「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!」
オールマイトの力の籠った催促の言葉で授業は始まった。皆、自分の個性に合わせた専用の服を身に包んでいるのは己の個性の短所や長所の向上、抑制等の考慮し求めた結果なのだろう。中には
「あれ、兵藤君。それって体操服だよね?コスチュームは?」
「必要無いから被服控除なんて提出しなかった」
「えー?なんで、兵藤君のコスチューム姿見たかったのにー」
「・・・・・天使の姿になれるのに必要か?」
思い出してみろと言いたげに視線で訴えれば案の定「あー」と思い出したかのように手を叩き、納得した面持ちとなった彼女=麗日お茶子は天真爛漫に笑い―――。
「そっか、天使の姿ってある意味コスチュームだもんね!」
「コ・・・・・コス・・・・・」
確かにあの姿は戦闘状態でもあるんだけど・・・・・そうはっきりと言われるとなんだか・・・・・Oh。
「・・・・・にしても」
「うん?」
「麗日のコスチューム、体のラインが浮き彫りになってるから分かるんだけど。結構スタイルいいんだな」
パツパツスーツになコスチューム。出ているところは出て、引っ込んでいるところは引っ込んでいる為に彼女の体はくっきりと恵まれている方だと分かりやすい。俺に指摘され、若干頬を染めて両腕で恥ずかしげに自分の体を隠すがそれは逆効果だった。更に強調しちゃっている。
「一誠さん。セクハラですよ」
「・・・・・百、お前のコスチュームだってそれじゃん。説得力無いぞ。いくら個性に適した服だろうとそれはな。露出が多すぎやしないか?」
「求めた結果がこれなので仕方が無いですの。・・・・・似合いませんか?」
首から胸の下まで開いているレオタードみたいな服を着て腰辺りに二つのベルトを装備している。似合うか似合わないかと言われたら。
「・・・・・似合いすぎて目のやり場に困る」
「・・・・・」
麗日と同じように、恥ずかしげな顔をした。百とそんな話しをしている間にも(背後にいる)オールマイトのヒーロー基礎学の授業の内容の話しは進んでいた。
屋内対人戦
ルール兼勝敗条件
ヒーロー組は核の回収(もしくは
「―――ってなわけだが兵藤少年!話しは聞いていたかな?」
「コンビ及び対戦相手は籤」
「うん、聞いていたのならばいいぞ!では、早速皆には籤を引いてもらおう!」
21人もいるからスリーマンセルか。皆、誰が自分とコンビになるか運次第とオールマイトが持つ箱から籤を引くこと三分ぐらい。
「このメンバーか」
「よろしくね!」
手袋とブーツしか見えない透明人間(声からして少女)とブドウのような丸い髪型の小さな男子とコンビを組むこととなった。
「・・・・・透明になっているのか?」
「その通り!」
「それって任意でできる?」
「ううん。常時透明化しているんだよ?」
「透明化って、手袋とブーツが透明化してないようだが?」
そう聞いたら彼女はあははーと笑いながら爆弾発言をした。
「身体だけ透明化しているんだから流石に服まで透明することはできないよ」
「・・・・・と、言っているけど服も着てない露出狂の少女とコンビを組むことになったクラスメート、どう思うよ?」
「すぐ傍で女体に触れられるというのにその女体を拝められないこの残念さ・・・・・分かるっ?」
流すな。まだ名も知らない男子。血の涙を流すな・・・・・。
「で、お前の個性って何?体力テストじゃあ自分を弾かせていたような・・・」
