俺のヒーローアカデミア   作:ダーク・シリウス

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USJ=ウソの災害や事故ルームIN襲撃事件勃発

オールマイトが雄英の教師に就任したニュースは全国を驚かせ連日マスコミが押し寄せる騒ぎになってた。雄英に通う生徒達にコメントを貰おうと報道陣が躍起になって質問を求める姿は仕事熱心を通り越して、学園側にとってはいい迷惑なのかもしれない。こんな騒ぎになる事ぐらい分かっていたとしてもだ。俺は空から学校の敷地内に侵入したからコメントは受けなかったがな。だって、オールマイトの養子だから絶対見逃してくれなさそうだし。

 

―――1-A組―――HR

 

教卓に立つ相澤先生が昨日の対人戦闘訓練でつけられ、記された成績表らしき紙の束をバサッと置いた。

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。特に俺から言う事は無いが小言はある。が、それを言うのに時間を費やしてしまう。それは合理的ではないから言わないでおいてやる」

 

合理性に欠ける事をとことんしないんだなこの人は・・・・・。

 

「さてHRの本題だ・・・・・。急で悪いが今日は君らに・・・・・」

 

意味深な物言いをする俺達の担当教師に

 

『(何だ・・・・・!?また臨時テスト!?)』

 

と、思わず警戒する。雄英なら何でも行っても不思議ではないし、それを行う教師も自由に執行できる。齢15歳のクラスメート達は身構えて相澤先生から発する言葉に固唾を飲んで待った―――。

 

「学級委員長を決めてもらう!」

 

『学校っぽいの来たああああああああああああっ!!!!!』

 

極一部を除いて殆どのクラスメートが安堵で息を漏らしつつ歓喜の声をあげた。

学級委員長―――。普通、遊びたがりな少年少女達からすれば面倒極まりなく、雑務だとそう思うのも仕方ないし当たり前だがここは雄英。ヒーローを育成する学校だ。だから雄英、ヒーロー科に在籍する生徒達からすれば、学級委員長のニュアンスが違う。

 

それを表すかのようにクラスメート達のほぼ全員が挙手、声を無言から大きく出しながら立候補している。その理由はここヒーロー科では集団を導くっていうトップヒーローの素地を鍛えられる役だからそうだ。

 

この場にいる全員、トップヒーローを目指しているから可能ならば"多"をけん引する使命を果たしてみたい一種の憧れみたいな仕事をしたい一心だろうな。

 

「静粛にしたまえ!」

 

騒然と化した教室に制止の声が上書きするように遮った。教室の中は一気に静まり返り、騒ぎを抑えた人物の方へと俺も含めクラスメート達が振り返る。

 

「"多"をけん引する責任重大な仕事だぞ・・・・・!『やりたい者』がやれるモノではないだろう!」

 

何とも言えない緊張感を発している―――長身的で眼鏡を掛けた男子生徒、飯田天哉が

 

「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら・・・・・」

 

言っている事とやっている事が己の欲望を表している事に突っ込んでいいだろうか。

 

「これは投票で決めるべき議案!」

 

『そびえ立ってんじゃねーか!!何故発案した!?』

 

彼もまた学級委員長に立候補していることにさ。

 

「・・・・・まあ、いいんじゃないか?皆、自己主張してちゃあ先生も合理的に決め兼ねないだろうし」

 

賛同と兼ねて俺がそう言うと周りから視線が集まる。

 

「兵藤、お前はそれでいいのか?そんなことしたら皆自分に投票しちまうぜ?」

 

「入学してまだ間もない俺達が互いの事を深く知っている筈もないし信頼も何もないじゃん切島。手っ取り早く終わらせるにはそれが良いんじゃないかって飯田に賛同しているだけだ。他に投票以外で決める方法があるなら言ってみろよ切島だけじゃなくどこかの誰かさん」

 

『・・・・・』

 

