Tales of Promise   作:オレン・オラージュ

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Episode 7 闇の大結晶と結晶

 

 

夕食を軽く外で済ませ、俺とエステルは一晩泊まるために武器屋の店員から教えてもらった宿へ向かった。

宿に入るとすぐのロビーに、テヌートの姿があった。何かの本を読んでいたが、俺達に気づき声をかけて来た。

 

「おー、テヌート」

 「・・・焰とエステルか。買い出しは終わったのか?」

「おう。・・・ん?」

 

あれ、俺テヌートに買い出しにいくって言ってたか?言ってなかったよな?何でこいつ、俺達が買い出しにいくって分かったんだ?

 

そんな疑問を持っている俺をよそにテヌートが言葉を続ける。

 

 「ちょうどいい。話がある。来い」

 「え、あのちょっと!?」

「お、おい!?」

 

テヌートは俺の手を引っ張って、階段をあがっていき、俺は手を引っ張られながら転ばないように歩いた。エステルも俺の後ろから慌てて追っかけてくる。

一体テヌートは何がしたいんだ!!?

 

 

 

 

 

宿の部屋にはベッドが2つと、備え付けのテーブルやソファ、クローゼットがあった。ベッドの近くにはテヌートの剣がある。テヌートの泊まる予定の部屋なんだろうけど、どうして俺達をここへ連れて来たんだ?

テヌートは俺達にソファに座る様促し、俺達はそれに従って座った。テヌート自身も座り、持っていた本を机の上に置いた。

それが目に入ったのか、エステルは本を手に取る。

 

 「これ・・・童話みたいですね?」

 「この世界に伝わる『凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)』という童話だ」

「テヌートはそれを読んでいたのかよ」

 

少し意外だな、と思った。童話好きもエステルみたいにいるのは知っているが、男で言うとなればあんまり聞いたことが無い。しかも、成人に近い男性の奴とかあんまり聞いたことが無い。

 

 「この世界でエアルの減少というものについて調べていてな。古文書を調べていたらふと、これが目に入ったからそれを見ていただけだ」

「エアルの減少?それがどうかしたのかよ?」

 「俺が探しているものと何か関係があるかもしれない」

 

そういえばテヌートは何か探し物をしていたな。エアルの減少と関係のある探し物って一体何なんだ?

それを聞こうとしたが、その前に本題に入ってないことに気がつく。

 

「それより、話って何だよ?」

 

俺が聞くと、テヌートは少し躊躇いがちの仕草をしたあと、話し始めた。

 

 「お前達はしばらくこの世界に留まるつもりなのだろう?だったら少し、手伝ってほしいことがある」

 「手伝ってほしいこと、ですか?」

「探し物って奴か?」

 

すかさず俺が聞くとテヌートは頷いた。

 

 「探し物、というより探し人なんだがな。俺達を襲って来たあの魔物を覚えているだろう?」

「ああ、シーフォ達も見たことが無いって言っていたな」

 「俺は以前、あの魔物を見た事がある」

 「え、あるんですか!!?でも、心当たりは無いって・・・」

 「すまん、あれは嘘だ」

「オイ」

 

盛大に嘘をついていいのかよ。嘘つきは嫌われる元だと思うんだけどな。

ジト見で俺がテヌートを見つめると、テヌートは居心地が悪そうにしながらも言った。

 

 「仕方ないだろう、俺も『シェイド』があそこにいるなど知らなかったんだ」

 「『シェイド』?」

 

聞き慣れない単語に俺とエステルは首を傾げた。するとテヌートは懐から何かを取り出して俺達に見せて来た。

豆粒程の、小さな黒い石のようなものだった。

 

 「これは『シェイド』が持つ核となるもの・・・『闇の結晶』と呼ばれるものだ」

「シェイドの、核・・・あっ!!」

 

そこまで言われて俺は気づいた。この結晶は先日襲って来た魔物が腹につけてあった結晶のようなものとよく似た色をしている。もしかして、テヌートの言う『シェイド』ってあの魔物のことか?

 

「もしかして、お前の言うシェイドって昨日襲って来たあの?」

 「ああ。・・・俺は、ある組織に所属している人間だでな。『シェイド』が異常繁殖されているのには、封印されたはずの『闇の大結晶』の復活に関係していると言う。それを俺は調べている」

 「封印された『闇の大結晶』・・・まるで王道ファンタジーによく出て来るラスボスみたいな感じですね!」

「いや、そこまで言わなくていい」

 

確かにパターン的にはあり得そうだけど今そんな場合じゃないだろ、とつっこんでおく。

俺は話しの続きを促し、テヌートは再び話し始めた。

 

 「昔、ある1人の黒魔導士が自らの欲望のために様々な悪魔を生み出した。『闇の大結晶』はその際に使用された、負の感情の塊とも言われている。その結晶から生まれでる影の魔物、それが『シェイド』だ」

「負の感情の、塊・・・」

 「だが、黒魔導士と相対する白魔導士の手により闇の結晶は封じられた。そのまま、どこかへ封印されたが・・・」

「何者かの手によってその封印ってのは解かれたってことか」

 「そうだ。しかもその巨大な力を持つ結晶は砕かれ、いくつもの結晶があちこちに散らばったらしい」

 「えっ、じゃああのシェイドも、その砕かれた結晶の?」

 

エステルの疑問に、テヌートは首を横に振った。

 

 「いや。闇の大結晶は分裂したあと、どこかに眠りにつくらしい。その闇の大結晶・・・俺達は『結晶』と読んでいるが、それを砕かない限り、シェイドが無限に湧き出て来る」

「つまり、闇の・・・その、結晶?ってのを砕かないとあの魔物は永遠に涌き続けるって言いたいのか?」

 「そうだ」

「それマジでやばい奴じゃね!!?」

 

(多分)この世界の自衛隊ともいえる騎士団が適わなかった相手だよな!?それって大分まずいと思うのは俺だけか!!?

