雁夜おじさんが○○を召喚しました   作:残月

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ターバンのガキ

 

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねばならぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

 

 

「…………」

「こ、子供っ!?」

 

 

現れたサーヴァントに雁夜は驚愕する。現れたのは10歳ほどの少年で頭にターバンを巻いていた。

 

 

「かかかっどうやら外れを引いたようだの雁夜」

「ま、待てジジィ!」

 

 

呆気に取られていた雁夜だが臓硯の一言でフリーズから解ける。臓硯は地下室から外へと出ようとしていたのだ。

 

 

「かかかっ……雁夜よ、笑わせるな。ワシが桜の教育を止めると言ったのは貴様が勝つ可能性があるからじゃ。だがそんな屑サーヴァントでは一人も倒せずに終わるじゃろう。ならば無駄にした時間の分、桜の教育を進めねばならん」

「待てジジィ!って……アレ?」

 

 

臓硯の発言に雁夜は怒りを露にするがそこで自身が呼び足した少年サーヴァントが居ない事に気がつく。

その瞬間だった。

 

 

「えいっ!」

「ギャァァァァァァァァァッ!?」

 

 

なんと先程の少年サーヴァントが臓硯の右足に鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

 

 

「ば、バカな……ワシの体は複数の虫で構成されておる……にも拘らず、普通に刃物を突き刺しおった……貴様、何者だ!」

 

 

臓硯の叫びに少年サーヴァントはただ無言だった。

 

 

 

 

 

 

◆◇倉庫街◇◆

 

 

 

「雑種共が……誰の許しを得て我を睨み付けている!」

 

 

人里離れた倉庫街でサーヴァント達の戦いが始まっていた。

セイバーとランサーの戦いは互角、そこに乱入したライダー。そして更にライダーの叫びにアーチャーが姿を現していた。

一触即発の雰囲気の中、アーチャーに品定めの視線を送っていたライダーがアーチャーの逆鱗に触れた。

次の瞬間、アーチャーの背後には無数の剣や槍が頭を覗かせる。それら全てがアーチャーの宝具であり、それがライダーに向けられていた。

 

 

「せめて散り様で我を興じさせよ雑種!」

 

 

アーチャーの叫びと共に剣や槍が射出されようとしたその時だった。

 

 

「えいっ!」

「ぐあっ!?」

 

 

小さな掛け声と共にアーチャーの右足に激痛が走る。視線を落とせばそこには頭にターバンを巻いた少年がアーチャーの右太ももに鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

 

突然の攻撃、今この場に居ないのはアサシン、キャスター、バーサーカーの三体。ならばそのどれかの不意討ちだと思うのが当然であろう。

その攻撃の主は、アサシンでもなくキャスターでもなく突如現れたバーサーカークラスで召還されたターバンの少年だった。

場が凍りつき、誰も……その場で一番豪胆なライダーですら言葉を発せなかった。

 

 

「ふん……中々、やるではないか……だがっ!」

「アイツッ……何を……」

 

 

傷つけられた事に更に怒るかと思えばアーチャーは目を見開くとバッと懐から何かを取り出した。その仕草にライダーのマスターのウェイバーは警戒を強めた。そしてアーチャーの取り出した、それは……

 

 

「……これでよし」

「って、絆創膏かいっ!?」

 

 

アーチャーは懐から絆創膏を取り出すと刺された部分に貼り付ける。ウェイバーは恐怖を忘れて本気でツッコんだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆アインツベルン城◇◆

 

 

 

聖杯戦争が進む中、キャスターは何を思い違いをしたのか、セイバーをジャンヌ・ダルクと完全に思い込み、己の物にしようとつけ回していた。そして今、ここアインツベルン城にまで侵入してきたのだ。

 

 

(人質など———卑怯なッ)

 

内心に憎悪を爆発させ、セイバーが奥歯を砕かんばかりに噛み締める。キャスターに、数十人ものまだ幼い子供たちが朧気な表情で付き従っていた。魔術で操られているに違いない。罠を発動すれば、子どもたちを犠牲にしてしまう。キャスター1人を狙うことのできる指向性の罠などほとんどないし、あってもサーヴァントには痛くも痒くもないものだ。とどのつまり、この状況は人質を利用してセイバーを誘いだすためのものに他ならない。

こちらの逡巡を見透かし、再度笑みを浮かべたキャスターがパチンと指を鳴らす。途端、子どもたちは正気に戻って邪悪な男に怯え始める。

 

 

「さぁさぁ坊やたち、鬼ごっこを始めますよ。ルールは簡単。この私から逃げ切ればいいのです。さもなくば……」

「ひぃっ……」

 

 

言い終わらない内に、ローブの裾から手をするりと差し伸ばし、手近な所にいた一人の少年の頭に手を載せようとする。少年は怯え竦んだまま動けない。

 

 

「まさか……!?」

 

 

セイバーの鋭い直感スキルは、魔術師とは思えないその筋肉質な腕に最悪の事態を想像させる。同じ想像をしたのであろうアイリスフィールが息を呑んで目を見張る。

 

 

「やめ———!」

 

 

「やめろ」とセイバーが悲鳴じみた叫びを上げかけた、間に合わない。城の中に居るのでは助けに行く事も叶わない。

その瞬間だった。

 

 

「えいっ!」

「ギャァァァァァァァァァッ!?」

 

 

なんと子供達に紛れていたターバンの少年が飛び出してキャスターの右足を鋭利な刃物の様な物を突き刺していたのだ。

子供による突然の反撃にキャスターは断末魔に近い悲鳴を上げた。

 

 

「ぐう……うううぅぅぅぅぅぅ……まさか私の右足をマシーンの如く、貫くとは……貴様、まさか聖女ではないなっ!?」

「聖女云々以前にお前、馬鹿だろ」

 

 

キャスターの叫びにキャスター討伐の為に現れたランサーがツッコミを入れた。

 

 




『北斗の拳イチゴ味』より『ターバンのガキ』でした。
恐らく作中最強のキャラに分類される少年。
原作ではモブだったがイチゴ味ではサウザー、ケンシロウ、ラオウ、羅将ハン等の名だたる強豪がターバンのガキの餌食となっている。
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