午後三時くらいを過ぎた頃、用具委員会➕小三郎はヘムヘムと小松田さんに見送られ裏山の森に出掛けた。荷車に一年生四人と作兵衛を乗せ、留三郎が荷車を引き、守一郎が後押しをした。
「留三郎先輩!守一郎先輩!荷車なら俺が…。」
「作兵衛。お前は今まで俺の右腕になっていてくれたんだ。今は四年生の守一郎がいる。たまには荷車に乗り、一年生と一緒に揺れていろ。」
「だ、だけど…。」
「そうだよ。作兵衛。君はよく働くから、たまには揺られていなよ!」
守一郎にも言われて作兵衛は再び腰を下ろした。
「富松先輩って兄者に大事にされているんですね?」
「まぁ、守一郎さんが来るまでは俺が留三郎先輩の片腕だったからな?でも先輩方!疲れたら言ってくださいね!」
「おう!」「あぁ!」
荷車はユラユラ揺れる。ユラユラユラユラ。
「あ…荷車で歌思い出した…。」
「どんな歌?平太?」
「ドナドナド〜ナ♫子牛をの〜せ〜て〜♩荷馬車はゆ〜れ〜る〜♫」
「「「だぁぁぁ!!」」」
「ヌォッ⁉︎」
「おっと!」
平太が口ずさんだ歌に全員がひっくり返った。危うく留三郎も守一郎も躓きかけたが堪えた。
「俺らは町に売りに出される子牛か!」
作兵衛が鋭いツッコミを入れる。すると途端に留三郎が声をあげた。
「大丈夫だ!」
「と、留三郎先輩?」
作兵衛と守一郎と一年生全員が留三郎を見る。何故か涙目になっていた。
「どんなに予算が足りなくても!お前達を売りに出したりしないから…!!!」
「「「だぁぁぁぁ!」」」
小三郎以外、再びこけた。
「その前に兄者。人身売買は犯罪だよ?」
「つ、冷たいツッコミ…じゃあ、喜三太何か歌ってくれよ。」
「分かりました〜♫」
再び荷車が動き出す。すると、何処からか冷たい風が吹いてきた。
喜三太「まず〜しさに〜まけた〜♫」
平太「いえ〜♫」
しんべえ「世間に〜♫」
小三郎「負けた〜♫」
「やめろ!ますます暗く、辛くなるじゃないか!小三郎!お前だけは真面目だと思っていたのに!何一緒になって歌っているんだ!」
「いや〜。乗りも大事かな〜って。」
やいのやいの言う作兵衛に小三郎はニンマリと笑ってみせた。
「じゃあ、次は僕が歌います!」
「小三郎が?」
「楽しみ〜。」
またまた荷車は動き出す。すると何故か紙吹雪が舞い始めた。
小三郎「よさ〜く〜が、き〜をきる〜♫」
平太・喜三太・しんべえ「ヘイヘイホ〜♫ヘイヘイホ〜♫」
小三郎「こだ〜まがかえ〜るよ〜♫」
留三郎・守一郎「ヘイヘイホ〜♫ヘイヘイホ〜♫」
「な、なんか一気に時代が古くなった様な…まぁ…いいか…まき拾いだし…。」
小三郎の「与作」は裏山の森中にこだました。それからポイントにたどり着き、各自まき拾いを始めた。途中、平太が茂みから飛び出したキツネにビビりちびっちゃったが小三郎は手際よく替え用の袴と褌を差し出した。しんべえの鼻水もトイレットペーパーで拭いてあげ、喜三太にナメクジさん用のキャベツを渡した。
帰りは荷車にまきを入れ、各自、背負子に乗り切らなかったまきを背負い忍術学園に帰った。ちなみに小三郎の荷物は一緒に荷車に乗せて貰った。そして帰りも「与作」がこだました。
食堂のおばちゃんは大喜びし、夕飯の時は用具委員会と小三郎の分はとても豪華にしてくれた。しかし、富松作兵衛は少し疲れた顔をしていた。
風呂。
「どうした?作兵衛。疲れた顔して。」
「なんかあったの?」
疲れた様子で湯に浸かる作兵衛を心配して、神崎左門と次屋三之助が尋ねる。
「いや、少し今日はツッコミ過ぎたなってな?」
「ま〜。作兵衛は真面目だからな!」
「今日はさっさと寝るべきだよ?」
左門と三之助が気遣う言葉をかけた。
その夜、作兵衛は様々な歌を歌う、喜三太としんべえと平太と小三郎の夢を見てうなされた。