「のんのんびより10巻OAD」を観たところ、面白かったのですが、ひかげ分とこのみ分が足りなかったので、個人的に足してみました。
一番気に入った夏編のエピソードに2人を加えたのですが、案の定、別物と化したので、原作のネタバレもなく、安全・安心に仕上がっています。
楽しんでもらえたらうれしいです。


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「若人たちよ、宿題がんばってるか~? 早くやらないとあとから大変だぞ~」

 

 ニヤニヤしながら越谷家の居間に突入すると、夏海と蛍とれんげの三人が、目を丸くしてひかげを見上げていた。

 

「え、ひか姉どうしてここにいるの? 偽物?」

「いや、夏休みだから帰省しただけなんだけど、何その言われよう」

「ひか姉、勉強の邪魔しにきたんなら、さっさと帰るん」

「うぐっ、我が妹ながらボディブローのような一言を……」

「やれやれなん。だいたい、ひか姉はいつも――」

 

 れんげが言い返そうとすると、新しく室内に入ってきたおさげの少女がストップをかけた。

 

「まあ、まあ、れんげちゃん。宿題をがんばってるみんなに差し入れだよー」

 

 アイスの入った袋を掲げて見せる。

 

「このみさん!」

「やっぱり、このみ姉は立派なんなー」

「なに、この扱いの差は!?」

 

 夏海が「まあ、まあ」とひかげの肩を叩いた。

 

「日頃の行いの差だって」

「お前が言うなよ……」

「ところで、眼鏡君はいいとして、小鞠ちゃんはどこにいったの?」

「あ~、姉ちゃんなら……その……」

「せ、センパイはちょっと調子が悪くて」

 

 誤魔化そうとする夏海と蛍を尻目に、れんげだけが正直に答える。

 

「やっちまいました。ウチらのミスで、こまちゃんの自尊心を傷つけてしまったのん」

「じそ……」

「自損……?」

「わあ~、れんちゃん、難しい言葉知ってるね」

 

 

「「え、ほたるん/蛍、知ってるのっ!?」」

 

 

 夏海とひかげが同時に蛍を振り返った。

 すかさずこのみが突っこむ。

 

「あれ? なっちゃんは仕方ないとして、ひかげちゃんまで知らないの?」

「仕方ないってなんだぁぁ!?」

「え? あー、も、もちろん知ってるって。自損でしょ、自損。東京は車が多いからねー、それくらい常識だって」

「じそん違いな上に、東京関係ないんじゃ……」

「自存……それは、他の誰にも頼らず、自分の力で生存することなのん」

「れんちゃんは知りすぎだよっ!?」

 

 ここぞとばかりに、ひかげが話を別方向にもっていく。

 

「そ、そんなことよりさー、小鞠、そう、小鞠がどうしたかって話してたじゃん」

「そういえばそうだったね」

「そ、そうでした! 実は……」

 

 蛍が代表して、ひかげとこのみの二人に事情を説明した。

 

「あ~、それで小鞠ちゃんすねちゃったんだ」

「いつものことだけどね」

 

 夏海がいかにも「慣れっこです」といった感じにシャーペンを回した。

 

「そう言うなって夏海。小鞠にもさ、一応、上級生のプライドってものがあるんだって」

「あれ~、ひかげちゃんにしてはいいこと言うねー」

「私にしては……って、そりゃ、私も都会で成長したしね。まあ、主にルーチェとかルーチェとかルーチェのせいだけど」

「あ~、その子のことは知らないけど……」

「ひか姉には、その成長をもう少しうちでも見せて欲しいん……」

「んがっしゅ!?」

 

 ブーメランだった。

 

「れんちょん、身内には手厳しいな……」

「と、とりあえずみなさん。センパイの部屋に行きませんか?」

 

 蛍の提案で部屋をのぞくと、小鞠は仰向けになってベッドで眠っていた。

 

「ふて寝か……」

「ふて寝なのん……」

「ふて寝……ですね……」

(カワイイすぎるっ!)

