十二月。時々雪が降り、下級上級生問わず朝は布団から出るに出られないくらい寒い。しかしそんな季節でも小三郎は朝早く起きて、体術の鍛錬に励んでいた。因みに今日は兄の留三郎も一緒。
小三郎「やぁ!たぁっ!はぁっ!」
蹴りや拳を留三郎に繰り出すが、そこは流石は学園一の武闘派の留三郎。軽くいなす。そして一瞬の隙を突き、小三郎の背後に回った。
小三郎「っ!?しまった!」
留三郎「よっと!」
留三郎は小三郎の腰を掴み、高い高いの要領で揺すった。
小三郎「あ〜ぁ。まだまだ兄者には敵わないなぁ。」
留三郎「ハハハッ!そう簡単に俺を超えられん。しかし前より格段に強くなってる!日々の鍛錬が実を結んでいる証拠だ。これからも励めよ?お前は絶対に強くなる!」
小三郎「うん!めげないしょげない泣かない!僕頑張る!」
留三郎に頭を撫でられ小三郎は照れながらも素直に喜び、久しぶりに自分の信条を口に擦る。
伊作「仲がいいね?」
留三郎「おぉ!伊作!」
小三郎「おはようございます!伊作先輩!」
やって来たのは六年は組、留三郎と同室の善法寺伊作。小三郎の挨拶にニコッと笑い、挨拶を返す。
伊作「しかし元気だね?みんなはまだ布団の中か火鉢に引っ付いているのに。」
小三郎「あはは…確かに寒いですけど。授業が始まれば嫌でも出なくちゃいけませんし。っと。そろそろ朝食の時間になりますね?みんなを起こして来なきゃ。じゃあ兄者、伊作先輩。また。」
留三郎「おう!またな。」
伊作「じゃあね。」
留三郎と伊作に見送られ忍たま長屋に戻る。それからが修羅の始まり。庄左ヱ門と伊助はすでに起きておりクラスメイトを起こしていたが一年は組の中で一番寝起きが悪いのは団蔵と虎若。
小三郎「団蔵!虎若!朝だよ!朝食始まるよ!」
虎若「嫌だ…。」
団蔵「寒いよぉ〜…。」
布団の中でまるで春巻きみたいに丸くなる団蔵と虎若。しかし小三郎は有無も言わせず布団の端を掴む。
小三郎「火縄銃の子と馬借の子が寒さに負けてどうする!!おんどりゃぁぁぁ!!」
小三郎は有無も言わせず布団の端を掴み、ものすごい勢いで引っ張り布団を剥ぎ取った。団蔵と虎若はガタガタと震える。
団蔵「さ、寒い…。」
虎若「サブちゃんの鬼!」
小三郎「へ〜?」
虎若が鬼と言った瞬間、虎若はしまった!っと言った具合に自分の口に手を当てた。
小三郎「なら、鬼は鬼らしく……喰らってやろうか?え?」
団蔵「や、やめてやめて!舌なめずりしながら近寄らないで!なんか妙に怖い!」
虎若「起きる起きる!起きるから!」
二人は先程の寒さは何処へやら、飛び起き、テキパキと着替え始めた。その様子を庄左ヱ門と伊助が苦笑いしながら見ていた。
庄左ヱ門「流石は小三郎だね?あの二人を一発で起こすなんて。」
伊助「そりゃあ…多分だけどあれ起きなきゃ団蔵と虎若。確実に小三郎に噛まれてたよ?小三郎って加減が苦手だから。」
庄左ヱ門達が話しているのをよそに小三郎は乱太郎達の部屋へ歩んでいく。
小三郎「乱太郎。きり丸。しんべえ!朝だよ!起きてる?」
乱太郎「あっ!サブちゃん!いい所に!」
戸が開き乱太郎が出てくるや否や手を引かれ部屋の中へ。
小三郎「どうしたの?ってありゃま。しんべえ。またリンス忘れたの?」
しんべえ「うん…。」
しんべえの髪がまるで剣山のようになっていた。しんべえの髪は剛毛なため髪をリンスをせずに洗うと乾いた後にこのように鋼鉄をも弾く髪になってしまうのだ。
きり丸「ってな訳でいつものアレ!」
小三郎「すでに出してありまーす!」
きり丸「相変わらず早えな!」
すでに椿油と櫛を出してあり、油を櫛に塗りしんべえに近寄る。
小三郎「はい頭出して。」
しんべえ「お願いしまーす。」
しんべえの髪を櫛で梳かす。最初は表面だけだがだんだんと剛毛が解かれてゆく。そしてしまいにはサラサラヘアーに変わった。最後に濡れた布で余分な油を取り除き、いっちょ上がり!
小三郎「はい終わり!」
しんべえ「ありがとう!小三郎!」
乱太郎「いつもごめんね?助かるよ。」
きり丸「んじゃ。着替えるか!」
食堂
おばちゃん「お残しは許しまへんで!!!」
全員「いっただきまーす!!!」
こうして一年は組の朝は始まる。