Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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Episode 6 エステルの武器、シーフォの心配事

 

 

それから俺達は露店でいろいろ買ったり、見て回ったりした。

特にエステルが露店を1つ1つ興味深そうに覗いては「これがほしいです!」ってねだって来た。予算のことも考えて必要なものだけはオーケーにしておいたが、本を何十冊も持って来たときはさすがにビビった。もちろん買わなかったが。

 

で、結局買ったのは旅(というより、サバイバルとかキャンプか?)の必需品の他に、服を何着か。そしてエステルの本を何冊か。あと買うものといえば護身用の武器(俺はまだしもエステルが必要だと思う)と非常食とかぐらいかな。

 

 

そんで、昨日の戦いとか悪天候で制服は汚れてしまっていたため、買って来た服に着替えておいた。

俺は黒のインナーに白いコートを羽織り、黒のズボンをはいている。両手には指無しの黒いガントレットを身につけて、踵の低い黒のブーツを履く。ガントレットをつけていれば手に傷はつきにくいしな。

エステルは緑色の制服のような服(服屋の店員曰く『小達人のクローク』って言ってたな)に灰色のミニスカート、白い靴下に黒いパンプスという何かの制服のような格好。腰にいろんな道具が入るようにポーチをつけている。動きづらくないのか、と聞いたけど全然そんなことはないと返された。

 

 

 

 

 

「焰!あとは何を買うんです?」

「あとは護身用の武器ぐらいかな。エステル、お前どういう武器がいい?」

「え?私です?」

 

いきなり話を振られて驚いたが、エステルはうーんと考えて、あっ!と思いついたように叩いて言った。

 

「私、あれがいいです!漫画とかに出て来る魔法少女のバトンとか!」

「バトンっていうより棍じゃねえか?それ」

 

というかそんなものが果たして店に売ってるんだろうか、疑問が浮かんだがとりあえず店に行ってみないと分かんないよな。

 

 

 

 

近くにあった武器屋に入ると、剣や斧だけじゃなく鎧などがショーケースに並べられていた。レジカウンターらしきところには店員らしき中年の男が立っており、誰かと話している。金髪の、鎧を着た・・・って。

 

「シーフォ?」

 

そう、店員と話していたのはさっき話していた騎士団長シーフォだった。シーフォもこちらに気づいたようで、俺達の方へ振り返る。

 

「ん?やあ、焰、エステ・・・ル。奇遇ですね」

「フレン!フレンこそどうしたんです?」

 

エステルは嬉しそうにシーフォに話しかけた。シーフォは肩をすくめて答える。

 

「情報収集さ。何か困ったことはないか、とか異変がなかったとかね」

「さすがは騎士団長。国の治安は俺が守る!って感じだな」

「そ、そうでしょうか?ところで、あなた達はどうしてここへ?」

「武器を買いに来たんです。あの、護身用の」

 

エステルがそう言うと、シーフォは一瞬青ざめたような顔をしたが護身用と聞いて少しホッとした表情を見せた。

 

「どうかしたのか?」

「あ、ああ・・・もしかして、旅に出るつもりで?」

「はい。いつまでもここにいても仕方ないと思ったので。そうですよね、焰」

「ああ。エステルがバトン・・・っつーか棍が欲しいって行ってたけど、合いそうなのってあるか?」

 「ああ、あるぜ。ほれ、あそこ」

 

店員が指した先に、壁に棍がいくつもの建て並べてあった。エステルはそれを1つ1つ興味深そうに見ていく。

すると店員がカウンターからこっちへやってきて、俺にあることを聞いて来た。

 

 「あの嬢ちゃん、武器とかちゃんと使えるのか?」

「護身用に俺と同じ格闘技習ってる程度。でもあいつすぐばてるからな、かじった程度しかやってねえ」

「え、格闘技習ってるのか!!?」

 