「オイラの個性は物に超くっつく。体調によっちゃ一日くっついたままでオイラにはくっつかず跳ねるんだ。もぎり過ぎると血が出るけどな」
なるほど・・・・・戦闘向きではない方か。ま、戦い方次第で役立つ個性だな。
「よし、取り敢えず簡単な作戦はもう考えた。超くっつくなら勝てるだろうな」
「早いね!まだ始まってもいないのに」
「本当に勝てれるのかよ?」
まあ、実戦で証明してみせるよ。その為にも。
「透明少女と小人」
「葉隠透だよ」
「オイラは峰田実だ!」
「ん、分かった。でだ、ちょっと協力してくれ。特に峰田、お前は血を流すほどにな」
最初の対戦相手は―――推薦入学者の男子と爆発、そんでチャラ男。
『それでは屋内対人戦闘訓練スタートッ!』
始まったヒーロー基礎学の授業。―――ヒーロー組として籤で決まった3人はコンクリートのビルの中へ入った。見取り図を見れば一種の迷路みたいになっていて覚えない限り迷ってしまいそうになるほど複雑な構造になっている他、五階建てのビルで授業を臨むのだった。
「外出てろ危ねぇから」
「ああ?俺に指図すんじゃねぇよ半分野郎がッ!」
開始早々、この纏まりのなさそうなコンビに少し心配になってきた金髪の男子の心情を露知らずの二人はドンドン中を進んでいく。野犬のように口開けば吠え、半分に分かれた紅白の色とオッドアイの少年らの後を続く金髪の少年は、この二人に任せれば何とかなるだろうと楽観的になる。
―――同ビルの地下モニタールーム
先に始めた六人以外のオールマイトやA組の生徒達は後学の為とヒーローチームと
「いいなあいつら。オールマイトの養子と直接戦えてよ」
「先生、兵藤ってどのぐらい強いんですか?」
「HAHAHA。それは見てからのお楽しみだ。さぁ君達も後でやるのだから考えて見るんだぞ」
そう言うオールマイトは内心ドキドキと緊張していた。
(一誠・・・・・手加減をするんだぞ?)
一方、
「さて、峰田の個性で―――こうして、ああしてだな」
「・・・・・まんま罠じゃねーか。しかもこんなの作れる時間なんてねぇーよ」
「いいからお前はその髪を大量にもげ。で、葉隠は3階のフロア。あいつらが来てたら常時連絡してくれ。見えないなら好都合だ。ただし、見えないところで声を殺してな。足音も立てるな」
「分かった!」
「え、オイラは?」
「お前は兎に角もげ。今回の勝利はお前に懸かっていると過言じゃあないぞ」
ヒーローチーム
「・・・・・最上階にいるな。どうやら防衛線のつもりで核のところにいるようだぜ?」
「・・・・・」
「うっせ、黙れ」
手の平から電気を放電をさせ、索敵をして伝えたがどうでもいいとばかりに返され何とも言い難い気分となる電気の個性の金髪少年=上鳴電気。三人は一階を無視して二階に上がっていて地道に探すより、己の個性で索敵すれば一発で居場所が分かると判断した結果がこれだ。何とも重苦しいこの雰囲気から早く解放されたいと情けなく心の中では嘆いていた上鳴だが、索敵をし続けていたから二人よりも早く気付いた。
「・・・・・げっ」
「どうした?」
「・・・・・後ろ」
次の瞬間。スゥーと上鳴の背後に人の姿が浮かび上がり、肩に腕を回した姿勢の
「遊びに来てやったぜヒーローチーム?」
「「っ!?」」
「んじゃ、軽く遊ぼうか」
スッと手を動かし、親指で引っ掛けた指を二人に向かって弾くようにして突き出した同時にパンッ!と破裂音が二人の額から生じ、上半身が反った。
(んだ、こりゃあっ・・・・・!?)
(衝撃・・・・・っ!)
