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重たい扉(フリーザにとっては紙のような重さだが)を開けたフリーザの目に飛び込んできたのは一人の少女だった。両手に手錠をかけられて天井から吊るされているが、その姿はとても美しい。髪は輝く銀髪であり、目は冷めるような青。メイド服を着ていることから、ツフル人の王の召し使いか何かだったのだろう。パッと見た感じではとてもサイヤ人を脅かすような戦闘力の持ち主には見えない。
「べジータ王、こいつが例の不死身の者か?」
「……はい。」
「へっ、どんな凄いヤツかと思えば拍子抜けだぜ。戦闘力もたったの10だ。」
ドドリアがスカウターで少女の戦闘力を測るが、測定された数値は10。とても強いとは言えない。だが、フリーザには見えていた。この少女の底知れぬ実力が。
「彼女に食事は与えているのですか?」
「…いえ、また暴れられては我らへの被害が甚大故、食事を与えず、餓死を狙っているのですが、この通りまったくこたえておりません。」
とりあえず聞いてみたフリーザだが、思惑は当たっていたらしい。どうみても目の前の少女は衰弱していたからだ。不死身でも食事がなければ衰弱するらしい。戦闘力が低いのもその為だろう。
「まあ、いいです。まず彼女を回復させましょう。」
そう言ってフリーザは右手の人差し指で天井から彼女の手錠に繋がる鎖を指した。そして指先からビッと光線を発射して彼女の鎖を切る。
「あなた、お名前は?」
「……DB111-T2000RS。」
崩れ落ちる彼女にフリーザは歩み寄り、名を聞いたのだが返ってきたのはよく分からない英数字の羅列だった。これにはフリーザも首をかしげる。
「一体それは何ですか?」
「私の製造番号です。」
尋ねればポンと答えは返ってくる。なるほど、恐らく彼女はツフル人が造り出したサイボーグのようなものなのだろう。全宇宙でも指折りの科学力を誇っていたツフル人だ。彼女のように、人間と大差ない程の精巧な人造人間を造り出すことも容易であるはずだ。
とはいえ、彼女を雇うにあたっていちいちその製造番号で呼ぶのはいささか面倒臭い。そこでフリーザは聞いてみた。
「それがあなたの本名なのでしょうが、何とかなりませんか?そのままではとても呼びにくいです。」
「………それでは"咲夜"。私のことは"十六夜咲夜"とお呼びください。」
「ほう、それはあなたを造った親の名か何かですか?」
「いえ、ただ私の知る中で完全で瀟洒なある人物の名を頂いただけです。」
すると彼女は少し考えて自身を"十六夜咲夜"と名乗った。その完全で瀟洒な人物が気になるがまあいい。コホンとフリーザは咳払いをし、改めて彼女に切り出した。
「では、十六夜咲夜さん。私の下で、フリーザ軍で働いてみる気はありませんか?」
それに対する彼女の答えは………
「はい。よろしくお願いいたします。」
Yesだった。