忍たま乱太郎〜食満留三郎の弟〜   作:誰かの影

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囚われた小三郎の段〜後編

木から降りて来たのは茶色の忍者装束を着た忍。

 

土井先生「お前は…!」

乱太郎「ミソタレガケ忍者、所詮そんなモンさん!」

 

尊奈門「違う!タソガレドキ忍者、諸泉尊奈門だ!」

 

間違いだらけの乱太郎にタソガレドキ忍者の一人、尊奈門が突っ込む。それを機に続々とタソガレドキ忍者が現れた。

 

伏木蔵「あっ!ひとりでできるもんさん!」

昆奈門「雑渡昆奈門だよ。伏木蔵くん。」

 

タソガレドキ忍者組頭、雑渡昆奈門が優しく伏木蔵の頭を撫でる。そして読者の方を向く。

 

昆奈門「えぇー。小説では初となります。タソガレドキ忍者組頭雑渡昆奈門です。よろしく。」

 

土井先生「読者への自己紹介はいい!それよりも小三郎の事を知っているのか!?」

 

土井先生の言葉に尊奈門は頷く。しかし留三郎が凄まじい人相でタソガレドキ忍者に詰め寄った。

 

留三郎「貴様かぁぁぁ!?曲者ぉお!小三郎を何処へやったぁぁぁ!?!?」

伊作「留三郎抑えて!!!」

 

摑みかかる寸前で伊作が羽交い締めにして抑え込む。

 

尊奈門「?半助。用具委員長くんと食満小三郎は何か関係があるのか?」

土井先生「関係も何も実の兄弟だ!」

昆奈門「へぇ〜。用具委員長くんに弟が…。」

土井先生「で。小三郎は何処にいるんだ!?」

 

尊奈門「小三郎はドクタケ城の座敷牢に軟禁されている。」

 

 

は組一同、及び全員「えぇえぇぇぇぇぇ!?ドクタケ城に!?」

 

全員が聞いて声を上げる。そして留三郎がガタガタ震えだす。

 

留三郎「ドクタケ忍者…ま、まさか!あいつら小三郎を!」

 

以下留三郎の妄想。

 

八方斎「グフフ…良いではないか!」

小三郎「あ〜れ〜!」

 

留三郎「ま、まさかこんな事とか!」

 

ドクタケ忍者「フヘヘへ!」

小三郎「ひっ!た、助けて!助けて兄者〜!!!」

 

留三郎「うわぁぁぁぁぁ!小三郎ぉぉ!!」

仙蔵「少し黙れ!そんなわけあるか!」

 

留三郎はあれやこれや如何わしい事をされている小三郎を想像するが仙蔵が腹パンを食らわし大人しくさせた。しかし、一年は組の全員も騒ぎ出した。そして一斉に走り出した。

 

は組一同「サブちゃん!今助けに行くよ!!!」

 

山田先生「待て待てお前たち!もう夜になる!それにここからドクタケ城はそれなりに距離がある!」

土井先生「小三郎は必ず救い出す!四年生以下は忍術学園で待機。五年生、六年生と我々教師でドクタケ城へ行く!」

 

乱太郎「で、でも土井先生!」

土井先生「行きたい気持ちは分かる。でも小三郎は優しい奴だ。小三郎にとって何が一番辛いと思う?」

 

引き止める乱太郎と他のは組生徒を見る。

 

きり丸「俺たちが怪我をする事…?」

土井先生「そうだ。それにさっき尊奈門の話を聞くあたり小三郎は軟禁されている。少なくとも酷い事はされていない。」

団蔵「軟禁って牢屋にぶち込まれるじゃないですか!」

 

団蔵の言葉に山田先生が首を横に振る。

 

山田先生「牢屋にぶち込まれ自由を奪われるのは軟禁ではなく監禁だ。話を聞くあたり小三郎は座敷牢に軟禁されている。話を整理すると。小三郎は座敷牢に軟禁されている。監禁をあえて僅かに自由が出来るしかも座敷牢に軟禁されているんだ。少なくともドクタケ忍者は小三郎に酷いことをする気は無いと言う事。」

 

伊助「つまり…小三郎に何かして欲しいから攫った?そしてそれは小三郎の体に関わる事?」

 

伊助の言葉に尊奈門はある事を思い出した。それは八方斎が小三郎に言ったこと。

 

八方斎【お前は忍術学園一の歌い手と言われているらしいじゃないか。殿がその噂を聞いて是非聞きたいらしく歌ってくれないだろうか?】

 

尊奈門「そういえば。八方斎は小三郎に歌ってくれって言っていたな?」

 

尊奈門の言葉を聞いてみんなハッとした。小三郎は歌が上手いこと。その時、伊作の悲鳴が聞こえた。振り向くと伊作が吹き飛ばされ留三郎が凄まじい速さでドクタケ城へ走っていった。

 

山田先生「いかん!他の先生方!四年生諸君!下級生を頼む!」

 

山田先生と土井先生とその他の上級生は留三郎の後を追い、乱太郎達下級生は四年生の先輩方に引率されて忍術学園へ戻った。残されたのはタソガレドキ忍者。

 

