転生して絶望したが一応は死なないように頑張る話   作:夕凪煉音

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再会した話

 あれからあの騒動に対して然るべき対応をしておいた。そういった対応は彼ら紅世に関わる存在たちを知る人間じゃないとできないので自分の仕事である。

 うん。なんで外界宿構成員でもないのにそういった仕事をしなければならんのだ。外界宿構成員の知り合いどころかフレイムヘイズの知り合いすらいる自分だからなのだろうが、自分は外界宿に繋がりがあるだけのただの一警察官だ。彼ら関連の仕事を丸投げされても困る。まあ、天目一個だなんて最悪のミステスの弟子という時点で普通の域を外れているのは理解しているが。

 

 それはさておき、ついに巻き込まれた。

 いや、彼の弟子になってフレイムヘイズの知人ができた時点で十分に巻き込まれているわけだが、この場合は“灼眼のシャナ”のストーリーに関わる部分に、ということだ。

 確かにこの街が“御崎市”であることや、最近あった工事現場で死傷者30人以上を出した爆発事件や依田デパートのイタズラ電話騒ぎから推理して、もうすでに原作は始まり一巻も終わった頃だとは感づいていた。

 でも彼女がやってきたところに遭遇したのだ。これで確信が持てた。

 

 彼女は“蹂躙の爪牙”マルコシアスのフレイムヘイズ『弔詞の詠み手』マージョリー・ドー。復讐のために片っ端から紅世の徒を葬る典型的な復讐者。

 紅世の徒“屍拾い”ラミーを追ってきた彼女は『炎髪灼眼の討ち手』に一度は勝つものの、最終的には彼女に打ち倒され、それからしばらく佐藤啓作の家で呑んだくれてくすぶり続ける日々を過ごすこととなる。

 確かこのようなストーリーだったような気がするが、二巻はさほど読み込んでいない上に何分昔のことだ。正確なものは覚えていない。

 

 それでも数日で片は付いた筈だ。既にあれから十日は経っている訳だから、そろそろマージョリー・ドーが入り浸っているだろう佐藤家に赴いても良い頃だろう。

 以前から佐藤一家とは親交があり、啓作以外が東京に越してからもたまに家を訪ねては世間話をしたり遊びに連れて行ったりしたものだが、ここのところ色々と忙しくそれができていないのだ。ちょうど今日は休みであるのだし、顔を見せに行っても罰は当たるまい。

 

 

 

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 というわけで佐藤家である。今のこの家は啓作が一人になってから色々とやらかしていたために余り評判が良くはないが、地元の名主であった関係でそれなりに大きい家だ。

 馴染みのハウスキーパーのおばさんに挨拶をして、啓作を呼ぶ。

「よお、啓作。最近来れなくて悪かったな」

「キヨさん!お久しぶり。こっちも色々と忙しかったから大丈夫だよ」

 まあ恐らく、というか確実に彼女のことだろうけどね。

「そうか。俺は仕事だったけど、何かあったのか?」

「うーん。一人居候が来てその関係かな?」

 そうか。原作とあまり変わりはないようだ。いや、この原作知識と言うものを過信してはいけないことは分かっているが。

「居候?」

「うん。こっちには仕事で来たらしいんだけど、宿を取ってなかったらしくてね。その仕事を手伝うついでに家を提供してるってとこ。まあ、今は挫折して少し休暇を取ってるみたいだけどね」

 おお。よくまとめたな。嘘は言ってないが、隠すべきところは隠している啓作に感心しつつ話を続ける。

「へえ。どんな職業してんだ?その人」

「えっと………なんて言えばいいかな」

 職業の話になると急に口が重くなる啓作。

 いや、確かに普通の人だったら信じられないような話だし、どう誤魔化すか考えないとならんだろうな。ま、自分の場合知ってるから余りその逡巡は意味がないのだけど。

 そこで都合よく現れる英太。啓作にとってはこれ以上ない助け舟だ。ただし泥船の可能性もあるが。

「おーい。佐藤!!どうしたー?っと、キヨさんか、お久しぶりです!」

「よ、英太。この家、居候いるんだって?今その人のこと聞いてたんだ。できれば話してみたいし。」

 嘘は言ってない。高校生しかいない家に居候する人がいたら怪しいと思うのは普通だ。

「それと、あの後どうなったのかも知りたいかな」

 ひとまず建て前として爆弾を投げ込んでみる。こいつらがどれだけ関わっているか原作知識以外で認識していない以上こうして言ってみるしかない。

「あの後?」

「いや、美人な外人さんに逆ナンされてたろ?お前ら」

 にやけながらそう言った。

 我ながらこれはないと思うが。うん。ほら、2人も顔をひきつらせてる。

 少し反省しながら佐藤家にお邪魔するのであった。

 

 

 

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 そして二度目の邂逅は佐藤家の室内バー。

「姐さん?起きてますー?会ってもらいたい人がいるんすけど」

「なぁにぃよぉーー!静かにしてよぉぉーー!!」

 ふむ。泥酔しているな。こんな状態じゃあまり話もできそうにないか。でも話しかけることとする。

「こんにちは、また会いましたね」

 その言葉に彼女は怪訝な表情をしてこちらを見る。そして蒼い炎に包まれてから驚いたような顔をして言葉を紡ぐ。

「あんたぁ………こないだの話の分かる警官!?」

「まっさかこんなところで出くわすたぁ思わなかったぜ!!自称天目一箇の弟子!!」

 偶然を装った作為的な二度目の出会いである。

 

 

 

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