爆発したかのような金髪に赤い目の少年=爆豪勝己と右側は白髪、左側は赤髪、目はオッドアイの少年=轟焦凍が謎の攻撃を食らい、背中から倒れそうなところ、踏ん張って態勢を整え、眼前を見据え、睨みつけた矢先、再び見えない衝撃波に襲われ今度こそ床に倒れた。
「どうしたどうした。俺はビー玉ぐらいの大きさの力しか使ってないぞ?悪の力は強大だからこの程度で負けたらヒーローなんてなれやしねぇぞ?」
「っ!」
轟の右手と右足から氷が発生して瞬く間に一誠と上鳴の足を凍らせた。
「ちょっと待て、俺ごと!?」
「お、氷か?」
動きを封じられても余裕の態度をする一誠に肉薄する爆豪。籠手の手の平から生じる火花のように散る爆発を躊躇も無く一誠に向けて伸ばす。
「ぶっ殺す!」
「ヒーローの言葉じゃねぇなそれ」
突き出す爆発するその手を、手首を掴んで足元の方へ向きを変えた瞬間に爆発。床の氷は熱と衝撃で粉砕され一誠と上鳴の足を停める氷が無くなった。
「足枷を解いてくれてありがとう。手間が省けたよ。この続きは四階でな」
そう言い残し、一誠の姿が虚空に消えて三人は唖然としたまま立ち尽くす。しかし、三階で待っていると言い残され爆豪はダッと駈け出した。続いて轟も、最後に上鳴も移動する。
―――三階フロア
(うわぁ・・・・・爆豪君。すんごい顔をしてる)
一誠の指示で動いている葉隠はさっそく爆豪を離れた場所から見つけた。ギラギラと野獣のような眼光を放ち、何かを探している様子を窺わせている。一拍遅れて轟と上鳴も姿を現し、上の階へと移動していった。
(兵藤君兵藤君。三人とも四階の方に行ったよ)
常時報告とも言われ、一誠や峰田に報告する葉隠の耳にある通信機から一誠の声が聞こえた。
『了解、こちらでも確認した。葉隠も四階に移動してくれ』
(あれ、私が後ろからおりゃー!って感じで捕まえなくていいの?)
『それは四階のフロアでしてくれ。それでもダメだったら本物がある五階のフロアで決着を付ける。今、峰田の頑張りで罠が完成したところだ』
分かった、と返事をした後に葉隠も四階へ移動を開始した。
『ああ、そうそう。その罠はこっちで用意した箱の中にある。峰田もこれからスタンバイしてもらうから葉隠も俺の言う通りにしてくれ』
(了解っ!)
―――四階フロア
言葉通りに一誠は四階の広間に佇んでいた。木箱が多く積み重ねられているだけじゃなく、オールマイトの顔がプリントされた核もあり、一誠を倒さずとも核を回収(触れるだけ)すれば勝利となる好都合な展開に喜ぶことはなかった。
「ヒーロー共来たな?また遊んでやる。掛かって来い」
「今度は逃げるんじゃねぇぞっ!」
オールマイトの養子。その実力は数多で様々な事件を解決と同時に
「三対一。さて、二人は俺を足止め、残る一人は核の回収と好ましい行動は簡単に想像ができるが・・・・・お前らはどう選択する?」
「決まってらぁ・・・・・てめぇをぶっ殺してから回収してやる!」
そう言って飛び出す爆豪。轟も後方から氷の個性で攻撃し掛ける―――が。真正面から飛び出す爆豪の大ぶりな右手を掴み、手が爆発を受けながら核の方へと振り回した。
「峰田!」
―――突如。一誠の疾呼に呼応して回収する筈の核が両開きに開き、その中から峰田が現れた。
「お、おりゃああっ!」
ブンッ!と何かを投げ出すそれはピタッと爆豪の体にくっつき、更には一誠の腕力で物を言わせて爆豪を片腕一本で持ち上げ、そのまま大きく振り回しくっついた物がぐるぐると鎖のように巻き付き、最後は一誠の体操着の袖のから出てくる鎖に巻きつかれ、支柱に向かって投げ放ったことで爆豪は―――峰田の個性のくっつく髪で身動きを封じられた上に柱にくっつけられた。しかし、その間にも一誠の両足が氷漬けになった。
「今度は逃がさねぇ。いや、逃げられねぇだろ。さっきは爆豪の爆発で逃れられたが今回はそうならない」
「でも、忘れてないか?もう一人の存在をさ」