「それに、全員が全員・・・・・自分に投票するとは限らないし。時間内に決めれば別に何でも構わないですよね先生」

 

了承を求める俺にあの先生はどこからともなく取り出した寝袋に包まれていてチャックをしていた。

 

「HRの時間内に決めりゃ何でもいいよ」

 

・・・・・教師なのに、教室で寝るつもりなのかこの人。

 

そんなこんなで全員、投票したのだが結果は―――。

 

緑谷出久 3票

 

八百万百 3票

 

と、後は自分に投票したか他者に投票したかでこの二人以外―――。

 

兵藤一誠 3票

 

「・・・・・はっ?」

 

俺、3票・・・・・?俺、他ンとこに投票したのに一体誰が・・・・・?名前が書かれていないクラスメートを推測して・・・・・。

 

「んじゃ、この三人で合理的にジャンケンをして決めろ」

 

「マジでか先生」

 

「マジだ兵藤。とっととやれ」

 

「「「・・・・・」」」

 

催促された俺達は教卓の前でジャンケンをする羽目となった。

 

「恨みっこなしだからな・・・・・」

 

「ここだけは譲れませんわ」

 

「マ、ママママジでか・・・・・ッ」

 

渋々と俺は、真剣な表情の百は、ガチガチと緊張している緑谷は、揃って拳を突き出してジャンケンした。

 

―――昼休みIN昼食―――

 

「てな感じで、俺は負けたよ。正直ホッとしたけど」

 

「へぇ、そっちじゃあそんな風に決められていたんだね」

 

大食堂LUNCHRUSHのメシ処にてB組の一佳と塩崎を交えて百に耳朗、麗日と昼食。

相も変わらず賑やかな食堂で食べる料理は美味しい。雰囲気と騒動が料理に新たなスパイスとして旨味を底上げしている感じだ。

 

「麗日の名前が無かったけど、俺達三人の誰を投票したんだ?」

 

「えっと、デク君だよ。兵藤君にも投票したかったんだけど・・・・・ごめんね?」

 

「いや、別に気にしてない・・・・・となると、俺を投票したクラスメートが絞られるな」

 

「そう仰る一誠さんは自分に投票したのですが?でなければ3票なんて・・・・・」

 

「ああ、俺は百に投票した。適任だからだと思ってな。誰かに頼られると全力で応えようとしてくれそうだし」

 

そう思って投票したんだが・・・・・残念なことに緑谷が委員長になった。

 

「私達B組の方では一佳さんが委員長になりましたわ」

 

「お、そうなのか?おめでとうじゃん」

 

「B組は個性的なクラスメートがいるから纏め甲斐があるよ」

 

塩崎が教えてくれた。委員長となった一佳を。彼女なら申し分ないだろうな。どこか姉御的存在っぽいしB組の生徒達も彼女の言う通りに動いてくれるかもしれないし。

 

「もしも俺がB組だったら、やっぱり一佳が委員長だっただろうな」

 

「えーそうか?私は一誠が委員長をしている姿を見てみたいぞ。天使になれるし」

 

「いや、天使と委員長は関係ないだろ」

 

「格好好いじゃん!よっ、天使長!」

 

「待て麗日、そのネーミングは止めてくれっ!」

 

「「天使長・・・・・ぷっ・・・・・!」」

 

笑われた!百と耳朗に笑われた!?

 

「・・・・・素敵ですわ」

 

ジーザス・・・・・お前もか塩崎っ・・・・・!半ば嘆く俺は・・・・・久しく感じてなかったドス黒い何かを感じ取ったことで表情を変えた。

 

「・・・・・誰だ?」

 

「一誠さん?」

 

ウウ~~~~~~~!!!!

