モンハンワールドのベータテストがありましたね。
私はPS4を持っていないので出来ませんでしたが……面白そうだよなぁ……お金が……
本編をどうぞ。
ベリオロスの狩猟報告も終わり、四人でそのまま酒場で遅めの夕食を取る。勿論、ディンを除く三人は酒も注文した。
「リーシャちゃんがいつも頼んでるお酒、美味しいの?今度頼んでみようかな」
「美味しいですよ!私からしたらビールをぐびぐび飲めるヤマトさんがわかりません」
「そうか?でもリーシャのは酒というか柑橘ジュースというか……まあ美味そうだけど」
「俺からしたら酒をぐびぐび飲めるお前らがわからねえ」
もうかなり遅い時間である為、ミクやコノハも既に上がっており、夜時間のウエイトレスが酒場内を元気に行ったり来たりしている。夜であっても酒場は忙しい。いや、酒場は夜の方が忙しい。
「お疲れ様です!飲み物お持ちしましたよ」
ウエイトレスがトレイに四種類の飲み物を乗せ、シルバ達の席に現れる。四人の狩猟も夜遅くに帰ってくる事が少し増えたので、このウエイトレスとも顔馴染みだ。
「それじゃ、」
「「「乾杯っ!!」」」
ジョッキをカァン、と突き出して一気にぐいっと酒(一名は水)を呷る。四人の狩猟後のお約束だ。
「っぷぁぁ!……そういえばヤマト君も割と珍しいよね。今どき達人ビール飲む人ってあんまりいないよ?」
「オッサンみたいな声出すなよ……昔は高かったらしいな、達人ビール」
「うん、すっごい高級なビールって扱いだったけど……いつの間にか安値で売られてたね」
「へえ、そうなのか。俺は安い時代しか知らないな」
「確か高級品扱いだったのって数年前だろ?俺もヤマトもまだガキだよ」
「シルバさんはいつでもポピ酒ですよね」
「安くて美味しい。ついでに酔える。最高でしょ?」
「お前ホント酒場だとオッサンくさいよな」
「はいお待たせしましたー、丸鶏の唐揚げです!」
次第に運ばれてくる、注文した料理。四人は一度話を止め、黙々と料理を口に運び始めた。理由は至極単純、空腹であることもあるが……モタモタしているとすぐに無くなるのだ。
ハンターは常に弱肉強食の中で生きている。食べる速度が遅い者は速いものに淘汰されるのが世の常である。
「あっ、最後の一つ!」
「ごめんね、唐揚げだけは譲れないんだ」
そして、丸鶏の唐揚げを食べる速度だけはシルバが異常に速い。彼の大好物らしい。
「お待たせしました、焼きベルナス……って速っ!もう唐揚げ食べたんですか!?」
次の料理を運びにやってきたウエイトレスすら驚くその食事速度。四人で戦争のように貪っていたのだ、無理はないだろう。
「そういえばお昼に来たあの人も食べるの早かったなぁ……」
ふと呟くウエイトレス。彼女はこの酒場で働き始めて相当長い為、ユクモ村を拠点に活動しているハンターや商人の顔は大体覚えている。そんな彼女が「あの人」と呼ぶということは、今日の昼にこの酒場にユクモ村の外から誰か来た、ということだ。
それについて気になったディンが自然に質問をする。
「あの人って?」
「あぁ、そっか。昨日の昼から狩りに出てましたもんね、皆さん。今日、旅芸人さんがユクモ村にやってきたんですよ」
「旅芸人?」
「はい。確かお名前は……パノンさん、だったかな?何日かはこの村に滞在するそうです。もしかしたら明日、会えるかもしれませんね」
旅芸人。その名の通り、世界中を旅しては芸を見せ、その芸で金を稼いでまた旅をする者のことだ。世界中を旅する、ということはそれだけ様々なモンスターに出会う可能性が高い、ということもあり、ある意味ハンターより危険な仕事である。その為、旅芸人を生業とする者など殆どいないのだが。
「へえ、珍しいね。旅芸人か……」
シルバが呟く。
何かしらの大道芸や、舞台を観たことがある、という者はそう少なくない。特に大道芸は庶民でも楽しめるものであるし、シルバも観たことは数度ある。
しかし、このユクモ村にはそういった芸事を観る、という機会が殆ど無いのだ。ヤマト、リーシャはそういったものを観たことが無かった。
つまりどうなるか。
「面白そうだな」
「観たいですっ!」
「なあ、それってどんなだった!?」
異常なまでに興味を示すのだ。珍しくヤマトの目すらキラキラと輝いている。ディンも観たことが無かったのか、二人と同じような反応を示した。
「えーっと……なんというか、凄かったですよ?明日はここで色々見せてくれるそうですので、良かったらいらしたらどうですか?飲み物安くしますよ」
「勿論行きますっ!」
「俺も行くぞ」
「シルバ、お前も来るよな!」
「あはは……まぁ面白そうだし」
観たことがあるからと言って、観に行きたくない訳ではない。こうして明日の予定は噂の旅芸人、パノンを観に行くことが決定した。
旅芸人パノンの話に気を取られていた三人は、しれっと焼きベルナスをシルバに食べられていた事に気付くまでに更に数秒を要した。
〜〜〜
明くる日。ユクモ村ハンター集会所に向かう前。
ヤマトは少しだけ寄り道をしていた。
向かった先は居住区、リタの家である。
「リター!居るかー?」
リタの家に寄った理由は至極単純。旅芸人パノンを一緒に観に行く為である。
普段、ヤマトが家の前からリタを呼ぶと、リタは二階の窓からひょこりと顔を覗かせるのだが……今日は顔を覗かせなかった。
はて?と首を傾げるヤマト。出掛けているのだろうか?はたまた畑の方にでも行っているのか?もしくは奥の道場で稽古をしているのか?
