編入生して早二週間。小三郎は授業も実技も人並みにこなしていった。分からない所があれば土井先生、山田先生に聞きに行き、朝六時半には起床し鍛錬も怠らない。おまけに物腰も相まってクラスメイトからはかなり人気者になっていた。
「山田先生!」
「土井先生!」
「漸く真面目な忍たまがは組に来てくれたぁぁぁ!」
職員室では土井先生と山田先生が手を取り合い嬉し泣きをしていた。
一方で一年は組。午後からは自習となり、それぞれ好きな事をして過ごしていた。遊ぶものがほとんどであり、小三郎も例外なく遊んでおり、今はは組の中でも力持ちな虎若と腕相撲の最中。ちなみに金吾が仲介役。
「おんどりゃぁぁぁぁ!!」
「ワァァ!」(バン!)
「小三郎の勝ち〜!」
「あ〜!また負けた!小三郎強いなぁ〜!」
「いやぁ、でも油断できなかったよ。」
小三郎と虎若はお互いに認め合いながら握手を交わした。その時、何処からか生暖かい風が吹いて来て、教室の扉がギィ〜〜ッと開いて暗雲と共に誰かが入って来た。は組全員が慄いた。
「「「「こんにちわ〜〜…。」」」」
乱太郎「あっ!一年ろ組の…伏木蔵、平太、孫次郎、怪士丸!」
伏木蔵「どうも乱太郎〜。」
「何か用?」
「新しい編入生の食満小三郎に挨拶をと思ってね?」
「歓迎会の時はバタバタしちゃって挨拶も出来なかったから〜。」
「ちょうどろ組も自習だから…。」
「小三郎はいるよね?」
「いるよ。小三郎〜!」
乱太郎に呼ばれ席を立ち、乱太郎の隣へ。
「君に挨拶がしたいんだって。」
「よろしく小三郎〜。鶴町伏木蔵。よろしく。」
「僕は初島孫次郎〜。よろしくね〜。」
「ぼ、僕は下坂部平太……よろしくね……。」
「僕は二之坪怪士丸。よろしく、小三郎。」
妙に暗いトーンで喋るろ組に小三郎は少したじろいだが笑顔をうかべる。
「僕は食満小三郎。よろしくね。伏木蔵、孫次郎、平太、怪士丸。」
「「「「よろしくね〜…。」」」」
挨拶を終えると伏木蔵達が小三郎を取り囲む。
「食満先輩にそっくりだね……。」
「兄弟だからね?」
「伏木蔵なんてドッペルゲンガーだって騒いでたんだよ?」
「スリルとサスペンス〜。」
「フフフ…。」
しばらくたわいもない事を話していると、扉から気配がし、小三郎はハッと扉を見た。そこにはまるで幽霊の様な人物が立っていた。
「「「ヒェ〜!お化け〜!」」」
乱太郎達の絶叫と共に他のは組も絶叫した。
「お化けではありません。」
よく見ると山田先生や土井先生と同じ装束を纏った教師であった。
「お初にお目にかかりますね?食満小三郎くん。私は一年ろ組、教科担当の斜堂影麻呂です。どうぞよろしく。」
「よ、よろしくお願いします。斜堂先生。」
「し、斜堂先生も小三郎への挨拶をしに来たんですか?」
乱太郎の言葉に斜堂先生は頷く。
「それもありますが…伏木蔵くん達?」
「はい。」
「今は自習の時間です。遊ぶのは構いませんが、教室を出てはいけません。」
ごもっともな発言に伏木蔵達は首を下げ謝った
「ごめんなさい、斜堂先生。」
「すみません。」
謝るろ組に斜堂先生はそれ以上は言わなかった。
「分かればいいのですよ。それと小三郎くん。」
「は、はい。」
「一年ろ組は、ご覧の様に暗いかもしれませんが根はいい子達なので、仲良くしてくださいね〜。(ニタァ〜」」
「「「「仲良くしてねぇ〜〜?」」」」
斜堂先生と伏木蔵達が同時にお化けみたいにニタァ〜ッと笑い、小三郎はうっといった感じで後ずさりながら引きつり笑い。
「よ、よしくね?あははは……。」
ろ組が帰って行き、小三郎は再び腰を下ろした。
「もしかして、ろ組が暗いのは…。」
「御察しの通り。」
「斜堂先生の影響だよ?」
庄左ヱ門と三治郎が苦笑い気味で答えた。小三郎はは組で良かったと心から思った。
「そういえばい組の子は来ないのかな?」
「来ないと思うよ?い組は真面目だから。」
「やめとけ小三郎。い組は優秀だけど嫌味ったらしいからさぁ。」
庄左ヱ門が答えるときり丸があからさまに嫌そうな顔をした。
「優秀といえば小三郎も優秀だよね?実技なんかパパッと出来ちゃうじゃない?」
「そう?まだまだだと自分で思うけど…。」
「謙遜するなって!」
「小三郎はは組のいいお手本だよ。もっと胸を張っていいと思うよ?」
「そう?じゃあ……えっへん!」
庄左ヱ門に胸を張れと言われて胸を張って見る。
「よ!一年は組一出来る子!」
「みんなのお手本!」
クラス中が小三郎に拍手を送った。