意味深な発言をする一誠が視線を向ける先、轟の背後にある木箱が宙に浮き―――上鳴に向かって孤を描いて飛んだ。
「どわっ!?」
一誠に警戒していたせいか、飛来する木箱に気付かず諸に食らって床へ平伏す。何が起きたのか理解できないまま起き上がろうとする上鳴に。
「とりゃー!」
「その声、葉隠―――ぐわはぁっっ!?」
飛び蹴りをされたのか、体をくの字にして吹っ飛ばされた。そして倒れ込んだ瞬間を攻める葉隠は、峰田のくっつく髪がひっついているシートを上鳴に被せて峰田と一緒に上鳴を春巻き状に包むことで身動きを封じられ、爆豪がいる柱へとくっつけられた。
「こんなシート・・・・・ッ!」
「厚さ100mmの絶縁体シートだから電気は通さないぞー」
氷で足を封じられたままの一誠からの説明を受け、「な、なにッ!?」とシートの中で絶句する上鳴。あっさりと個性を無効化させられた少年から視線を反らし、口の端を吊り上げた。
「残るのはお前だけとなったな。俺の他にもまだ二人がいる。数の利じゃこっちが勝つぞ」
「関係ない。纏めて凍らせるだけだ」
有言実行。轟が個性を発動して四階の広間を氷の世界に作り変えたことで峰田や葉隠の足が床から離れられない状態と状況になってしまった。
「つ、つめてぇよ~!」
「痛タタタ。あ、足が・・・・・」
三人揃って弱体化され、そうした轟は仲間を放っておいて核がある最上階へ向かった。残された一誠達は―――。
「お、おい本当に大丈夫なのかよっ」
「うーん、まさかここまで氷を操れる奴とは。・・・・・まあ、最後に勝つのは―――」
見え透いた未来を待ち望んだ。
「俺だからな轟?」
「っっっ・・・・・・!?」
最上階にもう一人の一誠が核の傍にいて、轟の背後から気配を感じさせず歪ませた空間から飛び出した鎖に縛られ尚且つ個性が発動できない不思議な現象に驚かされる最中、足を払われ踵落としで鳩尾を深く強く踏まれた。
「お前、どうしてここにっ・・・・・」
「俺がオリジナルだからさ。お前らが今まで見て戦ってきた俺は偽物―――分身体だ。強さは俺に少しだけ劣るが問題ないほどの実力を有しているから使い勝手が良い訳よ」
不敵に笑む一誠は本気など出していなかった。最初から少しも出さず、勝ってみせたのだった。
『
「悪かったな。レベルが違いすぎた」
オールマイトの勝敗の宣言の声がビル中に響き渡り、最後の捨て台詞と発した一誠は轟を縛った鎖を外した。
―――モニタールーム―――。
「むむむ、これは甲乙がつけ難いぞ・・・・・。兵藤少年は峰田少年と葉隠少女の個性を活かした作戦で勝った。二人も見事に兵藤少年の指示通りに動き、最後は動きを封じられたものの、それぞれ捕まえられる側がヒーローチームを捕まえた」
一誠達に対する講評からヒーローチームの轟達の講評へ移る。訓練とはいえ敗北した三人は沈黙していた。
「上鳴少年は索敵で相手を探ってたのはいいが、最初から最後まで
悩みに悩んだ末、オールマイトは力強く首を縦に振って公表した。
「―――よし、今戦のベストは
「やったー!」
「オイラも活躍したんだから当然だろうな」
手袋とブーツが宙に跳ね、腕を組んで当たり前のような態度をする。そんな二人は喜びを分かち合っていたが一誠一人だけ普通の態度でいた。
「先生、早く次。『時間もないし』」
「・・・・・おっと、そうだったな。では、場所を移して第二戦だ!」
『はい!』
二人(三人)しか知られていないオールマイトの秘密。時間が無いと発した一誠の意図は、オールマイトの活動時間のことを暗に発しては催促した。本人もそれを察して皆を促したのだった。
「兵藤、兵藤」
「ん?」
「また組みたかったらオイラは何時でもいいぜ」
「私も!」
時は短かったが共に戦った戦友。拳を突き出してくるそれは、一種の友情の証みたいなものであった。
「・・・・・機会と気が向いたらな」
言いながら拳を突き出す拳が三つ重なり合った。
