配なく。さあ、急いで!!」

「でも!!」

 

フレンとエステルの問答が交わされている間にも、魔物はすぐそこまで来ていた。

だが、そこに。

 

 

 

グサァッ

「このっ!!」

「テヌート!!」

 

テヌートが剣を魔物の腕に突き刺したのだ。エステルがそれを見て驚きの声をあげる。

が、しかしそれではびくともしないのか、魔物はテヌートを振り払うように腕を振るった。

 

「うわあっ!!」

「テヌート!!!」

 

テヌートは剣から手を離してしまい、俺の近くに吹き飛んだ。俺も声をかけようとするが、身体が思った以上に動かない。

 

 『・・・おい、もしかして何かと戦っているのか?』

ーああ、見たことが無い程でっかい魔物。正直、どうすればいいか分からねえ・・・。

 『はあっ!!?おい、それは本当なのか!!?』

ーたははっ・・・まだ、俺死にたくないな・・・・。

 

 

そうだ、死ぬ訳にはいかない。

早く帰らなきゃ、みんなが心配しているんだ。

ガイやフレンはすごく心配していそうだし、あの場に残して来たロイドのことも気になる。クラスのみんなも俺やエステルがいなくなって大変なことになっているはずだ。

 

 

そうだ、死んじゃいけない。

生きて帰らなきゃいけないんだ。

 

 

その思いだけが俺の中には駆け巡り、俺はぐっと手を握りしめ、痛みをこらえて立ち上がろうとする。

だが、横目で見ると魔物が腕を俺達に振り下ろそうと構えているのが見えた。

フレンがエステルの前に立ち、エステルはフレンを止めようとする声が聞こえたがそんなものはどうだっていい。

 

 

 

 

ー帰るって決めたんだ!・・・俺は、俺達は、生きて帰るんだ!!ー

 

俺は何とか立ち上がって魔物を睨みつける。既に俺達の方に腕が振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 『この・・・馬鹿が!!!』

 

その怒声が脳裏に響き渡った途端、

 

 

 

何かがぶつかる音がした。

 

 

 




久々に書いていて疲れました。
私は主に展開と台詞を下書きに書いて、あとは書きつつ修正していってナレーターとか加えていく感じです。
おかげでいつも状況を説明するのにボキャブラリーの少ない頭で考えて苦労します(苦笑

主人公恒例『何かがある』フラグがたちました。ええ、焰は別作品に出て来るヴェンと同じくらいトラウマがあります。というか私の書く主人公、大抵が割と幼い段階でトラウマ持ちです。

ここで騎士と、騎士姿の焰の知らないフレンが登場!別世界のフレンです。このフレン、扱いづらいんだよな・・・あと無駄にエステルのことを構います。まあ、それにはいろいろと理由がありまして。
そして黒い結晶がお腹の中にあるゴリラのような魔物。イメージは『FAIRY TAIL』に出て来るでかいバルカンの黒バージョンと思ってくれればいいです。
こいつ、パワーがめちゃくちゃ強いんです・・・一般人(?)の焰は一瞬にして吹っ飛んでしまいます。

焰の武器は当初の予定通り、格闘技になります。元ネタのキャラ(何となく想像がついていると思いますが)は武器として剣を使います。でも格闘技でも違和感はないよね!ってことに。ちなみに焰の格闘の先生は『テイルズオブベルセリア』に出て来るアイゼン先生。今後のお話で、彼や焰の周りの環境についても書いていきたいです!
エステルの武器も次回、登場予定。道中で拾ったあのアクセサリーが役に立つときが来ました!
次回もお楽しみに!



・・・それとテヌート、何かやられ損になっているような気がする(汗
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。