忍たま乱太郎〜食満留三郎の弟〜   作:誰かの影

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戸部先生登場。


実技授業の段

山の向こうから朝日が昇り、今日も忍術学園を照らし出す。小三郎はいつもの様に早起きで鍛錬に励んでいた。しかし今日は金吾も一緒。金吾は小三郎の早起きを見習い自分も早起きしようと真似たらしい。

 

「一二!一二!」

「一二!一二…むにゃむにゃ。」

 

しかし金吾の方は未だに早起きには慣れていないらしく、立ったままうたた寝し始めた。

 

「ちょ…器用だなぁ。」

 

そんな様子を離れた場所から山田先生と戸部先生が見ていた。

 

「金吾には良い相手ですなぁ?」

「はい、それにしても彼、食満小三郎くんでしたかな?実に良いものを持っている。」

「は組の期待の星ですからな?…戸部先生?」

「ゆら~り…腹が減った……。」

「戸部先生!朝食までまだ一時間はあるんですよ!しっかり!」

 

山田先生の方へ倒れこみ、大慌てで支える。そんな先生方を余所に小三郎は金吾を起こし鍛錬を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終え、今日は実技三昧。みんな校庭に出て準備体操。

 

「おイッチにあサンシ!」

「「「おイッチにあサンシ!」」」

 

山田先生の掛け声に合わせてみんなも声を出しす。

 

「良し!身体が解れた所で今日は石垣登りの訓練を行う!各自好きな道具を使い、この練習用の石垣を登れ!」

「「「は〜い!!」」」

 

みんなが元気よく返事をした後、それぞれ忍び熊手、苦無、鉤縄などを持ち出し十メートルはある石垣を登ろうとしたが、お約束通り、ずり落ちたり鉤縄が全く違う場所に引っかかるで大騒ぎ。

 

「だぁぁ!もう!お前達は!」

「「「えへへ〜〜 」」」

「えへへ〜〜、じゃない!小三郎を見習え!」

 

みんなが「我らがは組の出来る子」小三郎に注目する。小三郎は用意してある道具箱からコの字型の鉄製の道具を何本も持ち出した。そして鉤縄を腰に装着した。

 

「よっ!ホッ!よっ!」

 

小三郎はコの字型の金具を石垣の隙間に差し入れ、足場を作りながらゆっくりだが確実に登って行った。

 

「先生!小三郎のあの便利な道具は何ですか⁉︎」

「あんなの習ってない!」

 

(バリバリ!)「ちゃんと教えたはずだぁぁぁ!!」

 

空間を破り土井先生が現れた。そして山田先生が横に立つ。

 

「小三郎が使ったコの字型の鉄製の金具はかすがいと呼ばれる道具で主に石垣登りの足場を作ったり、襖と襖に差し込み戸締めにも使う道具です。物音を立てずに登りたい時に便利です。」

 

 

「「「へ〜〜!」」」

 

「頼むから授業内容を少しでも覚えてくれ!…すみません、山田先生。貼っておいて下さい。」

「承知しました。」

 

土井先生の破った空間を山田先生がガムテープで貼り付けて修復。そうこうしていると小三郎が石垣の上に登り終えた。そして今度は鉤縄の鉤をしっかりと引っ掛け、素早く降りてきた。

 

「ふぅ〜。」

「小三郎合格!」

「凄い凄い!」

「なるほど〜。素早く降りる為の鉤縄だったのかぁ。」

 

は組全員が小三郎に賞賛を送る。小三郎も照れながらも誇らしげに胸を張る。

 

「みんな。先生は何も素早く登れとは言っていない。ゆっくりでも構わないんだ。もう一度、始め!」

 

山田先生の再号令の声と共に、再び石垣登りが始まった。小三郎は山田先生に言われて乱太郎ときり丸とでしんべえのフォローに回った。

 

「僕石垣や壁登り苦手なんだよね〜。」

「それなら僕がやった様にかすがいを足場に登ればいいよ。」

「じゃあ小三郎が先に登って、次にしんべえが登って。」

「しんべえの後に俺らが後ろから登ればいいんだな?」

 

