俺のヒーローアカデミア   作:ダーク・シリウス

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アルティメット・ハイスクール

|時は流れ六月最終週―――――期末テストまで残すところ一週間を切っていた。

この日、今日は何時もと違い全校集会があるとHR中に相澤先生から告げられる。

雄英にも全校集会があるんだなーと意外なヒーロー学校の行事に吐露しながら、全校生徒達が体育祭で使われたスタジアムに集う。

 

「俺達に何の話をするんだろうな。雄英が全校集会するなんてさ」

 

「先生の話を聞けばわかると思うわ」

 

それもそうだと、全校集会の時間となると教壇の上にあがる根津の姿が視界に入る。すでにマイクを持っていて、校長は口を開いた。

 

「やぁ!おはよう皆!暑い中、集まってくれてとても感謝してるよ。今回、皆に集まってくれたのは知らせがあるんだ。この雄英にアメリカから交流を目的にやってきた学生達が今日から当校の生徒として皆と学園生活を送ることになったんだ」

 

ざわっと生徒達の間でざわめきや色めきが立つ。

 

「え、アメリカから学生って」

 

「ヒーローの本場のところじゃん。なんで雄英に?」

 

「普通に考えて、なんか理由がありそうだね」

 

ヒーロー科に在籍している緑谷達も疑問と不思議で思わずと口から零れる言葉。

 

「急にアメリカの学生がやってきたことには皆の気持ちは重々承知だ。だけど、これは皆にとってもいい経験と切っ掛けになると思っている。海を股いで日本に来たアメリカの学生達は雄英に負けないほど教育されているから、これを機にヒーロー科だけでなく、他の科の生徒達もどうか接してほしい」

 

言葉を切った根津のタイミングと計っていたかのようにフィールドへ現れる40人の男女の学生達。

本当にアメリカから学生達が来たのだという事実に雄英の生徒達一同からさらにざわめきと色めきが立つ。

 

「金髪!巨乳!超キター!」

 

「アメリカ育ちの体つきは良いようだな」

 

喜ぶ峰田と冷静に分析する上鳴。主に女体のことで友人から呆れた顔を浮かべられる。

 

「あのバッジ・・・・・」

 

「知ってるのか?」

 

アメリカ人達の胸にあるバッジに目を向けた轟の反応を常闇が察して問うた。

 

「―――アルティメット・ハイスクール」

 

爆豪がそう吐露する。AとHの文字が重なっているバッジの意味がアメリカの学校の名前を記してることに気づく一誠は、聞いたことがないと轟に尋ねた。

 

「どんな学校なんだっけ?」

 

「俺も詳しくは知らない。だけど、あの学校は黒い噂があるらしい」

 

「噂?」と首を傾げる芦戸にまっすぐアメリカ人の学生達に目を向けながら「ああ」と肯定する轟。

 

「アルティメット・ハイスクールってのは、幼少から大学までのエスカレータ式の上にマンモス校だ。優秀な人材、"個性"を持つ人間がいたらどんな手段でも学校に編入させるらしい。本人の意思も関係なくだが、輩出される卒業生は一流のヒーローになるかその素質がある人間ばかりのようだ」

 

「じゃあ、あの人達は・・・・・」

 

自分達に負けないほど、実力と経験を積んでいる同じヒーローを目指している者と認識するお茶子。

フィールドの方では根津が代表として一人の少年の手にマイクを手渡していた。

 

「―――初めまして雄英の生徒諸君。私はクリアンス・マリスという。皆の代表として挨拶をさせていただく」

 

深く礼儀正しく頭を垂らすお辞儀をする彼は、頭を上げてから一拍遅れて言葉を発する。

 

「同じヒーローを志す人間として、君達とは良好の関係を築きたい所存だ。が、これだけ言わせてもらう。我々はただこの学校に遊びで編入してきたのではない」

 

クリアンスの目の視界の端に鮮やかな赤い髪に眼帯を右目に付けている少年が映り込んだ。

目をまっすぐ一誠に向けて言い放つ。

 

「世界の総人口の約八割以上の人類に超人になりうる摩訶不思議な力を発現してから、我々は"個性"のさらなる変革の可能性を初めて見た。故に我々はヒーローの高みへと目指すためにも『変革』を身につけることを必要と感じ我々の学校から選り抜きされた者達とこの場にやってきた」

 

―――だから君達と関わっても時間の無駄だと認識させてもらう。

 

雄英に新たな風が吹く。それはヒーロー科の緑谷達にどんな影響をもたらすのか、神ですらわからない。

 