尊奈門「どうします?組頭。」

昆奈門「乗りかかった船だ。助けに行きますかぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈む夕暮れ、小三郎は八方斎と風鬼に連れられ殿の部屋へ来ていた。小三郎はなんとか逃げ出せないかとあたりを見回したが、どこも見張りだらけ。逃げる事は不可能だった。しかし小三郎は緊張していた。まさか頼まれたのが殿様の前で歌えだなんて。

 

小三郎(………どの道逃げられなさそうだし…やるだけやるか。)

 

「殿のおな〜り〜!」

 

八方斎が頭を下げるのを見て小三郎も囚われの身と言えど相手は殿様と思い頭を下げることにした。

 

竹高「パカラッパカラッパカラ。」

小三郎「どっ!」

 

しかし小三郎は思わず転けかけた。乱太郎達なら知っているが何故かドクタケ城の殿様竹高は張り子の馬に入り口で擬音を言いながら入って来た。

 

小三郎「な、何故張り子の馬?」

風鬼「それは突っ込むな。」

 

そして何故か風鬼に釘を刺された。恐らく聞いては行けないのだろうと口を噤んだ。

 

八方斎「殿!ご所望通り、忍術学園一の歌い手、食満小三郎を捕らえて参りました。」

竹高「おぉ!良くやった!珍しく成功とは。」

八方斎「殿!珍しいは……まぁ珍しいか?」

 

 

小三郎(えっ?な、なんだか………緊張して損した?)

 

八方斎と竹高の話を聞いていると噂に聞くほど悪ではないなと思い苦笑いを浮かべた。

 

竹高「ほほぅ?其奴が…。」

小三郎「!」

 

竹高が馬から降り…ではなく張り子を脱いで小三郎に近寄る。そして小三郎をあちこちから見る。

 

竹高「ほぅ…ほほぅ…これはこれは…中々どうして……。」

 

竹高は小三郎を見回したのちに正面に立つ。小三郎は息を飲む。しかし。

 

竹高「可愛いのぉ!乱太郎達とは違うこの表情!育ちの良さが伺える。」

八方斎「そうでございましょう!殿!乱太郎達は少し下品な所がありますが彼は中々でしょう?」

 

竹高は小三郎の頭をよしよしと撫でた後に八方斎を見る。八方斎も小三郎の頭を撫でる。

 

小三郎(な、なんなんだよぉ!ここの殿様と八方斎さんは!ってか乱太郎達、下品って何したの!?)

 

小三郎は頭を抱える。

 

竹高「では、早速歌ってくれるかの?舞台は用意した。」

小三郎「ぶ、舞台?」

 

腰元達がさっと障子を開くとそこには庭園があり、真ん中に紅白の幕で飾られた舞台があった。八方斎に押され小三郎は舞台に立つ。

 

小三郎(……歌うからにはちゃんとするか。)

 

小三郎は深呼吸の後にスゥッと息を吸う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城の下ではドクタケ忍者隊が鍛錬の真っ最中。また下働きは夕飯の準備をしていた。

 

小三郎「つ〜きは〜しず〜んで〜♪星影も〜な〜し〜♫や〜みが〜せま〜れば〜♬おいらのせ〜か〜い〜♪」

 

小三郎の澄んだ歌声がドクタケ城に響く。働いているものは思わず手を止めた。そして続々と庭に集まりだした。

 

小三郎「走れ〜走れ〜飛べ〜飛べ〜♫お〜と〜も〜無く〜♬四方六方八方〜しゅ〜りけん♪四方六方八方〜や〜ぶれ〜♫」

 

小三郎の歌に合わせてドクタケ忍者達が団扇を振り時に指笛を鳴らす。八方斎と竹高は部屋から小三郎の歌声を目を閉じ聴きいっていた。

 

小三郎「じょ〜だん混じりで〜♬Wink投げたら〜♪打ちか〜え〜されたよ〜♬肘鉄砲〜♫」

 

ドクタケ忍者「うぉぉおおぉぉぉ!!」

 

歌い終わるとドクタケ忍者隊から歓声が上がる。しかし八方斎の一喝した。

 

八方斎「こらぁぁ!お前達!仕事に戻らないか!殿の御前だぞ!」

竹高「まぁ良いではないか八方斎。小三郎とやら近うよれ。」

 

竹高は扇子で小三郎をカムカムと呼ぶ小三郎はそれに従い近くに歩み寄る。

 

竹高「見事!見事であった!よしよし!」

小三郎「は、はぁ。」

 

再び頭を撫でられはにかむ。竹高は何かを思いついたように手を叩いた。

 

竹高「そうじゃ!宴じゃ八方斎!宴を開こう!」

八方斎「宴でございますか?」

竹高「どうせ歌えば聴こえてしまうんじゃ。それなら宴でも開けば良かろう。どうせ何処とも戦はしておらんし…。」

八方斎「御意。では支度を致します。」

 

八方斎が風鬼に目をやると風鬼はシュッとその場から離れた。小三郎は自分はどうするべきか考える。八方斎がいる以上逃げられない。何処も見張りがいる。無理。その時、竹高が小三郎に目線を合わせるように座った。

 

竹高「小三郎。儂と遊ぶかの?」

小三郎「はい?」

 




ドクタケ忍者って言うほど悪い事してないような。
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