前半よりも後半を大切にしようとして、失敗しました。
原作よりシリアス成分少なめだと悩むこの頃……
4,10 昇降盤係の名前を原作に沿わせました。
――ギィィイ……
扉が開く。
ファナティオ達を拘束した後、キリトとユージオを待っていた俺が目にしたのは
2人の修道女らしき幼女に引きずられたキリト達だった。
いや、なんでだよ。
――◇◆◇――
『なっ!?』
幼女達は揃って声を上げた。どうやら整合騎士が捕らえられているなんて、さらに言うなら他に侵入者が居たなんて思いもしなかったのだろう。
うーん……見た感じ敵意は無いんだけどなぁ……なんかキリト達引きずってるし……
よくよく考えてみればあの2人が青年を難なく運べていることも疑問だ。あの歳でそこまでオブジェクト・コントロール権限が上がることなどあるのだろうか?
とりあえず油断しないほうが良かろうと判断し、天裂剣を鞘走らせる。
「あ、あなたは……一体……」
「どうやって私達より先に上に!?ずっと見張ってたのに……」
ようやく衝撃から立ち直った2人が口々に叫ぶ。
すいません。バックドアでひとっ飛びでした。(デジャヴ)
ともかく、彼女達への警戒ランクを一つ上げる。見張ってた……つまり俺達を狙っていたらしい。こんな可愛らしい顔で近づかれてもわからんわそりゃ。キリト達に同情の目を向けようとした、が、
気づいた時には後ろから修道女達の腕を浅く切りつけていた。木剣だとばかり思っていたが、鞘だったようだ。あぶねぇ……気づかなかった……
切りつけられた2人は驚く間もなく床に倒れた。
「……ルベリルの毒鋼?」
「正解」
その時ようやく見れたキリトの瞳は、どこかやるせなさを含んでいた。
――◇◆◇――
修道女の衣類からおそらく解毒剤と思われる薬品(何も確証が無くて怖すぎる……)をユージオに飲ませた後、修道女2人を整合騎士と同じように拘束する。さすがに手足を抉るのは気が引けたのでやめておいた。
キリト達は整合騎士達をみて若干引いている。いやなんでだよ。
「お前……相変わらず無茶苦茶だな」
「キリトには言われたくないけどな」
互いに苦笑しあう。イレギュラーって大変だ。
「整合騎士は強くなかったの?」
どうにか麻痺から回復してきたユージオが問いかけてきた。んー……
「あの人の、この剣奪って開放武装術で倒した」
「へぇ、君の剣で?どんな技なの?」
「いや、あの人の剣で」
「へぇ……ええええ!?」
「は!?どういうことだよリオン!?」
ユージオは驚愕、キリトは……羨望?を表しながら問い詰めてくる。
結局、説明しようとはしたが全く理解されず断念した。そんなに難しいかなぁ……?
――◇◆◇――
一通り装備を点検したあと(天穿剣は返しておいた)、先に進むことにする。そのさい、2人が修道女達にむかって何かを言っていたようだ。彼女達にも彼女達なりの目的があったのだろうか?
「なぁ、あの子たちって何者?」
「ん?あぁ、言ってなかったっけ?整合騎士だよ」
「なっ!?」
あの歳で!?でも、ようやくあの馬鹿力の説明がついた。子どもに整合騎士って……公理教会も余裕無いのかな?