 

「あー・・・・・面倒そうな連中がきたようだぁ・・・・・」

 

頭を机に突っ伏して、溜息交じりに言う俺はそっと背中に手を触れてくる八百万の体温を感じ取った。

 

「明らかに一誠さんに向けて言ってましたものね。個性の『変革』と・・・・・」

 

「んなもん、本当にできるのかよ兵藤?」

 

周りから問われるが、突っ伏したまま頭を横動かす。

 

「俺の"個性"は複数の上に特別なんだ。教えようにも教えられない。あいつらは勘違いしているんだ。せいぜい、今やってる気のコントロールを扱えるように出来るぐらいしか教えられない」

 

「だよなァ。爆豪の個性の使い方を教えろって言われてもできるもんじゃないしな」

 

「ハッ、できるもんならやってみやがれ」

 

挑発的と鼻で笑う爆豪の声が聞こえる時、ふとあることを思い出して口にした。

 

「そういや、もうすぐ期末だったな」

 

なんとなく、そんな気持ちと意識で漏らした言葉は―――。

 

「全く勉強してねー!!」

 

「あーそういえばそうだねー。あっはっはっは」

 

上鳴と芦戸が反応した。

 

「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねー!」

 

「確かに」

 

同意する常闇もどうやらしてないらしい。

 

「中間はま―――入学したてで範囲せまいし特に苦労なかったんだけどな―――・・・・・。行事が重なったのもあるけどやっぱ期末は中間と違って・・・・・」

 

砂藤の気持ちを代弁するように

 

「演習試験もあるのが辛えとこだよな」

 

ドヤ顔を浮かべる峰田が何故か優越感を浸っている様に言うので、上鳴と芦戸が悔しさと信じられないものを見る目で峰田に負け犬の遠吠えみたいな発言をする。

 

「アシドさん、上鳴君!だ・・・・・大丈夫だよ!兵藤君のトレーニングルームで勉強すればなんとかなるよ!」

 

「「はっ!」」と何かに気づき思い出す二人。

 

「兵藤!また土日お前の家に行かせてくれぇー!」

 

「ヤオモモー!」

 

うん、こんな結果となると思った。

 

「一誠さん、どうします?」

 

「別に断る理由もないし。良い機会だから俺の家に来たことがない轟達やB組の連中も誘ってみるか」

 

―――昼休み―――

 

「え、いいの一誠?私達のクラスメートも誘っても」

 

「合同の勉強会をしてみたいんだ。強制じゃないからそっちで声を掛けてみてくれないか?」

 

「わかりましたわ」

 

LUNCHRUSHのメシ処の食堂、二階にある席でテーブルを囲んで食事をしつつ一佳と塩崎に誘いをお願いした。アメリカからの編入生が来ても食堂の雰囲気は相も変わらず賑やかな騒がしさが保たれてる。

 

「驚いたね。アメリカのヒーロー学校から日本に来るなんて」

 

「私たちのクラスにもアメリカから来た友人がおりますが、集団で訪れてくるとは何かあるのでしょうか?"個性"の変革というが気になります」

 

二人は気付いていないし知らない様子だ。この件は俺しか知られてないことだから当然かもしれん。

出来る限りあの連中と関わらないようにしなくちゃいけない気がする。絶対に面倒事が発生して巻き込まれる可能性がある。

 

「そうだ一誠。そっちは演習試験の内容は把握してる?」

 

「いんや?なぁ?」

 

お茶子と百、耳朗にも同意を求めれば三人揃って頷いた。

 

「一学期でやったとこの総合的内容」

 

「とだけしか教えてくれませんわ相澤先生は」

 

「戦闘訓練と救助訓練。あとはほぼ基礎トレだよね」

 

三人が言うように俺達まだ教えられてない。そっちは?と尋ねれば一佳が朗らかに教えてくれた。

 

「うん、ちょっとズルだけど私先輩に知り合いいるから聞いたんだけど。入試ん時みたいな対ロボットの実践演習らしいよ」

 

「あれ?」

 

「そう、あれだよ」

 

あれか・・・・・でも、あの相澤先生だから・・・・・。内容を変更してきそうだな。少し思考の海に潜って黙って考えていると一佳が声を掛けてくる。

 

「どうしたの?」

 

「うちの担任、合理的主義者だから演習の内容を変えそうだと思って」

 

「「「・・・・・」」」

 

相澤消太という人物を知る者だからこそ納得できる言葉。

お茶子達もそうしかねないと思っているのか急に黙り込んだ。こっちの担任の性格を知ったばかりな二人は信じられないという気持を醸し出して目をパチクリする。

 

「え、じゃあ・・・・・」

 

「ここの学校は自由な校風が売りで、A組の担任は合理的主義者。どんな情報でもこの二つの前にはその通りとは限られないから当てにならない」

 

うんうん、と三人も頷くので一佳を唖然とさせるのに十分だった。結局、期末試験の内容は不透明のままだ。

 

ざわっ・・・・・!