 

その突如。けたたましいサイレンの音が食堂に響き渡った。いや、これは学校全体に轟いているかもしれない。

 

「警報!?」

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみかやに屋外へ避難してください』

 

アナウンスがそう流れた瞬間、大食堂は別の意味で騒がしくなった。食べかけの料理を残して我先へと屋外へ繋がる廊下へと向かっていく様を俺達は唖然と視界に入れた。

 

「セキュリティ3て何ですか?」

 

「校舎内に誰かが侵入してきたってことだよ!三年間でこんなの初めてだ!君らも早く!」」

 

と、焦燥に駆られながらも親切に教えてくれた先輩も避難しに行ってしまった。

 

「わ、私達も早く避難しなきゃ!」

 

条件反射で立ち上がる麗日に百達も立ち上がるが俺は座ったまま食べ続ける。

 

「―――いや、このままいよう」

 

「え、兵藤君!?」

 

「こういう時こそ冷静でいなきゃ、視野が狭まれて周りが見えなくなるもんだ。それに、今更避難しようにもあの人混みの中を飛び込むのは愚行だ。炎に包まれる家の中に何の防具も対処もしていない生身の体で飛び込むようなもんだぞ」

 

ハッ!と俺の言葉に今の状況を認識したようで落ち着きを取り戻した麗日。

 

「パニック状態のあの人達をどう落ち着かせるか・・・・・ヒーローを目指す俺達がミイラ取りがミイラになる以前にそれを忘れちゃ駄目だろ」

 

「だけど、どうやって落ち着かせるんだ?」

 

「ん」

 

俺は立ち上がって皆の前でターンと同時に魔法による姿を変える幻影で―――オールマイトになった。

 

「では、行ってくる!」

 

№1ヒーローの姿で、高らかに笑いながらパニック状態の生徒達に声を掛け、冷静にさせた。ほんと、オールマイトの知名度は高いな。鶴の一声で静まり返ったよ。後で知った事だが、警報が鳴った理由は報道陣が学校内に侵入をしたからだそうだ。警察が到着してマスコミを撤退させてくれて学校は静けさを取り戻した。で、俺はオールマイトの姿のまま教室の中に入ればクラスメートに驚かれ、元の姿に戻ればまた驚かれたその日のRHL―――。

 

「ホラ委員長。始めて」

 

「でっでは、他の委員決めを執り行って参ります!・・・・・けど、その前にいいですか・・・・・」

 

緊張の面持ちで、緊張で体を震えそうな雰囲気の緑谷が本題に入る前に私的な理由で話しの腰を折った。

 

「委員長はやっぱり・・・・・」

 

緑谷から口にした言葉に俺達は少なからず驚かされた―――。だが、一つ気掛かりなことがある。どうして・・・・・。

 

―――正門前―――

 

「ただのマスコミが『こんなこと』出来る?」

 

校長の根津にリカバリーガールの他、二人の教員が『変わり果てた』正門を見ていた。

何らかの"個性"で崩壊した正門を。

 

「唆した者がいるね・・・・・」

 

ヒーローの巣窟ともいえる雄英の正門を故意で破壊するという事は(ヴィラン)の考える事は限られてくる。

 

「邪な者が入り込んだか・・・・・もしくは宣戦布告の腹づもりか・・・・・」

 

己の推測を立てて今後の生徒の学園生活に脅かされる脅威の可能性が浮上したところで、四人の後ろから一人の影が現れた。

 

「校長先生」

 

根津に呼び掛け、リカバリーガール達の意識を集めた人物は・・・・・・一誠だった。

 

「おや君。今は授業中のはずだよ?」

 

「問題無く、俺は分身体だ。本物=オリジナルは教室にいるよ」

 

姿形は一誠だが、本人がそう言うならそうだろう。と、根津は嘘を吐いていないことも察して自分を見下ろす少年を見上げた。

 

「そうだったのかい。異世界の力は何でもアリなんだね。それで、どうしてここにいるのかな?」

 

「ちょっと気になる事があって。あの騒動の中、ドス黒い何かが紛れて入ったところを感じ取ったんだ。故に異世界から来た者として進言したい。遠からず、もしかしたら近い内に(ヴィラン)が奇襲を仕掛けてくるかもしれない。用心した方がいい」