エステルが格闘技を習っていることを聞いてシーフォが驚いた様子を見せた。

まぁそりゃそうだ。端から見たらお嬢様みたいなナリしているエステルが、格闘技を習っているとは誰も思わないもんな。だとしてもあいつは運動とかがあまり得意じゃないからな、すぐばてちまうしどこかで必ず技を放った後ずっこける。それが難点だな。

 

俺がアイゼン先生から紹介を受けたときに一緒に受けたが、結局はやめてしまった。けど、エステルは俺が心配なのか、いつも引っ付いて来る。

それもこれも、『あの日』以来で・・・。

 

 

 『お前なんか、大っ嫌いだ!!』

 

 

「・・・」

 

脳裏によぎったのは、忘れもしないあいつの言葉。何年経っても色あせることの無い、拒絶の言葉。

 

「・・・チッ」

「? 焰?」

「何でもねーよ」

 

嫌なことを思い出したせいか、無意識に舌打ちをしてしまったらしい。不審がるシーフォに慌てて謝ると、エステルがあるものを持って駆け寄って来た。

手に持っていたのはエステルの背丈より少し小さめの、大きな棍だった。だが不自然に2つくぼみのようなものがあった。

 

 「おー、嬢ちゃんそれは三節棍だぞ?扱いにくいんじゃないかい?」

 

 

エステルが持って来たのは三節棍だった。三節棍とは紐や鎖で連結させることの出来る武器だが、素人が扱うとなると自分の方へも当たってくることがある・・・と以前アイゼン先生が教えてくれた。

 

エステルは喜々とした様子で言った。

 

「そうですね。でも、私これが一番しっくり来ると思うんです!3つに分割出来ますから、普段は2つでいけばこの通り!」

 

1回折って2つに分割すると、長い方の棍はエステルが持つのにぴったりなサイズになっていた。というか、鎖とかで繋がれていないんだな・・・;

それでも店員とシーフォが心配そうな顔をして言う。

 

 「だがなぁ、嬢ちゃんにはちーっと厳しいんじゃないか?」

「私もそう思います。無難にナイフとかの方が良いのでは?」

「私はこれがいいんです!ね、焰!」

 

エステルは助けを求めるようにこっちを見て来た。こうなるとエステルは言いだしたら聞かないからなぁ。仕方ない。

 

「こいつがそう言ってんだ、いいだろ。ただしエステル、武器が使いこなせるまでしばらく俺と特訓な」

「分かりました!・・・・・・・・え?」

 

エステルから三節棍を分捕り、レジに持っていく。エステルは頷いたが、何かに疑問を感じて首を傾げた。

 

「何だよ」

「・・・特訓、です?」

「お飴素人なのに扱えるわけないだろ普通」

「え、そうじゃなくて、焰と?」

「・・・・・文句あんのか」

「い、いえ!ありません!」(やった!久々に焰と特訓です!!今回こそはついていってみせるんですから!)

 

 

・・・何かあいつガッツポーズしてんだけど、何かあったのか?

エステルの奇妙な行動に首を払いつつ、店員に金を渡す。シーフォは尚も不安げな表情をしていった。

 

「・・・本当に、大丈夫かい?」

「あのなぁ、どこの世界でもそうだけどシーフォ、お前過保護すぎやしないか?ちったぁ信用しろって。そりゃぁ、別世界から来た俺達のことは信用出来ないのも無理はないけどよ」

「いや、そんなことは!」

「だったらいいだろ。エステルはこっちの『エステル』じゃないんだ。自由奔放で頑固で、やると決めたら引き下がらない奴だよ」

 

まぁ、俺はこっちの世界の『エステル』がどういう奴か知らないけどな、と言いながら会計が終わり、三節棍をエステルに渡した。エステルは嬉しそうにして受け取り、それを3つに分割して持っていたポーチの中に入れた。

 

シーフォは不安げだったが、仕方ないと苦笑して言った。

 

「そうだね・・・彼女はこっちとは違うんだね。時々彼女を見ると、昔のエステリーゼ様を思い出すんだ」

「昔の?へー、こっちの『エステル』は昔はエステルみたいだった、って言いたいのか?」

「あはは、かもね。・・・でも、彼女は変わられた。・・・・『彼』がいなくなってしまったから・・・」

「?」

 

シーフォは一瞬辛そうな表情をしたが、表情を取り繕って俺に笑いかけてきた。・・・ただ、その笑みが泣き笑いに見えたのは、俺の気のせいか?

