雁夜おじさんが○○を召喚しました   作:残月

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金色の獣

 

 

 

間桐家の屋敷の地下に二人の男の姿があった。

 

一人は黒いパーカーを着た白髪の男。

 

もう一人は和服を着たどこか化け物染みた雰囲気を纏った老人。

 

白髪の男は魔法陣らしきものに手をかざしながら呪文のようなものを詠唱していた。

 

 

「ぐっ……がっ……」

 

 

呪文の言葉を詠唱する度に、白髪の男『間桐雁夜』の体に激痛が走った。

体の至る所から血を流し、端から見ている者の方が気分を害してしまう程に。

 

 

しかし雁夜は詠唱をやめなかった。

 

雁夜には果たさねばならない誓いが有った。

 

叶わなければならぬ願いが思いが有った。

 

守らねば成らぬ少女が居た。

 

 

それら全てが雁夜を突き動かし、今にも壊れそうな体を支えていた。

唱えていた呪文が終わり、地下室に描かれた陣から光が増し、地下室を照らした。

召喚に選んだのは『狂化』のステータスを付属できるバーサーカーだった。

召喚に上手くいっていたのか隣に居た老人『間桐臓硯』は皺だらけの顔を歪ませ笑った。

しかし次の瞬間、激しい稲妻が走り地下室をまるごと吹き飛ばした。

意識を失う瞬間、雁夜が見たのは体長が三メートルはあるであろう金色の獣だった。

 

 

 

「……う……あ?」

 

 

目覚めた雁夜は辺りを見渡す。目覚めた場所は地下室ではなく、自信の部屋だった。ベッドから起き上がると雁夜は寝惚けた頭で先程の事を思い出す。

地下室で、サーヴァントを召喚したまでは良かったがその後の記憶がブッツリと途切れていたのだ。

 

 

「あ、そうだ!召喚したサーヴァントは!?」

「………白面の者と戦った後、ワシは死んで冥界の門を潜ったのかと思ったが……」

 

 

雁夜がサーヴァントの事を思い出して声を上げると無い筈の返事が返ってきた。

雁夜が振り替えると其処には記憶が途切れる寸前に見た金色の獣が佇んでいた。

 

 

「う、うわっあ!?なんだ、お前は!?」

「やれやれ……喧しい人間だな。まあ、いい……問うぜ、おめぇがワシのマスターか?」

 

 

ベッドから落ちそうになるほど狼狽した雁夜だが目の前の金色の獣は落ち着いた、そして何処か呆れた様子で雁夜に問い掛ける。

 

 

「お、お前……まさかバーサーカーなのか?」

「座の名前なんぞで呼ぶな……ワシの名は『とら』だ」

 

 

雁夜は目の前の金色の獣を『バーサーカー』だと確信したが金色の獣は何処かイラついた様子で自身の真名を明かした。

 

 

「バー……とら、お前は聖杯に何を望むんだ?」

「ワシは……何もねぇな。ワシはもう腹いっぱいさ」

 

 

とらをバーサーカーと呼びそうになった雁夜だがギリギリで訂正し、とらの聖杯に掛ける願いを聞こうとしたが、とらは

何処か満足そうにそう告げた。

 

 

「そうか……だが俺は聖杯を望む……桜ちゃんを捨てた遠坂時臣を殺す!」

「……憎しみは何も実らせないぜマスター」

 

 

雁夜はギリッと憎しみに顔を歪ませるが、とらは悟った様子でポツリと呟いた。

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

倉庫街での最初の戦闘となり、とらは雁夜と共に戦場に来ていた。来ていたのだが予想外のイレギュラーが発生していた。

 

 

「おい……聖杯戦争ってのはサーヴァント同士の戦いじゃなかったのか?」

「ああ……モフモフだ……」

 

 

セイバーはとらの背中に張り付いて、とらの毛皮を堪能していた。

何故この状況になったかと言えば、セイバーとランサーが戦っている所にライダーが乱入。

どうせなら全員来いと叫ぶと挑発に乗ったアーチャーと、とらが姿を現す。

セイバーがとらを見ると同時に駆け寄りモフモフ。そして今に至る。

 

 

「セイバーったら可愛いわ」

「いや、聖杯戦争なんだが」

 

 

アイリスフィールはそんなセイバーを愛でており、ランサーは「戦わないの?」と言った心境である。

 

 

「ふーむ、人語を理解する獣か。こりゃあ面白い!」

「いや、アレは絶対配下になら無いタイプだろ」

 

 

ライダーは自身の髭を弄りながら、とらを面白そうに見ており、ウェイバーはライダーがとらを勧誘する気満々な事に溜め息を溢す。

 

 

「…………我は無視か雑種ども」

 

 

一人、街灯の上に立っていたアーチャーは自身に注目が集まっていない事に苛立ちを感じていた。

 

 

「これで良いのか聖杯戦争……」

 

 

その光景を見ていた雁夜は一人呟く。その呟きに答える者はいないが、良いかと問われればダメなのだろう。

 

 

「憎しみは何も実らせない……か」

 

 

雁夜はとらが言っていた言葉が気にかかり、聖杯への関心が薄れていた事は本人も気づかぬ事であった。




今回は『うしおととら』より『とら』でした
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