竜使いかのんちゃんのVRMMO   作:ヴィヴィオ

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第7話

 

 

 おっきな蟹さんを倒したら、ステラお姉ちゃんと手を繋いで一緒に宿屋にやってきた。

 

「いらっしゃいませ」

 

 中に入ると、おっきなおばさんが出迎えてくれる。

 

「説明はいるかい?」

「いえ、大丈夫です。この水晶に触るだけですし」

「そうだね。おや、これは竜族のお客様とは珍しい」

 

 竜族ってよくわかったね?

 

「凄い」

「どうしましたか?」

「竜族って、ばれたよ?」

「ああ、それはこの水晶ですよ。これで種族と犯罪経歴……悪い事をしたかどうかが出てきます。それで宿を貸してくれるか、貸してくれないか判断しているのです」

「そうなんだ~」

「はい。だから、カノンも触りましょうね」

「ん!」

 

 かのんが手を置くと光って、何かの板が出た。おばさんはそれを見て笑いながら、撫でてくれた。

 

「お嬢ちゃん、良く出来たね。良い子みたいだから、飴ちゃんをやろう」

「わ~」

「ほら、お姉ちゃんの方もね」

「ありがとうございます」

 

 貰った飴を早速食べてみる。みかんの味がして美味しい。

 

「一泊二日、朝食と夕食がついてシングルなら50Gだよ。ダブルなら100Gだ。何泊止まるんだい?」

「そうですね、取り敢えず……シングルの七日で」

「割り引いて300Gだね。50G追加するなら食事も二人分つけるけど?」

「いえ、要りません。食べ歩きもしたいですから」

「そうかい。まあ、うちはそんなに高級店じゃないからお嬢ちゃん達みたいなお貴族様には物足りないだろうしねえ」

「否定はしません。それでも、ここはこの街にしたら高い方ですよね」

「この街は物価が安いし、新米の人達が多い中立地帯だからねえ。一応、高級店は無茶苦茶高いところもあるけど、うちは冒険者がメインだから」

「お姉ちゃん、まだ~?」

「あ、ごめんなさいね。部屋は202号室よ」

「ありがとうございます。ほら、カノンも」

「ありが、とう」

「どういたしまして」

 

 お姉ちゃんと一緒に二階に上がって、205と書かれた扉の前に移動する。部屋の中に入ると、お姉ちゃんが溜息をついた。

 

「どうしたの?」

「いえ、色々と失敗してしまいましたからね」

「そうなんだ」

「それより、カノンは楽しかったですか?」

「うん、楽しかったよ!」

 

 お姉ちゃんに抱き着いて、頭を擦りつけるとお姉ちゃんが優しく頭を撫でてくれる。

 

「では、お父様の所に向かいましょうか」

「うん」

 

 鍵をしっかりとロックして、パパとママのお家に飛ぶの。わ~ぷっていうので一瞬で移動できちゃった。

 

「おお、お帰り。楽しかったか?」

「うんっ!」

「そうかそうか。ステラはどうだ?」

「大変でした。イベントは難しいですね」

「そうだな。ステラは竜の巫女という特殊キャラで、カノンの姉だから頑張ってくれ」

「はい。私も可愛い妹と遊べて楽しいですから。でも、取り敢えず報告してきます」

「ああ、頼む」

 

 パパ達が話していると、眠くなってきたのでお布団に入って寝る事にするの。パパが手を握ってくれているので、安心して眠れた。

 

 

 

 

 

 朝、起きたらママのお店でゆらゆらと揺れる大きな椅子みたいなところで寝かされていた。キョロキョロして回りを見るとママが気付いてこっちにやって来た。

 

「おはよう。よく眠れた?」

「ん、ママが見える……」

「そうよ。ここでは見えるわ。思い出した?」

「うん……ママ、ママ」

「大丈夫よ」

 

 また見えなくなるかも知れないと思ったら、泣けてきた。ママが抱きしめてくれて落ち着いてくる。こんなの夢でしか見た事なかったから。

 

「落ち着いた?」

「うん」

「じゃあ、朝御飯を食べて遊んでおいで。別に一緒に居てもいいけどね」

「邪魔にならない?」

「大丈夫よ」

「ん、お姉ちゃんが来るまで、一緒がいい」

「じゃあ、お手伝いしてくれるかしら?」

「ん、する」

「ありがとう」

 

 ママと一緒に朝御飯を食べて、お店のお手伝い。餌箱を運んで、動物さんに餌をあげていくの。おっきな動物さんもいてとっても楽しい。ドラゴンさんも居るし。餌の次は休憩して、ノートと一緒に羊さんや狼さんをブラッシングしてあげるの。もふもふしてとっても気持ちがいいの。気づいたら、そのまま寝ちゃってた。

 

 

 

 起きてからママと一緒にお昼ご飯を食べて、お客さんの相手をするの。動物さんを貸してあげたり、預かったり、貰ったりもするの。それで、カノンは今、卵屋さんなの。

 

