Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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Episode 4 テルカ・リュミレース

 

 

 

「ん、んー・・・?」

 

 

目を開けて一番に目に入ったのは、灰色の天井。

気怠げな身体を起こして、辺りを見回した。どうやらここはどこかの部屋らしい。

 

ふと寝息が聞こえる方へ見ると、ベッドに伏せて眠るエステルの姿があった。

 

「・・・エステル?」

 

あれ、俺どうしてここにいるんだ?なんでエステルがここで寝ているんだ?次々と疑問が浮かんで来るが、そこへ。

 

 

 「気がついたようだな」

「!」

 

扉を開けて入って来たのは、テヌートとさっきのフレンによく似た奴、そしてオレンジ髪の女騎士だった。

 

「テヌート!」

「怪我はないみたいで何よりだよ」

 

フレン?がホッとした様子で言ってくれた。

いや、そうじゃなくて!!

 

「どうして俺、ここにいるんだ!?」

「お前はあの後、力を使い果たして気絶したのだぞ」

「え?」

 

テヌートに言われて思い出す。そういえばあの技を決めた後、すごく眠気を感じて倒れてしまったような・・・。

テヌートは呆れた様子で言った。

 

「倒れたお前を騎士団が運んでくれたんだ。その間、ずっとエステルがお前のことを介抱していた」

「げっ・・・」

 

それを聞いておそるおそるエステルを見た。エステルは相変わらず寝ているが、その目元には涙の跡があった。

 

「・・・もしかして、泣いてた?」

「泣いてたよ。『焰、死なないで』って言ってたから」

「やっべぇっ、やっちまった・・・」

 

エステルを二度と泣かせないって決めていたのに、またやってしまったらしい。ああ、これは帰ったらフレンやガイの雷が落ちるな。うぅっ・・・。

意気消沈している俺だったが、

 

「うーん・・・?」

「エステル!」

 

エステルは眠たそうに目をこすりながら、顔をあげた。だが、俺の姿を認識した瞬間、ハッとして目を見開いた。

 

「焰!!起きました!?」

「あ、ああ、起きた。起きた」

「よ、よかった・・・本当によかったです。焰がいきなり倒れてびっくりしたんですよ!!?」

「うん、悪かった。心配かけたな」

「もーっ!!」

 

涙目ながら言われ、俺は慌てて宥める。エステルはぷくぅと頬を膨らませるが、次の瞬間ニコッと笑って俺に抱きついて来た。

 

「うおっ!?」

「よかったです・・・焰が無事で。もし死んでいたらと思うと・・・」

「死なねーよ。死んだら俺は『あいつ』との約束を破っちまうだろ」

「そうですね!」

 

「・・・あの、そろそろよろしいですか?」

「「あ」」

 

フレン?が少し頬を赤らめながらコホン、と咳払いをして俺とエステルはハッと我に帰る。そうだ、俺達にとっていろいろ重要なことがまだ残ってるんだった!!

 

「まず、あの時私達を助けていただいてありがとうございました」

「い、いいえ!そ、そんな、その、えっと・・・」

「困ったときはお互い様だろ?別に気にすることじゃねえって」

 

フレン?の礼にエステルはあわあわとしながら戸惑い、俺は当然のように言った。

そうだ、困ったときはお互い様だからな。

 

俺は気になっていたことを聞いてみた。

 

「それで、お前達は一体誰なんだ?・・・それに、ここはどこなんだ?」

「あ、ああ。ここは『ヘリオード』と呼ばれる町です」

「へり、おーど・・・?」

 

聞き覚えの無い町名にエステルは首を傾げた。

そうか、ここは別世界だもんな。町名も俺達の知る日本名じゃないってことか。

 

「そして私達は帝国騎士団、私は騎士団の団長、『フレン・シーフォ』と言います」

「騎士団の団長!!?」

「わーお・・・;」

 

別世界のフレンはどうやら騎士団の団長をやっていたらしい。まあ、あからさまに他の騎士とは違うオーラを醸しだしていましたけれども。

というかこっちのフレン・・・じゃなくて、シーフォの方が分かりやすいか。フレンと違って穏やかな雰囲気があるなぁ。

 

