瀟洒な召し使い   作:グランド・オブ・ミル

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原作前、無印編・1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こちらでございます。フリーザ様。」

 

宇宙一の戦闘民族サイヤ人の母星、惑星べジータ。そしてその星の王、「べジータ王」は後ろを歩く3人の者に自分の城を案内していた。その3人とは宇宙の帝王フリーザとその側近、ザーボンとドドリアである。

 

サイヤ人はツフル人の故郷ツフル星を征服し、惑星べジータと名を変えて自分達のものにした。さらに、ツフル人が持っていた高度な科学力も手にし、近くの星を片っ端から襲って自分達の縄張りを増やしていた。

 

だが、そんな時サイヤ人に転機が訪れる。宇宙の地上げ屋を行うフリーザ軍の親玉フリーザに、軍の舎弟に入ることを命じられたのだ。

 

高いプライドを持つサイヤ人はもちろん反発したのだが、下っ端兵はともかく、べジータ王ですら敵わない強力な戦闘力を持つフリーザとその側近ザーボンとドドリア、さらには5人のエリート戦士で構成されるギニュー特戦隊にはとても敵わず完敗。サイヤ人は屈辱的ながらもフリーザ軍の劣兵として働くことになってしまった。

 

そして当然フリーザ軍の劣兵となったからには、サイヤ人の情報は洗いざらい吐かされることとなった。べジータ王が話している最中、ずっと適当に相槌をうつだけだったフリーザだが、一つだけ興味を示した話があった。

 

サイヤ人はツフル星を征服した際に、ツフル人は全滅させたのだが、一人だけ殺さずに、惑星べジータの城に幽閉しているという。その者は不思議なことに何をしても死ななかったそうだ。四肢を引きちぎっても、首を切ろうとも、エネルギー波で消し炭にしてもどうやっても殺すことができず、さらにその戦闘力もすさまじく、サイヤ人のエリート戦士何人かでようやく捕縛することができたという。

 

それはおもしろいと思ったフリーザはすぐさまべジータ王に案内させ、そして今に至るというわけだ。べジータ王はどんどん城の地下へと進み、フリーザ達はついていく。

 

「フリーザ様、その者を一体どうするおつもりですか?」

 

「ほほほ、決まってますよザーボンさん。ぜひともうちの軍に入ってもらおうと思います。」

 

歩きながら質問するザーボンにフリーザは口元に手をあて、上品に笑いながら受け答えする。

 

「しかし、得体が知れませんぜ?」

 

「大丈夫ですよ。いくら死なないとはいえ、強さでは到底私には敵いませんから。」

 

ドドリアも若干不安そうに尋ねるもフリーザは笑みを崩さない。それほどまでにフリーザの強さは圧倒的なのだ。これまでの人生でも、親以外では埃をつけられたことすらない。帝王の名に相応しい力を持っていた。現にサイヤ人との戦いでも、ほとんど力を出すことなく勝ってしまっている。

 

「………こちらでございます。」

 

そんな会話を背に、屈辱に身を切り裂かれながらもべジータ王は問題の地下室にたどり着いた。べジータ王は振り向き、掌を上に向けて地下室の扉を指す。

 

「では、ご対面といきましょうかね。」

 

そう言ってフリーザはその重たい扉を開いた。

 

 


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