「いや~、いつもの小鞠ちゃんで安心したよー」

「それでいいのか……?」

 

 すると、小鞠が涙を浮かべながら寝言をつぶやいた。

 

 

『……漢字……小一……』

 

 

「あ~、姉ちゃんさっきのことまだ気にしてたんだ」

「これ、絶対悪夢見てるだろ……」

「う~ん、もう起こしてあげようか?」

 

 夏海とひかげとこのみがそう言った瞬間、れんげの頭上で閃きマークが灯った。

 

「いいこと考えたん! ここはウチらが手助けして、こまちゃんにいい夢見させてあげるのん!」

「れんちゃん、どういうこと?」

 

 蛍が屈んで尋ねると、

 

「外から刺激を与えて夢を変えてあげるのん。姉ねぇが目を覚まさないときは、いつもこれで悪夢を見せて起こしてるん」

「れんげ……恐ろしい子。ていうか、姉ちゃんにそんなことしてたのかよ……あ」

 

 ひかげがポンと手を叩いた。

 

「そういえば、寝ているときに、枕もとで覚えたい言葉を繰り返し聞くと、起きたときに記憶してるっていうな」

「あ、それ私も知ってます。睡眠学習ですよね?」

「え、何それ、寝てるだけでいいの? ウチもやりたいんだけど!」

「でも、それ効果がないんじゃなかったっけ?」

 

 ひかげが「ふっふっふ」と笑った。

 

「だから、小鞠で試してみようって話だよ」

「ひか姉、面白がってるん?」

 

 今度は「ちっちっち」と指を振った。

 

「れんげも、目を覚ました小鞠が、急に宿題をスラスラ解けるようになってたら、スゴイと思うっしょ?」

「ん~」

 

 れんげはまだ不満そうだ。

 

「ほら、これで上手くいったら、姉ちゃんにも使えるじゃん。眠気のなくなったパーフェクトチャージ状態の姉ちゃん……名づけてパーフェクト一穂みたいな?」

「パーフェクト一穂! ちょっといいかもしれないのん……」

「え、れんちゃんどうして赤くなってるの……っていうか、それもう催眠術なんじゃ」

「ハイ、ハイ、ハイッ! 姉ちゃんで上手くいったら、次はウチもやるってことで」

「お前もやるのかよ……」

「そりゃ、勉強しないで頭がよくなるなら誰だってやるでしょ?」

「いや、私はやらないから」

 

 ひかげの言葉に、夏海がシャフ度なみに首を傾げた。

 

「え、どうして? ひか姉、頭よくなりたくないの? バカがいいの?」

「バカって……夏海、お前っ私が東京の高校に合格したこと忘れてるだろ?」

「あ~、東京の高校って意外にレベルが低いんだね」

「ちっげーよ! 宿題もそうだけど、勉強ってのは自分の力でやることが大事なの。他人のを写すとか、睡眠学習とか、そういうのはダメ、絶対ダメ、最初っから攻略本片手にゲームをやったらつまんないだろ? そーいうこと」

「うわ、なんかひか姉がまともっぽいこと言ってる……」

 

 すると、このみが「まあ、まあ」と仲裁に入った。

 

「その辺の考え方は十人十色だよ。でも、なっちゃんなら睡眠学習の効果はわかりやすいんじゃない?」

「そう言われると……」

「そうそう。これ以上、下がりようがないしね。成績が上がったら、上がっただけ効果があった……って……あれ? ウチ、バカにされてる?」

「よーし、とりあえずやってみようか。まずは私からねー」

「このみさん……」

「このみ姉……流石なのん」

 

 このみは、有無を言わさず小鞠の枕もとで正座すると、小さなクマのぬいぐるみの頭をなでた。

 

