やる気が有り余って書き上げました。
単純で悪いか!?
上級修剣士となってからの生活は目が回るようだった。主にラクスにストーカーされたり、ラウラに八つ当たりされたり(俺の周りろくな人いねぇ……)していた。うん、2人とも美少女だからいいんですけどね、はい。
胃が痛い……
――◇◆◇――
私の隣室のリオンはちょっと、いやかなりおかしなやつだ。
「せいぁあああ!!!」
――バキッ
修練用の丸太を
「ハァハァ……もっと、もっとください!」
「おま、打たれにくるって正気か!?」
二等爵家の傍付きに木剣の一撃を求められたり、
「ふぅ〜……終わった……」
「何が?」
「ん?神聖術の教科書の内容」
「へぇ、どこまで?」
「全部」
「へぇ、ぜん……全部!?馬鹿にしてるの!?」
「えええ!?ホントだって!」
馬鹿みたいに飲み込みが早かったり、
「まだまだだねー」
「くっ……」
いまだに勝てなかったり。
彼ほどの剣士がいるなんて思いもよらなかった。まるで勝てるイメージが湧かない。
お父様のような力強さはない。お母様のような鋭さもない。
なのに勝てない。
彼の姿からは勝とうとする気が感じられない。でも、気づいた時には、ある時は後ろ、ある時は横から、剣閃が飛んでくる。でも、それだけなら負けない。それだけではないから負けるのだ。
あんな滑らかに斬撃を繰り返す人を彼以外に知らない。
まるで始めからそのつもりだったかのように、一切の無理矢理を感じさせないで、無理矢理な方向から剣が迫る。いつになったら彼に追いつけるのか。
私は焦っていたのかもしれない。
だが、そんな時、それこそ毎日のように彼に立ち会いを挑んでいた時、
彼が初めて怒った。
普段、私のどんな罵倒にも眉ひとつ動かず飄々している彼が、だ。
「何を焦っているんだ?毎日のように向かってくるくせに、何一つ成長していない。ふざけるな!もっと、もっと……」
彼が呟いた言葉を私は忘れられないのだ。
「自分を大事にしてくれ……」
頭が真っ白になった。次に沸沸と怒りが沸き起こる。お前に何がわかる、そう叫びたかった。けど……
「お願いだ……」
彼は、泣いていた。何故かは知らない。けれど、
あの彼が怒って、泣いたのだ。
私は戸惑った。彼は絶対王者だと、完璧な、天才だと思って、いや思い込もうとしていたから。
ほんとは知っていた。
彼がどれだけ日々の鍛錬を欠かさなかったか。独学で神聖術を学ぼうとどれほど努力していたか。
なら、私は?
自分の非を認めるのが怖かった。私が完璧で、それでもなお負ける相手だと、言い訳出来なくなるから。闇雲に足掻いているだけだった。
けど、彼は私を叱ってくれた。
お父様はいつも褒めてくれた。さすが私の娘だと。叱ってくれたのは今は亡き祖母のみだった。
「……あれ?」
祖母は私の誇りだ。いつだって正しくて誇り高くて……なのに……
「あいつとお婆ちゃんが?……まさか、そんなわけ」
被って見えるなんて……そんなこと……
ないんだから……
――◇◆◇――
リオン様はやはり素敵だ。
他の上級修剣士を寄せ付けない圧倒的な実力。それでいて謙虚な姿勢は崩れない。
学業も優秀、欠点を探すのが難しいほどだ。
「ふぅぅう……」
今日もリオン様の布団の匂いを嗅ぐことから私の傍付きの仕事が始まる。見つかると怒られるので要注意だ。もちろん、証拠隠滅に余念は無い。
部屋の掃除といってもほとんど片付いているのでやることがない。よって物を盗る……コホン、借りることも出来ない(無許可だが)のだ。
その後は修練場で稽古をつけてもらう。ここでも学ぶことがたくさんある。
「リオン様!手は抜かないでください!」
「そしたらわざと受けるからだろうがああああ!!」
まったく……つれないお方だ。
ああ、今日も傍付きの仕事が終わってしまう。楽しい時間は本当に早いものだ。
「それでは失礼します」
「ん、いつもありがとう」
「〜ッッ」
ほんと、あの笑顔は反則だ。あの笑顔でいじめられた(ry
――◇◆◇――
そんなある日、その日は久しぶりの大雨だった。
「降りますね……」
「そうだね……」
いつものようにラクスと稽古を終え、自室に戻ったところだ。
「クンクン……」
「……こら」
「あぅ」
なんで真っ先に布団ダイブしますかね……俺の楽しみを……匂い嗅ぐなよ。
あと、その、ね、
「なんですか?スカートの中が気になりますか?」
「ッッ!!?」
こーゆーとこだけ鋭いな……てか、お前がダイブするから……
「ふふふ、今すぐ全てを差し上げてもよろしいのですよ?」
「ほんと……お前ってやつは……」
「冗談です、雰囲気ぐらいは作ってくださいね?」
「そこが冗談なのな……」
ったく、俺じゃなかったら襲ってるな。黙ってりゃ「可愛いし」
「え、あ、う、あの、そのようなことを言われると、その……」
「え、あ?……うわあああああ!?」
声に出てたああああ!?