 

騒がしさが変わったような気がした。食堂の雰囲気も同時に一変して異様な静けさと声を殺したざわめきが二階にいる俺達の所にまで伝わってくる。

 

「なんやろう、この雰囲気」

 

「うん、なんだろうな」

 

席から立ち上がって確認しに二階から一階を見下ろしに行ったお茶子達の背中を見つめすぐ、ガラス細工が割れた音と悲鳴が一階から聞こえ始めた。この食堂に通ってから一度も聞こえたことがない音と声に、流石の俺も立ってお茶子達の背後から下を見下ろす。俺の目に映る光景は、アメリカの連中が席に座っていた雄英の生徒を力尽く、強引で席から遠ざけ、食器を床に落としていくという暴挙。

 

「―――!―――!」

 

アメリカ人の少年が英語で何かを叫んでいる。当惑と困惑と動揺、恐れる生徒達からすれば何を言ってるのか理解できないだろう。

 

「え、なに?」

 

「ここは俺達の指定席だ、それすらわからないのか雑魚共―――と仰っておりますわ」

 

「指定席って、ここは皆で食べる場所なのに」

 

「いや、バッチと同じ紋章の様なシールが貼られてある。正当な主張だが度が過ぎてるなありゃ」

 

40人分の席にシールが貼られてるようであるが、それがアメリカ人の生徒専用の席とは知らず座ってしまった生徒が罵声を受けてる。

 

 

「止めなって。ここで問題起こすなって言われてるでしょうが」

 

「勝手に座ってるこいつらが悪いだろうが。丁寧に席を譲れって言うよりこうした方が手っ取り早いんだよ」

 

「全く・・・・・」

 

仲間の暴挙を窘めるが、誰一人も雄英の生徒に謝罪をしようとしない。他の指定席に座ろうとしているアメリカ人の生徒達から有無を言わせない睨みで生徒達は畏怖の念を抱きながら席を空けさせていく。

 

「はっ、おい見ろよ。どいつもこいつも一睨みで怯えていなくなっちまうぜ。情けねぇ連中だ。ここが日本で有名なヒーロー学校かよ」

 

「やつらはヒーロー科の者達ではない。ただの生徒が俺達を恐れるのは仕方がない」

 

「んじゃ、この分だとヒーロー科の連中も大したことないんじゃねーの?エリートの俺達と違って出来が違うんだからよ」

 

嘲笑う少年やその他のアメリカの学生達は購買の方へと向かう。威風堂々とした態度と歩きをする彼らに道を譲って行き、メニューを購入したクリアンスが列に並んで待っていると返却口へ空の食器を置く生徒を見た途端、列から外れてその生徒の方へと向かった。

 

「会いたかったぞ兵藤一誠」

 

「ごめんなさい」

 

開口一番、深く頭を下げ腰を水平に折りだしたので思わず素で一瞬硬直するクリアンス。

すぐに復活して真意を問う。

 

「なぜ、謝る?」

 

「え、あんなに熱心に俺を見つめてくるからてっきり付き合いたがっているのかと・・・・・」

 

「―――神に誓ってそれはない」

 

「ひどい!俺のこと遊びだったのか!」

 

「わけのわからないことを言い出すな」

 

「大丈夫、全部ふざけてるだけだから」

 

飄々とした態度でからかれていたことにクリアンスは一誠の印象を改める必要があると考えた様子で、顔を顰めた。

 

「で、なに?教室に戻るところなんだが」

 

「放課後、時間はあるか」

 

「放課後・・・・・お前、まさかやっぱり俺のことを・・・・・」

 

誘われる少年はあからさまに頬を朱色で染め、しおらしい反応をするが相手は怒気が孕んだ声を発した。

 

「・・・・・ふざけるのも大概にしろよ」

 

「つれないな、一種のコミュニケーションなのに」

 

大袈裟に溜息を吐いて肩を竦める一誠。クリアンスからすればふざけるコミュニケーションはこちらからお断りと思うほど

 

「時間があるかどうかの答えを言えば、無いな。勘違いしてるお前に付き合う気なんてないし」

 