「小鞠ちゃん、小吉さん大好きだもんね~。

 ピ力チュウ、カイリュー、ヤドラン、ピジョン、コダック、コラッタ、ズバット、ギャロップ、サンダース、メノクラゲ……」

「それって……」

「ポケモンかよっ!?」

「ほら、目覚めたら急にポケモンの名前が言えるようになったら便利でしょ?」

「何が便利なんだよ……しかも初代だし……」

「ん~、だって小鞠ちゃん流行りもの好きでしょ。だいたいズレてるけど」

 

 蛍が「あ!」とソプラノ声を上げた。

 

「ポケモンGOですね!」

「そうそう!」

 

 しかし、夏海が渋い顔で反論する。

 

「いや、姉ちゃんスマホどころか携帯……いや、ポケベルも持ってないし」

「いや、ポケベルは持ってないでしょ」

 

 蛍は「ポケベルって何ですか?」といった表情で首を傾げた。

 れんげがこのみに尋ねる。

 

「ポケモンみたいなのでもいいん?」

「うん、大丈夫、大丈夫。何でも覚えられるよー」

「このみ……お前っ絶対、小鞠で遊んでるだろ?」

「じゃ、次はウチの番ねー」

 

 夏海が小鞠の耳もとでささやく。

 

「姉ちゃんは、おやつをウチにあげたくなーる、あげたくなーる」

「それもう、完全に趣旨が違ってきてますよね!?」

「いや~、上手くいったらいいな~って思ってさ」

「ま、まあ……睡眠学習を経験した小鞠も、これで大人の階段を一歩のぼったというかなんというか……」

「上がったんだか、下がったんだか、わからないけどね」

 

 そこで、ずっと黙っていたれんげが「わかったのん!」と小さく声を張り上げた。

 

「ウチは、こまちゃんが喜びそうなことをお願いするん!」

「お願いって……」

「もはや睡眠学習でも何でもないな……」

「どうか、こまちゃんの背が伸びますよーに、伸びますよーに……」

「いやいやいや」

「れんちょん、流石にそれは無理でしょ」

「いや、そういうことじゃないですよね!?」

 

 このみだけが笑っている。

 

「身長が伸びた小鞠ちゃんかぁ~。ちょっと見てみたいかも」

 

 すると、

 

「だ、ダメですっ! センパイはちっちゃいのがいいんですから!」

 

 蛍がムキになって叫んだ。

 

「ちょ、ほたるん声大きいって!」

「あ、ごめんなさい……」

 

 蛍は慌てて口を押さえた。

 

「でも、ほたるんの言うことも一理あるかな。姉ちゃんの背が伸びちゃったら、もうこまちゃんじゃなくなるし」

 

 こまちゃんの由来は『小鞠』ではなく『細(こま)い』だからである。

 

「こまちゃんが、こまちゃんでなくなるん?」

「そう。コマリがダイマリに!」

「ダイマリ……ゴロが悪いんなー」

「せめてオオマリにしてやれよ?」

「それ、どっちも一緒だよね?」

 

 

『う~ん、う~ん……』

 

 

「ああっ!? センパイがうなされてます!」

 

 

『し、身長が……』

 

 

「身長かぁ~」

 

 

『……れんげに……抜かれた……』

 

 

「そりゃ、小鞠ちゃん切ないね~」

「ちょ、姉ちゃんがピンチなんですけど!?」

「ひ、ひかげさん、何かないんですか!?」

「え、わ、私っ!?」

 

 珍しく期待されて、ひかげが頭をフル回転させる。

 

「そ、そうだ! こんなのどうだ? こ、小鞠、東京の高校合格おめでとう!」

 

 

『ん』

 

 

「……ひか姉の新ギャグなん?」

「ギャグじゃねーよ! てか、持ちネタなんて最初からないだろ!?」

 

 ひかげは呼吸を整えると、努めて明るい声音で小鞠にささやいた。

 

「今日から私の後輩になるわけだが、東京でもよろしくな!」

「お~、小鞠ちゃん憧れの都会っ子だねー」

 

 

『んんっ!』

 

 

「見てください! 小鞠センパイの顔がニヤけてます!」

「こまちゃんには、東京が効果あるんな~」

 