「きゃーだ・い・た・ん♡」
「棒読みで言うなこら。あと顔赤いよ」
「ッ!!」
「はいはい、睨まない睨まない」
睨んだ顔も可愛いけどね。お互いに苦笑しあう。
「それでは失礼します」
「ん、おつかれ」
軽く手を振ると律儀に会釈して部屋を出ていく。うーん、やっぱり変だけどいい子だなぁ。
「よく降るわね……」
「あれ、デジャヴ」
「でじゃ?」
「気にしないでくれ……」
シャワーを浴びに寝室を出るとラウラが先にコヒル茶を飲んでいた。最近態度が柔らかくなりましたね。
「あ?」
「ひぃっ!」
ば、バレた?まさかね……
――ゴロゴロ……
「きゃ!!」
「うぉ、落ちたかな?……ん?きゃ?」
あれー?ラウラってあんな声出せるの?てか……
「雷嫌いか?」
「うっさいわね!悪い!?」
――ピシャッ!!
「きゃあああ!!?」
「うお!?」
ラウラが飛び付いてきた!なんだここで俺の記憶を抹消しようというのか!?
「…………」
「…………」
ところがラウラはそのまま離れない。もちろん危害も加えてこない。
「……どうした?」
「怖いから……傍にいて欲しいの……」
くっ、なんだこいつ、別人かよ。しおらしくなって潤んだ瞳で上目遣いとかどちらさまですか?
「わかったよ……」
「あ……」
優しく頭を撫でてみる。彼女が安心するように、出来る限り優しく。
「嫌か?」
「別に……むしろ好きかも」
こんな素直な人、ぼく、知らない。気持ち良さそうに目を細める様子はまるで猫だ。
「すぅ……」
「え……」
寝た。寝やがった。
「ったく、風邪ひくぞ?」
はぁ、無防備だなぁ……
彼女のベッドに寝かせてそのまま自分も隣に横になる。人肌って暖かいなぁ……
「おやすみ……」
悪いとは思ったけど、睡魔に勝てず意識が遠のく。怖いって言ってたし、ラウラのためだ(大嘘)
ひときわ大きな雷が落ちた時、何か予感めいたものを感じた。
――◇◆◇――
「やぁ、久しぶりだね、リオン君」
茅場か?久しぶりだな。
「今日はお願い2つ目だ」
今度はなんだ?一応セントラル・カセドラルは目指してるんだが……
「それがだな……キリト君を覚えているかい?」
あぁ、なんか最後の方言ってたな。
「実は殺人罪で捕まってね」
へぇ、度胸あるなぁ。
「驚かないのかい?」
俺もよくやりたくなったからな。
「そ、そうか。という訳でキリト君を助けてもらいたい」
どこにいる?
「明日にはセントラル・カセドラルの中だ」
わかった。不法侵入する。
「…………決断が早いな」
……だってそっちのほうが楽しそうだから……
「……君も既に普通をやめたのかい?」
え?
「何でもない。とにかく頼むよ」
わかった。まかせ……ろ?
「なぜ疑問形で終わるんだい?」
意識が途切れた。
――◇◆◇――
その日からリオン主席上級修剣士は姿を消した。同室の者や傍付きが見つけたメモによると、
『ちょっと出掛けます。いつまでかかるかわからないけど、席を確保してくれてるとありがたいです。ラクス、ちゃんと掃除しといてくれよ?あと戻ったらおかえりって言って欲しい。ラウラ、俺以外に負けるな。あともうちょい強くなって楽しませてくれ。またいつか リオン』
とまぁなんとも気楽な文章が並べてあった。リオンの席はラクスの強権発動により12位として残され、部屋の掃除もきちんとされていたという。
2人は信じている。いつかと言ったからには、必ず彼は帰ってくると。
だって、彼は、最強の剣士だから。
どうも橘です。
バーが黄色くなった!初めてだ!
とまぁレベルの低い喜びを全力で味わっております。読んで頂いている皆様に感謝を……
次話から戦闘シーンが入ります。ユニークスキルが無双します。りおんむそうします。
まぁ、戦闘技術の工夫なんて思いつかないのでゴリ押し感が否めないですが……
が、頑張るもん!
それではこの辺で!