元旦当日、小三郎は何時もの習慣で忍術学園が休みにも関わらず六時半に起床。そして装束ではなく普段着に着替え、室内で腕立て伏せ、腹筋、背筋をしながら鍛錬をしていた。そして七時過ぎ、小三郎は胴着を羽織り外へ。しかしながら休みの為か今だに誰もおらず。辺りを見回すと、少し離れた場所で何かを摘んでいる保険医の新野先生がいた。小三郎は草履を履き歩み寄る。
小三郎「新野先生!」
新野先生「おや。食満小三郎くん。あけましておめでとう。」
小三郎「あけましておめでとうございます。何を摘んでいるんですか?」
新野「これだよ。これ。」
新野先生の横に座り指差された所を見ると、そこには。
小三郎「あっ!冬イチゴだぁ!」
『冬イチゴとは木苺の仲間で、冬に熟す為冬イチゴと呼ばれ、酸味であるクエン酸を豊富に含み、キレート作用によってミネラルの吸収を助け、血液をサラサラにしたり、細胞や血管に有害な活性酸素を撃退してくれたり、また、腎臓機能に働いて血管を丈夫にしたり、各臓器への酸素の供給や血圧の健康の維持にも働きます。さらに、大腸菌の殺菌や食中毒の予防、胃の粘膜の修復、口臭の消臭、皮膚細胞の活性化、白血球の働きを活性化させて免疫力の向上にもつながる、普段は見捨てられがちだけど中々に侮れない果実なのです。』
小三郎「へ〜!実家にいた頃おやつ代わりに食べていましたけど、意外と効能が沢山あるんですね!薬にする為に摘んでいるんですか?」
新野先生「それもあるけど、今日の夕食のデザートに使うからとおばちゃんに頼まれたんだ。それにしても小三郎くんは乱太郎くんから聞いていたけど随分と早起きなんだね?健康的だ!」
ニコッと笑う新野先生に小三郎はいや〜っと頭を撫でながら照れる。それからは新野先生を手伝い冬イチゴを摘んだ。そして八時前、漸くみんな起き出し、一年は組の一番仲の良い三人が小三郎の部屋を訪ねた。
伊助「おはよう、小三郎!明けまして……あれ?」
金吾「いないね?」
喜三太「トイレかな?」
伊助と金吾と喜三太が出て行こうとしたのを外にいた小三郎が呼びかけた。
小三郎「お〜い!こっちだよ〜!」
伊助「ん?」
金吾「あっ!」
喜三太「あそこだ!」
三人が草履を履き駆け寄ってきた。
伊助「あけましておめでとう!小三郎!」
金吾「元旦なのに早いねぇ。相変わらず。」
喜三太「新野先生も明けましておめでとうございます。」
小三郎「明けましておめでとう!伊助、金吾、喜三太。」
新野先生「明けましておめでとう。今年もよろしく。でも怪我と病気はしないでね?」
三人「は〜い!」
三人が元気よく返事をするのを見て新野先生もニコッと笑う。すると喜三太が新野先生が持っている籠の中を見た。
喜三太「わぁ〜!冬イチゴだぁ♬」
金吾「木苺の仲間?まだ生えていたんだね?」
伊助「でも下手なの取ると酸っぱいんですよね?薬の材料ですか?」
小三郎「実はね?」
小三郎が夕食のデザートに使うらしいと言うと三人とも眼を輝かせた。
喜三太「なんだろう!パイかな?ケーキかな!」
伊助「それなら僕たちも手伝います!」
金吾「よし!」
それからは四人で冬イチゴを摘み取り、たまにつまみ食いしながら新野先生の持つ籠に入れていく。
金吾「うっ、酸っぱ!」
喜三太「あははは!ハズレ〜。」
小三郎「少し色が赤黒い方が甘いよ?」
伊助「うげっ!腐ってる!」
小三郎「そりゃ食えないよ。」
ワイワイ騒ぎながら摘んで行き、20分位経つと籠はいっぱいになった。