 夏海が「姉ちゃん、ちょろっ!」と言い放った。

 

「で、ひかげちゃん。続きは?」

「え!? つ、続きと言われてもな……夏海、なんかないか?」

「え、ウチ? ん~、じゃあ、こんなんどうかな?」

 

 深呼吸した夏海が叫ぶ。

 

「姉ちゃんせっかく勝ったスマホ落としちゃダメじゃん!」

 

 

『ぴぃぃ!?』

 

 

「うわ、ありそう」

「プラスかマイナスかわからん内容だな……」

「はい、次れんちょんね」

「ん~、こまちゃんにとっては新しい学校、新しい土地なん。つまり、友達一00人……どころか知り合い一人もいないんな」

 

 

『んっ……ん……』

 

 

「ああっ、センパイが不安そうな顔してます!」

「ひか姉、畳みかけないと!」

「お、おう! エスカレーターは左に乗って、右は歩く人のために開けとくんだぞ!」

 

 

『んんっ……ん……』

 

 

「小鞠ちゃん。バスの運賃は後払いじゃなくて、先払いだからね」

 

 

『んんんっ……ん……ん……』

 

 

「はい、次は蛍ちゃんの番ねー」

「え、せ、センパイ! 山手線は、外回りと内回りを間違えないでくださいね」

「ほたるん。間違えたらどうするの?」

 

 気になったのか、夏海が尋ねた。

 

「ああ、すぐに次の駅につくので、そうしたら降りて、逆方向の電車に乗り換えてください。そうすれば大丈夫ですよ」

「へ~」

「ま、私も知ってるけどね~」

「ただ、小鞠センパイはちょっと小さいので、混雑していると、降りる前にドアが閉まっちゃうかもしれなくて……そこが心配です。ひょっとすると、グルグル回り続けて降りられないんじゃ!?」

 

 

『ううっ……んんっ……ん!』

 

 

「あっ! それより小鞠センパイのサイズじゃ、電車とホームの間に落ちちゃうかも。擦れていっぱい血が出て、痣になって、せ、センパイ、今私が助けに行きますからぁぁ!」

 

 

『と、東京怖いぃぃ――――っ!?』

 

 

 小鞠がガバッと跳ね起きた。

 

「あ、姉ちゃん起きた」

「こまちゃん泣いてるん?」

「センパイ……ご無事でなによりです……」

「ていうか、絶対、蛍がトドメ刺したよね?」

「ひかげちゃん、小鞠ちゃんに変な睡眠学習させちゃダメだよ?」

「お前が言うなよっ!?」

 

 すると、

 

「みんなちょっと静かにするん!」

 

 ポタポタ涙を流している小鞠の頭を、れんげが優しくなでていた。

 完全に小一と中二が逆転しているが、そこは誰も気にしない。

 そんな二人の様子を眺めながら、蛍が感慨深く漏らした。

 

「でも、これでよかったのかもしれませんね。センパイはここから高校に通うのが一番だと思います」

「そうだね。いずれ東京に行きたいとか言い出すかもしれないけど、まずはこっちの高校で、もう少し世間様に慣れないと、私も心配だし、あと、越谷家がなっちゃんだけじゃ、ちょっと寂しいしね」

「ウチはせーせいするけど?」

「またまた、そんなこと言って~。なっちゃん、ホントは寂しくなっちゃうくせに」

「そんなことないって!」

 

 赤くなった夏海の頬を、このみがツンツン突っついた。

 すると、小鞠の頭をなでていたれんげが、不満そうに唸った。

 

「ん~、ウチはこまちゃんにはもっとパラダイムシフト的な荒療治が必要だと思うん」

「ぱ、パラ、アスパラ……?」

「れんげ、何気に手厳しいな」

「ひかげちゃんと一穂さんが、アバウトすぎるだけだと思うけどねー」

 

 このみは「反面教師じゃない?」と笑った。

 

