Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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Episode 3 覚醒する力

 

 

ガキィン

 

何かがぶつかる音がした。

予想していたグロテスクな音とか、そういうのじゃなくて何かが『防がれる』音。

 

 

「・・・え?」

 

俺はおそるおそる閉じていた目を開けた。そこには、驚きの光景があった。振り下ろされたはずの魔物の腕はエステルとフレンの前で静止していたのだ。

 

いや、静止では無い。『見えない何か』によって、防がれているんだ。

 

 

「え?え?何です?」

「なっ!?」

 

2人も驚いているらしく、俺は目を見張った。

そういえば何故か身体中に広がっていた痛みが全然無くて、俺は容易に立ち上がることが出来た。というか、むしろ身体が軽いような気がする。

ふとエステル達の方を見れば、エステルの手元が何か光っていたのだ。

 

「エステル!それ・・・」

「え?・・・あっ!!」

 

光っていたのは先ほど拾ったムーンストーンの指輪だったのだ。しかも何かの文字が指輪の少し上を浮かんでいた。

俺とエステルは不思議そうに指輪を見る。

 

「これ、何でしょう・・・?」

「分からねえ。もしかしたらこの障壁は指輪の力で・・・」

「おい、まずいぞ!」

 

テヌートの叫びに俺達はハッとして上を見る。魔物は障壁を壊そうと攻撃を加えていた。

障壁は徐々にヒビが入り始めている。

 

「防御はそう長くは持たねえってか・・・エステル、お前は下がって」

「嫌です」

 

俺の言葉を遮ってエステルは否定した。うん、まあそんなこったろうと思ったけどさ!

 

「でもここは危険だぞ!」

「・・・大丈夫です。今の私なら何か出来そうなんです。援護させてください、お願いします!!」

 

エステルは決意を込めた目で俺を見て来た。それと同時に指輪の光も強くなる。

エステルは昔から頑固だし、言い出したらなかなか言いくるめるのが難しい。それに、さっきから指輪がエステルの思いに鼓動しているような気がする。

 

俺はため息をついて、言った。

 

「フレンから離れずに援護しろよ」

「・・・はいっ!」

「フレン、エステルを守れ!!」

「え、えぇっ!!?」

 

いきなり言われ、戸惑うフレン。

その間にテヌートは立ち上がり、俺に駆け寄って言って来た。

 

「奴の弱点は腹の水晶だな。剣が突き刺さっているから、術しか使えんが・・・」

「術?」

「魔術のようなものだ」

 

テヌートの言葉に俺は驚く。この世界、実は魔術も使えんのか。初耳だぞ。

いや、待てよ?魔術が使えるなら、もしかしたら・・・。

俺はそこまで考えて、テヌートに言った。

 

「じゃあテヌートは術であいつの隙をつくってくれ」

「分かった。だが、大丈夫なのか?」

 

テヌートは心配そうに(仮面で表情が見えないが)こっちを見て来た。俺は笑って答える。

 

「平気平気!何か痛みも無くなってるし。・・・それより、来るぞ!!」

 

俺が身構えた瞬間、魔物は障壁を破壊してこちらを攻撃して来た。俺とテヌートは後退して避け、フレンはエステルを抱えて攻撃をかわした。

 

「この野郎!!」

 

俺は飛び上がり、魔物に飛び蹴りを喰らわそうと飛び上がった。

 

 

 

瞬間、首にかけてあったあのペンダントが赤く光りだし、俺の身体が炎に包まれた。・・・へっ!!?

 

「うわぁぁぁっ!!?」

 

そのまま炎を纏って飛び蹴りを魔物に喰らわした。それが効いたのか、魔物は苦しみの声を上げる。

俺は後退し、手元を見た。

 

さっき、俺の身体が炎だけじゃなくて風も渦巻いているように見えた。もしかして、ペンダントや指輪が、俺とエステルに力を与えているのか?だとしたら何故?

 

疑問が次々と浮かんで来るが、魔物がなおもこちらを攻撃しようとして来たため、俺は構える。

今は疑問に悩むより、こいつを片付ける方が先だ。

 

 

「狂乱せし地霊の宴よ、『ロックブレイク』!」

「グオォォォォっ!!?」

 

後ろに急に現れた岩山に魔物は躓き、後ろ向きに倒れる。おそらくテヌートが詠唱したものだろう。

腹の水晶がむき出しになっているのを見て、俺は駆け出した。

 

イメージはまるで打ち付けるような雨とか、彗星。雷でもいいかもしれない。とにかく素早く、そして一撃で終わらせれる技。

 

俺はそれをイメージし、飛び上がる。

すると再び炎が俺を包み込む。自然と纏っている炎は全然熱くないし、むしろ暖かい気がした。

 

俺は足を魔物に向け、水晶にめがけて落ちる。

 

そして叫んだ、その技名を。

 

 

「『鳳凰天駆』!!」

 

 

炎の翼を模した蹴りは水晶を砕いた。

水晶を無くした魔物は雄叫びをあげ、徐々に黒い霧と化して消えていった。

 

 

 

 

ー残されたのは、未だ炎と風を纏って立つ朱髪の少年の姿ー

 

 




約2週間ぶりの投稿となります!待っていてくださった方、すみませんでした(土下座
宝石の力が発揮したときの描写をどうすればいい!?と悩み続け、他の小説も描き続けていたために遅れました。本当に申し訳ございません。

その間に短編集の外伝は終わりを迎えそうですし、本編はようやく始まったし、これからも下手したら遅くなるかもしれません。ご了承ください。

しかもやけに短いし・・・次回はどっぷり書く予定です。


『Tales of Promise』の時間軸は『パラレルパニック!』本編が始まる約半年前。テヌートは17歳なので焰やエステルと同い年。同年代だと多分この2人は馴染みやすいんじゃないかなぁと思いまして。
あと今回残念ながら登場出来なかったエステルの武器は悩みに悩んだ末、原作とは違う武器を使用することにしました。術+攻撃が出来る武器なら杖や剣じゃなくてもいいよね、ってことで。

ちなみに今作の登場人物は私が勝手ながら適正属性を考えています。例えばエステルとフレンだったら『光』だとか。まだ焰はネタバレのためさすがに言えないですが、新しいキャラクターが出てくる度に紹介していこうかなと思います!


次回は戦いが終わった後の話です。お楽しみに!
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