「勘違い?」

 

「変革のことだ。教えようにも教えれないんじゃどうすることもできないだろ」

 

クリアンス達が雄英に来た真の目的を気付いている一誠が呆れ顔で言う。

 

「個性が更なる進化、覚醒する可能性があると考えてる時点で勘違いしてるんだお前らは」

 

「なら、どんな原理で個性を変化させている」

 

答えろと言わんばかりの鋭い眼差しを向けるクリアンス。その眼差しを真正面から受け、逆に睨みを利かせることで二人の間で一触即発の気配が生じる。

 

「・・・・・一誠君、行こ」

 

恐る恐るとお茶子が背後から声を掛けた。

 

(戦わせちゃ駄目だ)

 

一誠を抱えながらクリアンスから遠ざけつつ危機感を心の中で抱く。負けるとは思えないが、無意味な戦いをさせたくないお茶子の心情を一誠は気付かない。

 

 

その日の放課後―――IN会議室。

 

(ヴィラン)の活性化のおそれ・・・・・か」

 

教師(プロヒーロー)が集い今後の方針のことで会談を開いている。その中にはアメリカから来た数人の教師も参加してるが、ただ口を開かず沈黙を貫くばかりで輪の中に入ろうとしないでいる。

 

「もちろんそれを未然に防ぐことが最善ですが、学校としては万全を期したい。これからの社会。現状以上に対(ヴィラン)戦闘が激化すると考えれば・・・・・」

 

「ロボとの戦闘訓練は実践的ではない。そもそもロボは『入学試験という場で人に危害を加えるのか』等のクレームを回避するための策」

 

「無視しときゃいいんだそんなもん。言いたいだけなんだから」

 

だから不合理なんだよ、と嘆く。

 

「全部無視で貫くのは無理だと思うわよイレイザー。ロボは最低限で最大の譲歩なのだから」

 

「しかし、確かにロボとの戦闘訓練は今季の生徒達からすれば手応えがあるとは思えませんね」

 

「ああ、特にイレイザーの生徒がそうだろうな」

 

―――とプレゼント・マイクが言う単語に相澤達は脳裏でとある少年の顔が浮かぶ。

根津は隣に座ってる相澤に問う。

 

「・・・・・あの子から特訓、訓練、修行をつけてもらってる生徒達はあれから、今もやってるのかな?」

 

「・・・・・やってると思います。何より、ヒーロー基礎学で見せてくれる生徒達は日に日に増して動きや成長がよくなっています」

 

遅刻しがちな教師よりも良い指導をしてる、と養子が養父の尻拭いしている感があり、情けないと感じてきた。

 

「・・・・・失礼」

 

ここでアメリカ人の教師の一人が初めて口を開いた。

 

「口を挟むつもりはなかったが今季の期末テスト。未だに決定が難しいなら私達の学園のシステムを取り入れてはどうだろうか」

 

「そちらのシステム?」

 

「ヒーローを志す生徒にそれ相応の教育指導が必要なのは重々承知の上でしょう。ならば、今回の演習試験・・・・・私達の生徒と雄英の生徒をぶつけあわせるのはどうだろうか。実力主義、敗者は即退学として」

 

『―――――』

 

相澤とブラドキングの目を見開かせたアメリカの教員―――シェルス・リリー。

 

「私達の学園は基本的に実力主義でね。どれだけ優れた個性の者でも最大限に引き出せず、極限まで力を扱えないようでは未熟なヒーローのまま輩出する。そうならないためには教師と生徒の二人三脚が必須」

 

「まあ、教師の期待に応えず裏切る生徒は学園に不必要、ということですわ」

 

「こちらは優秀で一流のヒーローを輩出し続けていますからね。二流や三流にしかならない生徒が輩出するとならば、我が学園の誇りが汚れ名声と栄光、地位が落ちてしまう。それだけはどうしても避けねばならないです」

 

そちらもそうなのでしょう?と同意を求める青年に対して相澤達は眉根を寄せる。口に出さないが、アルティメット・ハイスクールの指導はあまり同じ教師としてよろしくなかった。それでも話の中には一理あると根津は肯定した。

 

「・・・・・即退学はともかく、生徒同士を戦闘させて実戦の経験を積む、その意図には賛成だね」

 

「では、切磋琢磨として。私達の生徒達を相手で演習試験をしましょう」

 

「互いの生徒が良い経験になると、信じるよ」

 

会議は終わり、アメリカの教員達はさっさと会議室を後にして一拍後。

 

「嫌な連中ね」

 