思考を巡らせていると正面の扉がガラリ、と音を立てて開いた。そこにいたのはリタの母であり、ヤマトの格闘術の師匠……ハルコだ。
「あらぁ、ヤマト!久しぶり、元気してた?あ、リタ?ちょっと待っててね、道場から呼んでくるわ」
リタと同じ、赤い髪の毛はかなり短めに整えられており、とてもではないが年頃の娘がいる母の年齢には見えない若さ。それであってこの忙しないマシンガントーク。昔から一つも変わらないハルコに対し、ヤマトは挨拶をする隙も無かった。
昔からヤマトとリタはこの家の奥の道場で格闘術をハルコに仕込まれ育ってきた。若そうな見た目に矢継ぎ早に飛んでくる話の嵐に、彼女はとても快活で優しそうなイメージを持たれがちなのだが、彼女の格闘術の腕前は異常だった。過去何度もヤマトとリタは二人がかりでハルコにかかり稽古を仕掛けたが、一度たりとも攻撃を当てたことがない。そんな時でも、ハルコは笑顔で全ての攻撃を捌き切るのだ。
「ごめん、ヤマト!どうしたの?珍しいね」
今なら一撃位は入れられるのだろうか、と考えていた所にリタがやってきた。先程まで稽古をしていた事が良くわかる、動きやすそうなシャツにズボン。額にはうっすらと汗が浮かんでおり、その汗を拭くためだろうか、綺麗なタオルを首から掛けていた。
「まだ稽古、続けてるんだな」
「え?……えへへ、いつかお母さんに一発位は入れたいからね」
「同感だ」
同じことを考えていたらしい。二人で目を見合わせて、クスリと笑った。
「で、どうしたの?」
「ああ、昨日からユクモ村に旅芸人がやってきたって聞いてな。今日集会所で芸をやるらしいんだが、一緒に見に行かないか?」
「行くっ!」
ヤマトの誘いに目を輝かせて応えたリタ。飛ぶように自分の部屋へと向かい、用意を始める。それと入れ替わるかのようにハルコが再度顔を出した。
「あら、出掛けるの?旅芸人なんて面白そうじゃない!楽しんでおいで」
「良かったらハルコさんもどうですか?」
「私、今日は道場に居なきゃいけないのよねぇ。またの機会にするわ」
「お待たせっ!準備出来たよ!」
凄まじい速度で準備を終わらせたリタ。リタもヤマト同様、旅芸人に限らずそういった芸事を観たことが無い。余程今からの出来事が魅力的に感じられるのだろう。
魅力的なのは、旅芸人だけでは無いのだが。
「そしたら行ってらっしゃい!」
「うん、行ってくるね!」
二人で集会所の方へ向かって歩き出す。すると、後ろからハルコの声が追いかけてきた。
「私に一撃入れたいなら、あと十年は修行しなさいな!」
思わず肩を震わせた二人。その話をした時には、ハルコは近くに居なかった筈なのだが。
「……聞こえてたのかな?」
「嘘だろ?」
「私さ、たまに思うんだよね。お母さん、人間やめてる気がするの」
「……ノーコメントだ」
「リタァ!聞こえてるよっ!!」
「ごめんなさいっ!!」
「……成程、確かにやめてるな」
「ヤマトも久々に稽古つけてやろうかしら!?」
「すみませんっ!!」
ヤマトとリタがハルコを超えられるには、まだまだ時間が必要らしい。
一応この作品の中で最強のキャラクターはハルコです。
ハルコです。(大事なことなので二回言いました)
感想、評価等、宜しくお願いします。