 

真剣な眼差しを向けながら過去に経験した一誠ならではの警告。根津も一誠から伝わる気持ちの重さに受け入れた。

 

「・・・・・うん、分かった。こちらもそう対処しよう。他に何か分かった事は?」

 

その問いに首を横に振った。用が済んだとばかり、根津達の前で蜃気楼を目の当たりにしたような感じで姿を掻き消した。

 

「校長先生。彼の言葉は・・・・・」

 

「オールマイトが見初めた生徒だ。もしも本当なら彼の力も必要になる。―――13号、イレイザーヘッドと一緒に彼と共同して対処してくれ」

 

「はい、分かりました」

 

―――僕が来た!(by緑谷)―――

 

数日後―――PM 0:50

 

先日の騒動が嘘だったかのように平和そのものの授業と生活が続いたとある日の事。

 

「今日のヒーロー基礎学だが・・・・・俺とオールマイト、そしてもう一人の3人態勢で見ることになった」

 

(なった・・・・・?特例なのかな?)

 

「ハーイ!なにするんですか!?」

 

クラスメートの一人、瀬呂範太が挙手をして相澤先生に質問したら、レスキューと英語で書かれたカードを突き出して授業内容を告げた。

 

「災害水難何でもござれ。人命救助(レスキュー)訓練だ!!」

 

レスキュー、人命救助か。何度も体験したな。でも、俺が知らない違う手段でやるんだろうな。いい経験を得れそうだ。ざわめくクラスメート達に相澤先生は威圧を放って静め、携帯用のリモコンで壁の中から出てきた皆のコスチュームが収められた機械仕掛けの棚を出した。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始。それと兵藤、着替え終わったら職員室に来い」

 

「ん?分かった」

 

―――職員室。

 

「相澤先生?」

 

「合理的な時間できたか」

 

中を窺えば件の先生が俺のところに来て、俺を外へと引き連れて行く。

 

「お前、(ヴィラン)の奇襲が遭うと校長先生に言ったな。その根拠はなんだ」

 

「俺のこともう知っていると思うけど、異世界でそういうの経験したことがあるんだ。相手は世界の破滅と混沌を望むテロリスト」

 

「・・・・・お前、まだ20歳にもなってねーのにどんな人生を送ってたんだ?」

 

「波乱万丈の人生だったよ。異世界の敵はオールマイト並みかそれ以上の強い実力者ばっかりだったから」

 

「お前の世界にヒーローはいなかったのか?」

 

「子孫や末裔、ヒーローの魂を引き継ぐ存在は居るけれど、俺が相手したテロリストの派閥があって。その内の一つの派閥に『英雄派』。本来正義の味方が悪になって俺と戦ったんだ。この世界じゃ信じられない話しでしょ?」

 

深い溜息を吐きだす相澤先生。「合理的なヒーローじゃねぇな」ともぼやいた。

 

「正義のヒーローが、(ヴィラン)になるなんて想像できやしねぇ」

 

「まあ、理由があるんだけどね。やり方は間違っていたけど」

 

「理由?」

 

「話せば長くなるからまた今度。で、俺を呼んだのは俺の異世界の話しを聞きたいからじゃないだろ?」

 

本題に入れ、と言外する。催促も受け取ってくれたのか俺に本題の話しを告げてくれた。

 

「もしも本当に奇襲仕掛けてくるならお前と事前に奇襲に対する対処方法を考えたくてな。お前、体力テストん時にワープ使ったろ。あれで生徒達を避難させてくれ」

 

「俺の独断で?」

 

「ああ、構わない。生徒の安全が最優先だ」

 

「・・・・あれ、俺は?」

 

「お前はもう修羅場を数え切れないほど潜ってんだろ。(ヴィラン)の鎮圧に精を出せ」

 