そう考えていると、エステルが目を輝かせながら言った。

 

「もしかしてお伽噺に出て来る騎士ですか!!?」

「・・・え?」

「うわあっ、本物です!焰、本物ですよ!!もしかしてお姫様もどこかにいるんでしょうか!」

「エステル、ちったぁ落ちつけ」

 

はしゃぐエステルを俺は再び宥める。

エステルはお伽噺に夢を見すぎなところがあるのだ。まぁ、憧れるのも分かるけどちょっとは落ちつけ。シーフォの奴がドン引きしてる。

 

「ご、ごめんなさい・・・またやってしまいました」

「そ、そうですか。こちらも聞いて宜しいですか?」

「え、あ、ああ・・・ごめん、俺は深星焰って言うんだ」

「あ、わ、私はエステル。エステリーゼ・ヒュレデリズって言います」

 

俺とエステルもそれぞれ自己紹介をしておく。テヌートは既に済ませておいたのか、しなかった。

 

「エステリーゼ、様・・・ではないんですね?」

「と、言いますと?」

「あ、いえ、実は私の知り合いにも、エステリーゼという名前のお方がいらっしゃるので」

「そうなんですか?」

 

シーフォの言う『エステリーゼ様』というのは、おそらくこっちの世界のエステルで間違いないだろう。戦いの最中もエステルのことを『エステリーゼ様』と呼んでいたからなぁ。

 

 

 

「そろそろ本題に入りましょうか。あなた方は何者ですか?」

 

シーフォは真剣な顔で俺達に聞いて来た。

何者、って言われても・・・と思わずエステルと顔を見合わせた。

 

「うーん、何者って言われても・・・どうやって説明すればいいんでしょうか?」

「だよなぁ・・・なんて言えば、いいんだろう」

「では、あなた方はどこから来たんですか?」

 

どこから来たか、そう言われて一瞬うろたえる。

大人しく別世界から来た、と言えば信じてもらえるか?いや、信じてもらえる訳がないだろう。というか俺自身この状況を上手く理解出来ていないんだし。

 

と思っていたら、

 

「こいつらは別の世界から来た」

「え?」

 

お前が言うのか!!今まで黙り決めていたのにテヌート、お前が言うのか!!と俺は内心でつっこんだ。

当然それを聞いたシーフォと騎士は驚きの表情を見せた。

 

「別の、世界・・・?」

「あ、ああ」

「嘘を言っているのではないのでしょうか?」

 

オレンジ頭の騎士が腰にかけてある剣を抜こうと構えているのを見て、エステルは驚いて俺の後ろに隠れ、俺はキッと睨みつけた。

だが、それをシーフォが制す。

 

「落ちつけ、ソディア。・・・彼らは嘘を言っているようには見えない」

「ですが団長!」

「話を最後まで聞こう、落ち着いてくれ」

「・・・すみませんでした」

 

ソディアは俯いて、剣から手を離した。

 

「すまない、怖がらせてしまいましたか?」

「い、いえ・・・」

 

シーフォが謝るのを聞いてエステルも俺の後ろから顔を出して来るが、未だに震えていた。まあ、実際に剣を抜かれる所だったし、ビビるもビビるか。

 

 

 

それから、俺とテヌートで代わる代わるで今までのことを説明した。

シーフォとソディアと呼ばれた騎士は難しい顔をしながらも、話を最後まで聞いてくれた。

 

「なるほど・・・気がついたらシャイコス遺跡に倒れていたんですね。そこを彼に助けてくれたと」

「ああ」

「・・・それではテヌート、あなたは何故その遺跡にいたんですか?」

「・・・・・」

 

そういえばそうだ、テヌートは何であのとき遺跡にいたんだ?

テヌートは少し考えるような仕草をして言った。

 

「俺は探し物をして旅をしている。遺跡には休憩として立ち寄ったんだが・・・そうしたら」

「あ、俺達が倒れていたって訳か」

「では、何故術が使えたんですか?」

 

術?それって確かテヌートが使ってたあのロックなんちゃらって奴だっけ?