そう思って言うと、テヌートも神妙な顔つきで頷く。

 

 「そうだ。だからこそ、俺はこの世界のどこかにある闇の大結晶を砕かなければいけない。それと同時に、封印を解いた奴も探している」

「封印を解いた奴を・・・」

 「ああ」

 

テヌートが頷くのを見て俺は少し考える。

 

要するに、闇の大結晶は元々封印されていたが、その封印が解かれた上に砕かれていろんなところに散らばってしまった。砕かなければ闇の結晶を持つ『シェイド』が増殖し続けるという。そんでテヌートはそのシェイドが生まれる元である大きめの闇の結晶と、その封印を解いた奴も探している、ということか。

 

ふと気になったことがあって聞いてみることにした。

 

「なあ、テヌートはそいつを探してあそこにいたんだよな?何で俺達を助けたんだ?」

 「・・・それは・・・・」

 

俺がそう聞くと、テヌートが顔をそらして何か口でもごもごし始めた。

俺としては純粋に何で助けたのか聞いただけなんだけど、そうやってやられるとこいつに裏があるんじゃないかと思えて来た。こいつ、信じて大丈夫だろうか。

 

俺の考えに気づかないのか(気づかれても困るけどさ)、エステルが首を傾げながらテヌートを見る。

 

 「どうしたんです?何か言いづらいことでもあるんですか?」

 「いや・・・やましいこと、という訳では無いが、知り合いに似ていてな」

 

そこで物語の定番を出してくるのかよ!!!何かあるよな!『知り合いに似ていたから』っていう理由で主人公助ける漫画とか俺知ってるぞ!!お前もそういう質なのか!!?

 

とか内心でつっこんでいてもしょうがない。

だが、テヌートはどうも嘘をついているようには見えない。というのも、さっきから挙動不審過ぎてむしろ疑う気が失せてきた。こいつ、隠す気があるんだろうか?心配になって来た。

 

「その知り合いってのは?」

 「・・・いろいろあって、もう会えない」

 「もう、会えない・・・?」

「何かすまん」

 「! あ、謝らなくていい!!別にお前のせい、ではない!」

「いやだって触れてほしくなかったんだろ!?」

 「べ、別にそう言う訳じゃ・・・」

 

いやだってその『もう会えない』ってどう考えても触れちゃ行けない事柄だっただろーが!めんどくさい性格だなこいつ!!

 

 

 

とりあえず本題に戻って、だ。

 

「で、お前の頼みたいことって言うのはその闇の結晶の封印を解いた奴を探すってことか?」

 「ああ。そうでなくとも、この世界のどこかにある闇の水晶を壊すのを手伝ってほしい」

 「焰、やりましょう!」

 

即決かよエステル。あまりに早い決め方に思わずガクッと来てしまった。

エステルは今までに無いような、ワクワクとした表情を浮かべながら言った。それも、目を輝かせて。

 

 「焰、これはすごいですよ!私達ラッキーですっ!別世界に来て新しい力を手に入れて、しかも冒険まで出来るんですよっ!!」

「はいはい、お前は冒険好きだったな」

 

この歳になって未だ未知の冒険のことを考えるとは、少しは危機感を持ってくれ。ああ、頭が痛くなって来た。

俺は思わず手を額に当てる。ふと、気になったことがあり、俺はテヌートに聞いてみた。

 

「なあ、テヌート。俺達の石については何か知っているのか?」

 「いや、俺もよく分からん。異世界から飛ばされて来た魔力が込められた石なのかもしれないし、この世界で言う魔核かもしれない。詳しく解析してみなければ分からないだろう」

「そ、そうか」

 

どうやらテヌートもそういったものには分からないらしい。うーん、これは本当に解析してもらうべきか?いや、今はいいか。

とりあえずこの石のおかげであの魔物相手でも戦えることは確かだった訳だし、この力でみんなを守ることが出来る。

 

 

守ろう、エステルを。そしてテヌートや、みんなを。今度こそ、誰も俺の前で死なせない____!!

 

 

俺は無意識に、石を握りしめた。

 

 

 

 





皆さんお久しぶりです!!!テストやスランプ状態が続き、投稿が遅くなってしまって誠に申し訳ございませんでした!!(土下座
投稿が遅くなった原因はテストもそうなんですが、Tales of Promiseの主要メンバーについて悩んだり、展開について悩んだり、挙げ句の果てには『これ1回手直すべきかな』とか悩みに悩んでいました。ですが中途半端に投げ出すのは昔からよくないと親に言われ続けていましたし、事実私も『途中で投げ出すな!!』という変なプライドが邪魔して、結果的には投げ出すのはやめにしました。
小説って思い通りにいかなかったりすると、一からやり直したくなるんですよね・・・勉強になります。




☆闇の大結晶と闇の結晶☆

もっといい名前があっただろと自分の中で思いましたが、すまん。ネーミングセンス私には皆無だからこれが限界です。
とりあえず大結晶が砕けたら、結晶になってしまってあちこちに散らばってしまったということ。そして結晶を砕かないと延々とシェイドが涌き続けるという大変なことに。



今回はすごく内容が薄くてすみません!次回からはもうちょっと長めに書くよう努力します。次回はまだかけそうなネタがあるので・・・では次回もお楽しみにー!
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