どうやら、2人は武器庫の前でも整合騎士を倒してきたらしい。ふむふむ、いいペースである。
「これで整合騎士の人数はだいぶ減ってきたはずだ。このまま上を目指そう」
頷きあうと、先へと続く扉を開いた。
――◇◆◇――
扉の先の通路からは冷たい風が吹き付けてきた。ん?どうやら階段で登るのでは無いらしい。
「うわぁ……」
この先の階は真ん中が筒状にくり抜いてあった。1層ごとの高さもそこそこあるため、このままでは登れない。キリト達2人が愚痴をこぼす。
「こりゃどうやって登るんだ?整合騎士サマは空を飛べるのか?」
「流石にそれはないよキリト。空を飛べるのはかの最高司祭様だけらしいよ?」
「じゃあどうしろっていうんだ……」
「…………どうやらお迎えみたいだよ?」
えっ、と2人が上を見上げると
円盤が降りてくる。
それは3人の前で音もなく接地した。
「お待たせ致しました。何階をご利用でしょうか?」
円盤に乗っているのは少女だった。見たところ武装は無し。警戒の必要は無いと判断して喋りかけてみる。
「どこまで行けるのかな?」
「はい、八十階の雲上庭園までご利用いただけます」
「俺達反逆者ってなってるけど、乗せても大丈夫?」
「私はこの昇降盤を動かすことのみが仕事でございます。それ以外の命令は受けておりません」
「なるほど、じゃあ80階までよろしく。だってよ、2人とも乗れば?」
2人は暫く顔を見合わせていたがこれ以外に移動手段が思い浮かばなかったのだろう、恐る恐るといった感じで昇降盤に乗った。
「それでは、失礼いたします。システム・コール、ジェネレート・エリアル・エレメント」
円盤に取り付いていた筒の中に風素がきっちり10個生成される。どうやら中々な高位の術者のようだ。そのまま3つをバースト、吹き出した風が円盤を浮き上がらせた。
「なぁるほど」
まるでエレベーターだ。キリトも思い当たるところがあったのだろう、へぇやら、ふぅんやら言って周りを見渡している。可哀想なのはユージオで顔を青ざめさせて手摺りに掴まっている。
そのうちキリトの関心が風景から少女に移ったらしい。少女に向かって訪ねた。
「君は、いつからこの仕事をしてるの?」
すると少女は、さも当然のように答える。
「この天職を頂いて今年で百七年になります」
これには3人とも絶句した。きっと少女にとってそれは当たり前のことなんだろう。なんて、なんて残酷な運命なんだろうか。あの「バースト」の式句を何度繰り返してきたのだろうか……
「君……名前は?」
不意にキリトが訊いた。
少女は長い間首を傾げた後、ぽつりと答えた。
「名前は……忘れてしまいました。皆様は、わたくしを昇降係とお呼びになります。昇降係……それがわたくしの名前です」
「そんな寂しいこと言わないで」
ついこぼした心の声は、少女の目を見開かせた。それさえ気づかないまま、無意識に言葉を紡ぐ。
「人は皆意味があって生きて、今この時を生きているんだ。ほんとは……もっと……自由で……」
自分が何を言っているのか、わからない。それでも必死に、彼女への言葉を探す。
「君は……エアリーだ。エアリー、それが君の名前」
「エアリー……」
少女は噛み締めるように新たな自らの名を呼ぶ。
「エアリーは何かやりたいことは無いの?」
「私は……」
ふと、こちらと目を合わせる。まだ彼女の瞳を見たことがなかったとそこで初めて気づく。それは真夏の蒼穹のように、深い藍色だった。
「私は、この昇降洞以外の世界も知りません」
今ここで、
「ゆえに……やってみたいこと、と仰られても決めかねますが……」
ようやく、
「してみたいことは……」
彼女の
「……あの空を……この昇降盤で、自由に飛んでみたい……」
始まる。
「君の願い、ちゃんと預かった」
俺に出来ることなんて限られてるけど、それでも
「待っててよ」
手の届く範囲くらいは
「叶えてみせるから」
幸せにしたいって思っちゃうんだよ。
――◇◆◇――
最後の階で円盤はピタリと止まった。うまく出来てるなぁ……
おもむろに、エアリーは深く一礼した。
「お待たせいたしました、八十階、雲上庭園でごさいます」
「ありがとう」
それぞれ頭を下げ、円盤から降りる。最後、俺が降りる時、微かに
「……待っています」
と、聞こえた気がしたが、確かめる前に円盤は降下した。
きっと、アドミニストレータを倒しても、その先のことまで考えないといけないんだ。
出来るだけだけたくさんの人に、幸せを……
そう祈ることしか出来なかった。
どうも、橘です。
投稿遅くなってすいません。構想が(; ・`д・´)
アリシゼーション編はモブキャラが好きです。
エアリーしかり、セルカしかり……
ちなみに僕が一番好きなのはアリスではなくセルカだったりします。(同志がいたら感想などで教えてくださると嬉しいです……)
フラグ建築士一級のリオンですが、これ以上増えることはない……はず。たぶん、きっと、おそらく。
次はアリスと初対面だ!頑張ります!
それではこの辺で!