―――私が来た!(byオールマイト)―――
・・・・・放課後。
屋内対人訓練戦で相手の個性や性格など把握でき、入学当初よりも打ち解け合うことができた。
今では軽く自己紹介をし合って親睦を深めている。
「麗日、両親はどうしている?」
「うん、元気にしてるよ。今は一人暮らしだから電話で話しているけど兵藤君のおかげで頑張れているって!」
「一人暮らしなのか?人のことは言えないけど女が一人で暮らすなんて危ないんじゃ?」
「治安のいい地域のアパートに暮らしているから大丈夫だよ」
「そっか、それは両親も安心しするだろう。因みに今夜の夕飯は?」
「んーと・・・・・安いの・・・・・おもち、かな?」
一人暮らしゆえに贅沢な食事はできない。節約も心掛けて質素な生活をしているのかもしれない。
「人の私生活に首突っ込むようで悪いけどさ。普段どんな生活している?」
「え?取り敢えず、お金が掛からないように節約してるよ。たまにご飯を食べなかったり食事は主におもち」
「・・・・・」
涙ぐましい彼女のヒーローになる夢の為の生活の一端を垣間見てしまった・・・・・。
・・・・・駄目だ、血が騒いでしまう。うずうずしてしまう・・・・・お節介をしたくなってしまう。
「・・・・・麗日。俺も一人暮らしだ」
「オールマイトと一緒に暮らしてないの?」
「お父さんの家は世間でも公表されて無いらしいから。養子として俺は有名だし、そんな俺がお父さんの家に堂々と向かえば
長々と延々と彼女にそう提案をしてみた。叶うなら同居も了承するけどそれは彼女の両親の許しを得てからじゃないと驚くだろう。一人娘が知り合いとはいえ男の家に同居していたなんてさ。
「え、いいのっ!?」
「ああ、構わない。なんなら制服と着替えを持参して泊まってもいいぞ。トレーニングルームがあって強く鍛えてやれるし」
「おおー!オールマイトの養子だから家も大きいんだね!」
反応はどうやら良好のようだった。
「お?何だ、トレーニングルームって聞こえたぞ」
赤髪の男子生徒が反応してこっちに来た。名前は切島鋭児朗。個性は『硬化』。攻撃と防御、攻守両面に秀でるある意味理想な戦闘スタイル。
「あ、切島君。今ね兵藤君の家で食事をしないかって誘われてたの」
「つーことはオールマイトもいるのか!」
「いや、お父さんとは違う家で住んでいる。来る可能性はあるけど」
「おー、なるほどな。で、トレーニングルームがあるのか兵藤の家は」
首肯すると、切島は好奇の色を目に浮かべだした。
「なあなあ、俺もお前の家に泊まりに行っていいか?」
「家に帰ってとんぼ返りする羽目になるぞ」
「かまわねーって!寧ろ、オールマイトの養子のお前の家はどんな感じなのか興味あるぜ!」
切島の声が他のクラスメート達の耳にまで届いた。視線がこっちに向き、会話に介入してきた。
「なになに?兵藤の家がどうしたって?」
「おお、兵藤の家に泊まりに行くって話をしてたんだ」
「家に泊まりって、もしかしてオールマイトも一緒!?」
「切島ずりぃー!俺も泊まりに行きてぇー!」
「ケロ、興味あるわね」
「行く行くー!」
・・・・・何故か、クラスの大半までもが俺の家に遊びor泊まる話しに盛り上がってしまった。いや、別に問題は無いんだけどね。ただ、俺の家にオールマイトがいるって感じになっちゃってるのが定着している。一先ず、誤解を解いて、訂正しつつあの二人も家に誘おうかと考えた―――。
「・・・・・ってなわけで、お父さん。俺の家に顔を出せない?」
『息子の家に遊びに行くことは構わないのだが、もう活動時間を超えてしまってね。流石にお友達の前では姿を見せれないな』
「それって肉体的に疲労は来る?」
『いや、若返った今の私ならばそれはないよ。怪我も治してくれたから言葉通り、活動時間一杯まで維持し続けたから無理してもせいぜい数分が限界だ』
(・・・・・となると、活動時間をリターン、それか固定すれば案外いけるんじゃね?)