「では馬を一日レンタルですね。代金は2000Gになります」

「安くなりませんか?」

「そうですね……買い取りならもう少し安くて分割に出来ますが……」

「それはちょっと無理ですね」

「後はあの卵ですね。一回1000Gで100個の卵からランダムで色んな種類の騎獣が当たります」

「高いよ。アレならクエストを受けて達成してくれれば一つにつき一回無料です」

「そうなんですか? どんなクエストがあります?」

「騎獣達の餌集めや回収クエストとか、世話のお手伝いとかですね」

「おい、面倒だからやめようぜ」

「そうだぞ」

「いや、悪い。俺はこれを受ける。だって、良く考えたらこれってお金貰えて世話の仕方とか、餌がどんなのとか教えてくれるって事だぞ」

「あっ」

「そういえば出来る限りリアルだったな。治療とかにも使われているそうだし。俺も受けるか」

「俺はどうするかな……」

 

 お母さんがお客さんの相手をしていると、お姉さんが入って来た。

 

「こんばんは」

「こっ、こんばんは……」

「一回、いいかな? これで無料なんだよね?」

「はいです」

 

 クエスト達成の報酬である無料券をお姉さんから受け取って、ハンコをぺったんって押して箱に入れます。

 

「お一つどうぞです」

「ん~どれにしようかな~。よし、これにする」

「はいです」

 

 お姉さんが指定した卵を受け取って、孵化器にセットするのです。それからスイッチを押して、少しするとパキパキと卵が割れていきます。でも、殻だけで中身はりませんでした。

 

「あうっ」

「あ~いいよ。はずれがあるのはわかってたし。卵の殻は貰えるかな?」

「はいです」

「じゃあ、もう一回。そうだ、お嬢さんお名前は? 私はオディーリアっていうの」

「かのんはかのんです」

「じゃあ、カノンちゃんが一回選んでくれていいよ」

「いいのです?」

「うん、お願い。別に外れても怒らないからね。後二回は出来るから」

「じゃあ、えっとえっと」

 

 卵を真剣に見つめて、びびっと来た奴を取るです。

 

「これです!」

「そう。じゃあ、それでお願いね」

「はいです」

 

 チケットを貰って、さっきと同じようにしてから孵化器にセットするです。スイッチを入れると、中から小さな赤い竜が出てきたのです。

 

「え、まじ?」

「えっと、ふぁいあどらごんです。ど、どうぞ」

「ありがと~」

「わぷっ」

 

 抱きしめられてなでなでされました。お姉さんにドラゴンさんを渡します。

 

「じゃあ、もう一回お願い」

「はいです。えっと、今度はこれです?」

「それでいいよ」

 

 次はなんとなく、これだと思った奴を選ぶと変なが出たのです。上半身が鷹で下半身がライオンなのです。

 

「グリフォン……まじでこの子、やばいっ」

「おい、まじかよ……」

「た、頼むっ、俺も選んでくれ!」

「俺もだ!」

「いや、俺のを!」

「ひっ!? やぁぁっ!」

 

 怖くなって慌ててママの所にいきます。ママは抱き上げてくれる。

 

「はい、残念でした。ここまでね」

「ええと、ダメですか?」

「駄目よ。私の子供を怖がらせたんだから、出禁にしてもいいのよ?」

「うっ」

「居るか居ないかはこの子の気分次第。当たりは入っているんだから、頑張って引きなさい」

「仕方ねえ。嬢ちゃん、悪かったな。これは詫びとして貰ってくれ」

「確かに子供を怖がらせるのは駄目だな。俺もお菓子おいてこう」

「もふもふ、触りたいな~」

「世話のクエストやったらもふもふさせてくれますよ? というか、この卵って多分ですけど世話をした生物がでやすいのかも。私、グリフォンとドラゴンの世話を教えて貰いましたし」

「なんつー難易度の高い物をえらんどるんだ」

「あはは、失敗してほぼ報酬なしですけどね。というか、デスぺナ何度か受けましたし」

「……よ~し、俺も頑張るぞ~」

「そうだな。可能性があるなら検証しないと」

「この卵の攻略方法はあの少女と種族の貢献度とか愛情度かも知れないな」

 

 怖かった人達が、普通になってきたです。

 

「ふふ、計画通り……」

「ママ?」

「なんでもないわよ~たまにお店を手伝ってくれればいいからね~」

「ん」

「お菓子くれたようだから、お礼言って食べるといいわよ」

「ありがとう、です」

「ううん、こっちこそごめんね?」

「ごめんな~」

 

 その後、おねーさん達とお話したり、一緒に牧場のお仕事を手伝ったりした。オディーリアさんはママにお世話の仕方とか色々と聞いていた。成獣と幼獣では世話の仕方が違うらしいの。

 

 

 

 

 

 


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