転生して絶望したが一応は死なないように頑張る話   作:夕凪煉音

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巻き込まれた話

 21世紀に入って幾ばくか。全盛期は過ぎ去ったものの未だにいなくならない不良たち。

 そんな彼らが山のように積み重なっている。そんな異様な光景の中心で佇んでいるのは一人の西洋人の美女。彼女が持つものは巨大な本。

 そんなどこか覚えのある現状に内心頭を抑えながら自分の職務を果たそうと話しかける。

「そこの貴女、少しお話を伺っても良いですか?」

 まさか自分がこのような損な役割を担うとは思いもしなかった。普通の人ならそんなことは考えることはないが、自分に限っては思ってしまう。この後の展開を知っているから。

 予想通り彼女はこちらを無視して二人の男子高校生に向けて歩き出す。

「おい、君!」

 無視されたことで同僚の警官が動き出す。

「待ちたまえ!」

 追いついた同僚がその肩に手をかけようとする、その前に同僚のその手を取り行動を諫め、そして再び話しかける。

「貴女方が何をしても私達には何もできませんが、何もこんな往来でここまで目立つことをしなくても良いじゃないですか。貴女がどれだけ生きているのか私には分かりませんけど、できうる限り常識に即して自重していただけると幸いなのですが」

 勿論言葉だけで、改善されるとは微塵も思わない。でも彼女たちがどのような存在か感づいた自分だけが言えるのだから言っておく。

「何よ、ただどっかのババアに絡んでたのを処理しただけじゃない。何か悪いの?」

「貴女方に何を言っても無駄なのは分かっています。なので一応警告だけはした、という事実を作っておいただけなので悪しからず。こうしておかないとうるさいのがいるのでね」

 それだけ言ってその場を離れようとする。同僚は何か言いたげだが、正直彼女たちを相手にするにはこれがベストな対応だろう。

「あなた、知ってるのね?」

「ヒャハハ!!これまた珍しい人間もいたものだ」

 背後から二つの声が話しかけてくるので振り返りながら言う。

「ええ。私の剣の師匠の一人が関係者でしたので。最も私に稽古を付ける彼を見つけた貴女の同業者さんには驚かれましたが。それでその方に教えてもらいましたね。師匠は余りそういったことを話さないので」

 そこまで言ってから名乗る。

「ああ、名乗り遅れました。天目一箇(てんもくいっこ)が弟子、十津川清志郎と申します。勿論人間ですので、次が有るかはさておき、どうぞお見知りおきを」

 今度こそ同僚を連れてその場を離れる。

「ああ、彼らは病院に送るように手配します。治安活動へのご協力、ありがとうございました」

 

 

 

 彼女たちから離れることに成功し、救急車を呼んでチンピラたちを病院に送って、人心地着いたところで同僚が話しかけてくる。

「キヨ、何故あそこで俺を止めた?」

「いえ、ただ彼女に職務質問をかけても良いようにあしらわれる未来しか見えなかったので。実際彼女の同業者相手に似たような覚えが有るのでね」

「だからといって……」

「彼女たちは一種のブラックボックスですから。警察や政府の上層部にも影響力のある組織のメンバーといってもいい存在ですので、余り争わない方が良い相手です。納得しろとは言いませんがね」

「………そうか」

 外界宿(アウトロー)云々について彼女たちフレイムヘイズや紅世に触れずに簡単に説明しておく。さすがに一度聞いただけで納得できる話ではないとは思う。

「まあ、この街に来るようなことは滅多にないので安心していいかと思いますけどね」

 これからはよく出くわすことになる可能性が高いのは内緒である。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 警官二人が去った後の御崎市駅バスターミナル前。

「…………ねえ、マルコシアス?」

 見た目二十歳過ぎの西洋系美人が傍らに持つ本に語りかける。

「…………何だ?我が麗しのゴブレット、マージョリー・ドー?」

 その声に巨大な本からの声が応える。

「…………天目一箇って弟子を取ってたのね。しかも若い人間だったから最近」

「…………みたいだな。てっきりあれは片っ端からフレイムヘイズやら紅世の徒やらに挑んでるのかと思っていたんだがな」

 二人は意外そうに話をする。

「ま、デタラメかもしれないし、気にしないであの二人のところに行きますかね」

「ッハ!確かにオメェらしくもねぇ話だったな!」

 そうして二人は男子高校生二人(佐藤啓作と田中英太)に近づいて行く。なお当の男子高校生二人はこの後彼女たちに話しかけられることも、助力を求められることも、様々な騒動に巻き込まれることもまだ知らない。

 

 

 

 

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