通信を切った携帯を見下ろす俺がそれを試すのはまだ先のこと―――。
ピンポーンッ。
「・・・・・来たか」
午後七時。この家に案内する分身体を待ち合わせ場所に集う麗日達を迎えに行って戻って来たようだ。玄関に赴いて、いざ扉を開け放つと扉の向こうに佇む見慣れた顔が―――。
「「「眼帯付けているのに似合ってるーっ!?」」」
ブフッー!と何故か吹かれた。・・・・・解せん。
「取り敢えず中に入れ。もう食事の準備は整ったから」
「「「「「あ、お邪魔します」」」」」
呆れ半ば中に入れさせた。玄関先からは複数の通路と扉、二階に登れる階段しか無い空間。床は赤一色のカーペットで敷かれているがそれは階段の段差にも敷かれている。
「うお、結構広いんだな。どうなってんだこの家の構造は?」
「分かったところでどうしようもないさ。皆、まだ飯を食べてないだろ?好きなところに座って勝手に食べてていいぞ」
ガチャリとリビングキッチンに繋がる扉を開けた先に広がる光景は、俺が作った様々な料理とデザート、フルーツの盛り合わせがホテルのように用意してあった。
「おおおっ・・・・・!これ、全部一人で作ったてのかよ・・・・・」
「ふふん。俺はこう見えても料理を作るのが好きなんだ。特にこのアップルパイは青森で栽培されている高級なリンゴで作ってみた」
意匠が凝ったパイ生地の中に柔らかく煮たリンゴの果実が見え隠れしている。俺のデザート作りのレベルも高いと女子達は感心の声を漏らした最中、スッと自然体でアップルパイへ伸びる腕が。その腕の持ち主は既に均等に切り分けられているアップルパイの一つを手にし、口元へ運んでサクッと心地の好い生地を嘴で器用に突くように噛んだ頭が鳥、首から下は人間の人物。静寂に包まれる中で租借をし、味を噛みしめるようにアップルパイを堪能した後、ゴクンと胃の中に送った―――。
「好いリンゴを使ってる。美味いぞ兵藤」
「お、おう・・・・・口に合って何よりだ」
「・・・・・もう一口、いいか?」
アップルパイ=リンゴが好物だと印象を窺わせるその鳥少年は常闇踏陰。彼の少年の了承を求める問いに俺は首を横に振った。
「座ってから好きなだけ食え。足りなかったら後で作る」
「分かった」
アップルパイを乗せた更を渡して常闇を座らせた。半ば置いてけぼりな麗日達に視線を飛ばし促す言葉を送った。
「お前らも座れ。せっかく作った料理が冷めてしまうじゃん。デザートは冷たいがな」
「あ、うん。そうだったね。それじゃ、いただきますっ」
ようやく食事会が始まる。皆、舌を唸らせ一心不乱に口の中へ放り込んでいく。
「うめー!チョーうめー!特にこの肉は最高だー!」
「このゼリーも手作りにしては中々ね・・・・・」
「和・中・洋と色んな料理を一人でか。とんだ才能マンだぜ」
「美味しいー!」
と、時間かけて作った料理がどんどん空になってゆくこと一時間後―――。テーブルの上に一つも欠片もなく完食された皿が置かれていた。
「ぷはっ。もー食えねぇー・・・・・」
「同感・・・・・」
「ごちさまぁ~」
腹が膨れたとばかり多者多様に声を漏らす。うん、いい食いっぷりだったぜお前ら。
「兵藤」
「なんだ?」
「お土産用にまたアップルパイを作ってはくれないか?」
「―――お前は本当にリンゴが好きなようだな。分かったけど」