 

「それじゃあ僕はこれで失礼するよ。またね」

「はい!また会いましょう!」

 

武器屋を立ち去るシーフォをエステルは手を振って見送った。

 

・・・・どうも最後に見せたあの表情が気になるな。それにテルカのエステル・・・いや、エステリーゼが変わった理由が気になる。

 

 

何か、知らない間に厄介ごとに巻き込まれた気がする・・・。

 

 

 






最近投稿ペースが落ちて来ているオレンです!
2、3日前に書いていた原稿がようやく完成したのですが、パソコンがフリーズしてしまい、同時に書いていた『パラレルパニック!』の方の原稿も全部おじゃんになりました。おかげで『パラレルパニック!』の方は書く気力が落ちています。こっちは展開が何となく考えてあったのでよかったのですが、『パラレルパニック!短編集』の登場人物まとめがお亡くなりになったのは軽く鬱になりました。バックアップ?ないですよそんなもの。


で、今回のまとめは予定通り買い物とエステルの武器決め。


『買い物』

やっぱり大人しく何かしていられないお2人。速攻で旅に出ることになりました。エステルの本何十冊は、本当にあり得そうで怖い。この作品のエステル、自由奔放ですから。



『衣装決め』

どうしてもテイルズの世界に合わせたくて現代風の格好からファンタジーっぽい衣装に着替えさせました。制服のままは動きづらいですしね。
焰は『テイルズオブジアビス』の主人公『ルーク』の衣装にちょっとアレンジを加えたもの。コートの後ろに模様はなく、無地です。また、両手の指無しの黒いガントレットは格闘技ならでは。ナックルなんてものは使いません、素手で戦います。
エステルは『レディアントマイソロジー3』に出て来る衣装を着させました。原作と被らないように、尚かつかわいらしく、動きやすい衣装にはとても悩みましたよ。服のセンスなんて皆無の私には難しかった。


『エステルの棍について』

最初、弓にしようかと思ったのですが、主人公は近距離で戦うイメージが私には強いんですよね。だからと言ってエステルは僧侶とか魔術師とかそういうポジションだし、弓は合わないなぁといろいろ考えた結果、棍になりました。弓で戦う回復役ってルークと同じ作品の『ナタリア』に被りますからね。だからといって棍にしても『テイルズオブエクシリア』の『レイア』の技を参考にするつもりでいるので、どっちにせよ被るんですが。


『焰とエステルの格闘技について』

焰とエステルは幼馴染ですのでいつも一緒に育ってきました。そのため、格闘技もエステルはやる予定だったのですが、途中でどうしてもばててしまい、彼女の身を思ってアイゼンが解雇。エステルはそれをすごく悔しがっていました。だから三節棍を買ってもらう際、また特訓が出来ると聞いてエステルは大喜びでした。
焰はちゃんとアイゼンと互角に戦える程の力は持っていますが、エステルは本当にかじった程度。しかも本編にも言った通り某ドジッ子神子のようにドジッ子発動をして転んでしまうという。特訓ではそうならないよう解消したいところ。


『シーフォの心配事』

この世界のフレン、やたらとエステルに対して心配性です。エステルに対して敬語だったのもそれが理由。だけど次回からはそんなことはなくなり、ようやくフレンの口調が元通りに。テルカ・リュミレースのエステルが変わったことも何か関係している様ですが。ちなみにこの時点で焰の『ほっとけない病』が発病しています。



次回はいよいよヘリオードを飛び出して旅立ちへ!次回もお楽しみにー!




☆どうでもいい余談☆

『レディアントマイソロジー3』の防具、やたらと露出が高かったり動きづらそうなんですがあれ大丈夫なんだろうか。現実で考えたら相当辛そうな気がします。
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