「語る言葉はよくても、生徒を蔑にしてでも学校の評判を守るなんて。同じ教師として風上にも置けませんね」

 

ミッドナイトとセメントスの顔に避難の色が浮かぶ。生徒の未来を故意で教師が潰す所業と理由に許し難いのだろう。他校の指導についてとやかく言う権利はないが、それでも許し難い。

 

「校長、ヨカッタノデスカ。提案ヲ受ケ入レテ」

 

「退学はするつもりはないよ。それに彼らだけ蚊帳の外にいさせては友好的な関係ができなくなる」

 

「だが、食堂の件について考慮すればそれは難しいようです」

 

昼の騒動の件は既に教師側にも行き届いている。伝えねばならないことを怠ったので今回は教師側に責任があった。

 

「ヒーローを目指す生徒は皆、同じじゃないのは承知の上だったけれど。傍若無人な振る舞いをこれからもされるとなると、対処しなくちゃいけないわね」

 

「ったく、アメリカンの奴らは面倒くせぇことを。イレイザーの生徒が目的なんだろう?なんでまた目をつけやがる」

 

「しかし、彼のことは秘密にせねばならない。出生も"個性"もだ」

 

「ソノ通リダ。余計ナ情報ヲ日本国内ニ限ラズ、世界中ノ人間ニモ知ラレテハ危険ダ」

 

「特にアメリカはさっき聞いたばかりだ。俺からも兵藤に警告しておく」

 

異論はないと根津達は静かに沈黙で肯定した。

 

―――土曜日―――

 

「お、轟に爆豪。来てくれたか」

 

「・・・・・お前がしつこく誘ってきやがったからな」

 

「てめぇっ!俺の家に来てまでクソババにふざけたことを吹き込むんじゃねぇよ!?」

 

(かっちゃんの家に!?兵藤君、一体かっちゃんのおばさんになんて言ったんだろう・・・・・?)

 

荷物を持参してやってきた新人達。呆れる轟と怒りの炎を燃え盛らせる爆豪。他にも一佳と塩崎以外のB組の連中が家の中に入ってきた。

 

「おお、ここが兵藤の家か。すげー広いな」

 

「まあ、広いっちゃあ広いけど地下の方がよっぽど広いぞ」

 

「本当に地下があるのか」

 

「当然だ。いくら個性を使っても問題のない環境の空間だから修行にもってこいだ。立ち話もなんだし、早速行こうぜ地下へ」

 

皆をこの日のために改装したエレベーターへ案内して招き入れる。筒状なのは変わらないが二階建てで螺旋階段付きを加えたので別れて乗れるように施した。全員を乗せ終えれば起動させ、三分間の降下が始まる―――。

 

降下したエレベーターから降りれば、青い空、青い海、自然豊かな森と聳え立つ崖の上にある白亜の城。

 

「なんだここはぁあああああああああああああああっ!?」

 

B組から絶叫が上がる。既に常連客の面々からすれば、「ああ、自分もあんな風に驚いていたなー」と遠い目をしていた。

 

「兵藤、ここは本当に地下なのか」

 

「ちゃんとアレに乗ってきただろう。ここにある物は全部本物で幻じゃない」

 

皆、予想通りの反応してくれている。

 

「んじゃ、早速何時もの恒例をしようか皆」

 

「「「は?」」」

 

何を言ってるんだ?と怪訝な表情と視線をしてくるが、常連客のお茶子達は自ら崖にある命綱と体を固定するベルトを装着しては、さっさと崖を登り始める。

 

「・・・・・崖登り?」

 

「基礎体力を鍛えているんだよ。言っとくけど、お前ら全員この崖を登ってもらう」

 

「「「えっ!?」」」

 

「あんな小さな峰田すら登ってるんだ。できないとは言わせんぞ」

 

有無を言わせない笑みを浮かべて登らせる催促をする。

 

「登っている皆にも言ってるが。何でもかんでも個性で解決しようと考えはやめておけよ。ここは学校じゃできないことをできるトレーニングルームだ。このルームの中じゃ俺が仕切らせてもらう。次、あいつらが登ったら次はお前らが登れ」

 

「登れってこれ・・・・・どのぐらいの高さなんだ?」

 

「50メートル」

 

「ごっ・・・・・!?」

 

「他にも色々とやるからな。ちなみに、この中で一日過ごせば地上は一時間しか経過していないように時間の"個性"で設定してあるから。思う存分修行できるぞ」

 

だからお茶子達は強くなったわけでもある。さて、初体験のこいつらは二週間以内にどこまで強くなれるかな?

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