「姉ちゃんだったら『本物の教師だけに?』とか言って爆笑するとこだけど」

「爆笑するんだ……」

「私、あっちの高校じゃしっかり者でとーってるんだけどな~」

 

 腕を組んだれんげが、物知り顔で頷いた。

 

「人は頼る者がいなくなると、自然と成長するものなん……」

「ねぇ、私時々思うんだけど、れんげちゃんって本当に小学生なの?」

「それを言うなら、蛍もだろ?」

「え、え、私もですかぁぁ!?」

「あ~、すっごいパワーだもんね~」

「ちょ、パワーって何ですかぁぁ!?」

 

 れんげと蛍と小鞠をのぞく全員が苦笑した。

 そこで、ようやく小鞠がシャットダウンから再起動する。

 キョロキョロみんなの顔を見回した。

 

 

「あ、あれ? どうしてみんな私の部屋に? このみちゃんとひか姉まで……」

 

 

 そんな小鞠のとぼけた表情に、今度こそ全員が笑った。

 このみが代表して小鞠の疑問に答える。

 

「みんなが宿題がんばってるー、って聞いたから、私とひかげちゃんで差し入れに来たんだよ」

「ま、そういうことだから、アイスでも食べて元気だしなって!」

 

 ひかげが小鞠の背中をバンと叩いた。

 コホコホ咳きこみながら、小鞠の顔から涙の跡が消える。

 

「え、アイス? アイスあるの!?」

「はぁ~、やっぱり、小鞠センパイには笑顔が一番似合います!」

「さーて、姉ちゃんが起きたところで宿題の続きでもやりますかー。ほら、姉ちゃんがいないとウチの宿題が終わらないでしょ。いくらほたるんとれんげがスゴくても、中学の問題がわかるのは姉ちゃんだけなんだから」

「夏海……?」

「おやおや、なっちゃんってば」

 

 このみが再び夏海の頬を突っついた。

 

「だーっ、本当のことなんだから別にいいっしょ!」

 

 れんげが両腕を上げる。

 

「みんなでいっぱい遊ぶために、いっぱいがんばるん!」

「そうだね、れんちゃん!」

 

 蛍も両手を上げた。

 

「いやいや、誰か卓のことも思い出してやれよ」

「眼鏡君、ムダにスペック高いもんねー」

 

 などと言いつつ、年少組の姿をひかげとこのみは眩しそうに見つめていた。

 

「あ、そういえばひかげちゃん」

「ん、なに?」

「私は三年だからほとんどないんだけど、ひかげちゃんはやったの? 夏休みの宿題」

「……え?」

「ほら、高校になると一気に量が増えるでしょ?」

「あー、うん、そーだねー」

 

 そんな棒読みのひかげに対して、

 

「早くやらないと、あとから大変だぞ~」

 

 どこかで聞いたような台詞をこのみが口にする。

 

「大丈夫だって。いざとなったらルームメイトもいるし」

 

 

「「「え?」」」

 

 

 夏海とれんげと蛍が振り返った。

 

「ひか姉、さっき『勉強ってのは自分の力でやることが大事なの』って、言ってなかったっけ?」

「他人のを写すのもダメって言ってました」

「……え、いや、その」

「ひか姉、ダメダメなんなー」

 

 ひかげは三歩下がると、バッと畳の上に土下座した。

 

 

「す、睡眠学習でおなしゃーす!」

 

 

「いや、それもダメって言ってたから」

「アウチ!」

「ひかげちゃん、がんば!」

 

 そんなひかげの姿に、小鞠が目をパチクリさせた。

 

「え、え、何がどうなってるの!?」

「あー、姉ちゃんは眠ってたからね~」

「ちょ、意地悪しないで教えてよ、夏海ぃ~」

 

 夏海も小鞠もすっかり調子を取り戻している。

 そんな、越谷姉妹のやり取りを眺めていたれんげが、ポツリとつぶやいた。

 

「……ウチも、いつも通りのひか姉で安心したのん」

 

 れんげの頭を、蛍が優しくなでた。

 

 

 


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