生徒に対して教師が言っていいハズが無い言葉を貰っちまったよ。そりゃあ経験はあるけどさ。

 

「それって合理的?」

 

「合理的だ。俺とオールマイト、13号の下で働いてもらうからな」

 

「13号?」

 

一瞬、宇宙ロケットを浮かんでしまったがヒーロー名だと考えを切り替えた。相澤先生が言っていた三人の内の一人、名を明かしていなかったヒーローだろうな。俺達の足はバスが停泊している場所へ辿り着き、数分後にもなれば百達クラスメートがコスチューム姿で現れた。

 

「一誠さん、相澤先生と何を話していたのですか?」

 

「でしゃばるなって指摘された。他のクラスメート達より救助の経験があるからってさ」

 

「そうですね。一誠さんはそういう経験ありましたしね」

 

だな。(ヴィラン)に襲われていたり、誘拐・監禁されていたところを助けたな。

 

「―――んじゃ、バスに乗ろっか」

 

「はーい、天使長!」

 

「やめい!それがヒーロー名に定着したらどうしてくれる!」

 

「素敵ではありませんか?」

 

「・・・・・もう好きにしろ」

 

各々とバスの中へ乗りだすクラスメートに交じって俺も乗る。後列の席の真ん中に座ると、

 

「そこ座るんだ?隣良い?(耳)」

 

「失礼しますわ(百)」

 

「私もそこに座ろっと(麗)」

 

「ごめんね!(葉)」

 

何故か、女子達が俺が座っている後列に座りだしてくるのはどうしてだ?男が一人もいない・・・・・。

両手に花どころか花畑。悪くないが峰田が目から流してはいけないものを流している・・・・・。

 

「・・・・・」

 

隣を見れば耳朗が福耳の先のプラグで携帯に刺して音楽を聞き始めた。そんなこともできるんだな、と好奇心で見つめていたら俺の視線気付いたのか、「なに?」と聞いてきた。

 

「や、それで音楽が聞けるんだなって」

 

「ああ、ウチの"個性"は『イヤホンジャック』だから。ウチの心臓の心音を爆音並に流して破壊したりショックを与えたりとかできるんだ」

 

「爆音並に?」

 

「このブーツに内蔵されているスピーカーで」

 

片方のブーツを脱いで俺に見せてくれた。あ、本当だ。それっぽいのがある。

 

「へぇ、やっぱり自分の"個性"を把握すると適した補助の要望も考えられるんだな」

 

「そう言う一誠はコスチュームどころか補助も被服控除に提出しなかったんだって?」

 

「天使になれるから必要ないんよ」

 

「だから天使長って恰好良い名前で言われるもんね!」

 

麗日はそれをネタにしないで欲しいんだけどな。

 

「でも、ブーツだけってのは勿体ないな。それって足が向いている方向でしか流せないんだろ?両手にもブーツみたいな物を要望すれば三百六十度の周囲にも流せれるのに」

 

「・・・・・兵藤って戦いに関して何だか知識が凄い?」

 

「いや、単純にその人間のスタイルの可能性を見出しているだけだ。麗日だって物体の重力を無効化にすることは分かるけど、それは触れないと駄目なんだろう?だったら"個性"だけじゃなく自身の身体能力の向上、近接格闘術も覚えた方が良いぞ」

 

「あはは・・・・・痛いところを突かれちゃった」

 

苦笑いを浮かべて頭を掻く麗日。今度格闘術を叩きこんでやろうかな。席から離れ、耳朗の生足を添えるように触れてブーツを入れた。

 

「これがガラスの靴だったらシンデレラだったな耳朗。否、ウェディングドレス姿を見てみたいかも」

 

「へ、変なこと言う無しっ!」

 

「でも、満更―――ごめん。流石の俺も直接爆音を流されたら骨がヤバいかも」

 