もう一つ作っておいて良かったな。後日渡すとして―――この家に泊まる組にはっと。まぁ・・・・・ここにいる全員が、俺に興味を持って泊まりに来たメンバーだけどな。一息吐き、しばらく動きそうにないメンバーを他所にさっさと片付ける為に一人テキパキと片付ける俺に申し訳なさそうだったり自分から手伝おうという意思を窺わせてくれる麗日達(主に女子)。
「美味しかったよ兵藤君」
「どういたしまして。また食べに来たかったら声掛けてくれ。一人暮らししているんだからさ」
「あはは、何か頼ってばっかりで申し訳ないけどお言葉に甘えてそうするよ」
手伝ってくれたおかげで片付けはスムーズに終わり、その間あいつら(男子達)は暇を持て余しテレビを見ていた。
「まったく、手伝いもしないで・・・・・」
「あいつらには明日の朝にして貰うさ百」
「・・・・・そうですね。ところでお風呂場はどこにありますの?」
「ああ、案内するよ。おい、お前らもテレビ見てないで部屋の中を案内するからついて来い。トレーニングルームの部屋も案内するから」
トレーニングルーム。その単語が切島達を動かし、先導する俺の後を続いてくる。一階フロアの扉の一つに風呂場がある。脱衣所へ侵入し、浴場へ突き進む俺達を湯煙が出迎えた。
『おおお・・・・・っ』
浴場は様々な色の湯が張った湯船や滝のように流れ落ちる水場、サウナやバブル風呂等々と麗日達を驚かた。
「入浴時間を決めたいんだが、男と女。どっちが先に入って後に入りたいか?まあ、風呂は見ての通り色々とあるから生理的な嫌悪の意識をしなくて良いと思うが」
と、俺がそう聞くと、上鳴と峰田が間も置かず。
「「女子から先で!」」
「「「「「却下」」」」」
女子からも拒絶を受けて結局は男から先に入ることになった。この二人の所為だが、俺達は大して気にもしない。
「俺は最後な。長湯するから待たせるの悪いし」
「お風呂が好きなんだ?」
「いや、翼の手入れするからだ」
そして、トレーニングルームへ案内した。そこは他の扉と違って階段の裏にあるエレベーターで地下へ移動する。
「何か、ここだけえらい違いだな」
「そりゃあそうさ。この家の中で一番の目玉何だから。絶対に驚くと俺は金を賭けてもいいぞ。一億円でも」
「そこまで言うほどの部屋なのか。うっし!俺はぜってー驚かないでいてやるぜ」
ガラス張りで筒状のエレベーターに乗り込み、俺が操作することで地下へと降りる。普通は機械か壁に囲まれている様子を見れるのがエレベーターであるが、俺達の周囲は真っ白。光に包まれている感じで何時までも下へ降り続けて行くこと三分ぐらいして―――目的の階層に辿り着いた。
「な・・・・・」
絶対に驚かないと言った切島が目を大きく見張った。目の前の光景を受け入れ難いと表情を窺わせてくれている。
「なんじゃこりゃあああああああああああああああっ!?」
それは麗日達の心情でもあるだろう。俺達の視界には九つの超巨大なスノードームが広大な白い空間に浮いている。俺達を乗せているエレベーターは中央の巨大なスノードームへと向かっているので当然、そこへ辿り着くのも時間の問題だ。
「一誠・・・・・お前・・・・・」
「俺は、こういったこともできるのさ一佳」
この時の俺達はまだ気付かなかった。この数日後にとてつもない悪意の塊=