エステルが首を傾げながら、聞いた。

 

「何故術が使えたらダメなんです?」

「現在、この世界『テルカ・リュミレース』ではごく限られた人間にしか術は使えないんです。それに術には特殊な道具を使わなければいけない」

「・・・これではダメなのか?」

ブンッ

 

テヌートがシーフォに投げ渡したのは、小さな赤い石・・・いや、宝石だった。

俺とエステルはシーフォの持つ宝石を覗き込むようにして見る。

 

「これ、ガーネットだよな?」

「ああ。魔石と呼ばれた宝石らしい。友人の形見だ」

 

うえっ、めちゃくちゃ重い奴じゃねえかそれって。友人の形見って。

 

「これを使用して術を?」

「そうだ」

「・・・いささか怪しいですね。魔導器(ブラスティア)魔核(コア)でもなさそうですし」

 

ソディアが怪しげに見るのを見て、俺はムッとした表情で言った。

 

「そんなに魔導器ってのは大事なものなのかよ?」

「お前達には分からないだろうが、今では使用禁止になっているものなのだ」

「この世界は『エアル』という見えない物質が存在しているんです。そのエアルを供給して術技を使うことが出来るのが魔導器、その原料となるものが魔核というものです」

 

つまりは魔導器が無ければ術技が使えない、そういうことなんだろうな。・・・ん?

俺はあることに疑問を持って問いかけた。

 

「じゃあ何で今は使えないんだ?術とかがないと生活にも不便じゃないか?」

「・・・実はそのエアルの減少が原因で世界規模でとんでもない事件が起こってしまったんですよ。ですから、エアルに変わるエネルギーを利用した、魔導器の代わりとなるものを開発している最中なんです」

「へえ〜・・・」

「じゃあ、この世界の人々が術が使えないって言うのは、皆さんには魔導器が持っていないからですか?」

「そういうことになるな」

 

ソディアの返答にエステルはなるほどと相づちを打つ。テヌートが人前で術を使うのは、この世界では本来あり得ないことになるのか。

でも、気になることがあるな。

 

「あのさ、じゃあ俺達の前に現れたあの障壁は何だ?」

「そのことだが、お前達の持つそのアクセサリー・・・いや、宝石が力をくれたんだと思う。あのとき、あの宝石はお前達に特殊な力をくれたからな」

 

テヌートの説明に俺は納得した。

やっぱり、そういうことになるのか。というかこのアクセサリー、一体何なんだ?

俺は赤い宝石のついたペンダントを見た。戦闘中に放っていた光はそこには無く、普通に赤く光っていた。

エステルもムーンストーン付きの指輪を見て、不安げな表情を見せる。それを見て、シーフォは慌てて言った。

 

「あ、安心してください。必ず元の世界に戻る方法を見つけ出しますから!」

「え?ですが、これ以上あなた方の世話になる訳には・・・」

「いいえ、困った人を助けるのが騎士の役目ですから」

 

ああ、やっぱりこういった性格はどこの世界でも一緒なんだな、としみじみと思った。どこの世界でもフレンはフレンだったようだ。

 

 

 





約1週間振りの投稿になります。お偉いさんい説明するときって不安になりますよね・・・と思いながら小説を書いています。ボキャプラリーの無さが露呈しつつあるこの頃。


焰とエステルがやってきたのは『テイルズオブヴェスペリア』の舞台、『テルカ・リュミレース』
この世界・・・というかこれから出て来る世界のほとんどが原作のエンディング後になる予定。テルカは原作より7年後の設定です。
フレンは騎士団の団長になっていました。

そして魔導器(ブラスティア)が使えない世の中になっているのため、現在一部を除いて術技が使える人がいません。フレン達が例の魔物に苦戦していたのもこれが理由。


次回は本題、あの例の魔物についての話し合い。そしてある噂を彼らは耳にします。その内容とは?お楽しみにー!
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