羞恥で耳まで真っ赤にした耳朗の二つのプラグが俺の耳の中に差し込まれ、今にでも爆音を流されそうになる危機感を覚え何とか謝った末に回避できた。

 

 

そしてバスは目的地、学校から三キロ離れたドーム型の隔離施設の前に停車した。降りると施設の前に佇む一人のヒーローもとい宇宙服。あ、この人が13号か。

 

「皆さん待っていました」

 

俺達を出迎える雄英の教員にクラスメート達は驚嘆の声を漏らした。その中で緑谷がさっそくヒーローマニアを発揮した。

 

「スペースヒーロー『13号』だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

 

「わー!私好きなの13号!」

 

新入生のクラスメート達でも知っているほどの知名度・・・・・俺は知らない。まだまだ世間に疎いな俺ってば。

 

「早速中に入りましょう」

 

『よろしくお願いします!』

 

13号を先頭にして続く俺達。いざドームの中に入ると絶景が俺達を出迎えた。

 

「すっげ―――――!USJかよ!?」

 

天蓋のようなドーム状に作られた屋根はガラス張り、夜間でも行えるようにか数多くの大型のライトが完備されている。俺達の目の前にはこの巨大な施設の他にも船が浮かんでいる水場や土砂や瓦礫の山、いくつか巨大なドーム型の施設もあり、本当にUSJ、もしくは遊園地に来ている気分を抱かせてくれる。―――ハッキリ言ってどんだけ金を出しているんだこの学校は?

 

「水難事故、土砂災害、火災、暴風、etc.。あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も・・・・・」

 

ウソの災害や事故ルーム!略して―――USJ!

 

『(本当にUSJだったっ!!)』

 

この瞬間、俺達の心は一つに重なった他所に相澤先生が13号に近づいた。

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」

 

「先輩それが・・・・・」

 

意味深に三本の指を立てた13号。声も俺達に聞こえないように殺して(俺は聞こえる)。

 

「通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで仮眠室で休んでいます」

 

・・・・・あの人、なにやってるんだ。

 

「不合理の極みだなオイ」

 

心底呆れた表情を浮かべる相澤先生。ホント、家の養父がどうもすいません。

 

「・・・・・仕方ない始めるか」

 

オールマイトがいない授業が始まり、13号が俺達に話し掛けた。

 

「えー始める前にお小言を一つ二つ・・・・・三つ四つ・・・・・五つ六つ・・・・・・」

 

『(増える・・・・・)』

 

六つって、このヒーローは俺達に何を話したいのか理解できん。

 

「皆さんご存じだとは思いますが。僕の"個性"は『ブラックホール』。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

見た目とは裏腹になんて驚異的な力を持っているんだこの人は?

 

「その"個性"でどんな災害からも人を救い上げてるんですよね」

 

緑谷の指摘に麗日が同感と首が取れそうな勢いで首肯する。すげぇ、顔がブレて見えないぞっ。

 

「ええ・・・・・しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう"個性"がいるでしょう」

 

いるな。思いっきり。

 

「超人社会は"個性"の使用をし資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし一歩間違えば容易に人を殺せる"いきすぎた個性"を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います」

 

・・・・・深く考えなかったけど、何時の間にか俺達にソレを教えられていたのか。やっぱり教師って職業は伊達じゃないな。

 

「この授業では・・・・・心機一転!人命の為に"個性"をどう活用するか学んでいきましょう。君達の力は人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。―――以上!ご清聴ありがとうございました」

 

感動したクラスメート達から拍手喝采、称賛の声が上がる。正義のヒーローらしい発言力だった。こういう教師が他にも何十人といるんだろうな。

 

「そんじゃあまずは・・・・・」

 

相澤先生が授業を進めようとして指を明後日の方向へ差した―――その時だった。

 

「っ!?」

 

異変を感じ取った俺は直ぐに天使化と成り警戒態勢に入った。周囲から驚きと怪訝な表情を浮かばれているがそれどころじゃない。

 