新野先生「ありがとう。おかげで助かった。それじゃ私はこれを食堂のおばちゃんに持って行くから、じゃあね?」
小三郎「それではまた。」
小三郎に続き、三人が「失礼しました。」と丁寧に頭を下げた。
小三郎「さて、雑煮。食べに行こうか!」
伊助・喜三太・金吾「賛成〜!」
みんなに正月挨拶を済ませて食堂に向かう、ちなみに先頭はしんべえである。
しんべえ「あ〜ん!待ちきれない!」
小三郎「しんべえ、廊下を走っちゃダメ!」
乱太郎「もう。しんべえったら!」
きり丸「昨日の夜から餅の話しかしなかったからな。」
走り出そうとするしんべえを小三郎が止める。そんな様子に乱太郎、きり丸は苦笑い。そして食堂、すでに先輩型は食べ始めている。みんながおばちゃんの用意する雑煮を受け取り椅子に座る。小三郎は何処に座ろうかな?っと眺めていたら。紫色のフサフサ頭、三反田数馬先輩と黒頭の富松、では無く、浦風藤内先輩がおいでおいで。っと手招きして来たので近寄って行く。
小三郎「明けましておめでとうございます!数馬先輩っと…。」
数馬「明けましておめでとう。小三郎っと…話すのは初めてになるのかな?」
数馬先輩がチラッと横目に見ると藤内先輩が立ち上がり歩み寄る。
藤内「明けましておめでとう。まともに話すのは始めてだよね?数馬と同じクラスの浦風藤内だ。よろしく!小三郎!」
ニコッと笑い握手を差し出す藤内先輩に小三郎もニコッと笑う。
小三郎「明けましておめでとうございます!藤内先輩!知ってかと思いですが、一年は組、食満小三郎です。これからもよろしくお願いします。」
藤内「あはは!噂には聞いていたけど本当に礼儀正しいよな!」
数馬「藤内も、予習通り出来たね?」
数馬先輩曰く、藤内先輩はいつかまともに話す時のために小三郎と話す予習をしていたそうだ。小三郎は転けかけたが堪えた。そして数馬先輩の隣に座る。
おばちゃん「それでは、新年!お残しは許しまへんでェェェエエ!!!」
一年は組全員「いっただっきま〜す!」
一年は組、中でもしんべえが特に美味しそうに食べている。しかし、小三郎だけはそんなしんべえを少し心配そうに見ながら食べていた。
数馬「どうしたの?小三郎?」
藤内「しんべえに何か心配事があるのか?」
小三郎「えぇ。まぁ。」
小三郎は心配していた。そして。
しんべえ「むがっ!ぐぐっ!」
きり丸「うわぁぁぁぁ!」
乱太郎「た、大変だ!餅が詰まったんだ!」
小三郎の心配事が的中した。それはがつぐしんべえが餅を詰まらせないかだ。しかしながら小三郎はすでに見切っていた。
タン!タン!ヒューン!シュタッ!
小三郎は途端に飛び上がり、机から机に飛び移り、一瞬でしんべえの後ろに回り込んだ。そしてしんべえの胴に両腕を回し、ちょうどお腹を抱えるような形。そして思いっきり腹部を突き上げた。
小三郎「おんどりゃぁぁぁぁ!!」
しんべえ「ゲフゥゥゥ!!!(スポーン!ベチャ!)」
伝七「うげっ!」
しんべえの口から餅が勢い良く飛び出し、向かいにいた一年い組の伝七の顔面に当たった。
小三郎「ふぅ。」
しんべえ「ハァァ…死ぬかと思ったぁ。」
小三郎「がついじゃダメだよ!良く噛まなきゃ!」
伝七「だからって僕に当てるなよ!」
小三郎「ご、ごめん伝七!。」
伝七「まったく!これだから阿保の…いやお前には借りがあるから許す…。」
伝七は悪態をつこうとしたが小三郎には社会見学の時に借りがある為、何も言わなかった。
藤内「新年早々大変だなぁ。小三郎。」
数馬「流石。一年は組の苦労人!」