 

 

 

 

 

 

小三郎が先に石垣にかすがいを打ち込み登り、しんべえを真ん中に、後から乱太郎、きり丸と言う形で登り始める。普段は体重が重たく中々登れないしんべえだったが今回はかすがいと言う足場がある為、すんなりと登って行けた。

 

「しんべえ!」

「あっ、ありがとう小三郎。」

 

先に上がった小三郎が手を差し伸べる。しんべえは手を取り登りきった。その後で乱太郎、きり丸も登り終えた。

 

「やった〜!登れた〜。ありがとう、小三郎、乱太郎、きり丸。」

「良かったね!しんべえ。」

 

初めては組全員が登れた。山田先生も下で涙を流していた。

 

「よくやった…!よくやった!全員合格!」

「「「やった〜!!!」」」

 

上では全員が飛び跳ねながら大喜びをした。一年は組が初めて全員合格になった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後からは戸部先生による剣術及び武術の授業。

 

「ゆら〜り。」

「「「ゆら〜り。」」」

「そ、そこは真似しなくていい。ゴホン!今日は武術の基本。瞑想を行う。瞑想は何か、分かるか?」

 

戸部先生の瞑想という言葉には組が次々と反応を示した。

 

「早く走ること!」

「それは疾走。」

「うわぁぁぁ!助けてぇ!」

「それは逃走。」

「空が飛べたらな〜。」

「それは空想。まぁ、近いか…」

「あんなことや、こんなことや…あわわ…。」

「それは妄想。似て非なる。」

「たけのこ!」

「うむ。孟宗竹だな?」

 

「「だぁぁぁぁ!」」

 

戸部先生は汗を垂らしながらも冷静に突っ込んでいった。小三郎と金吾がこけた。

 

「違うよみんな!」

「瞑想って言うのは心を無にして精神を統一する修行だよ!」

 

流石は金吾、家が武家なだけ基本は知っていた。それから全員が座禅を組み、戸部先生の合図と共に瞑想開始。戸部先生はハリセンを持ち見回る。

 

 

「……………………………………。」

 

 

 

チャリ〜ン。

 

「小銭〜!アヒャヒャヒャ!」

「きり丸失格!」(スパ〜ン!)

 

早くもきり丸が他者には聞こえない小銭の音で雑念が現れ失格になった。

 

「…あっ!洗濯物干しっぱなし!」

「伊助失格!」(スパ〜ン!)

 

外の風になびく洗濯物が目に入り、伊助が声をあげて失格。

 

「う〜。足が…。」

「乱太郎、団蔵失格!」(スパ〜ン!)

 

足が痺れ、もぞもぞと動き乱太郎と団蔵が失格になり、それから続々と雑念や足が痺れ動き、失格となった者が出始めた。残るは金吾、三治郎、小三郎、そして以外にもしんべえが残った。

 

「三治郎は山伏だから座禅で瞑想は得意そうだね。様になってる。」

「金吾も武家の子だから大丈夫だろう。」

「やっぱり小三郎はそつなくこなすよね〜。姿勢が真っ直ぐだもの。」

「でも、しんべえは意外だね?真っ先に食べ物の雑念が過ぎると思ったのに。」

 

庄左ヱ門の言葉に失格者全員がしんべえに注目する。真剣な面持ちで微動だにせずに座禅を組み瞑想している。戸部先生も注目している。

 

「意外だな。しんべえがここまで瞑想に集中出来ているとは………ん⁉︎」

 

戸部先生は気がついた。よく見るとしんべえの鼻から鼻提灯が出ている。つまり寝ているのだ。

 

「………しんべえ、失格。」(スパン!)

「ん?………あれ?もう晩御飯?」

「「「だぁぁぁぁ!」」」

 

金吾も三治郎も小三郎も瞑想が打ち砕け、戸部先生も転けてしまった。

 

 

 

 

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