「相澤先生・・・・・招かざる客がお出ましだ」

 

「っ!?」

 

俺の指摘の意図を気付いた同時に、噴水がある広場らしきところの空間が黒く渦巻く現象が生じた。

渦巻く黒いソレは、霧か靄のように広がり、中から手が見えたと思えば・・・・・顔に手らしき物を装着して指の間から悪意に満ちた目を覗かせる男が。

 

「一かたまりになって動くなっ!」

 

「え?」

 

黒い霧から一人だけでなく続々と姿を表す謎の集団。その中で俺は最も危険な(ヴィラン)は一人と見定めた。

 

「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

 

「動くな!あれは―――(ヴィラン)だ!!!!」

 

ゴーグルを装着しながら相澤先生が現れた集団の正体を明かした。広場に現れた(ヴィラン)は真っ直ぐこっちに向かって来ている。やっぱり、先日のあの報道陣を裏で動かしたのは・・・・・。この為だったか。

 

「13号に・・・・・イレイザーヘッドですか・・・・・先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが・・・・・」

 

「どこだよ・・・・・せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ・・・・・オールマイト・・・・・・平和の象徴・・・・・いないなんて・・・・・―――――子供を殺せば来るのかな?」

 

―――――奇しくも命を救える訓練時間に俺らの前に現れた、プロが何と戦っているのか、何と向き合っているのか、それは途方もない悪意との出会いが望まぬ形で巡り合えてしまった。

 

―――

 

 

「・・・・・」

 

数は・・・・・結構多いな。

 

「相澤先生。あそこにいる連中だけじゃなく他にも散らばっている待ち構えているっぽいぞ。50人以上はいる」

 

「・・・・・兵藤、生徒を避難させろ」

 

「了解」

 

空間転移を妨害する"個性"の存在がいないようだ。故にこいつらを外へ避難させることができる。

 

「お前ら、先に外へ出てろ」

 

「はっ?おい、兵藤―――」

 

クラスメート達は突如足元から発生した緑色の霧に包まれて13号と一緒にUSJから消え去った。

 

「この建物の外に移動させたけどいい?」

 

「それで十分だ。後は13号があいつらを指揮してくれる。俺とお前だけでここにいる(ヴィラン)を制圧するぞ」

 

「だったら一つ。あの脳が剥き出しになっている奴は相手にしちゃ駄目だ先生。あれ、オールマイト並みに強い気配を感じる」

 

「・・・・・お前が相手にしてくれるのか?」

 

じゃなきゃ、相澤先生が殺されるって。誰があんなの相手にするんだよ。

 

「ああいうパワータイプは、テクニックタイプに弱い相場なんだよ」

 

「心配する必要もないってことか。年下の生徒なのに頼れるな」

 

「ハハハ。頼ってくれ先生。でも、13号先生はあんなこと言ってくれたけど・・・・・なにも気にせず戦える俺は、人を傷つける為の攻撃しかしないから」

 

手を広場へ向けてビーム状の魔力を放った。着弾すると大爆発が生じて(ヴィラン)の多くが吹っ飛んだ。

 

「こんな感じで」

 

「お前・・・・・訓練の時、手を抜いていたのか」

 

「本気の俺は、ビルの破壊なんて容易いんだよ」

 

つーか、そんなことしたら大幅減点だろうし。そう思いながら翼を羽ばたき広場へ滑空する俺の背に飛び乗る相澤先生。そのまま(ヴィラン)の集団に飛び込む。

 

「オールマイトの養子・・・・・いきなり生徒を逃がされるとはとんだ誤算です。私と同じ"個性"を持っているようですね―――死柄木弔」

 

「ふざけるなよ・・・・・いきなりゲームオーバーだなんて。ゲームの序盤すら入って無いってのに無理ゲーかよあの天使ふざけてやがる。―――黒霧、こうなったらここに連れてきた他の連中もワープゲートで集めろ」

 

 

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