小三郎「四方六方八方〜しゅ〜りけん♫四方六方八方〜や〜ぶれ〜♬」
授業が終わり、小三郎は一人で校庭を歌いながら散策していた。
小三郎「じょ〜だん混じりで〜……「ミシッ」んッ⁉︎タァァァ!「バキっ!」。」
校舎裏を通っている時、踏んだ地面に違和感を感じとっさにジャンプ!そこに落とし穴が口を開けた。しかし……。
シュタ!ミシッ。
小三郎「えっ⁉︎うそぉ!うわぁ!」
なんと着地した場所にまで落とし穴があった。流石の小三郎も修正が聞かずそのまま穴に……「何ノォォォ!!「ジャキン!」。」咄嗟に懐に隠していた苦無を突き刺し、下までは落ちなかった。
小三郎「ふぅ。」
????「おやまぁ。やるね?」
安堵の息をつくと上から声がした。
小三郎「やっぱり!四年い組、通称穴掘り小僧。綾部喜八郎先輩!」
喜八郎「上手く回避したね?ほい。捕まって。」
喜八郎の差し伸ばした手を掴み、小三郎は穴から出る。
小三郎「ジャンプした先に落とし穴とはかなり計算した落とし穴ですね!危うくやられるとこでした!」
喜八郎「まぁまぁ怒らないでよ。それよりも今日は一人なんだ。他に何か用事ある?」
小三郎「いいえ、特にはありませんが。」
そう言うと喜八郎は持っている鋤とは別の鋤を小三郎に差し出した。
喜八郎「なら一緒に穴掘りしようよ?」
小三郎「はい?まぁ…暇でしたから、いいですよ?」
こうして喜八郎と小三郎の合同作業で巨大落とし穴作りが始まった。
喜八郎「ところで何で今日は一人なの?」
小三郎「お恥ずかしながら……。」
小三郎は説明を始めた。
回想、四限目。
山田先生「今日は鉤縄を使い、塀を登る授業を行う!では先ず食満小三郎!みんなにお手本を見せてあげなさい!」
小三郎「はい!」
山田先生に指名され、小三郎は鉤縄を握り締め前に出る。しんべえと喜三太がニコニコ顔で見ている。
乱太郎「どうしたの?しんべえ、喜三太。ニコニコして。」
しんべえ「いやぁ。ごめん。ただ小三郎がかっこよくて。」
喜三太「実技の時の小三郎って留三郎先輩に似ててかっこいいんだもん。」
虎若「似てるも何も実の兄弟じゃない。確かにかっこいいけど。」
みんながワイワイ言う中、小三郎は鉤縄を振り回し投げると見事に練習用の石垣に引っかかった。それから強めに引っ張りちゃんと掛かったか確認してから登り始める。
庄左ヱ門「やっぱり小三郎は出来るね?」
伊助「何たって一年生中最強だからね。」
団蔵「それに優しいし!」
兵太夫「でもいざプッツンしちゃうと……。」
三治郎「下手したら殺される……。」
兵太夫と三治郎が少し前の小三郎による放課後の補習の時を思い出し青ざめた。そうこうしているうちに小三郎は上まで登り終え、あらかじめ立てかけてあるはしごで降りてきた。
山田先生「大変よ〜く出来た!さぁ!ではみんなも見習って行うように!では庄左ヱ門から!」
回想終了。
小三郎「この後が酷くて、庄左ヱ門は鉤縄の確認不足で尻餅。伊助と団蔵は落ちて来た鉤縄の鉤で頭を汚して、虎若は振り回し過ぎて石に鉤をぶつけた弾みで自分が鉤縄に巻かれて、兵太夫と三治郎は一緒にやろうとしたんですけど、それが災いして鉤縄が絡まり、喜三太は登っている途中でナメクジさんを見つけて、何を思ったのか両手を離してしまい真っ逆さま、幸いにも金吾が受け止めたがその弾みで逆に金吾が手首を捻挫してしまい……。」
小三郎の長く細かい説明を喜八郎は黙々と穴を掘りながら聞いていた。
喜八郎「おやまぁ。なんか大変だねぇ?そうなると乱太郎達はどうなったの?」
小三郎「いや、乱太郎ときり丸は今回珍しく登れたんですよ?しんべえも登りましたし。ちなみに三人はきり丸の用事で街へ一緒に出かけました。」
小三郎の言葉に喜八郎は思わず手を止めた。
喜八郎「しんべえも登れたの?どうやって?」
小三郎「先に乱太郎達に上に登ってもらった後に、上に用具から借りた滑車を設置し、片方の縄をしんべえに結び、滑車に縄を通し、もう片方を僕が下から引っ張れば!しんべえは上に釣り上げられるって言うわけです!」
要するにしんべえを荷物の様に釣り上げたと言い訳。思わず喜八郎はこけた。
喜八郎「それじゃあ鉤縄の練習にならないでしょ!」
小三郎「山田先生にも言われました。でもしんべえだけ登れないなんて可哀想で…。」
小三郎の言葉に喜八郎は再び鋤を動かし始めた。
喜八郎「留三郎先輩もそうだけど…君っていい奴なんだね?」
小三郎「え?兄者がどうしたんですか?」
喜八郎「ちょっとね?」
それからは黙々と掘っていき、気がつけば大分日が傾き、大分大きな穴が出来た。それから喜八郎と一緒に骨組みと布を穴に被せ、土をかけて馴染ませて完成!
小三郎「結構大きな落とし穴が出来ましたね?」
喜八郎「そうだね?ありがとう。楽しかったよ。」
小三郎「僕も意外と楽しかったです。穴の中ひんやりしていて。」
喜八郎「でしょ?さて、喉乾いたね?水でも飲みがてら休憩にしようか?」
小三郎「はい。」
小三郎と喜八郎がその場を離れて少し歩いた時だった。
????「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
小三郎「えぇっ⁉︎」
喜八郎「おやまぁ。」
振り返ると誰かが落ちたらしく、落とし穴が口を開けていた。小三郎が駆け寄るとそこには。
小三郎「乱太郎!きり丸!しんべえ!」
喜八郎「大成功〜。」
乱太郎「小三郎に…綾部喜八郎先輩?」
きり丸「って事はこの落とし穴…喜八郎先輩が?」
小三郎「いや、僕も一緒に掘った。」
喜八郎「名付けて、「先輩後輩の共同合作、大落とし穴初号〜」なんちゃって。」
小三郎「今適当に思い付きましたでしょ?」
喜八郎「うん。」
らんきりしん「たはっ……。」
二人のやり取りに乱太郎達は穴の中で伏した。