瀟洒な召し使い   作:グランド・オブ・ミル

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原作前、無印編・8

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはフリーザの部屋。現在この部屋にはフリーザと咲夜、そして任務を終えて帰還した5人の戦士がいる。部屋は謎の静寂に包まれている。そして………

 

「リクーム!」

 

「バータ!」

 

「ジース!」

 

「グルド!」

 

「ギニュー!!」

 

「「「みんな揃って~!!」」」

 

ババッ!!

 

「「「ギニュー特戦隊!!」」」

 

5人それぞれが特徴あるポーズを決め、最後は5人全員でポーズを決めた。本人達は「決まった!」と言わんばかりの満足気な表情だが、フリーザは微妙な顔をしていた。

 

そこにパチパチと拍手が鳴り響く。

 

「素敵なポーズですね。皆様の絆があってこそのポーズだと思います。」

 

咲夜だった。意外な人物の称賛にフリーザも思わず「え!?」みたいな表情をしてしまう。

 

「おぉ!分かってくれるか!」

 

「ありがとう!!」

 

「お前いいやつだな!」

 

「美しいポーズだろ!隊長が考えてくれたんだ!!」

 

咲夜はあっという間にギニュー特戦隊のメンバーと打ち解けてしまった。咲夜とギニュー特戦隊は馬が合わないだろうなと思っていたフリーザは唖然としてしまう。が、すぐに気を取り直し、コホンッと咳払いをする。

 

「ギニュー特戦隊の皆さん。惑星ションの征服、ご苦労様でした。」

 

「ありがとうございます。」

 

フリーザの労いの言葉に隊長のギニューが代表して礼をする。

 

「しかし、一週間ですか。確かに惑星ションはここから遠く、片道で2日はかかってしまいますが、それを踏まえても、あなた達なら5日で済むと思っていたのですが…。」

 

「あ……いや、あの…それはですね…。」

 

フリーザに対するギニューの反応はどうも歯切れが悪い。不審に思っていると別の所から声がかかる。

 

「こいつですよフリーザ様!バータのやつが急に惑星ドルの限定フルーツポンチが食いたいって言うから!」

 

「あっ!グルドお前!!お前だって2杯も食ったじゃねぇか!!」

 

「なにを!それを言うならリクームなんて5杯も食ったんだぞ!!」

 

「何言ってんだ!ジースだって………!!」

 

グルドがバータを指さして密告するとそれを皮切りに隊員達が言い合いを始めてしまった。軍のトップフリーザの前であるというのに。

 

「まったくこの人達は………。」

 

フリーザは思わず頭を抱えてしまう。フリーザがギニュー特戦隊を苦手としている理由がこれだ。自由。そう、彼らは圧倒的自由なのだ。

 

わけの分からないファイティングポーズをするだけならまだしも任務の途中にフルーツポンチとは…。

 

普通なら何かしらの罰を受けるべきなのだが、任務はきちんとこなしてくるので怒るに怒れない。ある意味サイヤ人以上に扱いづらい者達なのだ。

 

今だ言い合いを続ける隊員達にフリーザ同様呆れ顔のギニューはふと気がついたようにフリーザへ尋ねる。

 

「ところでフリーザ様、その者はいったい…?」

 

「あぁ、そうでしたね。咲夜、自己紹介なさい。」

 

「はい。この度フリーザ様の専用召し使いに就任いたしました。ツフル製マシンミュータント、十六夜咲夜と申します。」

 

流れるような自己紹介の後、咲夜はペコッと礼をする。そんな咲夜にギニューは笑いながら手を差し出す。

 

「おぉ、そうか。俺はギニュー特戦隊隊長、ギニューだ。よろしく頼む。」

 

「えぇ、こちらこそ。」

 

咲夜は差し出されたギニューの手を握り、握手した。

 

「では、フリーザ様。失礼します。こら!お前達!いつまでやってるんだ!いくぞ!!」

 

「「「はい!隊長!!」」」

 

ギニューはフリーザに一礼して、依然として言い合いをやめない隊員達に一声かけて部屋を去ろうとする。するとそこへ咲夜が「ん?」と声をあげた。

 

「どうしました?」

 

「あ、いえ。ギニュー特戦隊の皆様?あの、ジャケットにマークは描かないのですか?」

 

咲夜が小首を傾げながら聞いた疑問に隊員達は自分の戦闘ジャケットの胸元を確認する。そこには原作に描かれていたギニュー特戦隊のマークがなかった。そしてジースが困った笑みを浮かべ、頭をかきながら説明する。

 

「いや~、実はみんなでギニュー特戦隊のマークを考えてるんだけど、なかなか決まんなくて…。」

 

すると咲夜が「でしたら…。」と、どこからともなく紙とペンを取り出し、サラサラと何かを描く。そして「こんなのはどうですか?」とギニューに差し出した。それを他の隊員達も覗きこむ。

 

そこには原作のギニュー特戦隊の、オレンジと青を基調とした、いかにもなレンジャーもののマークが描かれていた。

 

「おぉーー!!」

 

「隊長!これいいんじゃないっスか!?」

 

「うむ!何とも言えないが、俺達らしさがこれでもかと伝わってくるマークだ!」

 

そんなマークに隊員達は大絶賛だ。その反応を見て満足気に微笑む咲夜を、フリーザは珍しいものを見たというような表情で眺めていた。

 

 

 


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